|
1. コン・ティキ
映画になった「コンチキ号漂流記」。 自説を証明するため、1500年前と同じ仕様の筏(いかだ)で南米からポリネシアめざして8000kmの旅へ乗り出すトール・ヘイエルダールらは、学究心よりも冒険心にあふれた命知らずの男たち。 船よりも海面に近い筏での旅は危険もまた大きいのですが、本の中でも印象的だった、コン・ティキの下を巨大なジンベイザメがくぐり、夜間に海の生きものたちが燐光を放つのを肌で感じられるのは船ではできない体験、見ている側も太陽神を帆に掲げ、バルサの木で作られたコン・ティキの存在を身近に感じられるのです。 へイエルダールと陸(おか)で待つ妻との絆と葛藤も描かれ、これは本にはなかったプライベートな部分で、大半が航海で占められる映画のアクセントにもなっています。 現在では彼らが証明したかったことが立証されたとは必ずしもいえないようですが、たとえそうであっても彼らの思いは十分むくわれたのでは。 海で撮影することにこだわり、プール撮影でVFXを駆使した「ライフ・オブ・パイ」ほど映像的に洗練されてはいませんが、海と人間の知恵と勇気がスクリーンいっぱいに広がる素朴で力強い作品。[映画館(字幕)] 8点(2014-01-01 00:03:48)
2. 奇跡の海
ラース・フォン・トリアーってワザと人の嫌がるような映画を作ってほくそえんでる人。 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のセルマやこのべスみたいに、卑屈な犠牲的精神とそれによってもたらされる陶酔感に酔い痴れる精神の薄弱な女性をいたぶった映画を撮ればカンヌなどで目立つことはできるでしょうけど、それ以上の意味はないよね。 あのお医者さんも他の映画なら「いい人」と思うかもだけど、べスの愚直さを際立たせるために置かれたお飾りキャラ。 無駄に長くてトリアーのおふざけにつきあわされてる気しかしない。 孤高のアーティストを気どる下劣な輩じゃないでしょうか。 (「青い影」なんて使うなぁ!)[CS・衛星(字幕)] 3点(2011-03-05 05:11:29)(良:2票)
3. ダンサー・イン・ザ・ダーク
これは一種の宗教と呼べるものです。支持者はこの映画に入信していて、聖母セルマを崇めてるんだと思います。彼らが喜んで苦行に耐えているのも、それが自分の魂を高めてくれると信じて疑わないからでしょう。さらに嫌なのはラース・フォン・トリアーが「この映画の中には愛はどこにもない」と無責任な発言をしていること。ビョークも‘Gling-Glo’の頃がいいな。[CS・衛星(字幕)] 3点(2010-03-12 07:09:30)(笑:1票)
|