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性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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【製作国 : ドイツ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123
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1.  吸血鬼(1931) 《ネタバレ》 分かったようで良く分からない筋書きや、夜か昼か判別不能な明るさは〝?〟ですが、影が恐怖を演出する光の世界は、ビックリ箱のような安易な脅かしのトリックではなく純然たる恐怖で迫る本物の映画であります。あるいは、ラストのおが屑で埋め殺してしまうシーンなどは通常ならば悪を成敗し安堵する箇所なのですが、徐々に降り積もるおが屑からのぞく手とメガネにゾッとさせられる最も怖いシーンとなっています。また導入部も見事で、宿屋の天井が低く見え囚われた感じがし、不穏な空間に誘われたようです。[DVD(字幕)] 8点(2012-04-06 18:43:33)

2.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 本編の謎解きサスペンスは面白くなりそうで突き抜けてはいきません。それなりの要素をちりばめながらも、例えば、一癖も二癖もありそうな一族たちの人物描写が乏しいですし、ミスリードするようなトラップも無く、あるいは橋だけで繋がれた島というシチュエーションも携帯が圏外という精神的孤独感を示すだけで機能し切れているとは言い難いです。  ・・・しかし、リスベットの魅力が集約されているエピローグには参ってしまいました。リスベットがダニエル・クレイグの敵を葬るため(方法論が分からないがそんなことはどうでもいい)、上品なブロンド美女へと変身し、かと思えばカツラをパッと脱ぎ捨てドラゴン・タトゥーの女へと戻りタバコをスパッとやる…。この繰り返しがしばらく続くのですが、ここで初めて彼女の快活さを垣間見て格好良いと思い心を動かされたのです。しかも全て片付けば、威圧感たっぷりの風貌とは裏腹に純真な恋する乙女の姿まで見せる。雑誌社の表通りでクレイグのクリスマスの予定を尋ねるリスベット、ビルに配された大きな窓からクレイグの愛人がその様子を堂々と目撃するのに対し、クリスマスにリズベットは影から彼らの仲睦まじい様子を目撃し、用意したプレゼントを投げ捨て走り去る…。いじらしい彼女に胸がキュンとしてしまったのです。フィンチャー監督、恋愛映画もいけそうです。[映画館(字幕)] 7点(2012-02-24 18:48:16)(良:3票) 《改行有》

3.  マチェーテ 登場する姐御たちが一人残らずセクシーで魅力的ですし、マチェーテがボディガードたちを庭掃除の道具で撃退するシーンは笑ってしまうのですが…、どうしてもダニー・トレホが主役はないだろと思ってしまいます。あのイカツイ顔のシワはなかなかのもんですが、動きが鈍重で、例えばストリートファイトで物を食いながら身をかわすだけで勝利するシーンのつまらなさは如何なものかと。 悪党たちもお腹いっぱい出てくる割りに誰もがパッとせず、セガールは冗談にしか見えないですし、常に落ち着き払ったドン・ジョンソンが一番強そうに見えますが登場シーンが少ないです。 しかし何と言ってもロドリゲス監督としては、アクションに…と言うよりも期待してしまう滑稽なアイデアにいささか芸を欠いています。[DVD(字幕)] 6点(2011-10-24 18:42:23)

4.  倫敦から来た男 とにかくワンショットがやたらと長く、これでもかとじっくり見せる。もうカットが入って良い頃合ではないか?と思える箇所では入らず冗長に引き伸ばされます。それは決して居心地の悪いものではなく、むしろ良いとすら思えるのですが・・・、何だかタル・ベーラ監督も酔っているし、自分も酔わされてしまった感じがします。つまるところ、何ということもないお話を存分に盛り上げているのは凄いのですが、一方でその過剰さにもったいぶった印象も強く受けるのです。[DVD(字幕)] 6点(2011-10-05 18:37:51)

5.  ゴースト・ドッグ 《ネタバレ》 屋上で行われる修行が侍らしくないのはご愛嬌として、電話やファックスではなく伝書鳩を使ったり、最も気持ちの通じ合う親友とは言葉が通じなかったり、「そんなやり方はダメでしょ」と鳥に狙撃を阻止させて銃撃戦を見せてくれるあたりがタマりません。  それとやっぱりこれは役者陣が素晴らしいと思います。フォレスト・ウィテカーの巨体はトロそうでありながら素早く(ルーイを守るためジョニーを射殺する時の素早さ!)、攻撃的でありながら同時に柔和であり魅力的です。また、高齢化の波がもろに押し寄せているマフィアのジイ様たちが良い味を出していて、階段を登るだけでゼイゼイ息を切らしていたり、バスローブ姿でラップを披露したり、真剣な顔つきでアニメを見ていたりと、そのユニークさは相当な面白さです。 ・・・それからこの映画は他の映画のアイデアを拝借しており、過去にゴースト・ドッグがルーイに救われた二度のフラッシュバックにおいて、ルーイの回想とゴースト・ドッグの回想ではチンピラの銃の方向先が異なっているのは黒澤明の「羅生門」への、水道管から射殺するのは鈴木清順の「殺しの烙印」へのオマージュとなっているのでしょう。[DVD(字幕)] 8点(2011-03-03 18:48:26)《改行有》

6.  NARC ナーク 《ネタバレ》 臨場感をバリバリ出しまっせとばかりにカメラをガチャガチャ動かすのは勘弁してほしいのですが、いくつか良いシーンもあります。例えば、ラストの黒人の隠れ家における銃撃戦で、暗い部屋で撃ち合い、ドアが開くとパッと明るくなり部屋の全景が分かるところであるとか、あるいはその後の一ヶ所に集まった4人の吐く息の白さが良く出ているところです。特にレイ・リオッタは格好良く、絶命し白い息を吐かなくなってしまうなんてのは上手くいっています。[DVD(字幕)] 6点(2011-01-18 18:32:27)

7.  善き人のためのソナタ 《ネタバレ》 監視者とその対象の物語が基本であり、監視する者が対象に憧憬を抱き始め感化されるのですが、ここで不満が残るのは対象のドライマンたちの生活が大して魅力的に見えないところです。機械的な人物である監視者が(コートまでロボットっぽい!)我が身の危険を顧みないまでの行動に出るのであれば、守るものがそれだけの価値を有していなければならないはずですが、例えば契機の一つとして使われる音楽の〝善き人のためのソナタ〟にしても聞かせるようなシーンにはなっておらず(曲の良さが問題ではない)、作り手側もそれを重々承知しているようで、わざわざドライマンが台詞でいかに良い曲かを説明してしまうという始末です(仮に〝のぞき〟による憧れだとすれば、監視者と対象の位置関係をもっと明確に見せなければならないと思う)。  また、尋問シーンにしても、ヴィースラーの顔がクリスタにバレないかというサスペンスとしてのクライマックスであり、同時に恋人を裏切ってしまう要の場面なのですから、もっと力入れて見せてほしいところです。[DVD(字幕)] 6点(2010-11-12 18:30:15)(良:2票) 《改行有》

8.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 「トゥルー・ロマンス」のクリストファー・ウォーケンの役を、タランティーノお気に入りのティム・ロスが演じたらこうなるというような不気味な〝ユダヤ・ハンター〟ことランダ大佐の人物造型が秀逸です(役者の力によるところも大きい)。 多言語にし会話劇を最大限に活かしているのもタランティーノならではでしょう。ということで第1章が一番のお気に入り(地下酒場のシーンも素晴らしいが)。野っ原の一軒家でシーツを干していたら遠くからナチがやって来る入り方からして上手いのですが、さりげなく美しい三人娘たちを登場させたりして不吉な前兆を感じさせたりするもの憎いです。さらに尋問が開始されれば何気ないコチッコチッっという時計の音や万年筆が紙をこする音などをしっかり入れて一層緊張感を高めています(残念なことにDVDではあまり聞こえない)。大佐の手の動きなど何気ない仕草も面白いです(これは誰かと対峙し、こういう仕草が始まるとドキリとさせられるほどだ)。また第1章のラストでは、ドア越しに娘が走って逃げる小さな姿が映し出され、次には大佐が狙いを定める姿が映し出されます。これで人命が虫ケラの如く消されてしまうのねと思わせるのですが、次には娘が大きく映し出され、もしや彼女は虫ケラじゃないのかも?と思うと無事に逃げ切れる…決して会話劇だけではなく、画面の構成も見事です。[映画館(字幕)] 9点(2009-11-24 18:38:33)(良:2票)

9.  ヒトラーの贋札 《ネタバレ》 手ぶれ映像でいかにも実録風に淡々とした演出で見せてくれるのですが、やはりこういうのは映画として面白味がないと思ってしまいます。例えば、病気の仲間が射殺されてしまうシーンの緊張感の無さはどうでしょう。主人公にああいう形で目撃させているところを見ると、サスペンスの面を全く放棄している訳でもなさそうなので上手くいってないんじゃないかと。  ただ、ラストにもっと無惨にくたびれた同胞が現われるシーンはアッと言わせてくれます。それまで収容所外の世界をほとんど映していないので、どうしたって己の命が一番大事で、仲間の命を危険に晒す正義の人・ブルガーは身勝手に見えますが、壁が崩されたあの瞬間にまさに狭い世界から解放されブルガーの行動にも納得がいくのです。[DVD(字幕)] 6点(2009-08-07 18:36:01)《改行有》

10.  スターリングラード(2001) 《ネタバレ》 孤高でストイックなイメージの狙撃手同士の対決というのは個人的にツボですし、それぞれが異国人を英語で演じながらもジュード・ロウの男前っぷりとエド・ハリスの軍服の似合いっぷりが良い味を出していますし(戦時中とはいえレイチェル・ワイズはもっと綺麗にとは思いますが)、列車を降りると戦禍が広がっている導入の仕方や、ジュードが狙撃の腕前を見せるシーンは圧倒的だと思います(あの場面は死体も凄い)。・・・しかし、肝心要のジュードとエドの狙撃対決が全く面白くないのです。それはもう二人の位置関係の見せ方の乏しさに原因があります。凄腕のスナイパー同士ですから思っているよりお互いウ~ンっと距離が離れているのかもしれないですし、一発撃てば居場所がバレてしまうので発砲チャンスが限られているという難しさがあるのかもしれませんが、例えばアンソニー・マン監督の「裸の拍車」における狙撃シーンなどと見比べてしまうと、もっと頑張ってほしいと思ってしまうのです。 ついでに位置関係の話で言えば、両陣営に顔を出す少年の出入りも描写が希薄で、よく分からず不調になっています。[DVD(字幕)] 6点(2009-07-14 18:18:13)

11.  ワルキューレ 《ネタバレ》 この題材を英語劇でやってしまったこと、サスペンスなのにオチが周知の事実であることは、本作の着想段階からすでに問題だったとは思いますが、そんな欠点を物ともせずに撥ね除けてしまっているのが大スター、トム・クルーズの凄いところです。隻眼になっても、いや隻眼だからこそなのか、いつにもまして眼光するどく圧倒的なオーラを放ち、成功するはずのない作戦の成功を祈らざるをえない状況へと観客を誘導し、物語に説得力を持たせてしまうのは、ひとえにトムのスター性によるものです。不自由な手だからこそ行われる机の端で拳銃の弾を装填する仕草など何気ないシーンがかっこいい。それともう一人、僅かな登場ながら毒薬を口に仕込むゲッペルスの鬼気迫った感じが異彩を放っていて印象的です。…それから映画にはいまいち活きていませんが皆が精神安定剤のようにスパスパ吸うタバコがうまそうです。・・・と、もう一つ、トムの奥さん役がなんとあの「ブラックブック」のカリス・ファン・ハウテンだったなんて!…気付きませんでした。[映画館(字幕)] 8点(2009-03-30 18:12:31)

12.  コッポラの胡蝶の夢 一風変わった感じのする幻想的な世界が投影されており、その辺りはいかにも〝映画〟なのですが、コッポラ監督が一体何を言いたいのかいまいち良く分からなかったですし(夢幻世界の時点でもはやそこに明確なメッセージ性など存在しないのかもしれませんが)、また夢の世界では天地を逆転させていることなども面白い事とは思えません。例えば、ティム・ロスが夜道でナチス軍の研究医?に襲われるシーンなどはフィルム・ノワールを彷彿させるような雰囲気がある上に、青白い光が不気味ながらに美しく神秘的でなかなか良いのですが…そもそもお話自体が妙に哲学的で退屈であり、幻想譚の映像美が全体的にはいささか面白味に欠けているように思えます。ただ、最近のハリウッド映画などの作風とは明らかに一線を画しており何となく後に残る感じはします。特に印象的なのは、異世界のように鏡を使ったティム・ロスの分裂と彼の吸う限りなく短いタバコの煙が幻のような感じをさせるシーンと、ナチスの女との情事、それにやたら美しく見えたヴェロニカです。特に彼女の初登場の時、ティムにかけた声の鮮烈さは素晴らしく夢見心地のボンヤリ感から目覚めさせてくれます。[映画館(字幕)] 7点(2008-09-17 18:18:37)(良:1票)

13.  この自由な世界で 《ネタバレ》 社会の歪みの元凶は利潤追求にあるとでも言うように、他人を顧みない金儲け主義の人々の悪行が描き出されています。階級が低くなれば低くなるほど割りを食う残酷社会の中で主人公のアンジーもバイクにまたがりよく働きますが、彼女はケン・ローチ監督がたびたび描く労働者階級ではなく、成上がりであっても一段上で労働者たちを食い物にする搾取する側なのです。そんなアンジーも仕方なしと感じさせてはいますが彼女の表情というものはくすんで見え、それに対するようにポーランド人の移民青年は謝礼も受け取らず、物質的に貧しくも実に爽やかで自然体に見え生き生きと描かれているのです。というところからも本作は、視点が変わっただけでやっぱりどうして労働者たちの映画なのだと思います。無事丸く収まって運営しているように見える〝自由な世界〟ロンドンの裏には、寄るところの無い移民労働者の人々がたくさんいて、彼らは無視できない社会の大きな歯車の一つだという現実を強く訴えているのです。その証拠にラストショットは、再び労働者の斡旋を始めた主人公アンジーの表情で彼女の是非を問うのではなく、冒頭と同じく一移民労働者の不安と期待の入り混じった表情をとらえているのです。[映画館(字幕)] 7点(2008-08-25 18:21:59)

14.  過去のない男 《ネタバレ》 本作にはいわゆるラブ・ストーリーがあるのですが、映画において主役にロマンスがおとずれる場合、美男美女もしくは片方がそれに値しないとはじまらないと思っていたのですが…、なっ、な~んと!そんな必要は全くないということを見事に証明してくれました。失礼ながら〝過去のない男〟もイルマも全く美男美女ではないうえに、もう枯れかけているオッサンとオバチャンときているのです。それなのに、身元が判明して女房のもとへ帰ることになった時、コンテナにイルマがやってきて男と抱き合うシーンが驚くほど感動的に見えてしまうのです。これは凄いことですぞ。さらに普通なら失礼ながら気持ちが悪くなってしまうキスシーンがなんと艶かしいのでしょうか。色使いにしてもそうですけど、普通は毒々しくなってしまうものを決してそうは感じさせないのがカウリスマキ監督の凄いところですね。それから忘れてはならぬのが、と言いますか、忘れられないのは救世軍の女ボスが歌うシーン。これが強烈です。[DVD(字幕)] 8点(2008-07-15 18:19:00)

15.  ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア 《ネタバレ》 主人公二人組の魅力や、ギャング二人組のおかしさ(トランクを開けるシーン等々タランティノの「レザボア~」のパクりではあるが)、または〝死ぬ前に海を見たい〟や〝母親にキャデラックを送りたい〟という男の願望には思わず共感してしまいますし、けっこう好きなのですが・・・、この映画が致命的なのはロードムービーであるのにもかかわらず全く移動が感じられないというところです。冒頭はギャングの風俗店ですが、主人公たちが海にたどり着く前に最後に立ち寄るのがこの場所となっているので、位置関係としてはギャングの店が海の近くにあるという事になります。従って病院からギャングの店方面へ向かっているということになるのですが、あの二人組のギャングがちょくちょく主人公たちのもとに訪れてはボスのもとに戻るので、主人公の二人が全く前進せずに同じところをグルグル回っていたように思えてしまい、さっぱり海への道を歩んでいるという感じがしないのです。ただ、ラストシーンとそこにかかる〝天国の扉〟はやっぱり良い![DVD(字幕)] 7点(2008-07-02 18:31:14)(良:3票)

16.  モンゴル チンギス・ハーンについては教科書ていどの知識しか持ち合わせていないので、伝記としてどうなのかは知りませんが、映画としての虚構作品としてはいま一歩な感じがする。というのも、モンゴルの大草原を軍馬が疾走するシーンが当然あるのだが戦闘シーンとなるとアップが多く何をしているのか良く分からないし、鍵となる雷のシーンもどれもパッとしない。また成り行きを説明するような台詞が多い。ただテムジンとボルテ、ジャムカのそれぞれの会話シーンのいくつかはなかなか力強いと思うし、浅野さんの存在感やけっして美人ではないが凛としたボルテ役の女優さんは良く、二人の愛の物語は神話レベルの印象を残す。   この監督さんが撮りたかったのは自作の「コーカサスの虜」でも描いたように民族と奴隷のように思える。争いの種は尽きず幾度も追われ捕まり逃亡し追われ捕まる。首に枷をつけられ、檻に入れられ自由を奪われる。そして身動き一つせず耐え忍ぶテムジンの不屈の英雄像をもってその負の連鎖が断ち切れる様を描いているのだ。   それから何処で撮ったか知らないがあの広大な風景は素晴らしい。モンゴルが実際あのような場所だとすれば朝青龍が帰国したがるのも当然だと感じられる。 [映画館(字幕)] 6点(2008-04-08 18:19:53)《改行有》

17.  88ミニッツ 本当に60代後半なのかと思ってしまうほど色気が漂うパチーノとキレイなお姉さんが何人も出てこなかったら映画ではなくてTVなのでは?と疑ってしまうくらいの出来だと思います。何しろ印象的なシーンは皆無に近いですし、88ミニッツと題されているにもかかわらず時間制限が全く感じられない差し迫った緊張感の無さはかなり問題です。  そして、この作品の消費的な感じは非常に現代的です。内容はもとより、展開の目まぐるしさからくるスピード感、題材の割りにポップコーンムービーのようなお手軽さ、ときどき挿入される音楽もヒップホップ系とあらゆるところで現代に徹しているのです。加えて現代社会の必需品である携帯電話が大活躍するのですが、ケータイの通信機能というものは映画的ではないと思うのです。例えば据え付けの電話だったら〝呼び出される〟〝かけに行く〟というような電話自体の存在や、それに伴う行動がしっかりあるわけですが、ケータイはボタン一つで何時、何処でも使えてしまい面白味に欠けるのです。さらに本作ではせっかく一つ壊しても別のものがすぐ手に入ってしまうとこまで現代らしいときています。ケータイに限らずパソコンなどの現代機器は映画のストーリーを複雑化するばかりで、ワンタッチで何でも可能になってしまう簡単・便利さというのは映画には適しておらず、巧く使うのは難しいと感じるのです。 [映画館(字幕)] 5点(2008-03-26 18:16:38)《改行有》

18.  巨人ゴーレム(1920) 屋上から人を落とすところとか女の髪を掴んで引きずりまわすところなど遠巻きにゴーレムを捕えているシーンはとても怖いです…が、時代が時代とはいえ悲しいかなやはりゴーレムがお粗末です。確かに関節を曲げない動作で一生懸命ゴーレムを演じているのですが(ドアのノックは素早くしないで欲しかった;)、現在見れば欽ちゃんの仮装大賞レベルの着ぐるみにしか見えません。それにゴーレムの風化は別にしてもゴーレムが力を発揮する場面や門をブチ開けてしまうところなどはもっと迫力あるものに出来たのではないかなと思います。古い作品なので撮影技術や予算の問題があったのかもしれませんが。  この監督さんはゴーレム伝説が好きでこれを題材に三作も撮ったらしいです。私もゴーレムの悲劇的ヒーロー像は好きなのですがね。[DVD(字幕)] 5点(2007-11-22 18:19:27)《改行有》

19.  ヴェルクマイスター・ハーモニー 《ネタバレ》 これまた凄い奇妙な、いや奇妙な凄い映画だ。宇宙についての哲学的話を不器用なおっさんをグルグル回して語り出す始まりからして何とも可笑しい。しかもカット無しの長回しで撮ってしまっている!と思ったらこの後も長回しの連続でよくこんなの撮れたなぁと感動してしまうばかりである。極めつけのシーンは暴徒と化したおっさん達が行進して病院?に向かい暴れまわる一連の場面で思わず身震いしてしまった。この破壊活動シーンで長回しを止め規律を乱す手筈になっているのか…という浅はかな素人考えがあっさり裏切られるばかりか、モザイク一丁おじいちゃんの神々しい登場に圧倒されてしまった。モノクロームの映像も寓話的世界観を確立している…が、実はこれクジラの稚拙さをごまかすためだったりして。  何はともあれ私はこれまで三度観た。最初は興奮し細部確認のためもう一度と思ったが、二度目は一転して退屈さに睡魔に襲われた。で、久し振りに三度目の鑑賞をしたらやっぱり面白い。四度目はもう止めた方が良いのではないかと思うのだが、これは癖になってしまう麻薬のような作品だ。[DVD(字幕)] 9点(2007-11-07 18:05:07)《改行有》

20.  カリガリ博士 ドイツ表現主義の代表作…ですが、私にはそういった小難しいことは分からないので何だか良さも理解し切れませんでした。個人的にはその分野では「吸血鬼ノスフェラトゥ」や「メトロポリス」などと比べると印象が薄い感じがします。ただ、一つ間違えば滑稽になりかねない歪な世界の造型が醸し出す不気味さの素晴らしさや、夢遊病者が女性を襲うシーンの恐ろしさ、カリガリと文字が画面に氾濫する仰々しさなどは凄いです。しかし、夢遊病者、もしくはカリガリ博士に〝ノスフェラトゥ〟や〝人造人間マリア〟のような衝撃を受けられなかったことに物足りなさを感じたのかもしれません。[DVD(字幕)] 6点(2007-09-03 18:18:40)

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