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1. 明日の記憶
《ネタバレ》 予備知識なしで見ましたが、プロデュースも兼ねた渡辺謙の真剣さが伝わる力作だったと思います。何人かの方が指摘されているように、実際の病気や介護にたずさわった方から見れば、綺麗ごと過ぎるのかも知れません。私が思うに、この作品はアルツハイマー病のことをよく知らない人と、実際に病気にかかって苦しんでいる人やそれを支えている人たちの間に、位置しているのではないでしょうか。病気のことを知ってもらい、少しでも苦しんでいる人たちの助けになって欲しい、そんなメッセージが込められていると思います。
渡辺謙や製作者たちは、「映画」というやり方で、そのメッセージをなるべく多くの人に伝えるために、内容をある程度ソフトに(美化)し、またドラマティックな演出にしたのではないでしょうか。現実をそのままフィルムに収めて、ドキュメンタリー映画として上映しても、興味を持っている人たちしか見に来ない、というのが現状だと思いますから。本作は、この病気について興味を持ってない人たちに関心を持ってもらう、という役割の一端を充分担ったと思います。
映画の内容としては、やはり渡辺謙の熱演が見所だと思います。それに呼応するかのような樋口可南子の演技も力を感じるものであり、見事に夫婦として劇中に存在していたと思います。渡辺謙が奥さんに「毎日、迷惑掛けてごめん」と泣き叫ぶシーンが印象的で、心に残りました。病気になった人の苦しみを、自分なりに感じられたシーンです。
近年流行の、安直な製作姿勢で作られた「病気+恋愛+感動」ものの映画やテレビドラマの、稚拙さを浮き彫りにしたといえる一作ではないでしょうか。[DVD(邦画)] 9点(2006-12-31 22:56:53)《改行有》
2. Avalon アヴァロン
《ネタバレ》 頑張って作っているのは伝わってきますが、全体的に話が薄い感じです。30分程度の長さなら、かなり面白いと思ったはずです。106分という時間ならば、劇中の世界の状況や、ゲームの位置付け、ゲーム関係者以外の登場人物と主人公との関わり、謎の二重三重化、等といったストーリーやドラマの幅を広げる要素が必要だと思います。
また、映像のイメージ的にも、インパクトや斬新な感じが見られなかったのが残念です。
映画の軸になる「アヴァロン」というゲームですが、バーチャルな戦場でのバトル、つまり戦争ごっこというモチーフは、あまり魅力的ではない(やって見たい!と思わない)と感じました。なぜなら現実にゲームセンターで似たようなゲームを体験できるからです。360度バーチャルな3D空間での戦闘か、モニターを通してのバーチャルな3D空間かという違いも、映画として見ている分には大して変わりないという印象でした。
オンラインゲームなど、現実世界のゲームが発達している今、もっと思いきったイメージが必要なのではないでしょうか。「ハリー・ポッター」シリーズのゲームなどは、ファンタスティックな魅力にあふれていますし、「トロン」(古いですが)のバイクバトルも、インパクトはありました。
ちなみに冒頭の、爆発が平面素材だったという演出ですが、複数のプレーヤーが同時に存在するフィールドでは、立体でなくてはおかしいのでは?と思ってしまいました。
主人公の女性が、ゲームだけの生活と言うのも話の薄さ、狭さにつながっていると思います。何か目的のためにゲームで資金を稼ぐ、違法なゲームを探るためにプレイヤーになった捜査官、などといった要素があれば、ゲームに取り込まれていく演出にも面白みが出たと思います。
また、多くの方がご指摘の通り、同じカットの多用は作品を安い印象にしていると思います。
この作品を見た後に、「ダークシティ」(1997年製作)というSF映画を思い出しました。少しだけ似た印象の作品ですが、「ダークシティ」の方が、話の密度も、斬新なイメージも数段上でした。
個人的には、隠しエリアこそが現実世界だった、というオチにして欲しかったです。[DVD(吹替)] 3点(2006-12-30 01:43:15)(良:1票) 《改行有》
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