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プロフィール
コメント数 1252
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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21.  ゴジラの逆襲 《ネタバレ》 全体的に大阪と北海道の二部構成のようなのは少し変な印象がある。それ自体はいいとしても、最初に怪獣がいた場所は空撮映像からすると伊豆諸島の利島近くの鵜渡根島に見えたが(設定上は紀伊半島沖などか)、そこからわざわざ主人公の会社のある大阪に怪獣が来て、さらに支社のある北海道にまで来たのは、登場人物を怪獣が追いかけているようでかなり変だった。 また細かいことだが、料亭「弥生」での宴会の場面は必然性が弱い気がする。元同僚と主人公の顔合わせのためだとしても、主人公の婚約者が所在なさげにしているのは気の毒だと思ったが、同時開催の会社の宴会も酌婦がいたりして女性には居心地が悪そうだった。そこへ漁船沈没の急報が来ていたが、酒を飲んでしまっては飛行機を飛ばせないではないか…と思ったら結局は翌朝から出ていた。 なお大阪の警察が府警でなく市警だったのは、自衛隊を防衛隊というような架空の組織の意味かと思ったが、実際に昭和30年までは市の警察というのがあったらしい。制服に大阪市のみおつくしマークがついていた。 怪獣の出る場面では、せっかくのゴジラも前回のような得体の知れない恐ろしさが感じられず、やはり今回は怪獣バトルの方で見せる趣向だったと思うしかない。怪獣の動きが素早いのは撮影速度を間違えたからだとの話が伝わっているが、劇中の説明で「甚だ敏捷」と言っていたのとは整合しており、かえって新鮮な印象だった。日本では10年ぶりくらいの灯火管制で大都会が息をひそめたところで、夜空に照明弾が浮く映像は少し印象的だった。 怪獣映画としてはあまり取り柄もないようだが、人情ドラマの方を少し見てやるかという気にはなる。水産会社の社長が、缶詰工場を失って打ちひしがれるでもなく「必ず立ち直ってみせる」と言っていたのは頼もしい。戦後復興を担ってきた企業人はさすがと思わせる。また「花婿さん」に関してベタに泣かせようとする展開は今どきちょっとまともに受け取る気にはならなかったが、この男がプレゼントの相談をした時に、主人公の婚約者が見せた表情は非常に印象的だった。「金持ちのお嬢さん」にしても嫌味のない人物で、これから主人公とともに会社を盛り立てていってもらいたいと素直に思った。[インターネット(邦画)] 5点(2021-05-22 09:25:17)(良:1票) 《改行有》

22.  コワイ女 《ネタバレ》 題名を全体テーマにした3話オムニバスのホラーである。以下個別に書く。 【カタカタ】 バケモノの顔を見て最初はコメディかと思ったが、その後は特に笑えない。ラストは意外だったが別に驚くようなものでもない。かなり前に一度見た時のメモには「女子高生には全く見えない」と書いてあったが、そんなことを記録して何の役に立つかと今回思った。 なお個人的には中越典子さんを見ているのが好きなのでその点はよかった。色っぽい場面は特にないが脚はきれいに見えた。 【鋼】 かなり独創的。上の口と下の口という言い方があるが、下だけで上も兼ねているようなものか、または下だけあれば上など飾りですということか。中身はドロドロだとか針を飛ばして来るなど、荒唐無稽に見えても意外に現実に基づいた戯画化を意図したようでもある。 女優の菜葉菜という人の公式プロフィールでは出演作で『「鋼」ヒロイン』と紹介されているが、ヒロインであるのに最後まで顔を見せないのはひどい。と思ったら写真の顔が本人だったらしい(かわいく写っている)。下半身だけでのキャスティングでもないだろうが、かなり適役の体型であることはわかる。特に序盤で動きがかなりハードなので、こんな所から転げ落ちて本当に怪我をしたのではと心配になった。エンディングでは涼やかな衣装で踊りながら何度も回転していたが、目が回って倒れる直前でカットされているのは笑った。 【うけつぐもの】 「監修 清水崇」と出る。真面目な話なのはわかるが意味はわからない。 愛する者が自分を裏切って去ることを主人公が恐れていたのだとすれば、直前の離婚が影響していた可能性はある。また娘は対象外だった(2代続けて)ことからも、息子に対する近親愛とか小児性愛的な感情はあったかも知れない。しかしそれにしても今この段階でこういう行動に出ることに説得力がないわけだが、それを要は呪いのせいだということで正当化しているのか。オムニバスの1エピソードとして甘く見ていたので見落としがあるかも知れないが、ちょっと納得しかねる話ではあった。 なおホラーの作り方として、出来事の顛末を全部見せずに切り上げるのは嫌いでない。また主演の目黒真希という人はなかなか魅力的な女優さんだった。 以上、全体的にはそれほどでもなかったが、顔の見えない菜葉菜さんのためにもそれなりの点をつけておく。ちなみにこの人がちゃんと顔出ししている映画も見たことはある。[DVD(邦画)] 5点(2020-12-26 15:29:53)《改行有》

23.  ココダケノハナシ ~短篇.jpルーキーズ第3弾~ 《ネタバレ》 一応説明しておくと(第1、2弾のところでも書いたが)、「短篇.jp」という動画コンテンツの配信サイト(現在は停止中)が運営されていた時期に、新人監督育成の目的で製作されたのが「短篇.jpルーキーズ」である。第1弾からこの第3弾までが製作されており、それぞれDVD化もされている。 内容としては監督の違う全6話のオムニバスになっている。以下それぞれにコメント。 【ポイズンラジオ】 現実味も意外感もなく面白味もない。高山侑子という人は、この少し前の「空へ-救いの翼 RESCUE WINGS-」(2008)では23歳の3等空尉役だったが、今回は険悪な顔つきの女子高生をやっている。まだ若いのだから(当時16歳くらい)もっと普通に可愛い役をやればいいだろうと思ったがもう10年も前の話だ。 【春のシオンで】 オチが一瞬わからなかったので何十秒か考えたが、要は夢見る女子の話だったらしい。高山侑子さんは夢の中で遊ぶ天使。 【架空の恋人】 初期設定がよくわからなかったが、最終的にオチも破局感もなく混乱状態で打ち切りになったのは悪くない。主人公(演・山田キヌヲ)の哀れっぽい顔は可愛らしい。また男の彼女(黒沢美香という人らしいが舞踊家とは別人)は、顔も見えるが脚の方が印象に残る。 【美味しいコーヒー】 最後の人物がよくわからなかったが本当の住人か同類が来ただけか。勝手に話を作る男は面白かったが、このテーマを語る上での必然性があったのかはわからない。 【キッスがしたい】 高校生がバカっぽいので呆れていたら最後は切ない青春物語。というかいきなり青春期の終わり(浦島太郎か)。役者の高校生演技は良好。元女子高生はお姉さんすぎるが、これはそもそも役者の段階で年齢差がある。 【ゴメンナサイが言えなくて】 男女の考え方/感じ方の違いということだろうがあまり深みはない。こんなのに執着する男の方が感情を理性で制御できていない。 以上、よくわからないところが多いが全体的にはそれほど悪くない。がそれほど感動的でもない。一番心を動かされたのはバカ高校生の話だった。また夢見る女子にはしあわせになってもらいたい。[DVD(邦画)] 5点(2019-05-25 11:27:12)《改行有》

24.  恋とオンチの方程式 《ネタバレ》 香川県さぬき市のご当地映画である。2002年に5町が合併してできた比較的新しい市だが、その中でも旧津田町の海辺にある「津田の松原」が重要ポイント扱いになっている。また「讃岐うどんバーガー」というのも最寄りのサービスエリアで提供されているものらしい。それ以外の場所としては「志度音楽ホール」(旧志度町)というのも使っていた。 監督は香川県の銀行に勤務しながら映画を撮っている香西志帆という人で、この映画は監督第2作ということになると思うが、今回は本広克行氏(香川県丸亀市出身)が関わっているせいか、第1作よりキャストに名の知れた人が多くなっている。また前回は「脚本と監督と撮影と編集」を一人でやっていたが、今回は撮影を別人が担当している。 内容的には「コミカルでキュートなほんわかラブコメ」だそうで、少女マンガ的というかドジな主人公と男2人の三角関係の構図の中に、主人公が生来のオンチ(の前にリズムンチ)を克服する成長ドラマを加えている。男女の物理的なからみが全くない清純派ラブコメなので子どもに見せても全く支障ない。またコメディ色も強いがアホすぎて大笑いというより失笑レベルだが、失笑続きだったので全体的には結構笑ったかも知れない(音響会社の高橋という男が目立っている)。 最終的にどうなるかはほとんど想像がつくわけだが、それまでの途中経過は尋常でない。バスガイドの話かと思うと突然ご当地アイドルの話に移行するので世界観が覆ったような印象があり、また登場人物に関係するサプライズ要素が2つもあって、それで素直に驚かされるというより呆れてしまう。特に終盤は何か食い違ったような展開で、ここは大物歌手の登場をうまく取り込めていないのではという気もしたが、そのせいで最後まで予断を許さない映画だったとはいえる。ただラストの締め方だけは正直呆れた(この顔を見せて終わりなのか)。個人的には「中学三年生」(1973)というのを聞きたかったが。 そういうことで変な映画を見てしまったという思いは残ったが、娯楽と割り切ればそれほど問題ない。見どころかが何かは何とも言えないが、「キュートな」部分といえば40代(1)、30代(1)、20代(2)の女子4人によるアイドルステージということになる。吉田羊さんかわいい!とか言ってみたくなるが、本心では大塚千弘という人が一番可愛いと思った。[DVD(邦画)] 5点(2019-05-11 11:16:16)《改行有》

25.  GODZILLA 決戦機動増殖都市 《ネタバレ》 新作が公開されている時点でやっと前作を見ているのは毎度のことだが、どうせそういう周回遅れの人生だと思って納得するしかない。 前回は主人公の心意気に感じたわけだが、今回は序盤からしていきなり意気消沈させられる。2万年経って、それなりのものが出来上がっているところへ来てみなぶち壊しにするのは本当に正しいのかなどと本人が問うのでは見ている側も困ってしまう。また個人的に期待を寄せていたユウコさんについては、「教えてもらった」というところで少しキュンとして、それから夜景デートで胸をアピール(大きすぎだ)していたあたりまではいいとして、その後は私怨ならぬ嫉妬で心が揺れていたのか、ごつい宇宙人に味方した上に最後はあんな感じになってしまったのは大変遺憾である。主人公が最後まで人の情を失わなかったのはいいにしても、もう次は宗教に頼るしかないのかという敗北感が残る。 怪獣映画としてもわりと単調で、前回とのスケール差がわからないので似たようなことをやっているとしか見えず、せっかくのメカゴジラも新作の人型兵器も大して役に立っていなかった。映像面でも、終わってからもう一度見直したくなる場面がなかったのは残念だ。 まだ2作目なので次を待てということだろうが、ここまで気分が落ち込んでしまっては期待感を維持するのも難しい。期待しなければ落胆もないというのが正しいだろうが、とりあえず今回は昭和ゴジラ並みの点数まで落としておく。[ブルーレイ(邦画)] 5点(2018-11-20 19:37:49)《改行有》

26.  恋につきもの 《ネタバレ》 東京芸大大学院映像研究科の卒業制作とのことで、監督3人が同じ作家のマンガを原作にしたオムニバスになっている。以下[ ]内は点数。 「いばらのばら」 もう少しまともに作ってもらいたい。石はもっとキラキラしていなければならないだろうし紙袋も唐突で、映像に出しておきながら意味不明のまま放置というのは最悪だ。見ている間じゅう原作はどうなっているのか気になって仕方なかった。最後に出たのはサボテンの花か(題名からすると違うだろうが)。[2] 「豆腐の家」 中盤まではかなり怖かったが種明かししてから少し気が抜けた。しかし最後まで少し心に痛みが残る(やはりちゃんと食べた方がいい)。勤め先の対応が良心的なので安心したが、これで本人も若干前に進むことができたと思っていいのかどうか。なお主演女優(谷口蘭)はモデルが本業だそうだがかなりいい雰囲気で、特に泣き声が印象的だった。[6] 「恋につきもの」 心霊ラブストーリー。主演女優(趣里)は水谷豊・伊藤蘭夫妻の娘とのことで個性的な風貌に目を引かれる。この人をずっと見ていたかったが途中であまり顔が出なくなるのは残念だ(男の役者が代わる)。話としては最もストレートで娯楽性が高いが、最後の一言はわざわざ言うほどのことかという感じだった。[6] 以上、最初のだけは呆れたがほかは見られるものになっており、映画独自の雰囲気も出している。(性的な)マイノリティというところが共通のようで、その点で共感できるところはあまりないが、共感できなければ見られないということもない。なお「絶叫学級」(2013)で印象に残る松本花奈という人が出ているが、この映画ではどちらかというと普通に(普通でない)美少女に見える。そのほか最近有名な伊藤沙莉という人も出ているが役として面白くない(前記)。[DVD(邦画)] 5点(2018-08-11 17:12:38)《改行有》

27.  恋の罪 《ネタバレ》 とりあえずデリヘル事務所の顛末は単純に面白かった。派遣先での「ボケー!」の台詞も心に残る(笑った)。 ほか全体的なことに関しては、まずはいかにも頭の悪そうな人物が予定通り堕落していく話になっている。部外者としては目を逸らして見なかったことにするだけの相手であり(こっち見るな!)、おれは関係ない、で終わりである。 また途中で頭のいい人物が出て来て深淵な哲学を語りそうな雰囲気だったので、これは自分などの理解を絶した世界かと思っていたが、実際は普通の言葉でわりと簡単に説明できそうなことを難しくしただけで、結局最後は誰でも想像できる範囲に収まった感じだった。普通に生きることが難しい境遇だったとしても、そこを何とかカバーする知性をこの人物は備えていたはずで、その点で父親の行動はまだしも理性的な範囲にとどまっていたと思われるが、こういうのは性別によっても違うと言いたいのか。 以上の2人に関しては、こうなったことにもそれなりの事情があったらしく、全てが生来の体質によるものともいえないところがあるが、少なくとも次に生まれ変わった時には別の人生が期待できるわけで、その際は例えば修行して悟りを開いて仏になることを志したりするのもいいかも知れない。 そのほか警視庁の刑事には単純に失望した。劇中には全般的に変な連中が多いが、この人物は特に職業と人格の関係、また家庭環境に関する設定が支離滅裂である。またこの映画では三者三様のヘアヌードが出て、見た目でいえば胸の大きさの違いが明らかな特徴になっているが、この人物は中庸であって個性の表現にはつながっていない。別にそんな点は評価項目にならないのでどうでもいいわけだが、頭の良し悪しと胸の大きさに負の相関関係があると主張していたのであれば問題がある。多分そんなことも言ってないだろうが。 なお個人的には、この映画を見ながら大岡越前守の逸話と伝えられる「灰になるまで」の話を思い出したりしたが、それは関係ないか。何にせよあまり深入りしたくない映画だった。[DVD(邦画)] 5点(2016-10-01 13:44:24)《改行有》

28.  昆虫大戦争 《ネタバレ》 登場人物の説明によれば、劇中の「亜南群島」は「二十数年間日本の手を離れてた」とのことで、これは小笠原諸島を念頭に置いていたものと思われる。この映画の公開は1968年だが、実際に小笠原諸島は同年6月26日に日本に返還されており、劇中の黒人兵が死んだのが1968/10/19だったのをまともに受け取れば返還直後だったことになる。劇中で妙にアメリカ軍がのさばっていたのはまだ完全に影響を脱していなかったということか。そうした歴史的背景のほか、映像的にも微妙な南の島感(熱帯ではないが本土でもない)が出ており、これは撮影地が八丈島だったことによるものかも知れない。 ストーリーとしては、戦後の東西対立と日米の微妙な関係に加えて前大戦の亡霊のようなものが劇中にまとめられており、単純な二項対立の構図に終わっていないのが好印象である。その上で、昆虫の集団意思のようなものが人類に宣戦する、という大きな動きが見えて来る展開は悪くなかった。また序盤からいきなり重要人物が外人女と浮気していたり、その新妻が雇用主に乱暴されそうになったりするのはその後の月並みでない展開を期待させる。複雑そうに見えた人間関係がやがて解きほぐされていき、ラストの意外さも単なる肩透かしに終わることなく、未来にわずかな望みを託すような終幕はわりと良心的に感じられた。これ自体が面白いかどうかは別として、他の松竹特撮映画と比べると、地味ながら普通にまともな感じの映画だったのが感動的である。 ところで登場人物としては、劇中に男女の組み合わせが2つできていたが、まともな大人同士の方はいいとして若い方はいかにもバカップルに見える。誰も頼れる人がいない、というのは自分ら(特に男)のせいだろうと言いたいところだが、虫を捕る以外に生活の道がないというのも情けない話で、頼りがいのありそうな学者先生と比べるといかにも愚かな連中に見える。アメリカ軍にとっては「虫けら」同然だろうが、それでも最後に互いの愛情が本物だったのを見せたのが哀れを誘うということだろう。ここが昆虫とは違う人間の証と言いたかったのかも知れない。 新藤恵美という女優の最盛期はよく知らないが、この映画では悲しげな表情が愛らしい人だった。またキャシー・ホーランさんが今回は大活躍で、なかなか色っぽいところを見せていたのもよかった。[DVD(邦画)] 5点(2016-05-21 09:27:25)《改行有》

29.  琥珀色のキラキラ 《ネタバレ》 まずは題名が意味不明だが、たまたま主人公にとってはこの色で、この時期の記憶が色づけされて残ったのだということか。また終わり方が唐突なのも困るが、これは映画の内容がハッピーエンドとかどうとかいう小さくまとまった物語ではなく、その後も続く人生の一部を切り出しただけのものと示してみせたのかも知れない。 そういう前提でいえば、いいことばかりでもない人生の中で、いわば珠玉のように輝いている記憶をそのまま映画にしたようなものと思えばいいのだろうか。その割に最後は一言で済ませてしまっており、これは本人としてはそれなりに寂しい結果だったろうと思うが、代わりに自分が少し大人になったということかも知れない。少女の後姿は甲斐甲斐しく健気で、意外に突き抜けたような清々しい終わり方だったのはよかった。 ただし排泄物をなめてみるのが家族愛の証、ということまで主張しているとすると、さすがに自分としてはそのまま受け入れることはできない(子どもならまだしも中年男のものなど想像するのも嫌だ)。どうも観客が嫌悪を催す領域に微妙に踏み込んだ感のある映画だった。狙ってやっていたのだろうが。[DVD(邦画)] 5点(2016-04-22 23:44:22)《改行有》

30.  こっくりさん 劇場版 《ネタバレ》 アイドル主演のホラー映画など最初から全く期待していないわけだが、結果的にこの映画はそれほど悪くなかった。 特に傑出したものがあるわけでもなく題材からしてありきたりだが、落ち着いた雰囲気で一貫した不安感を出しているのが好ましく、いわば標準的というかプレーンタイプのホラー映画を見た感じだった。劇中では、何か起こりそうに見せておいて結局何も起こらない場面が多かったが、それがかえって緊張感の維持につながっている。またときどき出現するバケモノは、明るいところ(メイキング)で見ると苦笑するようなキツネ面だが、劇中では特殊効果でよく見えないようにしていたのがかえってよかった。ホラーに刺激を求める人々には受けないだろうが、安手ながらも一定水準が確保され、かつ失点がそれほど多くないのが相対的な好印象につながっている。 ただ残念だったのは最後の締め方である。世間的には都合のいい終わり方を嫌う傾向もあるだろうが、別にそれが高級なわけでもなくかえって通俗的に見える。それよりも、例えば終了間際までずっと不安感を引っ張っておいて最後だけすっきり終わる、という方が意外感もあって新鮮だったろうと思うが、まあその辺は趣味の問題だと言われればそれまでである。 ちなみにキャストについて、主演は鈴木まりやという人(当時AKB48チームB)だが個人的には知らない人である(続編もこの人が主演だが監督は違う)。また教員役の片岡明日香という人は「再現ドラマの女王」とのことだがTVを見ないので知らない。魅力的な女優だとは思うが、この人がもう少し色気を出すような形だともっとよかったかもしれない。それも趣味の問題か。[DVD(邦画)] 5点(2016-03-04 19:51:13)《改行有》

31.  こわい童謡 裏の章 《ネタバレ》 予定通り「表」の謎は解いているが、真犯人に関していえば映像的にほとんど説明済だったため意外感は全くない。一方「表」では主人公の母親が死んだ理由も示唆されているように見えたが今回は説明がなく、これは観客向けの謎解き要素として残したということなのか、あるいは単に当方の思い違いだったのか。 今回の特徴点は、「表」で心霊現象としか思われなかった事件の謎を音響のプロが合理的観点から解明していく形になっていることである。映像面でのホラー風味は維持しながらも、謎解きの面では“この世に科学で解明できないものはない”というかのような勢いが感じられたが、しかしその説明が面倒臭くて無理やり感があり、また主人公の口調が一本調子なこともあってあまり感心できるものにはなっていない。 ただし、ラストで一つだけ合理的な説明のできない問題を残して終わっていたのは実は期待通りだった。自分としては昔の特撮番組「怪奇大作戦」(1968)を思い出したが、原作・脚本・監督の人物は1967年生まれのようで、これと直接の関係があるかどうかはわからない。 なお今回の主演女優は個人的に好きなわけでもないが、この映画では普通に清楚な正統派美女に見えるので印象は悪くなかった。[DVD(邦画)] 5点(2015-04-25 19:59:11)《改行有》

32.  子猫の涙 《ネタバレ》 大阪の映画というととにかく怒鳴り散らす人物が出るとか暴力沙汰が頻発するのは呆れる(本当にそういう土地柄なら仕方ないが)。ギャグも多いのだろうが自分としては笑えるところがない。 また主人公の人生については特に積極的に肯定する気にもならず、単にこれはこういう人だと思うだけである。個人的な感覚としては、オリンピックで銀メダルを取り、その後の途中経過はいろいろあったにせよ、子息に継承したボクシングジムが現在も続いているというだけで普通人としては十分な業績と思われる。そのため本人のボクシングに対する思いがどうだったかというようなことはそれほど重大事にも思われず、葬儀の場面に至って蒸し返されても何の感慨もない。 一方で、主人公の娘は毒舌だが邪気がなくて愛嬌があり、この人が映画全体を支えているのは間違いないようだが、成人後のイメージがあまりに違っているため統一感が全くない。その他の人物も半端な感じで、実母は娘を棄てるためだけに出て来て、また継母は娘に説教するためだけに出て、それぞれの役目を果たすと用済みになって存在感を失ってしまう。猫を拾って来たのも、途中で死なせて一家を泣かすためだけのようだった。 以上、個人的には見どころがない上に、全体構成としても個別エピソード優先ということなのか、ストーリーとしてのまとまりが不足しているように感じられ、残念ながら面白いとはいえない映画だった。 なお余談として、娘の友人2人のうち1人は、後のAKB48→NMB48所属の市川美織(みおりん、レモンちゃん)という人のようで、この時点で結構な美少女に見える。もう1人が誰かも大体想像はつくが、根拠が見つからないので書かない。[DVD(邦画)] 5点(2015-02-04 22:50:34)《改行有》

33.  恋するナポリタン 〜世界で一番おいしい愛され方〜 《ネタバレ》 よくある話とはいえ、こういう荒唐無稽な設定を普通に受け入れる現代人は思考が柔軟なものだと感心する。そもそも題名からしてチープで安易だが(「恋する…」「世界で一番…」の両方)、中身の恋愛ドラマの方も納得がいくものではなく、ヒロインを幸せにするために男2人を使い捨てにしておいて、“だって死んじゃったんだからしょうがないじゃん”的に決着をつけたようなのは男の立場として悲しい。一方ではヒロインが乗り換えた先の男が、口は達者だがどことなく胡散臭い顔で素直に祝福してやる気にならないのも問題である。 ところで、自分にとっては食い物など①嫌いなもの、②まずいもの、③その他の3種類しかないので、劇中の料理がどれだけ美味そうなのかも実のところわからない。しかしこの映画では、劇中の武と瑠璃に“作る人”と“食べる人”の立場をきっちり代表させることで、人間にとっての料理(食料ではなく)の意義を端的に表現しようとしていることくらいはわかる。瑠璃が料理を食べるときのデレっとした嬉しそうな表情は中学生時代も現在も共通であり、またこの顔を見ることが武にとっても何よりの喜びだったわけで、そこには料理が仲立ちになって“作る人”と“食べる人”の両方が幸せになる関係が成り立っていたが、これは現実に料理に携わる人々の理想とするところではないかと思われる。それで成人後の武はシェフになり、また瑠璃もグルメ情報誌の編集者になったということなら、この関係が互いの資質を高め合って自己実現にもつながっていたということだろう。 味オンチの自分はそういう幸せな関係から疎外されていて不幸だとは思うものの、世の中に幸せな人が多いのはいいことだし、この映画を見て触発される人が多ければわが国の食文化の向上にもつながるのでは、と他人事ながら思わなくもない。武(佑樹)が南紀白浜の海岸で即興的に作った料理をその辺の皆さんにふるまうのを見ていると、料理人というのはみんなに幸せをふりまく人、というように感じられて、自分には利害関係がないながらも変に感動的だった。 まあ世間的にはあまり評判がよくない映画のようだが、それも料理に関わる上記の関係と恋愛感情をあえて混同させないようにしたことで、恋愛ドラマとしては捉えにくくなった面もあってのことと考えられる。そのため自分としては、まずは料理映画という面から一定の評価をしておきたい。[DVD(邦画)] 5点(2013-08-11 18:25:36)《改行有》

34.  五条霊戦記//GOJOE 《ネタバレ》 宇宙空間から見た過去の地球の映像というのは、自分の記憶ではNHK大河ドラマ「北条時宗」OPの例があるが、年代的にはこの映画が先かと思われるので、当時としては斬新な発想だったろうと想像する。子午線に沿ったグリッドパターンの都市設計が惑星表面に浮かび上がるのは、理性と意志をもった文明の存在を如実に示しているように思われる。 ただし、地面に降りて見ればあまりに草ぼうぼうで文明の実態が伴っていない。まあ大昔の京都などこんなものかも知れないと自ら納得するにしても、さすがに五条橋がこれほど辺鄙に見える場所かどうかは疑問である。またロケ地がどこかを知ったとたん、そこら中全部が岩手県にしか思えなくなるのはご愛嬌である。 内容としては義経と弁慶の話を大胆に組み替えた娯楽映画になっており、過度に期待せず気楽に見ていればそれなりに面白い。また事件後は普通に知られた歴史の流れになったのだろうから後腐れのないフィクションともいえる。しかし逆にこの事件があってもなくても平家の没落自体は変わらなかっただろうから架空の歴史モノとしては半端な気もするが、そこはまああえて突っ込むほどのことでもない。 また登場人物の背景は別にわからなくても見られるが、DVDのキャラクター解説では「平家の高官に手込めにされ…」といったことを監督本人が書いており、考証的にはどうかわからないが「白河飛礫(つぶて)」という設定は面白い。刀鍛冶の男は歴史上の有名人とは思われないが、最後は失明していた(鬼を見ると目がつぶれる、と自分で言っていた)のを見ると、その後は琵琶法師にでもなったのだろうと想像される。 なお個人的に不快な人物としては巫女(すぐ出なくなった)、水辺で自害しようとしていた男(すぐ死んだ)であり、また遮那王側の僧も途中で斬られるかと思ったのに最後まで生きていたのが残念だが、これは実在の人物だったらしいので仕方ない。ほか京劇風の剣術はどうも好ましいとは思えない。現代風の映像表現や背景音楽は別に構わないが、日本の伝統には敬意を払っていただきたい。[DVD(邦画)] 5点(2013-07-15 18:49:03)《改行有》

35.  ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 《ネタバレ》 当時わざわざ映画館に行って見たが、子ども心にやり切れない思いが残った。自分は“ゴジラのいる世界”を見に来たのであって、スクリーンにゴジラが映りさえすればいいというものではない。これでは子どもでも騙せない、というのは自分の経験で証明されている。過去映像を最大限に使う工夫なのはわかるが、そのためにシリーズ中で唯一、ゴジラが出現しないゴジラ映画になってしまっており、こんなことならガメラ映画のストレートな流用の方がまだましだろうと思える。 ただし今見てみると、荒唐無稽な怪獣場面は全て子どもの夢物語と割り切ることで、かえって普通の映画として見られるという効果もある。まず注目できるのは何と言っても昭和40年代の工業地域の景観で(川崎市か)、冒頭、やさぐれた感じの「怪獣マーチ」にも出る大気汚染は画面上でも表現されており、小学生の通学路も殺伐とした雰囲気で、廃工場の荒れた風景は初見時の記憶としても残っている。一方、劇中のTV報道に出ていた「若者の狂った行動」などは高度成長期の社会の歪みと認識されていたのだろうが、こういった時代感覚は次回作にも引き継がれているように思われる(スタッフは違うようだが)。 ところで主人公は、当時増えて来ていたと思われる「カギっ子」という設定だが、性格が「引っ込み思案」というのはカギっ子という以前に一人っ子のせいだろう。劇中のガキ大将は、いじめっ子というより仲間に入れと誘っているようにも見えて、その後の深刻ないじめ問題とはまだ無縁な時代と感じられる。終盤では、ナマの実力行使がものを言ったというよりも、主人公が少しだけワルになったことで仲間になれたことを評価したい。 ほかキャストでは、母親役の中真千子さんの出番があまりないのは少し残念だが、母親のいる部屋を独りのときより明るく見せていたのは若干印象的だった。また天本英世氏が優しい大人の役で、主人公を見る慈愛の目が他人事ながら嬉しく思われた。当時の人は殺伐とした世相と思っていたかも知れないが、こういうご近所さんが普通にいる映画ができているというのは逆に、まだまだ日本社会も捨てたものではなかったと感じさせる。[DVD(邦画)] 5点(2013-03-16 12:44:07)《改行有》

36.  コンセント 《ネタバレ》 以前、主演女優がNHKのドラマに出ていたのを見て探したのがこれで、そういう面では何かと満足のいく映画だった。結果的にかなり得した気分である。極端に個性的な風貌だが個人的に嫌いではなく、役柄にも合っている。 その役柄について、劇中では「シャーマン」と言っており、具体的にはイタコとかユタの例が挙がっていたが、しかし実際にやっていたことからすると、むかし日本にいた市井の(神社所属でない)巫女のイメージをもとに創作したのではないかと思われる。そういった前近代的なオカルト要素を現代社会にまともに位置づけようとした感じの映画であり、劇中では主人公の専攻が心理学だったことから、その関連知識で現状を自己分析していたのが面白かった。 ところで映画の最後を見ると、主人公はこの能力を使って何か起業でもするのだろうかと思うのだが、原作を読んでみると具体的な業態まで書かれており、どうもこの部分は評判が悪いらしい。確かにこれをそのまま映画に出すのがよかったとも思えないが、しかし映画の終わり方だと主人公にとって新たな世界が開けたというだけで、それが本人の天職につながることが表現されていないため、だからどうした、という感情だけが残ってしまう。これはストーリー的には難点かと思う。 ただし全体としては主演女優のほか、特に精神科の医師役の好演と映像美(後半の特殊効果を除く)が印象的であり、自分としては低い点をつける気にならない。[DVD(邦画)] 5点(2012-08-05 20:12:49)《改行有》

37.  獄門島(1977) 《ネタバレ》 ミステリーとしていいか悪いかは評価できないが、物語としては原作段階から納得できないものがあった。殺人の動機付けもそうだが、特にわざわざ見立ての手間をかけることの意義が感じられない。原作では楽屋ネタのようなことを書いて開き直っていたようだったが。 そういう原作由来の点は仕方ないとして、この映画では一部改変により動機の面で説得力を増しているといえなくはないが、四国八十八ヶ所など取ってつけた感もあり、時間的にも141分もあって最後まで見るのが正直つらくなる。最後に投身した人物が、見えない大きな力に動かされていた、と語っていたのが言い訳じみた感じに聞こえ、かえってこれは適当な翻案だと制作側も認めていたのではと思わされた。 ただ唯一、雀の五七五は極めて強引だがユニークな趣向で笑わされた。 出演者に関しては、男は見なくていいとして女優陣は多彩なようだが、個人的好みの関係もあってあまり心に残るものはない。重要人物の早苗さんという人は、原作ではあからさまに「かわいかった」と書いてあるので可愛くなければ困るわけだが、この頃の大原麗子という人は、可愛くないとは言わないがそれほどイメージ通りでもない。 また浅野ゆう子嬢は、当時の若手としては人気があったはずだが、この映画ではとんでもない役どころでかつあまり印象に残らない。この頃の姿なら同年の「惑星大戦争」(1977)、少し年増状態なら同じ監督の「八つ墓村」(1996)を見た方がいい(見なくてもいい)。ほかに坂口良子という人も出ているが、自分とは世代が違うので特に愛着を感じていないのと、劇中人物としては昭和(戦後)っぽいのであまり好きにはなれなかった。 結局、いい印象として最後に残ったのは雀の五七五だけだった。[DVD(邦画)] 4点(2019-11-23 13:58:36)《改行有》

38.  ゴジラ FINAL WARS 《ネタバレ》 ゴジラ映画に個人的なこだわりはないので多少羽目を外していても気にならないが、世評の通りアクション場面が長すぎて何の映画かわからなくなる。これでは今回独自の趣向というより異物に半分乗っ取られたようなものである。 「宇宙怪獣ガメラ」(1980)よりマシだといえば確かにそうだが、向こうでゴジラ映画を揶揄するような場面があったのに対し、この映画でもカメを貶める場面を入れていたのは同レベルに落ちた印象がある。邦画ゴジラがこれで終わりにならないで本当によかった。 以下に個別事項を列記。 【場所】 怪獣に壊される世界的名所として、アジア・太平洋地域からシドニー・オペラハウスと「東方明珠電視塔」が加わっていたのは世界観の広がりを感じさせる。パリでもゴロザウルスに壊された凱旋門ではなくデファンス地区の新凱旋門が出ていた。 【女優】 ○水野久美さんは別格。 ○水野真紀・菊川怜姉妹の美脚を披露する場面が多い。なくてはならないものとも思わないが一応のサービスとして受け取った。 ○小美人(長澤まさみ・大塚ちひろ)の顔をよく見たかったが小さいのであまり見えない。そういう目的ならこの一つ前の「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」(2003)を見なければならないらしい。 ○「女を殴るの?」と言った女は顔つきからして中国人かと思っていたが普通に日本語だった(魚谷佳苗という女優)。 【怪獣】 ○キングシーサーが沖縄を破壊していたのは悲惨だ。本来は沖縄の守り神ではなかったのか。 ○カマキラスがハエのように速い。森の木々に隠れているのも虫っぽいが、串刺しにされて死んだなど所詮は虫だと思わせる。 ○エビラをフライにするというのはジョークとしてわかりやすいが、場所が「東海コンビナート」だったことからすれば、ここは本来「エビフリャー」のつもりだったが登場人物が名古屋出身でなかったのでそうは言わなかっただけと取れる。ちなみにWikipediaの「エビフリャー」の記事は充実している(2019年6月29日閲覧)。[DVD(邦画)] 4点(2019-06-29 12:57:12)《改行有》

39.  恋谷橋 《ネタバレ》 鳥取県の三朝(みささ)温泉のご当地映画である。島根県の映画は見たことがあるが鳥取県のは初めて見た(というのは間違いで「妖怪大戦争」(2005)は見たことがある)。 題名を見ただけだと「恋空」(2007)とか「君の名は」(1953)とか演歌のカラオケ映像とかを思わせて引いてしまうが、これは現地に実際にある橋だそうで仕方ない。その恋谷橋も映っていなくはないようだが、一番出るのは主人公の実家と温泉本通りの間を結ぶ「三朝橋」で、次が足湯のある「かじか橋」なので題名とはずれがある。 映像的には結構風情があって賑わいもある温泉街のように映っており、ご当地映画らしく見所とか名物も積極的に紹介しているようだが(なぜか「ヌード」が目立つ)、足湯などはいいとして、ちょっとそこまでという感じでいきなり砂丘というのは行きすぎだったかも知れない。なお「山陰KAMIあかり」というのは隣の倉吉市で実際にやっているイベントのようで、劇中でも因州和紙というのが出ていたのでここは因幡でなく伯耆ではないかと思ったが、その点は地元でもあまりこだわりはないらしい。 物語としてはいわゆるメロドラマでもなくさらりとした感じにできており、地方の若い人々に対して一度出てからまた戻れというような、現代の情勢からしてあまり無理のない話になっている(出る気がなくても無理に出していた)。町のためにではなく「自分のために」と言っていたのも人間の行動原理の基本を押さえている。 少し気に入らなかったのは、せっかく若い連中が始めたイベントを喧嘩でぶち壊しにしてしまったことである。その後のストーリー展開につながるのはわかるにしても、見る側としては初回のイベントなので成功してもらいたい/一般のお客を落胆させたくない、という思いがあったわけで、ここは観客の気持ちを無視して制作上の都合を通してしまったように見える(一応のフォローはしていたようだが)。 もう一つ、これは絶対悪いといえるかわからないが、「河原風呂」という周囲から丸見えのような感じの露天風呂で、真昼間に女児と男児が素っ裸で入浴(混浴)している場面があり、子どもとはいえ今どきこんな撮影をしていいのかと動揺してしまって、その場面で出た開湯の由来譚が頭に入らなかった。見ている側が気にしなければそれまでだろうが。 だいたい以上のような感想だが、特に主演女優に思い入れがあるわけでもないので点数はほどほどにしておく。[DVD(邦画)] 4点(2018-08-11 17:12:36)《改行有》

40.  ゴジラVSビオランテ 《ネタバレ》 これは以前にTV放送で見たが(成人後)、湖・植物・沢口靖子しか憶えていなかったので、当時としても印象の薄い映画だったようである。最近になって若い連中(といっても30前後)が名作だと言うので改めて見たが、これは一体どこに感動すればいいのかわからない、と感想を述べたところ、思い出補正があると本人も認めていた。 今回見たところでは、変に各種要素を詰め込んだようで騒々しく落ち着きのない映画になっている。エンターテインメントとしてはこれでいいのだろうが、ビオランテの最後がファンタジー調(沢口靖子再登場!)なのは好みでなく、エンディングのバラも悪趣味に思われる。 真面目な社会批評の部分でも特に心に訴えるものがなく、単なる形式論を述べただけで終わった印象がある。ただ劇中で前提にしていた相互確証破壊による核抑止とか、国際資本の市場支配といったものはこの頃らしい話題で懐かしい気がした。遺伝子資源の争奪というのも今日的な問題として捉えられていたものか。また昭和29年の第一作の時点ではまだ日本の原子力開発が始まっていなかったわけだが、この映画では原発とゴジラの関係付けができていた(前作から?)のも時代の差を感じる。若狭の原発銀座をゴジラが襲うという展開は「天空の蜂」(2015)どころの話でないだろうが、この映画ではそれほどの緊迫感もないままで終わった。放射能(放射線)への恐怖心に関する実感のない、呑気な時代の映画だったようである。 ところで登場人物のうちでは高橋幸治氏がいかにもという感じのはまり役で、劇中では○チガイ科学者のような扱いだったが、この役者との関係で見れば全く違和感がない。この人に「もう私たちの時代じゃないのかも知れない」と言われると少し寂しいものがあった。 ほかに無関係な芸能人を出すのはふざけた感じで歓迎できないが、デーモン閣下の登場には不覚にも笑ってしまった。また斉藤由貴が大阪城ホールで声だけ出演した場面では、そういえばこの人はこういう歌を歌っていたな、と思い出したので肯定的に捉えたい。「避難してくださーい!」というのがほのぼのしていい感じだった。 [2018-02-14追記] 上記の「遺伝子資源の争奪」に関して、その後に別用で生物多様性のことを見ていたところ、この映画は生物多様性条約(1992年5月採択、1993年12月発効)の「遺伝資源の利用から生ずる利益の公正で衡平な配分」を少し先取りした形で制作されていたことがわかった。だから何だということもないが少し不勉強だった気もして反省した。[DVD(邦画)] 4点(2016-04-03 11:47:28)《改行有》

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