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【製作国 : 韓国 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  達磨はなぜ東へ行ったのか 渋い題材を、渋い顔した人たちで、渋く描いている。深く深く沈んでいこうという意志。タルコフスキー的なものを予想してたんだけど、違った。タルコはかなり自分の世界を作っていく方なのに対して、こちらは自然をそのまま切り取ることことをルールとしてるみたい。タルコだと、水の中に壊れた自転車を置いといたりするけど、この人はしない。老師の灰を撒く水面は、枯葉が彩りを添えるだけ。自然物だけの、手を加えない美しさ。与えられただけの美しさ。西洋と東洋の感性の違いでしょうか。鳥は「畏れ」、牛は「平穏」の象徴か、なんて考えちゃうのも西洋的かなあ。老師を荼毘に付すときの鳥の鳴き声の効果が素晴らしい。そして牛に引かれてもとの寺に戻っていく。別に「禅とは何ぞや」という映画ではなく、「禅のある風景」と思えばいいんでしょ。夏から冬への森のたたずまい。夏の夜の虫の声、秋の枯れ枝のシルエット、といった味わい。少年が漂いだす瞬間は息を呑みます。無責任な西洋観光客の気分で、「う~んZENだ」などと禅を齧った気分になるのが一番いい鑑賞法かも。[映画館(字幕)] 8点(2013-07-24 09:54:11)

2.  風の丘を越えて~西便制 《ネタバレ》 典型的な芸道ものなんだけど、新鮮に感じた。神話的な旅芸人を、素直に現実の中にはめ込んでいる。一族だけの至福感は、もう田舎道をやってくる長回しのシーンで満ちている。ここは本当に神話から抜け出してきたような雰囲気がある。一族の宴。けっきょくこれが彼らが一緒にいられた最後の時になるわけだけれども。このあとは、歌ってるとベサメムーチョの楽隊に音は消されていく。没落感覚。薬のPRしたり、お酌させられたり、兄弟弟子は麻薬に溺れていく。美しい文字絵も流行らなくなる。映画はただただ滅びる側に寄り添って、現実の中に埋没していく神話を記録していく。で失明。彼女が盲目になってからの風景描写は一段と凄味を増し、「蕭条」と言うんですか、芸の奥の世界へ分け入っていく感じ。現実の中から神話が蘇ってくる。そして更なる伝承を思わせる旅立ちのラスト。いつもは「湿っぽい」というのは、映画の感想としては否定的に使っていたものだが、これなんか実に「上品に湿っぽい」。どんな方向にも洗練されれば感動があるのだ。[映画館(字幕)] 8点(2010-07-06 12:10:24)(良:1票)

3.  シークレット・サンシャイン 《ネタバレ》 周囲に構えて生きているヒロイン、母一人子一人で頑張らなくちゃならない、といつも自分に言い聞かせているようなところがあり、変な人なのよ、という陰口も彼女をさらに固める。彼女を支えているのは、何かに“当てつける”情動。そもそも死んだ夫の田舎に越してきたのだって、自分の家族への当てつけのようでもあり、また浮気をしていた夫への当てつけもあるかも知れない。外部に対してそのようにピリピリに張りつめている彼女の息子がさらわれる。誘拐犯の電話の声を聞かせない演出が、かえって臨場感を高めた。これがドラマの芯かと思っていたら事件はあっさり閉じられ、そこから本当のドラマが始まった。彼女は葬儀でも泣かない、死亡届も出し、しかしそこで心が崩折れるように、教会を訪れ号泣する、彼女が初めて鎧を脱いだように。教会の仲間とのどことなく浮わついた陽気さの描写がうまい。おそらく多くの信者は、こういう会合での仲間意識のなかで安らぎを得ていくのだろうが、彼女は仲間とは偽の陽気さで交際するだけで、神と真面目に向かい合ってしまう。だから、自分より先に犯人を許していた神に、裏切られたというショックを受ける。神を信じなくなるのではなく、神に当てつけようとする。神への復讐が始まる。かつて号泣した教会で今度は机をバンバン叩く。嫌がらせの数々、そして天に当てつけるように、手首を切る。これは死ぬのが目的なのではなく、当てつけるのが目的だったので、「助けてください」と初めて外の人に援助を求めることになるわけだ。だからこのシーンは二重に痛々しい。神への憎しみという最後の突っかい棒も失ってしまうのだから。市井の一女性を追いながら、この映画は魂の広大なオデュッセイを描いた。周囲に警戒し過ぎる彼女はただの変わり者だろうか、何かに当てつけたいという情動は甘えだろうか。私はそうは思わなかった。現代に生きる者は、多かれ少なかれ彼女と無縁ではいられないように思った。すごく厳しい張りつめた映画で、唯一ソン・ガンホの出るシーンがホッとさせ、牢獄の誘拐犯の“聖なるものに囚われた悪”と対比された“俗なるものに馴染んだ善”の優位を感じさせた。[DVD(字幕)] 8点(2009-03-10 12:17:42)(良:2票)

4.  ペパーミント・キャンディー 「前向きに生きよう」なんて言葉を気安く使うな、という凄味がこの映画にはある。なにしろ「後ろ向き」が中心モチーフだ。「後ろ=過去」の復権、「後ろ」の重さ、「後ろ」の開き直り。20年をさかのぼっていく旅は、そりゃ暗い。最後に光州事件に至る韓国の現代史だもん。過去へ過去へとさかのぼった記憶の旅は、最後に一個のペパーミントキャンディーに結晶する、「人生は美しい」って。だからドラマの伏線も普通の因果関係ではなく、まず「果」が現われてから、「因」に至っていくわけ。これじゃ、何もかももう取り返しがつかないわけだ。過去のどこにも選択の間違い(あるいは選択の余地)はなく、すべてはゆっくり損なわれるように決定されていた、ってことを確認するための遡行。敗北主義とか、自己憐憫なんて言葉も浮かぶが、でも人生って、自己憐憫には値するのではないか。[映画館(字幕)] 8点(2008-09-03 12:11:26)

5.  スプリング・イン・ホームタウン 韓国の『非情城市』って感じ。民族にとっての悪い時代を可能な限り美しく描こうとする映画。ロング主体の非説明的映画なので、たぶん読み取れていないところも多いだろうが。米軍の洗濯物を引き受け羽振りが良くなっていく主人公の家。洗うこと、洗っても消えない汚れのことがテーマとなっていく。父さんが朝鮮戦争の戦況を気にしていたのは、米軍の撤退を気にしていたからで、自民族が殺し合っている悲劇には無関心だった。父さんの赤ペンキの汚れはけっして消えない。消えない記憶の汚れは焼かなければならない。歴史とは、こういう洗い落とせない汚れが堆積したものなのだろう。少年の目を通過することによって、特定の時代の悲しみが人の世の哀しみにまで普遍化された。もっぱら夏の映画なのにこの題は、あの困難の時期が民族にとっての春であってほしいという願いか、それとも皮肉か。[映画館(字幕)] 8点(2008-08-28 10:59:55)

6.  母なる証明 《ネタバレ》 母の周囲は克明に描かれる、それ以外は曖昧渾沌。その曖昧渾沌に対して母は挑戦し、ある種の充実に包まれる。探偵の興奮、忍び込みの冒険、発見と推理、この充実の果てにたどり着いた野が映画の冒頭シーンだ。この映画驚かすところは多々あるが(被害者の奇妙な姿勢、不意の鼻血、話の思わぬ展開…)、この冒頭はかなりびっくりした。普通の実写シーンの背後に音楽が聞こえてきて、それに合わせて踊り出す、ってのは、ミュージカル映画でダンスに入る瞬間のスリルそのもので、日常から非日常へのジャンプするあの興奮がこう使われ得るとは思わなかった。ミュージカルでは平凡な日常から、たとえば恋を歌い上げる非日常へとジャンプするわけだが、ここでは探偵の充実した時間から、非日常へジャンプした空虚を描いていたと後で分かる。母と子と立場が逆転してしまい、あの充実が抜け落ちていく、「しっかりしなきゃ」という心構えが必要なくなってしまう。そして罪の重さだけがのしかかってくる。あのラスト(併走する車から撮影し続けたのか)、本当に達成できるのかどうか定かでない忘却へ向かって、非日常を疾走するダンスで締められると、なんか物語としてはスッキリできなくとも、映画としてはきれいに決まったな、と得心させられてしまった。被害者を街から丸見えの場所に置いたんだよ、と悪友が推理するあたり、そういう方向(社会の悪意)に話が収斂していくのかと思ったのだが、そうでもなかったみたい。あの夜景のカットはかなりゾクゾクしたんだけど。[DVD(字幕)] 7点(2010-07-30 10:14:41)

7.  八月のクリスマス(1998) いわゆる難病ものではなく、病状でドラマを動かしてはいない。そもそも病名すら与えられてなく、特殊な悲しみにならなくしてある。焦点は死の準備のほうだ。主人公は去る者として社会を眺めてるんだけど、それが無責任になるわけでもなく、写真師として記憶の記録係を粛々とこなしながら、去った後の準備を進めている。その人生との距離感がいつも主人公をニコニコさせているのだろうか。老父にビデオの要領を教えるところが泣かせた(リメイクした日本版ではDVDになってた)。あとは野となれ山となれ、でなく、たつ鳥あとを濁さず、のほう。娘の、年上の“おじさん”に対する興味・からかいが恋に移ろっていく感じがなかなかよく、主人公も、禁じられた恋なんだ、と歯を食いしばるのではなく、人生への感謝になっていく。そう、これは人生への感謝を描いた映画。[映画館(字幕)] 7点(2008-11-23 12:41:59)(良:1票)

8.  シュリ けっきょくこういう映画が作られるようになったということは、韓国でも南北分断の悲劇がもう生々しいものでなくなってきた、ってことでもあるか。娯楽映画として楽しめちゃう。町の男が実は情報部員、その恋人が実は北の潜入暗殺者、って、なんか市井の隣人が実は歴史上の大人物っていう歌舞伎の世界みたい。しかしまったく借り物のテーマってほどには歴史になりきってなくて、そこは不真面目には扱えない重みもある。そこらへんがうまく釣り合ったのではないか。「北の兄弟が飢えているとき、南はゲロ吐くほど飲み食いしてる」なんて北の人物に言わせている。愛しつつも敵になる、と民族愛を恋愛に変換しているのだ。[映画館(字幕)] 7点(2008-10-16 12:11:21)(良:1票)

9.  JSA こういうことがあってほしいという願いが、凝り固まって一瞬のおとぎ話を生み出したような。満月の空に手紙を投げ、三ヶ月の空を返ってくるなんてあたり。民族分断の悲劇ではあるけれど、それが「引き裂かれた肉親の慟哭」といった激情を通してでなく、こういったささやかな宴の場が奪われているってことで描かれる。それだけに「けっきょくは敵なんだ」という言葉が悲痛。終わりのほうは何かごちゃごちゃして、理解しそこなったところがあるかも知れないが、個人に覆いかぶさる国家の重さは体感できた。[映画館(字幕)] 7点(2008-08-05 13:43:36)(良:1票)

10.  オアシス ソル・ギョングを強烈に印象づけた一本だった。これ本当に『ペパーミント・キャンディ』の人? と疑ったもんね。インテリの苦悩という純文学的主人公をじっとり演じたあの人が、強姦未遂の前科持ちという大衆文学の脇役的人物を、本当にそれらしく演じる。こういうのいるよ。へらへら笑ってて、洟を始終すすってて、なんか落ち着きがなくて、映画で似たのと言えばパゾリーニ映画の常連だったニネット・ダボリをちょっと思い出す。でもニネット・ダボリはおそらくインテリの苦悩は演じられない。恐るべき俳優だ。疎外されたもの同士のいたわりあい、というと、日本だともっと弱者性が前に出て、見物するには心地よい悲劇の舞台を作ってしまうのだけど、この映画はこっちを挑発してくる。この主演二人の凄味が大きい。[映画館(字幕)] 7点(2008-05-05 12:20:54)

11.  ほえる犬は噛まない 全体的に情の濃い国でも、こういう乾いたコメディが作られるんだなあ、と思ったものでした。小市民コメディであって、それでいて登場人物が少しずつ極端というか妙。リズム感がいい。なんかチリチリしていた60年代の市川崑を思い出す。アパートの犬を殺してまわるやや神経衰弱的男は絶対川口浩だな。え、するとペ・ドゥナは野添ひとみ? 文具店の友だちは倉田マユミ。バアさんが北林谷栄で、警備員が浜村純で、妻は岸田今日子?[映画館(字幕)] 7点(2008-05-04 12:18:52)

12.  グエムル/漢江の怪物 《ネタバレ》 ゴジラは戦争の不安が凝り固まって生まれたものだったが、これは何かというと、都会の通り魔だね。人々が襲われているのを、バス(?)の車内からおばさんが見下ろしてるカットが変にリアル。これって安全地帯から通り魔を目撃してる目でしょ。最初のほうで、橋からの飛び込み男が怪物を目にするエピソードがあったけど、アメリカ軍のクロロホルムより、ああいう自殺者の世間に対する怨念を食って怪物は成長したんじゃないか。だから休日の河原で屈託なく楽しんでる人々を見ると、ついムシャクシャして。だもんでこれ、ゴジラのような国民共有の災厄にはならないで、被害者の家族の物語になってしまうんだ。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-23 12:28:26)(良:1票)

13.  子猫をお願い インチョンが舞台。海があり、カキ採りがあり、外国の船員がいて、ソウルに近い微妙な距離。その地方都市の雰囲気が良く生かされている。いいとこに勤めてるけど高卒のつらさを味わってるの。ぼーっとタバコを吸ってるの(ペ・ドゥナ)。いかにもいそうな固い子、などなど。次第に下がって膨らんでいる天井の下で暮らしている圧迫感。迷路のような道の果てにある。青春の終わりを描いていて秀逸。はしゃいでもすきま風が吹き抜けていく感じ。携帯でも「あんたの知らない友だちといるの」とか。親が離婚するとこもあれば、家族で食事に行ってうんざりするとこもある。はしゃぐ親父、けちな親父。なんら目新しいことは描かれていないが、土地の雰囲気がきれいに包み込んで統一感を出している。メールの文字がバスの窓に現われたり、ビルの壁面に電光文字で現われたり。[DVD(字幕)] 6点(2014-03-03 09:56:08)

14.  箪笥 ゆったりとしたペースが心地よい。おどかしに新手はないが、やってることは正しい。姉妹は髪の毛の長さでのみ見分けていたので、暗がりになると判断不能になった。だからドラマとして理解してはいない。再見すれば発見することもあっただろが、ホラーだと「一つ一つの怖がらせ」を味わえればそれでいいと思ってしまう口なので。だから継母と妹(?)が重なるようなイメージが、よく分からなかった。妹の死に対する責任感の妄想? 洋風の家であった。韓国風の家じゃだめなのか。東洋的な味わいのほうが合う世界の気がしたが。お父さんはほとんど大杉漣だった。[DVD(字幕)] 6点(2014-02-27 09:37:10)

15.  春夏秋冬そして春 西洋のイメージした東洋を見ている気がずっとした。老師の感じなんかスターウォーズみたいだし、池の中の浮き堂も美しいんだけど、西洋の視線を経由してるように感じちゃう。季節ごとに若者の設定が替わるの。罪を越えて次の世代の老師になる。それらを仏が高みから見てござる、って感じ。猫の尻尾で般若心経を書いたり、どうも禅的なハッタリにすべて感じられ、まあ禅と言うものが、大部分そういうハッタリの世界なのかもしれないが、他者の思惑を意識しすぎた精神性って、やでしょ。こちらが必要以上に拒否反応起こしてる気もするけど、せっかく画は美しいんだから、それを素直に愛で られるストーリーだったら良かったのに。むかし韓国で作られた『達磨はなぜ東へ行ったのか』なんてのは、素直だったよ。[DVD(字幕)] 6点(2014-02-22 09:48:46)

16.  大統領の理髪師 これ昔の邦画だったらフランキー堺の役だなあ、と思い、今だったら、とあれこれ考えたが出て来なかった。こういうタイプの役者がいなくなったというより、そういう役柄がなくなっていたのか。善良だがしたたかな「庶民」。今の邦画には「庶民一般」が登場しなくなったのかもしれない。花札をやってる場があり、悪しき日帝時代の記憶、というふうに受け取る場面なのかも。責任がかかってくるのが恐ろしく、子どもですら拷問に掛けていく体制。飲み込んだカプセルを排泄するのと、エンコした大統領葬儀車が重なる。次の大統領全斗カンの禿頭が最後のギャグになる。全体に黄色味がかったトーン。[DVD(字幕)] 6点(2014-02-14 09:55:27)

17.  オールド・ボーイ(2003) 《ネタバレ》 壮大な復讐。オ・デスは口数が多すぎるんです、という罪か。15年の監禁が復讐だったのではなく、解放の後に復讐が仕組まれてるの。アルバムをめくっていくときのサスペンス。口数が多すぎた罪の罰として、己れの舌を切り取る。復讐者のユ・ジテののっぺり顔が怖い。復讐の正体が映画のキモのすべてで、このねちっこさをすごいと褒め称えるか、きもちわる~いと顔をそらすか、微妙なところだが、こういう遠大な計画そのものの迫力ってのはあるわな。それが善きことであれ悪しきことであれ、真剣なことであれつまらないことであれ、途中で挫けずにやり通していたってことの凄味。けっきょくそこがこの映画の・この犯罪のキモ。[DVD(字幕)] 6点(2014-02-12 10:14:25)

18.  親切なクムジャさん 個人による復讐劇は美しいのに、集団による復讐劇はなぜ気色悪いのか。なにやら儀式性が出てくるからか。なぜ儀式は気色悪いのか、ってな脇の問題に途中で頭が行ってしまった。仁侠映画の美しさはある程度儀式性から来てはいなかったか、とか、集団復讐劇の元締めである忠臣蔵の事件そのものはただただおぞましいと思うのに、そこから派生した芝居や映画はそうでもないのは何で? とさらに脇道にとめどなく進んでしまい、そのことを脳内にメモして気を取り直したが、気分は戻りきらなかったかもしれない。申し訳ない。この監督横移動で捉えるシーンが好きなよう。なにやら遠大な計画が進行している気配が漂っている前半がいい。ラストのほうはよく分からなかったけど、青年見ると死んだ犠牲者思い出してしまい恋になれないってことなのか? 音楽はバロック調。[DVD(字幕)] 6点(2013-09-25 10:11:21)

19.  春が来れば 日本で公開される韓国映画は都市部のが多く(単に私がそういうのしか見てなかったのかもしれないが)、これは炭坑の町、韓国の田舎の空気を味わえたのが一番の味。眼病が流行ってるの。あれは炭坑ゆえの地域病なのか。といって公害告発には進まない。最後に主人公の音楽講師も眼帯をして、町に溶け込んだことを示す。世話焼きの母親もいい。あくまで比重は主人公の大人であり、生徒は脇。親の理解を取り付けるときにふさわしいのは「威風堂々」。あの曲のように至って正攻法のドラマで、その正攻法ぶりが心地よかった。(今思い出したが最近の『昼間から呑む』ってのも地方色を味わえる韓国映画だった)[DVD(字幕)] 6点(2013-09-20 10:20:53)

20.  昼間から呑む 《ネタバレ》 豪放磊落なヒゲ面の漁師がこの世を謳歌するような題で、「なんか文句あるかっ」と凄んでるみたいな迫力があるが、そういう人生を励ましてくれる映画ではなく、「NOと言えない若者」のトホホコメディだった。それも人生、これも人生。呑んだ勢いでの友だち間の約束を、彼だけ守ってひなびた・寒い・虎が出る地方のペンションを訪れた主人公の苦難の旅路。市が立つ、と言っていたのは昨日のことだった。出会う人々につつがなく対応しようとして、窮地におちいり続ける。自分が年上だったらおだてられ、自分が年下だったら焼酎を呑まされ、儒教の国もつらい。韓国の地方の風物、小さな「なんでも屋」のおばさんなぞ実感ある。すけべ心というか、恋愛願望だけは挫けないのが若者の特権、いう話。ラストが秀逸。後半ちょっと分からなかったところがあり(公衆電話の外での財布回収?)、物語として何か理解し損なってるんだが、コメディとしてのノリは掴めたつもり。悪くない。[DVD(字幕)] 6点(2013-02-14 09:47:32)

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