みんなのシネマレビュー |
|
【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 河内カルメン 《ネタバレ》 原作を読んだことはありませんが、この内容、文章ではこんなに楽しくできないでしょう。つまり本作には映画ならではの楽しさが詰まっているのです。野川由美子さんの魅力が十分に引出されているのはもちろんですが、例えば、露子が同性愛のモデルの先生に部屋に閉じ込められ迫られるシーンで、男が助けるためドアに体当たりしようとすると、悲鳴が聞こえドアがパッと開き、露子が何食わぬ顔して颯爽と階段を降りてくる…。この軽快さ、快活さが、本作の全てを象徴していると思います。[DVD(邦画)] 8点(2010-03-01 18:14:00) 2. 影武者 《ネタバレ》 長篠の合戦シーンで、討ち死にしていく様を一切映さずに省略するのは良いのですが、他ではあまりお目にかからない、非常に印象的な馬がのた打ち回っている悲惨な光景が、くどいくらいで冗長に感じられます。もちろん無敵の騎馬隊が敗れ、武田家の滅亡を意味し、影武者が単騎突入をかける重要なシーンであるとは思うのですが、あのシーンを長々と見せるのはどうかと思ってしまいます。 それから、細かいところで目に付くところもあります。例えば戦場で砂埃が舞い旗がこれでもかとパタパタとひらめく風の演出はとても良いのですが、そのバックの木々がぜんぜん動いていなかったり、はたまた冒頭のシーンでの燭台の影は本来なら消すべきなんじゃないかとか…なんか揚げ足取りのようですが、このスケール壮大な黒澤映画だからこそ細部が余計に気になってしまいます。 それと、やっぱりどうして役者さんだと思います。仲代さんも凄いのですがこの役には不向きに見えますし、予定では勝新だったらしいですが、それが実現していてもこの3時間にも及ぶ超大作の風向きまでは変えられなかったような気がします。それが可能だったのは三船敏郎だけだったろうと。黒澤監督作品を立て続けに見ることができる今、ミフネ不在の黒澤映画を見る度に黒澤には三船が必須だったのだとすら思えるのです(また三船も最高なのは黒澤映画においてである)。[ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-03 18:27:08)《改行有》 3. 監督・ばんざい! 後半のズッコケ劇の連発は私の笑いのツボからいくと少々くどい感じがしましたが、これはなかなかユニークな作品です。自作自演ながら、あらゆる映画監督への皮肉であり苦言であり、同時に賛辞であり憧憬なのだと思います。そして映画作りがいかに面白くて大変なことなのか、という北野監督、一流のジョーク。個人的には小津作品のマネゴトをしているところが好きです。もし幾分か才能を持って生まれ変われるとしたら私も映画監督になってみたいなぁ。ほんと〝監督ばんざい!〟な作品です。[映画館(邦画)] 7点(2007-06-12 18:17:27) 4. 風の又三郎(1940) 《ネタバレ》 割りと原作に忠実に作られているので賢治の特異な世界観を損なうことなく実写化に成功しています。原作(最も読まれているであろう新編において)と同様に本作では三郎が本当に〝風の又三郎〟なのか明示されません。風の又三郎は大人が信じないような子供社会の伝説の一種です。大人になると無理にでも論理的に説明をつけようとしてしまいますが、子供は濁りの無い目で純粋に信じることができます。そして原作にはない又三郎の鉛筆紛失事件を挿入するする事によって又三郎の存在をさらに不明瞭にしています。しかもこの事件は子供たちにとっては風の又三郎の仕業として永遠の語り草となるでしょうが、観客には妹の仕業という種明かしをしてしまっているのです。つまり観客は全ての答えを提示されたうえで判断を委ねられるのです。童心を忘れずにいられたかどうかを。様々な年代で見たいと思う作品です。 ・・・ところで年長者が年下の子の面倒を見るという分校スタンスは良いですね。一クラスにおける生徒数や教員の多忙さ、学力向上等を考えると様々な問題が生じて無理な話かもしれませんが、週一日や一日一時限だけでも学年混合のクラスがあったら失われつつある昔の大切な人間関係を取り戻せるかもしれないとさえ思わせます。教師でもあった賢治の理想の教育環境を垣間見た気がしました。 [ビデオ(邦画)] 8点(2006-08-25 18:16:41)《改行有》
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS