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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 菊次郎の夏 《ネタバレ》 北野作品の中で最高傑作は何かと問われれば本作を選びませんが、最も気に入っている作品は何かと問われれば躊躇なしに本作を挙げます。それはひとえに菊次郎と少年の二人旅が、特に帰る前の浜辺のキャンプが、そんなに楽しい遊びをしていないにもかかわらず、終わらないでほしいと思っていた子供の頃の夏休みのような、とてつもなく幸福な空間に見えるからです。 筋書きとしては母親に会いに行くということだけしかありませんが、それでいて母親と会うこと自体は問題ではなく旅をするために設けられた理由付けに過ぎず(つまり目的は何でも良い)、旅の過程こそが重要な物語になっているのが素晴らしいところです。 井手らっきょとグレート義太夫という映画史上最も美しくない?天使を登場させる妙(背中にはしっかり羽がある)、少年役に可愛らしい子を配役し泣き顔をアップで撮ったりしないあたりにも品性の高さがうかがえます。[DVD(邦画)] 10点(2011-08-19 18:46:07)(良:2票) 《改行有》 2. Kids Return キッズ・リターン 《ネタバレ》 この痛いまでに青春を感じずにはいられない映画は、どうしたって前半の反復部分が好きですね。学校の屋上とか喫茶店とか中華屋とかカツアゲとか…繰り返しというのは青春の一つの要素だと思います。毎日毎日、同じ時刻に同じ仲間と同じ場所で同じことをする。後半、社会に飛び出し、それぞれが挫折していく姿も哀しいのですが、ほとんど反復しなくなっていくことが、より一層に青春の終り告げているようであり寂しさを感じさせます。だからこそラストの校庭がもの凄く効いていて胸にグッサリと突き刺さります。あの自転車に二人乗りなんぞはまさに青春であって、(交通法の問題とか別にして私道にしたって)大の男になってしまったらチャリンコ二人乗りはもう出来ないのです。[DVD(邦画)] 9点(2009-08-14 18:40:20)(良:4票) 3. 嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 始めはあのノリについていけないかも;と思いましたが…面白いじゃないですか~。基調は異なるもののイマジネーション溢れる世界観は『ビッグ・フィッシュ』不幸版みたいな感じです。一途な松子が転落の一途をたどるというのに、まるで次々とアトラクションに乗っているような描写が楽しい。〝人に何をされたかではなく人に何をしたか〟思えば松子は子供の頃から愛する最初の異性の対象である父親のご機嫌とり。いつも病弱な妹ばかりの父親と病院帰りに楽しい一時を過ごすというのはノーマルな話ですが、私はああいうのにめっちゃくちゃ弱いんです。結局、松子の根底にあった囚われは父親の愛情不足ですし。それでも松子を肯定的に描く事によってボロボロの人生でも何だかとっても愛しく思えてくる。それから挿入歌も素晴らしい。「feeling good」(トンボがどうのって英語の歌。大好きなんです。)も効果的。屈伸運動や睡眠薬〝ぶぁ~〟、光GENJIへのファンレターに懸賞小説でも応募するかのような原稿の束を送るとこなんか笑えます。中谷美紀さんの声も素敵。・・・ただ、敢えて苦言を呈すれば、人生の終焉を迎えた転換期だからか、さすがに中谷さんの汚い太ったおばさんに無理があるからか、まだまだ終わって欲しくないと思っていたからか、私には最後の方は着地点が分らず迷走したように感じてしまいました。少々論点がズレますが、わざわざ中学生に撲殺されることにするなんて後味が悪いですし…(原作では大学生中心だった。別に大学生なら良いと言う訳ではありませんが;)。元教師を皮肉ったのか、犯罪の低年齢化という時事問題を盛り込んだのか分りませんが、あまりに悲惨な一生をとことん面白おかしく描いたのだから最期まで一貫して楽しくして欲しかったです。う~ん、でもやっぱり面白いっ![映画館(邦画)] 8点(2006-06-19 18:23:04)(良:1票) 4. 銀河鉄道の夜(1985) 《ネタバレ》 宮沢賢治の作品を映像化するのはかなり困難だと思います。特に名作『銀河鉄道の夜』は難しい。たとえCG全盛の時代になっても『指輪物語』のように何百億かけたからといって出来る訳ではありません。(タイプの違いでありどちらが良いという事ではありませんので、あしからず。)それだけ幻想的な世界であり、それぞれが頭の中でイメージしているものが違うと思います。そんな中、本作はアニメにする事によって無理なく映像化しているのではないでしょうか。ちょっと暗くて怖い雰囲気が漂うのも賢治の世界に合っていて良いです。死者の列車や真の幸福を見つけるという内容は、真面目な仏教家であった賢治らしく彼の作品の中でも哲学的ですけれど、押し付けがましい感じはないのですんなり入れます。また人間ではなく猫にしたのも入り易かった要因だと思います。賢治の作品には擬人化された動物たちが多々登場しますから違和感がないです。ただそれだけに原作を未読の方がご覧になると、原作の主人公も猫なんだと勘違いしてしまう恐れもありますね。[ビデオ(邦画)] 8点(2006-03-07 17:56:27)(良:1票)
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