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1. おばあちゃんの家
小さい頃、この作品の子供のようなガキだった私にとっては、他人事とは思えない話でした。異なるのは、おばあさんがこんなに優しく穏やかな人では無かったこと。だから少しうらやましく思ってしまいました。おばあさんと孫の交流もさることながら、田舎の人々と都会の人々とのギャップや、いかにも自分のことで精一杯というダメ女と、ほったらかしにされて金や物だけ与えられて育った孤独なひねた子供、という現代に見られる病巣のようなものも垣間見えました。頭がスッキリしてしまうほど泣きましたが、ただ泣かすだけの映画ではないです。ちなみにメイキングではおばあちゃんがごく普通にしゃべっていて、拍子抜けして笑ってしまいました。9点(2004-11-20 03:25:35)
2. 春の日は過ぎゆく
《ネタバレ》 この映画はずるい女の逃避が主題だと思う。心の深い部分でつながっていた(多分)、夫と離婚し、それでも平気だと思って次の恋愛へ。軽い気持ちで「一緒のお墓に入れたらいいね」などと甘えたりしてみたものの、いざ現実に結婚の気配がすると過去の失敗という恐れが顔を出す。結果、表面的なスカした男との浅い楽しい付き合いに逃げる。別れ話を切り出した時「僕を愛してる?」と男に聞かれて「愛してない」とはっきり言えない。言えるわけがない。終盤、腕を払って花を返すシーンは、男が成長したのではなくやせ我慢で拒絶した感じで、そこがまたいい。多分あの女性は人生において幸せになることを放棄してしまったのだろう。ラストの、男の幸せそうな顔に救われる。10点(2004-05-23 01:12:18)
3. ラスト・プレゼント
不器用を通り越してほとんど屈折した夫婦の伝わらない愛情表現が素晴らしい。多分、伝わらないままだったと思う。それでもお互いに持ってた感情は間違いなく本物で、また伝わらなくてもそれはそれでいいのだとも思う。あと、とても好きなシーンは詐欺師コンビのねぐらが貧乏だと描くシーン。あの1シーンで、今回だけ2人がいい人になるんじゃなくて、貧乏=普段からプロの詐欺師になりきれない人の良さがあるから、という説得力につながる。こういう細かいところをきっちり詰めてくれる映画は大好きだ。8点(2004-05-13 01:08:15)
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