|
プロフィール |
コメント数 |
914 |
性別 |
|
自己紹介 |
ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。 「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。 映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。 目指せ1000本! |
|
1. FLEE フリー
《ネタバレ》 出演者の安全と匿名性を確保するためにアニメーションにする手法は、
アリ・フォルマン監督の『戦場でワルツを』を思い出す(参考にしていたらしい)。
双方ともアニメでワンクッション置くことで、"虚構"が入り混じり、私小説を読んでいるような感覚になる。
カクカクな動きもまた、不確かな記憶という映像の中で想像の余地が広がっていく。
難民を扱った映画は数多くあるが、本作では同性愛者という二重の苦悩を抱えている点である。
国によっては"存在しない"扱いになっており、自分らしく生きられることがどれだけ尊いことか、
先進国で生まれ育った人にはなかなか実感できない。
家族と再会後にゲイと告白し、長兄がゲイクラブに連れて行ったエピソードが印象深い。
ソ連崩壊直後の難民としての生活、そして彼らに対する扱い方は現代の日本でもそこまで変わらない気がする。
もちろん弱者の味方のフリをしてシノギとする団体がいて、不信感として向けられていることは否定できない。
綺麗事だけでは人を助けられない、余裕がない国ほど反動で排他的になるのは仕方ないにしても、
日本もアフガンやウクライナになったらどうするか想像力を巡らしたい。
一般人が国を守るために武器を持って戦うみたいなこと、イザとなったら何もできないから同じ難民になるだけかと。[インターネット(字幕)] 7点(2023-01-21 21:24:39)《改行有》
2. ブリーダー
《ネタバレ》 ビデオショップで働く映画マニアを狂言回しに、コミュニケーションの不通と行く末の明暗が綴られる。レフン監督の母国であるデンマークが舞台で母国語のためか、監督のスタイルが確立しながらも初期作品ならではの荒削りさ、北欧の空気が感じられ、近年の分かりづらさは皆無。父親になる勇気がなく鬱屈を抱えるレオと、恋をするもなかなか踏み出せないレニーの対比。ささやかな希望が目の前にあるのに、その一線を越える覚悟を持つか手放すかにおいて、現実の我々と変わらないところにリアリティを感じさせる。変化のない寂れた町と彼らの閉塞感が強く共鳴する。[インターネット(字幕)] 6点(2018-12-24 21:55:42)
3. FEAR X フィアー・エックス
《ネタバレ》 これは自己破産しても仕方ないのではないか。妻殺しの犯人を探す警備員を描いたサスペンスのように見えて、後半は訳分からないデヴィット・リンチ的世界なんだもん。レフン監督のトレードマークである露骨な暴力描写を避け、自分のスタイルを模索している姿が垣間見える。出張していた警官が主人公の妻を巻き込んでしまったのが真相なのかもしれないが、後半はその警官に視点が置かれるため、主人公の影が薄くなって、追いていかれた感じが否めない。そもそも警官は主人公が作り出した妄想の産物なのだろうか? それとも警察が事実を隠蔽したのだろうか? どこが現実でどこが妄想か曖昧で余計分からなくなる。今まで撮りためてきた容疑者候補の写真を捨てた主人公は、わだかまりを抱えながら生きていくのだろう。エンドロールの冷徹なシンセサイザーが異様な赤い世界と打って変わって際立つ。[DVD(字幕)] 5点(2015-06-09 19:48:29)
|