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プロフィール
コメント数 1252
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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41.  河内のオッサンの唄 《ネタバレ》 同年発表の同名の歌(いわゆるフォークソング)を映画化したとのことで、劇中では歌詞を台詞にした場面もある。とりあえずこれが川谷拓三氏の初主演映画ということになるらしい(いわゆるポルノ映画を除く)。場所は大阪府松原市と特定されているが、別に地元が誘致したわけでもないだろう。 前半は善良な庶民の出る下町人情物のような感じになっているが、東京の下町よりは少し気が荒いようである。祭りで盛り上がった勢いで真昼間から通りがかりの婦女を拉致する連中がいたのは治安上の問題だと思うが、こういうのは当時の現地事情の反映と思っていいのかどうか。 劇中世界では性道徳が緩いように見えていたが、しかし据え膳食わぬは男の恥などと誘いに乗ってしまうとそれだけでタガがはめられて責任取らされるらしいので注意が必要である。昔でいう“婚前交渉”と事後的にでも認定されなければ追及を免れないらしく、意外に厳格な社会的規制がかかっていたようだが、まあこれ自体は現地の習慣というより当時の全国的な社会倫理を反映したものかも知れない。ほかに劇中で明示された地域社会の掟は「博打のケジメきっちり付けるのが河内者の仁義」ということだったが、これも社会秩序の維持のためには重要な規範だろう。 終盤にかかると一転して組織暴力との闘いになるが、死んだ人間の仇という割には穏便な処置で済ませてしまい、善良な庶民の領分を踏み越えることはしていない。結局、最後の始末は官憲に任せるという趣向になっていたが、これは当時の日本にあってもまだ、お上がきっちり社会の基盤を支えてこその天下泰平だという庶民意識を反映したものかも知れない。 時代が違うということもあり、自分としては特別こういう映画に共感する素地もないわけだが、それでも結構面白く見られる娯楽映画ではあった。 なお昔の映画のため、女優では夏純子さんくらいしか知っている人がいない(さすがにミヤコ蝶々は知っているが)。夏純子さんは東京郊外の出身のはずなのでウソ河内弁だが、この人のきりっとした顔にはいつもほれぼれする。借金のカタになったとはいえ(これ自体が人権問題)劇中のオッサンにはもったいない。[DVD(邦画)] 5点(2016-02-22 19:49:54)《改行有》

42.  カフーを待ちわびて 《ネタバレ》 ヒロインは目鼻立ちがはっきりして洋風の顔に見えるが、くどさはなくて素直に美しく、またフレンドリーな表情が可愛らしい。テーマ曲PV(「もうひとつの物語」)に出ていた白い鳥の羽根のように軽やかで清潔な印象があって、主人公の青年が触れるのをためらう気持ちもわかる気がする。 こんな女性が自分から押しかけて来るのは主人公に限らず(自分を含む)しがない男の夢というか妄想だが、主人公が至って謙虚なので見ていて妬み根性も起きない。男所帯に美女ではまさに掃きだめに鶴といったところだが、その正体を知ってしまえば鶴女房の話のように、全てを失ってしまうのではないかという不安もあるだろう。こうなった事情については劇中でも一応の説明があったが、そもそもこのお話自体が鶴女房の民話を取り入れたものと思えば、少々ファンタジックな展開も一応の納得がいく。 また中盤で主人公の言った「まわりのみんなが…」は原作にはない要素だが、これを終盤でヒロインが再現したのは感動的だった。これまで自分以外の幸せを願う余裕など全くなかったヒロインが、他人に対して“カフー アラシミソーリ”の気持ちを向けることができたとき、はじめて本人にも果報がもたらされたのだと考えたい。 なお少し苦情をいえば、映画ではヒロインと母親のイメージを重ねていたように見えるので、また同じことが繰り返されるのではないかという不安感が残ってしまう。もしそうなっても主人公は、みんなが幸せならと言うのかと思うと悲しい。 さらに、エンディング後の後日談的なもの(DVDチャプター名は「その後の島」)が必要だったかどうかは微妙である。劇中の現世的な問題がそれほど簡単に解決されるわけでもないだろうし、また最後の「お帰りなさい」が本編中にある映像と全く同じに見えるので、これは主人公の夢想の世界を描いただけで、実はヒロインは帰って来ていないのではないかという疑念も生じる。原作になかったラストを追加するのはいいとしても、主人公とヒロインの再会までで止めておいた方が、かえってその後の2人の幸せが素直に信じられた気がする。 ただ最後のヒロインの笑顔は、いわばアンコールまたは最後まで見た人へのご褒美だったと考えてもいいだろう。これは何回見せられてもかまいません。[DVD(邦画)] 8点(2016-01-11 23:14:13)(良:1票) 《改行有》

43.  神さまの言うとおり 《ネタバレ》 個々のエピソードを面白く映像化するのが主眼とすれば見られなくはない。「悪の教典」よりはよほどましに見える。個人的には登場人物の心理が結果を左右する白熊が一番面白かった。ここで主人公が自分の好き嫌いを言われた反応は少し可笑しい。 登場人物についてはヒロインを含めて別にどうなろうが構わないと思うような連中ばかりだったが、唯一かわいそうだったのは一応のドラマを背負った形の高瀬翔子だった。これが終盤の年少者向け教育的メッセージにつながった形のようだが、そういう教訓的なものはあまり真面目に受け取る気にならない。 そのほか原作由来の背景設定や登場人物を意味不明なままで出すのが目障りだというのは同感である。これがないと納得しない原作ファンがいるということなのか、あるいは続編があるのか。[DVD(邦画)] 5点(2016-01-11 22:36:22)《改行有》

44.  学校の怪談 春の物の怪スペシャル〈TVM〉 《ネタバレ》 【 】内は話数、[ ]内は評点。 【OP&ED】くだらない。[2] 【一】笑いを取ろうとしているがそれほど笑えない。ラストのオチもそれほど納得できない。[3] 【二】原作が「ほんとにあった怖い話」となっており、実話(とされているもの)を脚色したということになるか。いかにも女子中高生の体験談そのままのような微妙なお話のため素直に共感できないが、同年代の女子が見れば心に染みるものがあるかも知れない。池脇千鶴が可愛らしい。[4] 【三】年代にこだわる必然性が感じられない。恐らく制作側には、この時代でなければこういう話は作れない、という信念があったのだろうが、21世紀にもなっていつまでも昔を回顧したがる世代の感傷には付き合っていられない。[2] 【四】最もホラーらしいエピソード。自分の気持ちの整理のためだけに死者を再度呪うというのは人の心の暗黒面をさらけ出したかのようで、子どもだったなどというのは全く言い訳にならないということである。その点はいいのだが、ホラーとしてそれほど面白いものではない。[4] もとのTVシリーズをよく知らないが、題名から受ける印象よりはまともに見られる内容になっている。制作側にそれなりのビッグネームが関わっているので軽く扱えない気がするが、しかし結果としてそれほど愛着のわくような内容にもなっていない。 全体の評点は個別の点数を時間で加重平均した数値(3.2)を四捨五入した。[DVD(邦画)] 3点(2015-12-31 09:31:10)《改行有》

45.  ガメラ対大魔獣ジャイガー 《ネタバレ》 前作は1969年の月面着陸だったが、今回は1970年の大阪万国博覧会ということで、高度成長期の山場を飾るイベントの一つが登場する。同時期に「ゴジラ ミニラ ガバラ…」を見たからかこの映画は見なかったが、本物の万博会場には親に連れられて行ったので実写風景は懐かしい。映画のセットにはソ連館(だけ)のミニチュアが作ってあり、敵怪獣に鼻で押されて揺れていたが、ソビエト連邦を選んだのは政治的理由というより建物の見栄えを重視したのと、実物が会場の隅にあったことが理由だろう。周辺がどれだけ破壊されても会場だけは壊すなという雰囲気だったのは、万博の成功にかけた当時の意気込みが感じられる(と言えなくもない)。 それで今回は過去映像をオープニングだけにとどめ、あとは個別場面の流用はあるが基本的には新撮の映像であり(当然だが)、都市のセットもなかなか頑張っている。怪獣同士の戦いで、ガメラが同じ攻撃を二度受けないというのは相応の賢さを表していて面白い。 また例によって小賢しく無鉄砲な子どもが勝手な大冒険をやらかしているが、今回は映画全体のテーマが“子どもの優れた点を大人も見習うべきだ”ということだったために子どもらがますます増長してしまい、大人の事情で悩みの多い万博事務局長が渋い顔をしていたのが可笑しかった。子どもらがガメラに直接助けられる場面はなく、反対に深刻な危機に陥ったガメラを救う展開になっており、子どもらの貢献度はシリーズ中最高レベルだったかも知れない。 ほか今回は大阪が舞台のためかユーモラスな場面が多く、寄生虫の映像を見せられた一同の表情と、大村崑氏がボケをかまして娘にどつかれる場面は可笑しかった。今回はこの娘(主人公の姉)の活躍度が高く、十分に画面の華になっていた気がする。 なおこの映画を見ると、当時もいろいろ問題はあったろうが、基本的には先行きが明るく感じられる良い時代だったのだろうなと想像する(自分が無責任な年齢だったからかも知れないが)。この頃になると劇中の子どもが自分の年齢に近くなって来るが、「人類の進歩と調和」を志向した時代に「次の時代を背負って立つ」と思われていた世代が今はこんな歳になって、われわれは現実に社会をよくしてきたかと思うと少々寂しいものがある。[DVD(邦画)] 5点(2015-08-29 19:52:26)《改行有》

46.  GIRL ガール(2012) 《ネタバレ》 映画の趣旨としては、要は女性としての特性を維持したまま堂々と生きていけばいい、ということかと思われる。 その具体的な中身が何かということについては、まず序盤で母から娘に受け継がれた認識自体を否定するつもりはなく、それが人生を活性化するのであれば自分の裁量の範囲でいくらでもやればいいだろうと思う。ただその際は、自己表現と同時に外部からの視点で自己検証しようとする気持ちだけは持ってもらいたいと切に願うばかりである。 また感性を売りにするのはわかるとしても、感性的に相手を取り込もうとする態度までが常に通用するとは限らない。広告代理店社員とデパート社員のエピソードでは、最後のトラブルの際に理性的な説得を試みたのがかろうじて成功し、その結果として感性面でも共感できた、というのが原作由来のオチだろうが、それがわかるようにできていたかどうか。 そもそもこの映画では女性向けに閉じられた世界を作っているようなので部外者が突っ込むのも野暮だろうが、実際のところ働く女性を現実的に励ますというよりも、観客をいい気分にさせる方が優先のように見えており、特に劇中の男連中がみなストーリーにとって都合のいい人ばかりなのはかなりファンタジックに感じられる。素直にいい話と思うのは一児の母くらいのもので、新任課長についても言いたいことは少し(かなり)ある。また原作との違いを並べ立てるのも野暮だろうが、新人社員の指導係に関してだけは、いい人そうに見えた山本さんがその後どうなったのか聞きたいところである。原作短編集ではこの話が一番笑って泣けるのだが。 そういうことで自分としては全面的に肯定するような内容では全くないが、しかし見た後の印象はそれほど悪くない。娯楽映画として単純に可笑しい場面も結構あり、また主要人物の4人以外にもいろんな女優が登場して映像的にも華やかさがある。さらにラストのナレーションで「おとぎ話は嘘じゃなくて心のギフト」とまで念を押されてしまうと、まああえて騙されるのも仕方ないかと苦笑する気分になるので、これはこれでうまく作ってあるのかも知れない。[DVD(邦画)] 4点(2015-07-18 12:34:36)《改行有》

47.  がじまる食堂の恋 《ネタバレ》 どうやら性別で観客を選ぶ映画のようである。内容としては登場人物の繊細な心理描写がなされているということらしく、日頃こういうものに親しんでいる人ならこれでいいのだろうが、自分が見る限りは面倒くさくてたまらない。嘘と秘密と不意打ちのせいですれ違うばかりで、「わかるかよ」と怒鳴って終わりにしたくなる。 また四角関係の中で恋愛関係に発展した2人以外は切り捨てられた感じになっていたが、うち男1人は自分で身を引いたのでいいとしても、謎の美女の方は完全に捨て石のようになってしまったのが哀れである(帰りの飛行機では泣きどおしで客室乗務員に呆れられただろう)。そもそもこの人は企業経営者の婚約者というにはあまりに女の子じみており、もしかすると同性の観客からは排除されることが期待されるタイプであって、最初から脱落するのが目に見えていたということか。どうも登場人物の取扱いが非情である。 そういうことで基本的には共感できない映画のはずだが、しかしラストシーンはなぜかそれなりに感動的で、そこからエンドロールにつながる流れもいい。最終的には何となく見てよかったという感慨を残したのは意外だったが、監督はもともと恋愛映画を得意とする人物とのことで、この辺はやはり上手いということなのかも知れない。 なお主演女優は、近年では「潔く柔く」(2013)で個性的な美女役だったのを見たことがあるが(過去にもっといろいろ出ていたが)、この映画ではいかにも不器用で健気で側にいてやりたいが少し面倒くさい人物像を好演していたように思われる。外見的には目が印象的なわけだが、また序盤で敬語を使うのが「かもめ食堂」(2005)の小林聡美のように聞こえたのは意識していたのかどうか。 そのほか今まさに時の人のような感じの名護市長が映っていたのは少し驚いたが、この映画自体は基地建設の是非について特に見解を示していなかったようである。当然だが。[DVD(邦画)] 6点(2015-06-21 19:20:28)(良:1票) 《改行有》

48.  かもめ食堂 《ネタバレ》 食い物には関心がないのでその点は評価対象にならないが、海苔がパリッというのは少しよかった。また舞台がフィンランドである必然性も感じられないが、主人公の話すフィンランド語が結構それらしく聞こえていたのは感心する。全編にわたって微妙な可笑しさが醸し出されているのは見ていて意外に楽しく、うち一つだけ書くと、五寸釘おばさんの泣きの場面は笑えて仕方ない。 劇中では登場人物の来歴がほとんど語られず、そのことが互いの人格を尊重し、過度の密着を避けるような雰囲気を出している。またみなそれなりの年齢ということもあって、別々に生きている人間がたまたま同じ時間と場所を共有しているだけのようにも見える。いわゆる自分探し的な観点からすれば、後から流れついた2人がここに居場所を見つけたことが重要なのだろうが、しかし主人公の「ずっと同じではいられない」という台詞には無常観も感じられる。この主人公としては束縛のない自由さをあくまで尊重する姿勢だったようだが、それでもやはりいつかは失われるこの関係をいとおしむ思いがあるのだろうし、逆にそう思えばこそ、今という時間のかけがえのなさを感じるということかも知れない。そのような時間を切り取ってみせた形の映画だったようにも思われる。 なおどうでもいいことだが、原作では五寸釘おばさんに相当する人物に藁人形の話を教えた際、「人を呪わば穴二つ」に相当する内容を同時に教えていたが、映画で知らせなかったのは不親切だ。本来は他人に見られないようにしなければならないわけだが、人口密度が低いので普通にやっても大丈夫なのだろうと思われる。[DVD(邦画)] 6点(2015-05-25 19:55:17)《改行有》

49.  壁男 《ネタバレ》 事前知識はないままで見たが、タイトル部分の空撮で、積雪のある山を越えて都市部が見えたところでいきなり札幌ということが印象づけられる。以降も冬の風景がところどころに挟まって場所感と季節感のある映画になっている。 登場人物としては特に主人公の印象が強烈だが、ヒロインも愛嬌があって色気もあり、自分もこういう人と親密になりたいものだという思いが募ってしまう(が堺雅人には勝てない)。個別の場面としては「だめだなあ」のところで、この女優らしい表情が見えるのが微妙に愛しく思われた。その他のキャストは地元起用とのことで、ちょっとクサくて見ていられない人物もいたが、中村・遠藤役の両人などはけっこう好印象だった。 ストーリーとしても特に怖がらせるでもなく淡々と話が進んでいくので落ち着いて見ていられる。結末のない孤立的なエピソードも多かったが特に気に障ることもなく、全体的な雰囲気としては非常にいい映画だった。 しかし社会批評的な部分は面倒くさい。壁が隔てることで孤立的な小世界が生じていくというのはいいとして、その場合の壁は遮断という機能を持つことになるわけだが、これとメディアを関連づける意味が正直わからない。本来のマスメディアに代わって媒介の機能を果たすのは誰もがアクセスできる情報通信ネットワークだろうが、そのような時代にあえて壁男(それなりに不便なはず)に憧れる動機などあるのかどうか。ちゃんと台詞を聞いていれば納得できるということかも知れないが、そもそも台詞の文章密度が高すぎてわかろうとする気が失われる。 また後半に入ってから“お前は誰なんだ?”という問いかけが繰り返されるのは原作由来かと思うが、これが今回のストーリーにどのようにからんでいたのかがよくわからず、終盤の展開も原作を取り入れた形らしいが唐突で意味不明になっている。若干のグロ映像も不要であり、ここまでせっかくいい雰囲気で来たのだから妙な観客サービス?なしで終わってもらいたかった。ラストの場面は原作にないので映画としては重要なのかも知れないが、ここを含めて最後はもうどうでもいい気にさせられてしまう。 そのようなことで評価が少々難しいところだが、個人的には小野真弓という人が大好きだと思える映画だった(「街の・噂・特捜隊!」が微笑ましい)のと、映像面を含めて全般的に密度の濃い映画だったので、ここは少しいい点を付けておく。[DVD(邦画)] 6点(2015-04-30 23:38:07)《改行有》

50.  風切羽~かざきりば~ 《ネタバレ》 公式サイトに経過が書かれているが、もともと後半のロードムービー部分を先に制作し、後に前半部分を追加して長編にしたとのことである。撮影自体は2012年だが、序盤で出ていた震災関連のニュースは2011年のものであり(4/17日曜日、気仙沼の朝市)、自分としては現実世界のこの時期に、春の明るい陽射しと裏腹に感じていた内心の不安を呼び覚まされる気がしたが、これは意図されたものかどうかわからない。 映画のテーマは“親に愛されない子ども”ということらしいが、劇中の出来事自体は個人的知見から想像しうる範囲に収まっていて特に目新しいものはないように見える。しかし改めてこのように見せられるとやはり心穏やかではなく、劇中の少女が弛緩したような荒んだ感じを全身で出しているのも痛々しい(4月中旬にこの格好では寒いだろう)。まるで世の中にまともな大人がいないように見えるのは同じ大人としてつらいものがあるが、逆に少女の境遇が周囲をこういう連中ばかりにしていると解すべきか。 今回の件で、この少女としても何かふっ切れたものがあったようではあるが、しかし少年と違って閉じられた円環からは抜け出せず、元の場所に回帰しただけのようにも見えている。劇中で生じた現世的トラブルは残されたままであり、携帯を使う営業からも簡単に抜け出せるのか怪しい気がするが、まあ根本的な解決は劇中人物というよりも、現実世界での対策如何によるというのが映画の趣旨だろう。 ところで主演女優に関しては、舞台挨拶で「あたし走るのが本当に下手で…」と言っていたが本当に下手である。自分としてはこの人をよく知っているわけではないが、よく知っている人が持つイメージとはかけ離れた役をやっているのは間違いない。前髪を下ろしたことでも雰囲気がかなり違っているが、特にこの人の顔で特徴的な目が、いつもと同じはずだが全く違う目のように見えており、冒頭では視点の定まらないうつろな表情がいきなり印象的だった。公式サイトを見れば、オーディション時にこの人がとりわけ努力家だったことも記されている。 そういったことから私情にはなるが、評点はこの人のために若干加点しておく。[DVD(邦画)] 7点(2015-01-02 10:25:47)(良:1票) 《改行有》

51.  学校の階段(2007) 《ネタバレ》 形の上では人格の向上を伴う感動系学園青春物の枠組みができているが、中身は苦笑なり失笑なり爆笑の連続で、どこまで真面目に作ろうとしているのかわからない。明らかに笑いを取ろうとしている箇所もあるが、シリアスな場面であっても演技あるいは演出のせいで茶番としか思われずに大笑いしてしまうところがあり、そこまで狙ってやっていたとすれば大したものである。 一方で突然PV映像のようなものが入るのは「発狂する唇」(1999)に似ているが、何となく微笑ましいので抵抗なく受け容れてしまうのは事情が異なっている。主演女優の歌も3曲入っていて、この曲自体も悪くない(特に2曲目がキュートな感じ)。主演女優のためのアイドル映画と割り切れば、それなりに楽しく見られる映画になっている。 ただしせっかく美少女が多数出ているのだから、さらにみんなを可愛く目立つように撮ってもらえばもっと楽しい映画になったはずだが、必ずしもそうでなかったのは残念なことだった。これがTVドラマなら、メンバーそれぞれに焦点を当てた回もあったりして見どころも多かっただろうが。  なお原作は読んでいないが非常に面白いのだろうと想像する。本編だけで10巻もある人気作のようで、この映画と同程度のものとは思われない。[DVD(邦画)] 5点(2014-12-28 19:23:47)《改行有》

52.  がんばっぺ フラガール! ~フクシマに生きる。彼女たちのいま~ 《ネタバレ》 先日、いわき市の人々とたまたまお会いする機会があったので書いておく。書いて何かの役に立つわけでもないが。  まず題名の印象からすると終始ダンシングチームに密着取材かと思うわけだが、実際には2011年春~秋の浜通りに生きる人々のドキュメント、といった印象が強くなっている。中で圧巻だったのは双葉町民の一時帰宅に同行して現地に行く場面であり、これは地元民の解説も付いて非常に臨場感のある映像になっている。ウシはいるわダチョウはいるわで大変だが、自宅周辺から発電所の一部が直接見えているのはさすがに慄然とした。 ただしそういったことで誰かを声高に非難するようなものではなく、また悲劇性ばかりを強調するわけでもなく、映像に出ている人々がみな穏やかに自然体で前向きなのが清々しい。ドキュメンタリーにしても意図的にそのように作ってはいるのだろうが、それでわざとらしいと思えることもなく、特に中心人物として登場するサブリーダーが おっとりした感じで気の優しい人に見えるのは心和むものがあった。  また全体構成としては、最初が全国公演で始まって、最後は2011.10.1の部分オープン時のステージショーの時点で終わっているが、これは当然ながら「フラガール」(2006)を意識していたと思われ、映画で描かれていた出発点をここでまた再現したようで、見ている側としても感無量といったところだった。このステージショーの場面を見ていると、ここまでこぎつけた関係者の尽力はもちろん、お客の方もまだ半年でよくこれだけ集まったものだと感心するが、大変な時だから歌舞音曲は停止などといわずにお客自身が楽しむことで、ダンシングチームの人々や会社にも元気になってもらうのが本当の支援ということを納得させられる。 現在でもダンサーはほとんどが地元出身者とのことで、最初から今まで地元貢献ということで一貫しているらしい。こういう困難な時期であればこそ、初心に帰って地元と共存共栄しようとする事業者がいてくれることは地元にとって何よりの財産であり、このことで個人的には いわき市というところが何とも羨ましく思われた。[DVD(邦画)] 8点(2014-10-01 23:57:34)《改行有》

53.  仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE YELLOW お宝DEエンド・パイレーツ 《ネタバレ》 最近の仮面ライダーは設定が複雑なため、突然これだけ見ても何が何だかわからないだろうと思っていたが、実際見るとお話自体はわかりやすい。劇中の嫌味な男にとっては何がお宝だったのか、というような話はベタだが嫌いでなく、映像に出る手紙の文章や文字の感じが微妙に泣けたりする。 ただし主人公がなぜか少年であり、また着ぐるみキャラ4人がバカばっかりで(全員バカでもないらしいが)ギャグを飛ばしまくるため、笑えるのはいいが対象年齢は明らかに低くなって見える。自分としてはこういうのを見るとヒロイン役について一言書かなければと思うわけだが、この映画では小学校高学年くらいに見える少女がそうだったのか。なかなか活発なお嬢ちゃんで大変結構でした。かわいいです。 そのほか大人の観点からは、母親役で出ていた人が個人的に好きな女優さんなので、こんな東映特撮などに出ていても一応ふさわしい役をやっているのは嬉しい。この人も可愛いお母さんでした。[DVD(邦画)] 6点(2014-08-04 20:05:43)《改行有》

54.  仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ 《ネタバレ》 仮面ライダーWの劇場版は「ビギンズナイト」に続いて2つ目だが、話の内容としては特別面白いというわけでもなく普通に見える。劇中世界が破滅に瀕していたようだが、そもそも一都市限定の話なのでスケール感はあまりない。さすがにアクションは派手でけっこう力が入っているように見えるが、これで現代の標準ということなのかも知れない。 また登場人物について、TV版は見ていないので劇中の照井竜と鳴海亜樹子が親密になる過程は自分的には飛んでいるが、これを見る限りほのぼのと幸せそうで結構なことである。またラストでの主人公2人のやり取りなど聞いていても、何より主要人物がみな愛すべきキャラクターだということがこのシリーズの魅力だったろうと想像する。ほか今回は敵方のオネエキャラの存在が光っていた。 ところで今回も個人的には園咲若菜という人物が目当てで見ていたわけだが、前作よりは画面に出る時間が少し長いものの、終始同じ撮影現場で変化がないので面白くない。微妙に表情をつけたりもしている(ちっ、というのもあった)が、ストーリー展開には寄与していないように見えるのは残念だった。 なお映画そのものとは無関係だが、この若菜姫のラジオ番組「園咲若菜のヒーリングプリンセス」は、現時点でもインターネットラジオのサイトが存続しており、聞けば非常に心癒されるものがある。4年も前のものということになるが、これが現在もなおこの番組のファン拡大に寄与し続けているのかも知れない。[DVD(邦画)] 5点(2014-07-24 20:24:58)《改行有》

55.  仮面ライダーディケイド 完結篇 《ネタバレ》 TV版・劇場版を全部見ている皆さんには申し訳ないが、これだけを単独で見たのでわけがわからない。わからないこと自体は問題にせず、通りすがりの部外者がたまたま見た印象として書いておく。 まず映像面では結構な迫力のある特撮になっていて見ごたえがある。またTVも同じだったのかも知れないが、妙に構図にこだわったりして異空間っぽい雰囲気を出しているのが面白い。加えてヒロインがかなりいい感じで、常に敬語なのに好感を覚えるが、微妙に距離を置いたような印象も受けるのがかえって愛しさを誘う。 しかし電波人間は、女優はかわいいのに変身後の姿があまりに昭和的なのが悲しい。また1970年代に年少だった者にとっての蜂女というものは、ショッカーの怪人なのに異性を感じてしまうという微妙な背徳感を催す存在だったのだが、この映画ではあまりにあっけらかんとしたお姉さんキャラになっているのに違和感を覚える。まあこの人は昭和の旧作というより、「炎神戦隊ゴーオンジャー<TV>」(2008)との関連で捉えるべきものだろうが。 そのほか、そもそも何でこんなところにショッカーがコミカル軍団として登場するのか意図不明だが、個人的には別にこだわりはないので、現代のファンの皆さんが納得していればそれで結構である。点数はとりあえず平均程度ということで。[DVD(邦画)] 4点(2014-07-24 20:24:50)《改行有》

56.  がんばっていきまっしょい(1998) 《ネタバレ》 この映画がいいと思う理由が自分でもよくわからないのだが、要は懐かしいということだろう。美少女系の人物でも垢抜けないように見えるのは、いかにも当時の(地方の)高校生らしい。 何ということもない高校時代の一年半でも当人にとっては結構長いわけで、春の柔らかい日差し、夏の海と島、晩秋の寒々とした艇庫、冬の街と、季節に応じて見える風景が変わっていたが、その間に登場人物の心持ちもずいぶん違ってきていたはずである。それを成長と呼ぶには大げさだが、それでも月日とともに何かが確実に変わり、その後の人生を変えていくのも間違いないことである。 映画のラストは原作の本編そのままで、何かあっけない幕切れのようでもあるが、しかし現実の人生に途中の終幕はないわけで、この後も主人公のストーリーは続いて行く。その一部を切り取っただけのものであっても、それが多くの人の思いの受け皿になりうるのであれば、それだけで価値ある映画といえるのではと思う。 ただし個人的に残念なのは、自分は劇中人物のようにバカになって一生懸命何かに取り組んだ経験がなく、何か他人の青春を眺めている気がすることである。こんな時代にもう戻れないのはもちろん、自分にとっては人生で実現できなかったこと、人生の欠落箇所を今になって指摘されたようで切ない。この映画を見て自分のことのように感じられる人々が羨ましい、というのが率直な感想だった。 以上、純粋に映画だけでなく原作の印象が混じっている気もするが、映画独自で評価できる要素としては、映像面とともに音楽の存在が大きいように感じる。 なお昔話になるが、学生時代に誰かが学内のボート競技大会(自由参加)に応募したため自分も駆り出され、全員素人ながらそこそこ練習して本番に臨んだが、一回戦で誰か(おれではない)がシートを外してしまって、そこで終わりになったのが思い出される。実際にボートを漕いだ体験は自分とこの映画をつなぐ貴重な接点になっているが、その場所は先の震災で被害に遭い、漕艇部の艇庫などはもう別の場所に移転してしまったらしい。[DVD(邦画)] 8点(2014-02-03 20:31:26)(良:1票) 《改行有》

57.  怪竜大決戦 《ネタバレ》 忍者物の時代劇という位置付けなのかも知れないが、自分としては幼少時に見た怪獣図鑑に載っていたので特撮怪獣映画の扱いとなる。着ぐるみについてはそれなりだが城のミニチュアにはなかなか力が入っており、建築物の倒壊時にはそれ自体が重量をもった木造建築が倒れる感じがうまく出ていた。また個別の場面としては、何といっても塀の上からカエルが黙って覗いていたのがいい出来である。 それから映画の前半で、関門の通過に当たって主人公の正体を隠すため、同行者が難癖つけて打擲してみせる場面はまことに古典的な趣向で時代劇らしいが、この話はすでに「義経記」に載っているので、下手をするとここの門番にもネタがばれてしまう恐れがあったわけである。 ところで唖然としたのはラストの締め方である。自雷也というキャラクターが一国の主として納まるはずがないのはその通りだろうが、それにしても統治の責任を放棄して愛人とともに去るというのは何といういい加減な筋書きであろうか。主人公を助けて死んだ親爺は、彼が近江国を正しく治めることに賭けたのではなかったのか。支配者がいなくなれば民衆はみな幸せ、という発想はあまりに安直で腰が抜けるような思いだった。 一方で登場人物としてはヒロイン役が非常に愛らしい(当時17歳くらい?)のだが、この女優のその後のイメージからすると素直に賞賛するのも憚られる。代わりに村娘を応援するかと思ったら早々に悪人に拉致されてしまい、早く助けないと手籠めにされてしまうのではと心配だったが結局ずっと放ったらかしのままだった。終盤で再登場はするものの、最後はまた放ったらかしになったのも変である。一時はダブルヒロインの重要人物にも見えていたにもかかわらず、この人はストーリー的にどういう位置付けだったのか結局よくわからない。 いずれにせよ最後に釈然としない印象を残す映画だったが、全体としてはまあ付き合い切れないというほどのものではないので、それなりの点数にはしておかなければならないという気はする。[DVD(邦画)] 4点(2014-01-06 23:46:19)《改行有》

58.  仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ! 《ネタバレ》 仮面ライダーというものを最後に見てから40年近くにもなる。2011年9月からのTV放送は見ていなかったので劇場版としてどうかという評価はできないが、とりあえず70年代と比べれば映像もアクションも派手で隔世の感があり、これでも比較的安上がりに撮ってはいるのだろうが、基礎的な技術が向上しているということを実感する。 また基本設定もかなり複雑らしく劇場版だけではほとんど理解できないが、ただし主人公が「ダチになる」ことを基本方針にしているのは大変よくわかった。口では言っていても無理と思えばサッと諦めるようなのは柔軟だが、気持ちが通じるとわかればまたいきなり本気になるらしく、その心意気は泣かせるものがある。これはなかなかいい奴だ。 この主人公が最後に「次は、おまえたち全員と友達だぜ!」と言っていたのはどういう年齢層に向けた発言なのかわからないが、自分にも言ってくれたと思えば微妙にうれしくなったりする。この男を含め全体としても陽性の雰囲気で、企画意図のとおり震災後の日本を元気にしようとする番組(映画)と感じられた。  ところでゲスト出演の女優にデカイエローの人が出ているのは劇場版としてのサービスだろうが、そのほか何気にハリケンブルーの人も最初から準レギュラーで出ていたらしい。ほか死んだ博士役の西田健氏は、自分の年代だと「帰ってきたウルトラマン」(1971-1972)の印象が強いわけだが(お元気そうで何より)、この映画としてはやはりハリケンジャーとの関係だろうか。 そのほか、40個のスイッチを同時に押すために友情出演が30人も出ており、これはTV番組の方に出ていた人々を揃えたとのことで壮観ともいえる。前作の劇場版でもこういう趣向があったようだが、どうやって(いつ)撮影したのか。[DVD(邦画)] 6点(2013-11-18 19:54:36)《改行有》

59.  蟹工船(1953) 《ネタバレ》 大貧民が革命を起こして逆転勝利、という展開を期待したくなったが、資本家のイヌを皆殺しにするどころか終わってみれば死んだのは労働者側だけだった。死んでも一矢報いてやるといったサムライ根性のない連中であり、こういうヘタレに革命など起こせないだろうと思ったが、これは多分、劇中の「監督」と同意見である。 ところでこの映画を見ていると、ロシア革命に先立って1905年に起こった戦艦ポチョムキンの反乱を思い出す(エイゼンシュテインの映画は未見)。単純に見れば、この映画の製作者は本気で革命でも扇動するつもりだったのかと疑われるのだが、その点原作の方はかえって漸進的な社会改良を目指していて穏健に感じられるのが変である。また原作の労働者は現実に学んでしたたかに生きる姿勢を見せているのに、映画では弾圧されて終わりのため、労働者は弱いという印象しか残さない(前記)のもストーリーとしてどうかと思う。映画の最後が血塗られた旭日旗だったことからしても、どうもこの映画では労働者よりも国家の暴力の方に焦点を当てていて、原作の意図そのままではないと思った方がいいらしい。反権力を声高に叫ぶ時代の先駆けということか。 なお反乱の場面で遠くに浮かぶ艦影は、実際に昭和初年に就役していた峯風改型か神風型の一等駆逐艦に見える。普通こういうのは適当にごまかすと思うのだが、事実関係については真面目に再現しようとしている映画らしく、これは製作者に敬意を表する。[DVD(邦画)] 5点(2013-11-01 23:37:08)(良:1票) 《改行有》

60.  カーテンコール(2005) 《ネタバレ》 下関市役所では個人情報を出さないのに、民団の事務所ではコピーをホイホイ提供していたのは苦笑したが、まあ民団では日頃からそういう業務が重要だということなのかも知れない。あるいは、日本人は冷淡で情が薄い、とかいう皮肉のつもりだろうか。 それで内容としては、差別だとかいうのをあまり気にしなければ普通に心温まるお話である。また途中から在日の話に移行するのも、実はそれほど不自然には思わなかった。実際こういう取材の仕事をしていれば、途中で当初想定と全く違う背景事情がわかって来て収拾に困ることもありそうだし、そのような展開をそのまま映画に取り入れたといえなくもないからである。ただ自分はあらかじめどういう映画かわかって見たわけだが、公開当時の宣伝がどうだったかは知らないので、騙された気になる人が多かったとすればそれも否定できるものではない。 一方、最終的にはどうやら父と娘の関係がテーマになっていたようだが、それと在日の話をからめる必然性はよくわからず、また登場人物の映画愛も半端な扱いで終わっていて、どうも全体として焦点が定まっていない印象が残る。 それでもまあ心温まるお話に一応なっていると思うのは、穏やかに見える人物が多いせいだろう。特に藤村志保さんが全体の印象を柔らかくしていると思えるが、個人的には夏八木勲氏が意外に温和な父親役だったのも少しほっとした。 そのほかキャストに関しては、劇中の“良江さん”や若い頃の“宮部さん”は、いくら昔の話でも化粧っ気がなさすぎに見えるのが個人的に不満で(この女優2人を見るのも目的のうち)、特に“良江さん”の方は役柄上、もっと普通にきれいな女性に見えないと困るのではないかと思う。ただ、とりあえず主演女優をゆっくり見られる映画だという点では基本的に満足だった。 なお些細なことだが、最後に父と娘が再会した場所の選定はかなりわざとらしい。これは地元の文化財(王朝時代の郷校)であり、観光資源ではあるかも知れないが、こんなところでハーモニカを吹いている者はいないだろう。それから昔の話を白黒にするというのはよくあることだが、そのせいで当時すでにカラーだった映画まで白黒に見えているのは絶対に変だ。[DVD(邦画)] 5点(2013-10-16 22:48:51)(良:1票) 《改行有》

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