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【製作国 : 西ドイツ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. ブラック・ムーン 館に入るまではけっこういいの。ハイウェイで餌をあさるアナグマ(?)の長回し、遠くから来る車が轢いちゃうまで。戦争・暴力の世界が広がっている。車を捨てて走り出すとこの長い移動も見せる。秋の山の中。森の生き物たちの息づかいが怪しくなってきて、ユニコーンの登場。馬に導かれるように館に。でもここまでだったなあ。あとあんまりハッとさせる鮮やかなイメージがないんだよね。おばあさんが何者かへ無線で報告してるってのはちょっと面白かったけど。次々と鳴り出す時計。庭に集まってくる動物たち。ルイス・キャロルの面白さは、あんまり怪しそうでないものの怪しさに満ちてることだったが、この姉弟なんか最初から見るからに怪しそうなんだもん。思春期の少女ってことで説明がついちゃいそうな幻想だから、つまんないのよね。[映画館(字幕)] 5点(2014-02-04 09:12:29) 2. ブリキの太鼓 オスカル君の気味悪さは映画ならではのストレートで迫ってきます。ずっと生き続ける祖母をポーランドに残したまま、成長を再開するオスカルは西へ行ってしまう。これはどう考えればいいのか。ポーランドに残って成長していくってのなら分かりやすいが。彼の太鼓は、軍楽隊のリズムをワルツに変えもするが軍隊の慰問にも使われる。不快に思っても政権から離れられない「芸術」と見てそう間違いではないと思うが、母の死以後の部分がよく分からない。でもそういう“分からなさ”が寓意の豊かさで「きっと深いんだ」と思わせられるのが、芸術映画の得なところ。[映画館(字幕)] 7点(2013-03-14 10:00:50) 3. フィツカラルド 異文化との接触のテーマ。互いになんだか分からないまま、一緒に仕事しているおかしさ。こちらを神と思っているインディのいちいちの変化に、こちらはビクビクしいろいろ考えたりするわけだけど、よく分からない不気味さ。こちらが向こうを利用して船を山越えさせたようでいて、向こうは神の怒りを静める目的でこちらを役立てている。使役しているのかされているのか、最後にはどっちがどうだか分からない面白さ。文化の対比としては、こちらにカルーソーのオペラ、あちらに太鼓。最終的に彼は満足したのかどうか。自分の労苦が染みついた船に歌劇団を乗せ、赤い椅子に座り葉巻をくゆらせて観賞する。これは夢の成就のようでもあり、自分の夢を一段下げ矮小化させて納得したようでもある。映画の幕引きとしては、バッチリ決まった。あと一つのテーマは、夢ゆめと騒ぐ男と、それを見守る女の構図、これはもう古今東西普遍のもの。[映画館(字幕)] 8点(2012-09-05 10:09:42) 4. ファニーとアレクサンデル この人は、だいたい90分くらいのカッチリした世界を構成してくれるところが好きだったんで、この長さにはいささか戸惑った。そしてカッチリしてない。なんかその長さの中にひたる喜びを味わえたが、もひとつ作品のツボを私が捉え切れなかったんじゃないか、という気分も残った。でもなかなか再見する気力が湧かないまま現在に至っている、長いから。画面は洗練されているけど、話はなんかゴツゴツしており、いえ、それがいいんです。これがベルイマンとして提示できる人生肯定の形なんだろう。カールの悩みも主教の孤独も、ツルツルになるまで溶かしてはいない、こういったそれぞれの苦しみをそれぞれが受け持ちながら、でもそういう溶けきれないものがゴツゴツ浮かんだり沈んだりしているからこそ人の世界を肯定できる、って感じ。そういうゴツゴツしたものを必要以上にオーバーに拡大させない、けれど無視してしまうのもいけない、ということ。今までの作品でこれに一番近いのは案外『魔笛』かもしれない。自分のシナリオでないあのオペラにあった「ゆとりのようなもの」は、ベルイマンを考える上で大事なものらしい。この映画観たときの想い出では、3部と4部の間の休憩でトイレに走ったところ、便器が二つしかなくて長~い行列ができていたこと。[映画館(字幕)] 7点(2010-11-01 09:55:37)
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