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【製作国 : 韓国 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
21. 春夏秋冬そして春 《ネタバレ》 美しい。湖に浮かぶ寺。そこに住む和尚と少年。少年は魚やカエルやヘビに石をくくりつけて遊ぶ。朝起きると少年の体には和尚によって石がくくりつけられていた。和尚に言われる。明日、魚やカエルやヘビにくくりつけた石を外せと。もし一匹でも死んでいたならお前の心には一生石が残るであろうと…。 季節が過ぎるごとに年数が経過する。そして湖上の寺の風景とともに人間模様が繰り広げられる。 性と煩悩と死と生と。そしてまるで輪廻のような世界観。 何本か、キムギドク監督作品を観て、石井聰互・石井隆・北野武あたりに似てるものを感じるが、似て非なり。キムギドク監督の貫きすぎる他を寄せ付けない世界観はこの映画でも十二分に感じられる。 本作では音楽の美しさも十分に味わった。少しは作品作りにお金をかけることができるようになってきたのか、と感じた。そして韓国民謡アリラン。この曲か。これが後の超問題作「アリラン」につながるのか。 拳法の型を見せる監督は何を感じ何を演じたのか。わからない部分も多いが、覆面の女を推測し、残された子どもからやっと本映画の主題にせまることができたように感じた。[DVD(字幕)] 6点(2015-07-27 23:37:53)《改行有》 22. 悪い女(1998) 残念ながら18禁なものの、多くの人に観てもらいたい。今私が追っている監督、韓国の鬼才キムギドク監督の第3作目。 地方の民宿にて、売春する女。たぶんにして売り飛ばされた感じがあるが、女はその運命を受け入れている感がある。 その旅館を経営する夫婦と娘と息子。娘は女と同じ年の大学生。女を毛嫌いし、ことあるごとにキツくあたる。この民宿は女を買う男たちが来ることによって成り立っている。 私はこの民宿の娘が主役だとしか思えない。娘は丁寧にドラマの過程を踏んで変容する。 相変わらずキムギドク監督の描く人間ってのは最下層の人間なんだなと思いつつ、またしてもその心理描写の的確かつ大胆な描写にやられてしまう。そしてその人間たちは世間一般でいう幸せをつかむのではないが、魂を昇華させていく。鰐も、本作も、嘆きのピエタもそうだった。これから他の作品も観るが、キムギドク監督の映画作品全体がまるで一つの世界の中での群像劇に感じる。これはスティーブンキングのそれとは違う。テーマや人間を描く哲学としてのキムギドクを痛烈に感じるといったところか。 つまり、私は魅了されている。[DVD(字幕)] 8点(2015-07-26 23:45:46)《改行有》 23. 鰐~ワニ~ 天才がこの世に誕生した映画。キムギドク監督処女作。観た人なら絶対に忘れないラストシーン。監督のこだわりの愛の形の原点を思い切り見せつけられた。 鰐と呼ばれる男。汚い川の水の中を自在に泳ぐ。橋から飛び降りた自殺者の財布などを頂戴するホームレス。ともに暮らす少年にガムを街頭売りさせ売り上げをはねる。金はギャンブルと酒に。じいさんも一緒に暮らす。機械に強く、まっとうな感覚を持つじいさん。3人の元に身投げした一人の女が。鰐は女を犯すが、女は少年やじいさんの人となりに感じるものがあったのかともに生活を。 そしてドラマは始まる。 絵・水・亀・手鎖。 キムギドク監督は、今後の作品でも続く「暴力と性愛」表現をこれでもかと詰め込み、究極のラブストーリーを紡ぎ出す。芸術的な映像をはさみながら、物語は平坦に進む。しかし、けっして画面から目を離すことはできなかった。荒削り、それもまたとんでもないまでの魅力に。映画を観る喜びを私に与えてくれた。 鰐は謝ることを覚えた。女は本当の意味での愛と決別を。 少年はこの後いったいどうなるのか。[DVD(字幕)] 8点(2015-07-26 23:43:53)《改行有》 24. 母なる証明 《ネタバレ》 こんなに心を鷲づかみにされたオープニングは初めてだ。「母」としか紹介されないキム・ヘジャが○○○場面。観てほしい。そこから美しいタイトル画面。このオープニングはこの後映画の二つの場面につながる。母としか紹介されないひたすらに息子を愛し慈しむ母の魂の叫びがこの場面になっている。母性だけではなく、女性として、一人の生きる人間としての精一杯の躍動をこんな形で映像にする監督の才能は恐ろしいほどである。ここにかかるシャンソンのようなクラシックギターの調べ。あまりの美しさに何度も何度も観かえしてしまった。 知的障害のある息子の冤罪を晴らすべく必死に事件の新たなる証拠を探す母。結果は皮肉という言葉ではあらわすことができないほどのものに。母なる証明。久しぶりに納得の邦題。母、とか母親、という題名ではあらわしきれないものがこの映画にはある。母なる証明とは「母によって何かが証明される」ではなく、「この母にしてこの息子あり。間違いなくこの息子の母はあなただと証明された」といった感じ。 ハリウッドリメイクは不可能な韓国の韓国ならではのスペシャルな映画。 自分で自分のツボを刺す映画。[DVD(吹替)] 9点(2015-07-23 17:43:24)(良:1票) 《改行有》 25. 嘆きのピエタ 《ネタバレ》 非情なサラ金取り立ての男ガンド。取り立て対象に手や足を切断させ、障がい者の保険で金を返させる。不意に現れる女、ガンドの母親を名乗る。30年間孤独に愛情を知らずに生きてきたガンドは女に冷たく当たる。しかし次第に気持ちは動いていく。 第69回ヴェネツィア国際映画祭では金獅子賞を受賞したこの作品。鬼才キム・ギドクの低予算作品とのことだが見ごたえは半端ない。 復讐・母性・贖罪、そして愛。ラストのガンドの選択は予測するものの中でも強烈なものだった。暗闇をトラックがいく。暗闇をトラックがいく。そしてエンド直前の女の歌声。 一番目につく唐突な展開はガンドの心変わりだ。そこは観ている側の感性で補うしかないと思った。そこに見えないいくつものエピソードを想像した。母親は最初から謎まみれ。ある意味一貫していたが、ガンドの変容には驚かされた。 他、つっこみ所はある。でも作品を全体で俯瞰すると気にならない。一つのテクストがしっかりと浮かび上がっている。 さて復讐の対象者が悪なのかという点にだけ。金をとりたてる奴がわるいのか。金を借りて返せない奴の責任は?[DVD(字幕)] 7点(2015-07-23 17:42:52)《改行有》 26. マラソン(2005) 《ネタバレ》 自閉症の主人公が努力を重ね初マラソンでサブスリー(3時間切り…市民ランナーとしてはかなりすごい)を達成したという実話ベースのお話。途中とても重要なのは障がいを持つ子を育てる母親や家族の苦悩が描かれること。 あー、韓国映画好きだ^^。骨子がしっかりしているもん。だから途中あざといまでの演技も「いや、本当にこんなんだったんだろうなあ」と納得させられてしまう。展開はスッキリとしているが伏線も適度に配置され、軽快に回収される。絶望と理想にはさまれる母親だけでなく、弟や離婚した父親の心理描写もいい。アクセントのコーチという存在もいい。 そして主人公は強い。溺れた母親を助けることもできないが、母親の教えを時間をかけて飲み込んでいく。持続する。達成する。反抗するのはマラソン大会に出場するときだけ。 私もランナーなんです、鈍足の(笑)。フルマラソンも何度も完走しました。 私も主人公のように、大草原を走るシマウマと一緒に走るイメージで走りたい。 私は拷問のような思いで走る。 私も主人公のように、大草原を走るシマウマと一緒に走るイメージで走りたい。[DVD(字幕)] 7点(2015-07-21 13:36:17)《改行有》 27. トガニ 幼き瞳の告発 《ネタバレ》 田舎の聾唖学校での、入所児童に対する性的虐待。告発する者される者。 大雑把なんだけど、伝えたいことは十分にわかる。…、書き方が悪かった。ある程度大雑把に観ている人に推測させるようにしないと、演技すらできないほどタブーに直接触れるように題材にしているから仕方がない。特に子役たちは素晴らしい演技をみせた。あ、悪役たちも素晴らしい演技だ。よくこんな題材でこんなに迫力あるタフな演技をさせて、しっかりとエンターテイメントにできるもんだ。感心。 人として大切なことはなんなのかを貫く人から順番に、モノの見事になんでも失っていく。耳が聞こえないために命を失う登場人物も。 映画のラストは全く報われないが…。 実話ベースのこの映画。この映画をもってして韓国国内の本事件の関心が高まり「トガニ法」なるものが制定されることになったそうだ。障がい者女性への虐待の罰則強化や公訴時効の撤廃など、映画の中ではできなかったことが法に。 報われる(笑)[DVD(字幕)] 7点(2015-07-17 13:30:09)《改行有》 28. 渇き(2009) 《ネタバレ》 ヴァンパイアと悲しい恋愛はよく似合う。韓国映画のとっても良い音楽もよく似合う。ゴシックな感じはしない。極めて韓国的な美があふれる。 ソンガンホが美しくみえる。物悲しくみえる。ソンガンホの大ファンなので、これだけでも観た甲斐があった。 キムオクビンの狂気の演技が素晴らしい。映画のクライマックスは彼女のクライマックスでもあるように感じた。最初に出てきたときと比べると、殻をうち破った感がハンパない。昔であれば、クリスティーンのアーニー、この頃であればクロニクルのアンドリュー(デインデハーン)を思い出した。彼女が次々に人を襲うシーンはホラーだ。 分相応以上の力を持つと破滅する。 とりたてて好きな映画ではないが。作りはとてもしっかりとした良い映画だと感じた。[DVD(字幕)] 5点(2015-07-17 12:54:22)《改行有》 29. ソウォン/願い 《ネタバレ》 もうめちゃくちゃだ。映画のスタートが激しすぎる。こんなことまで人間は受け入れて生きていかなきゃならないの?でも同じような目に合った人はたくさんいるのかもしれないな。ソウォンの周りにはいないが。で、一度は止めかけたDVDを、結局…観てよかった! 瀕死の暴行を受けた八歳の少女とその父と母の再生の物語。性犯罪の立件の難しさや韓国メディアの強烈さなども的確に描写する。 その中で私の心が動いたのは、事件は家族の周囲の人間の心をも傷つけていたという部分だ。細かいニュアンスがよく伝わってきた。 俺が頭を下げれば俺から金を借りてくれるのかと父親に電話する工場長の男気。 工場長の奥さん(被害者の母親のママ友)と被害者の母親の心の交流。勘違いからの暴言をめぐり言い合いながらも心通わせる母親二人。 そして、被害者ソウォンと同級生の工場長の息子の涙。「自分があの日ちゃんとソウォンと一緒に学校に行けばこんなことにはならなかったのに」と被害者の父親に泣きながら告白する。お前、どこも悪くないじゃん(涙)。 実話ベースかぁ。ひどすぎる。でも父さんも母さんもソウォンも、周りの人もよく頑張った。人工肛門って大変なんでしょう?いつまでたっても被害の傷跡は隠せないかもしれないけど、みんなよく頑張った。復讐に走らないで、よく耐えた。 いい映画だった。[DVD(字幕)] 7点(2015-07-17 12:34:22)《改行有》 30. とかげの可愛い嘘 《ネタバレ》 靴の紐で彼女を椅子にくくりつけるシーン。あそこが最高だ(笑)[DVD(字幕)] 5点(2015-07-17 12:14:10) 31. オールド・ボーイ(2003) 《ネタバレ》 クラリネットなのかな。素敵なワルツとともに双方向の復讐劇が始まります。 15年、訳も分からずに監禁された男。そして15年、なぜか解放された男。すぐに監禁の張本人は現れます。そして選択を迫ります。殺すのか。真相を知るのか。 そして謎の女ミド。 4、5回目の鑑賞。原作はハイパーな日本漫画。ピンポンと同じく、やはり比べてはいけないと。ただどうしても触れたいのはラストの違い。原作と本映画はラストが全く違います。が、どちらもとても叙情的で魅力的な展開に。ハードな内容にセンチメンタルが見事にはまります。私は原作からはいったので、本映画のラストには唖然としましたが、これもまたよくできているなと。ミストも原作とラストが全然違うが、原作者のキングも、あのラストを思いついていたらこうしたと認めた、という話を思い出します。本映画のラストまでの超サスペンスな展開をかんがみるとこのラストも秀逸なのかもしれません。[DVD(吹替)] 7点(2015-06-30 17:20:37)《改行有》 32. 親切なクムジャさん 《ネタバレ》 純粋復讐劇。 復讐をテーマとしている映画の中で、ここまで題名と内容にギャップがある映画もないなあと。この世に題名だけみて何の気なしにこの映画を観てしまった人、いるだろうなあ。映画館の中で困ったろうなあ(笑)。ガッチガチの復讐もの。私は三回目くらいの鑑賞。何度観てもインパクトある。 絶対にテーマは贖罪ではなく「復讐」だと思う。復讐だけを胸に抱え13年間も服役。他の人と一緒に復讐しようとしたのは贖罪ではく、復讐を分かち合っただけのように感じました。自分の「復讐の仕方の正しさ」を修正したと。自分だけで復讐するより、復讐すべき他の人にも復讐する権利がある、そこは分かち合おうというような。より先生に与えるダメージを増幅させる、とまでは感じませんでしたが…。指を切っても詫びにはならない。そこはクムジャさんが先生に正しく念入りに復讐するためにどうしても必要な自分のためのプロセスだったように感じました。クムジャさんからは他の人を巻き込んだ責任をとるような姿勢は感じられないので。[DVD(字幕)] 6点(2015-06-25 16:14:28)《改行有》 33. 復讐者に憐れみを 《ネタバレ》 最後の4人は誰なんだ!こればかり気になってペデュナの裸が吹き飛んだー!誰かなんとかしてくれい![DVD(字幕)] 7点(2015-06-22 14:56:53) 34. カエル少年失踪殺人事件 《ネタバレ》 まず二つ。 一つ目に、この映画はとても誠実に作られた見応えのある韓国サスペンスドラマである。 二つ目に、実際にあった未解決事件を元に非常によく料理してある映画である。 1991年3月。5人の少年が、カエルをとりにいくと言い残し自宅近くの山で失踪する。のべ30万人もの警察官が動員されたにもかかわらず少年たちの行方は不明。 ここに絡む男が3人。一人は捏造をいとも思わぬ野心家のTVディレクター。一人は地位も信頼もある大学教授。一人は粗野ながらも筋の通していく警察官。 そして絡まれるのは。被害少年の家族たちと、追うべき追いこむべき謎の犯人像。 未解決事件を扱った映画にはディスアドバンテージがある。犯人逮捕という手品でいうところの種明かしができないという点だ。これらの映画はそれぞれに工夫して映画として成立させるためのオチや見どころを作る。たとえばゾディアックや殺人の追憶など。 本映画もドラマ性やサスペンス性にあふれ、登場人物の心情を描き切る。ドキドキすらする。 韓国未解決事件三大映画の一つ。他の作品に劣らないパンチのきいた快作。[DVD(字幕)] 8点(2015-06-01 09:20:34)《改行有》 35. 悪魔は誰だ 《ネタバレ》 良い作品です。どの主要登場人物も心に闇を抱えています。というか抱えます。バッドエンドとは決して言えませんが、テーマの重さが作品を貫いています。サスペンス映画特有の先の読めなさは見事。脚本と演出グッド。犯人と思われし人物を追うシーンでは手持ちカメラと定点カメラの併用で緊張感が増します。象徴的なカットや印象的なカットも短めにスッと挿入されていて作品に集中できます。多少強引な展開はどの映画も同じだろうと思うと全く気になりません。韓国のサスペンス映画やバイオレンス映画はかなり好きですが、その中でも控えめ。特に怒鳴り・泣き叫びは必要最小限にとどまっているのも好感が持てます。 もちろん、アッというようなラストが待っていますが、その種明かしが終わっても作品の魅力は消えません。増すぐらいです。ドラマは続きます。 是非ご鑑賞を。[DVD(字幕)] 7点(2015-04-08 18:21:26)(良:1票) 《改行有》
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