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プロフィール
コメント数 1252
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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21.  サイキックビジョン 邪願霊 ~狙われた美人キャスター~<OV> 《ネタバレ》 題名が長いが、本編を見ると「邪願霊」だけが本来の題名のようなのでその他は無視でいい。 内容としては極めて安手で貧乏くさく見えるビデオである。劇中アイドル歌手はいかにも昭和っぽく、題名のキャスターの服装も昔風で見ていられない(こういうのが流行っていたのは確かだが嫌いだ)。少なくとも序盤は真面目に見るのが苦痛だったが、しかし本筋に入ると少し緊迫感も出るのでそこまで耐える必要がある。突然爆発が起きたところはさすがに驚いた。 またいろいろと後世の映画で見覚えのある要素が多く、現代邦画ホラーの元祖のような扱いをされているのも納得できる。劇中の出来事を見る限りは「女優霊」(1995)の直系の祖先のようで、劇中アイドルの扱いがよく似ているように思われる。また歌が原因になっていたのは、誰も知らないだろうが「録音霊」(2001)に受け継がれた形である。映像面でも、何かがたまたま映り込むのは今となってはよくあることだが、このビデオでは初回に少し目立つようにしてわかりやすくしていたのが親切だった。ほか特に、この時期にフェイクドキュメンタリーホラーはかなり新しい試みだったのではないか。 そういう意味で、邦画ホラーのファンなら教養として見ておくのもいいかも知れない。自分はファンでも何でもないので本来見る必要はなかったが、見てしまったので一応紹介だけはしておく。 ちなみにわざわざ書くべきことかとは思うが注意事項として、この話では芸能界の闇のようなものが背景になっているようだが、このビデオが製作されたのは実在のアイドルが自殺して社会的にも大きな影響があったとされる1986年の事件のすぐ後であり、当時はまだ日本国民のかなりの部分がそのことを鮮明に記憶していたはずである。当時を知る者としてはこれと無関係に製作されたとは思えないが、しかし劇中の出来事をこの事件に過度に重ねてしまうと故人への冒涜になってしまうのでやめるべきだと書いておく。 なおエンディングの後で、特別出演の水野晴郎氏が余興的にハリウッド怪談を語っていたのはいいとして、竹中直人が無意味に出たのは不快でしかない。これが最後に悪印象を残したので、点数をさらに落とすことにする。[DVD(邦画)] 3点(2017-12-21 23:59:33)《改行有》

22.  さよならジュピター 《ネタバレ》 小説版を読んだ時は、この作家にしては随分ストレートなものを書いたなという印象だったが、小説よりも映画のプロットが先だったとすればアイデア的に凡庸なのも仕方ない。 何をやろうとしていたかは理解できるので、この映画も自分としては全否定できないが、しかし言葉で書かれたものを映像化するだけではマンガにしかならないのもわかる。全体的に登場人物が変で、特にクソ生意気なガキが終始煩わしく、地球連邦大統領の人選も適切とは思われない。最後の決め台詞から松任谷由実につながる流れなどは能天気すぎて呆れた。原作者が脚本・総監督もやっているので言い訳できないだろうが、ただ監督が、当初予定されていたという森谷司郎(「日本沈没」(1973)など)だったらどうなっていたかとは思う。一方で映像面は、海底軍艦が宇宙を飛んでいた時代と比べれば明らかにあか抜けており、メカニックデザインも「スター・ウォーズ」(1977)よりはまともな考証のもとにできているはずである(原作者が当時そのように書いていた)。間抜けなところとちゃんとしたところは一応分けて考えたい。 個別の問題として一つ書くと、地球連邦などという全人類を統治する体制ができているからには相応の強力かつ精緻な治安維持システムがあって当然であり、太陽系の危機というような状況で、どこかの南の海で環境テロリストがのうのうと暮らしているのを野放しにするなどは、いかにも平和ボケの時代の映画のようにも思われる。しかし小説版では背景の政治・社会状況が書き込まれていることで、この点についても特に不自然な感じはなくなっている。 ちなみにこの話の本来の(小説版の)テーマは、映画では主人公が過激派に説教した場面でわずかに出ていた感じだったが、ここで前提にしていた未来ビジョンが2017年の現在、素直に実現する方向になさそうなのは寂しいことである。この時期にはまだ右上がりの感覚で、そのうちいわゆる宇宙時代が到来すると思うのも自然だったろうが、今になってみれば宇宙進出など人類の主要な関心事では全くないように見える。結局は旧態依然たる個別国家の覇権拡大が動機になるのか(米ソ→中?)、あるいは宇宙ビジネスの可能性が今後どれだけ広がるかといったところか。[DVD(邦画)] 4点(2017-04-25 19:28:38)《改行有》

23.  THE3名様 スピンオフ 人生のピンチを救うパフェおやじの7つの名言<OV> 《ネタバレ》 一応説明しておくと、本来「THE3名様」とは2000年代から発表されてきているマンガ作品で、これを福田雄一監督が実写とアニメで映像化しているが、その実写版のスピンオフとして、脇役レギュラーの「パフェおやじ」に焦点を当てたのがこれである。 今回の趣向は「パフェおやじ」がたまたま近くにいた他の客の会話を聞いた上で名言を放つというもので、エピソード7つのオムニバスのようになっている。しかしその名言自体は単なる感想レベルの表層的なものでしかなく、そこに解説を付けて名言のように見せているが、それもこじつけにしか思えないものが多い。ネタバレ的に一つだけ書くと、脚本があって役者が演じているからには当方としても見た目そのままとは思っておらず、このやりとりの裏に何があるのかと思っていたところで「他に何かある」では、まるきりそのままではないかと呆れる。人生を変えるほどの発言があるとは思っていなかったが、せめてもう少し気の利いたものがあればよかったがと思う。 制作側としては主に「パフェおやじ」の動きで笑わせようとしていたらしいが、個人的にはこの監督の作る笑いに素直に乗れないことが多く、今回もそれは同様だった。ただ各エピソードに出る役者(の顔など)を見ているのは面白い。ちなみに第2話「夫婦喧嘩」に出た姉弟のうち姉役(伊藤沙莉)が、年若いのになぜか声がハスキーで迫力があると思ったら、「幕が上がる」(2015)でオヤジ声を出す部員(たかだ/高田梨奈)役と同じ人なのだった。子役時代からTVドラマなどに出ていてキャリアの長い人で、昔からこれが特徴だったということらしい。[DVD(邦画)] 3点(2017-04-10 00:03:27)《改行有》

24.  貞子vs伽椰子 《ネタバレ》 題名からすると真面目な映画にはとても思えないが、既成キャラクターをネタにした悪ふざけに終わるわけでもなく、それなりにまともな邦画ホラーになっている。ストーリー自体が旧2作のハイブリッドだが、この2系列を最終的に統合するため白石監督オリジナルの「カルト」(2013)の要素を加えており、全体としては既存のホラー映画3つを組み合わせた形に見える。今回登場のハイパー霊能者は「カルト」の登場人物そのままでもよかったのではと思うが、そうすると真面目なホラーに見えないのでまずかったのかも知れない。 最後のぶった切り方は唐突かも知れないが、「カルト」からの連想でいえばこれも予想の範囲内とはいえる(どうせこんな感じだろうとは思った)。それにしてもこういう終わり方とすれば本体部分がよほど面白くないと困るわけだが、その本体部分が他からの借り物で独自性が感じられないことが自分としては不満足につながった。ちなみに問題のビデオがあまり凝った作りでなかったのは残念である。 ところで、この映画で両者の混合物ができてしまったのは個人的に喜ぶような話ではないが、VHSの衰退によって消滅の危機にさらされていた貞子が勢いを盛り返すためには、やはり今回のようなデジタルメディア化が必要だろうとはいえる。 ただ、これは伽椰子に関しても同じだが、これまでは呪われる条件を極めて限定的にしていたことで、その条件に合致してしまえば絶対逃げられない、という過酷さが成り立ち得ていた面がある。この映画のように野放図に動画が流れてしまうと人類が滅ぶとは言わないまでも、世間の反響が大きすぎてかえって拡散が妨げられる事態に至るのではないか。細く長く続けることが大事だろうと思うが、別に続編など期待しているわけではない。 [2019/2/2追記] 伽椰子編の主人公役は玉城ティナという人だが、どうもあまり可愛く見えるところがない。少なくとも「呪怨」シリーズは出演女優を魅力的に見せるというのが特徴の一つだったはずだが、この映画がその伝統を受け継いでいるように見えないのも不満足感につながっている。貞子編の方も、主演の山本美月という人はともかく佐津川愛美さんなどひどい顔ばかりである(本人がこれでよければ構わないが)。[DVD(邦画)] 4点(2016-12-24 10:14:53)《改行有》

25.  THE MASKED GIRL 女子高生は改造人間 《ネタバレ》 45分という中途半端な長さだが、同じく女優のアクション映画「ハード・リベンジ、ミリー」(水野美紀主演、44分)と同時公開だったとのことで、2本合わせてそれなりのサイズということらしい。 中身に関しては、まずいたいけな少女を人体改造するという発想自体が気に入らない。君に×××の力を与えた、今日から君は○○○だ、と口で言えば済むものを、あえて物理的改造(手術台のようなもので白衣を着た者がする)にこだわる必要などあったのか。そういうものが好まれた時期だったのかも知れないが、史上最初の仮面ライダーの時点で、改造された人間の悲哀がにじんでいたことを知っている世代としては全く容認できない。 また変身ヒーロー物として見た場合、ラストで悪が滅ぶわけでもなく、当面の謎を残したまま次の戦いを待つ形で終わるので、要はTVシリーズの第1回に相当する内容しかないことになる。もしかするとシリーズ化を目論んでいたのかも知れないが、本物のTVシリーズなら30分番組の枠に収めるはずのものを45分もかけてやった形であるから密度は低く、これで次回に期待しようという気も起こらない。 一方アクションという点では、主要人物の女子高生役2人がけっこうハードに頑張っていたようで少し感心した。この2人は当時「美少女クラブ31」なるものに所属していてアクション志向などでは全くないだろうから、少し指導を受けただけで一応のアクションをこなすというのは基礎的な運動能力が高いのだろうと思われる。ダンスをやっているとこういう動きも無理なくできるのかと思ったりもした。 またこの女子高生役2人が期待どおりの美少女なのは大変よいことである。基本的には中村静香という人が出ているので見たわけだが、今回は主演の清水由紀という人も好印象で、劇中の事態に対する女子高生としてのリアクションが(リアルかどうかは別として)非常に可愛らしい。メイキングでは監督が、「変身ヒーロー物の作品」として作ったが、できてみると「これはアイドル映画なんだ」と思ったとのことで、それはまことに同感である。 なお変身ヒロインの名前はTHE MASKED GIRLなので仮面ガールだろうが、主人公がせっかく二輪車を愛用しているわけなので“ライダー”という言葉を使えなかったという気はする。具体的にどうすればいいかは思いつかないが。[DVD(邦画)] 2点(2016-11-24 22:22:24)《改行有》

26.  桜ノ雨 《ネタバレ》 有名かも知れないが一応説明しておくと、「桜ノ雨」とはもともと「ニコニコ動画」で初音ミクの歌う歌として発表されたもので、現在では卒業ソングとして定番化しているらしく、動画投稿サイトで検索すると各地で児童生徒が歌う動画が上がっている。その歌のイメージをもとにした小説版を原作にしたのがこの映画であり、主人公の名前「未来」は小説版に由来しているが、元は初音ミクから来たものらしい。 内容としては原曲のイメージ通り素直な気分で見られる青春ドラマになっており、人の気に障る要素をわざわざ入れたがるリアル路線の作りにはなっていない。キャラクター設定を始め人物の行動や効果音にマンガのようなところが目につくが、極端なのは前半のコメディ部分だけである。また特に先輩(部長)役がとても高校生には見えず、これはさすがにミスキャストではと思ったが、少女マンガのような先輩役をシレっと演じるにはこのくらいの役者でなければならなかったのかも知れない。 最初と最後には全ての発端になったエピソードが出ていたが、ここでの「桜の雨の中にいた」という図柄がまたいかにもマンガのようである。そこで振り向いた主人公が少し小首をかしげてみせるのもわざとらしいが、その辺はまあ微笑ましいので嫌いでない。 一方でストーリーを真面目に見た場合、合唱の世界とは縁のない自分としても納得できないものになっている。「好きな歌うたって、楽しければそれでいい」を大前提にしてしまっていたが、気に入らないものを好きになろうともしないのでは世界が広がらないだろうし、また真剣に取り組んでいれば逆に愛着がわくこともあるだろう。そういう葛藤なしで結局「桜ノ雨」が全ての解決法というのでは、いくら歌が出発点の映画にしても話が簡単すぎる。理性的観点からすれば絶賛できるお話には全くなっていないが、それでも個人的にそれほど悪い映画に思えなかったのは、やはり合唱というものが本来持つ力のせいだろうという気がする(正直泣けた)。 もう一つ、「こんなんじゃ楽しめない」という主人公の爆弾発言は容認できないが、何かベートーヴェンの交響曲第9番第4楽章の”O Freunde, nicht diese Töne!” に通じるものがあるような気がして自分としては全否定できなかった。そこまでは関係ないか。 なお映画と関係ないが、今年もNHK全国学校音楽コンクール全国大会にうちの地元の高校が出場することになっている。○高がんばれ。[DVD(邦画)] 6点(2016-09-23 19:58:12)《改行有》

27.  残穢 -住んではいけない部屋- 《ネタバレ》 原作付き映画は原作の劣化版でしかないことが多いので、映画から見てしまって損した気分になるのを防ぐため、今回は原作を先に読ませてもらった。 その後に映画を見ると意外にまともにできており、原作の基本構造を尊重しながら印象的なエピソードを残し(大家の伊藤さんなど)、原イメージを保ったままで短時間にまとめてある。導入部として短い怪談を入れたのは映画独自の構成だが、これもその後の展開からすれば効果的と思われる。老婆が一言「湧いて出る」とか、床下の顔など怖さで印象付けられる場面もあり、また緊張が高まった場面で、登場人物の何でもない発言にいちいち脅えさせるのは笑いを含んだ肝試しの臨場感があった。 ちなみに原作では実在の人物が実名で登場するため、ホラー映画でいえばフェイクドキュメンタリーのような印象があり、それが読者にとっても他人事でない雰囲気づくりにつながっていた。この映画はさすがにドキュメンタリー調にはしていないが、登場人物の平○○明とか○澤徹○とかいうネーミングには原作の名残が見られる。平○氏が羽田の大鳥居にいた意味はよくわからなかったが、これはファン向けの小ネタというつもりだったのかも知れない。 一方で肯定的になれない点として、最後は疑似ハッピーエンド風になったあたりで終わりにしておけばいいものを、その後さらに怖がらせエピソードを4つも加えていたのは呆れざるを得ない。それまでは、邦画ホラーの恒例である現場突撃を「お暇しましょう」であっさり終わらせるなど結構いい雰囲気で来ていたにもかかわらず、結局最後は見せるものを見せなければ気が済まないかのような作りには落胆させられる。 また原作では「穢れ」の残留と拡散に関して仮説のようなものを提示しており、それがいかにも自然現象的にありそうな感じで納得できるものだった。その一端は当然この映画にも出ているわけだが、しかし原作では、確定的影響でないため統計的に有意でないとかいうことで因果関係が特定できずに日常の中へ埋没していく空恐ろしさとやるせなさが感じられたのに対し、映画がこういうラストでは致死率100%の「呪怨」シリーズと同じように見えて、原作独自の趣向がぶち壊しになったように感じられる。そもそも徹底して登場人物を破滅させたがるという無駄な過酷さが大人気なく、邦画ホラーというもののどうしようもなさを感じさせる映画だった。 それでも邦画ホラーにしては悪くなかったので少しいい点をつけておく。[DVD(邦画)] 6点(2016-07-16 22:30:42)(良:1票) 《改行有》

28.  39 刑法第三十九条 《ネタバレ》 日頃アイドル映画のようなものばかり見ている立場としてはかなりまともな映画を見た気がした。全体として重厚な印象で、映像の作り方や役者の演技など、わざとらしいところ、不快なところを含めていかにも映画的に見えて感心する。ただストーリーとしては不可解・不自然な点や作り過ぎ・やりすぎの面が目立ち、激賞する気には全くならなかった。 テーマとしては題名の示すとおりだろうが、こういう問題提起はかなり以前からなされており(個人的には昭和の特撮番組「怪奇大作戦」の欠番エピソードのあたりから)、これ自体はそれほど目新しい気もしない。しかしこの映画では犬山の遺体映像や、加害者側の弁護士が業界の常識を遺族に説明してみせたあたりで、改めてこの問題の存在を強く印象づけていたようである。 ただ自分が見た限り、この映画が本当に39条の存在自体を問題視していたのか、それとも39条を悪用することの方が問題と考えていたのかよくわからなかった。わざわざ精神鑑定を持ち出した意味としては、誤審の恐れがあるので死刑は廃止という主張と同様に、精神鑑定はいい加減なので39条を廃止せよということのようにも思えるが、その割に主人公のやっていたことは、条文の正しい運用を促すために悪用を阻止してみせただけのように取れる。しかし仮に悪用の方が問題なのだとすれば、まずは犬山の事件が悪用の事例でなければならないだろうがそのようにも見えず、かえって少年法との関係で焦点がぼやけている。 さらに主人公のいう「人権」が父親の事例から導かれるとも思われず、むしろ40条(現在はすでに廃止)との関係を示唆しているかのようで混乱する。特定の結論なしに問題提起だけというつもりならこれでいいかも知れないが、単にまとまりがつかないまま拡散して終わった印象の方が強かった。 ちなみに主人公と母親のエピソードが本筋とどう関わっていたのかもよくわからない。かなり面倒くさい感じの母子関係のため、これが最後に破綻して終わりになるのではないかと危惧していたが、途中で主人公がそれらしい解決を図ったようで安心した。この主人公には愛がある。[DVD(邦画)] 5点(2016-06-15 23:38:40)《改行有》

29.  最後の晩餐(2004) 《ネタバレ》 わざわざ好んで見るものでもないが監督の名前で見た。2006年にスコットランドのホラー映画祭("Dead By Dawn” Scotland's international horror film festival)に出品したとのことで結構評判がよかったらしい。 内容としては造形物やグロ描写にリアリティがなく、その一方で料理は普通に食えそうに見える。また同情したい登場人物が誰もいないこともあって、結果的に人肉嗜食自体にはそれほど嫌悪を覚えず、かえって人を食うに至る過程に一定の説得力を持たせた映画になっている。妙な理屈をつけて正当化しながら実は残虐描写の方で客を呼ぼうとする映画などよりよほどましである。 また登場人物としては、食われ役の三輪ひとみと香港の女優はさすがの美貌だが、一方で後半に登場する初老の刑事がまた強烈な印象で、これはいわゆる怪演の部類と思われる。主人公がこの汚い男まで食ったりしなかったのは当然だが、そのことからすると逆に、食うならやはり美女だという発想そのものは間違っていない気がした。 なおストーリー的には、主人公の同僚2人に対する感情が不明瞭なため、最後に式場でしでかしたことの意味がわからない(「光る通り魔」の真似?)。せっかくなので、もう少し人の心を打つような要素があってもよかったのではと思う。 ただ映像面と音楽はそれなりの印象だったので点数は少し高目につけておく。[DVD(邦画)] 5点(2016-03-20 18:49:50)《改行有》

30.  THE JUON/呪怨 《ネタバレ》 邦画の劇場版1を基本にしてOV版1の発端部分その他を加え、わけのわからない箇所やおふざけを除いて再構成した結果、非常に筋の通ったまともなホラー映画になっている。邦画版の特徴だった時間の前後もわかりやすく単純化されており、初めからこういう風に作ればよかっただろうが、と思わせるものがある。 真面目な映画のため、特にOV版にあったような笑いを誘う場面は目立たなくなっているが、かろうじてバスに乗っていたバカップルのようなのは存在自体が微妙に可笑しい。また細かいことだが、外国人教授が少年の額に手を当てようとしたときに、瞬時に少年が避けて無表情に睨んだのはネコの動きのようで面白かった。 ただ個人的に不満なのは女優が全般的に可愛くないことで、これは邦画版との大きな違いに思われる。邦画版と一対一で対応している人物も多いが、邦画版のあの人物がこれかと思うとあまりの可愛げのなさに呆れてしまう。その中で主役はかなりいい方で、終盤で日本人看護師と並んだところを見ても外人にしては大柄でないのが好印象だった。 ところで中盤過ぎに日本の刑事が、毎度の冒頭に出る辞書的説明をまるで日本全体の事情のように一般化して語っていたが、これはわが国に関する著しい誤解を生む恐れがある。映画全体としても日本の風景の中に外人多数を連れ込んだような違和感があることもあって、“日本にさえ来なければこんな目には遭わなかった”という教訓的な感じの映画になっている。タクシーの窓に「ようこそ日本へ」というシールが貼ってあったのは皮肉のようだがこれも笑うところなのか。 この当時はともかく現在は訪日外国人数が著しく増加しており(2004~2014の10年間で倍以上)、外国人観光客などを対象にした民泊の動きも全国的に活発になっている。そういうときに、古風な日本家屋には何が憑いているかわからない、というこの映画は水を差すのではという話だが、まあそういうことも含めて外人には受けるだろうと思うべきか。劇中の家の内部も微妙に外人受けしそうな作りのようでもあり、これが日本への旅情を誘うことになるとすれば幸いである。 [2020/02/16追記] 2015年の時点では、当時のインバウンド拡大の風潮に乗って外国人観光客を無条件で歓迎するようなことを書いてしまったが、その後に民泊の弊害とかオーバーツーリズムとか(感染症のリスクとか)の問題が出て来て、今となってはあまりよろしくない書き方だった気がする(反省)。政界や経済界の思惑はともかく個人の立場としては、人数や金の問題というよりも、日本に関心があって日本のことをもっとよく知りたいお客さんに来てもらいたい。[DVD(邦画)] 6点(2015-12-12 13:55:18)(良:1票) 《改行有》

31.  さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 《ネタバレ》 現在、「宇宙戦艦ヤマト」が日本アニメ史上に確固たる地位を占めているのはこの映画の成功のせいだろうが、その後に際限なく続編を作り続ける契機になったものでもあり、個人的にはいい印象を持っていない。 まず年少者向けアニメにも関わらず2時間半もある超大作のため見るのが疲れる。また今回のテーマは「愛」であるらしいが、個人的にはそういう空虚な綺麗事を持ち出されると嫌悪を催すので真面目に聞く気にならない。だいたい前作で「愛し合うべきだった」という台詞が出て来たのはガミラス本星を滅ぼしたときだったのに、今回また平気で星(都市)全体を壊滅させているのは全く反省がみられず、そもそもこれは他人の痛みというものを感じられない人間が作っているのではないかと疑われる。 それから古代が序盤から新鋭戦艦に嫉妬しているとか、過去の栄光が忘れられずに大事件とみれば騒ぎ出し、地球防衛軍なのに「宇宙の平和のため」などと叫んで見境なく飛びついていくとかいう行動は痛々しい。死んだ英雄は顕彰していれば済むが、生きた英雄が自ら波乱を求めるのは民主社会にとって物騒なだけである。皮肉なことをいえば、この映画で古代がたまたま死に場所を与えられたのはかえって幸せだったとも取れる。 ところで、前作では目的を遂げてちゃんと帰還したヤマトが今回は最後に失われてしまったのは、前作に共感した自分としては肯定しかねるものがある。しかし終盤で古代が長々と語っていた内容自体は無下に否定できることでもなく、必ずしも同じ状況とはいえないが、これは本物の戦艦大和に関して語られることにも通じるところがあると思われる。簡単に人が死ぬアニメではあるが、最低限、死ぬこと自体が格好いいと思っていたわけでもないらしいことは確認できた気がする。 ラストの「もう 二度と 姿を現わすことはありません」には大笑いしたが、本当にここで有終の美を飾る形で終わっていたとしたら、自分としてもヤマトというコンテンツ全体の印象がもう少しましなものになっていただろうと想像する。[DVD(邦画)] 5点(2015-10-10 22:20:07)(良:1票) 《改行有》

32.  さとうきび畑の唄〈TVM〉 《ネタバレ》 森山良子氏の著名な持ち歌を取り入れたドラマで、最初と最後の現代パートは歌詞のシチュエーションを映像化したものである。ここでは歌の主人公のほかに態度の悪い女子高生もついて来ていたが、これは新しい世代にも伝えていきたいとの趣旨だろう。この歌は情景イメージを含めて時代の記憶を伝える力を持った優れた音楽作品であり、後世に残ってもらいたいというのは自分としての願いでもある。これを見たあと自宅にあったCDを引っ張り出して聴いてその思いがさらに深まった。 ドラマ本編に関しては、歌の主人公(新生児)も出て来てはいるが、全体的に騒がしい感じのため歌に喚起されるイメージとの間でかなりのずれがある。しかし歌自体のドラマ化が目的ではなくネタとして使っただけだろうから、合うとか合わないとかを問題にしても仕方ない。また悪玉にわざわざ過激なことを言わせておいて、そこに善玉が「同じ人間じゃないですか!」などと当たり前のことを突っ込んでみせるような安手のドラマだが、それもまあテレビだから仕方ない。 劇中の主張の中では、学徒動員の青年の考えは普通に理解できる。また親は戦争で死ぬために子を産んだのではないというのもその通りだが、しかし「戦争のない国を作って下さい」というのは具体的に何をどうすればいいと思うのか。戦争がない方がいいというのは平和な市民社会の誰もが願う当然のことだが、相手があることなので自分の国だけでは決められない。むしろ戦争を起こさないために、現実的な対処として何が必要なのかをシビアに考えることが大事であり、そこに沖縄戦の記憶を伝える意味もあるだろうと思われる。 ちなみにこのドラマでは主人公夫妻が関西出身という設定もあり、結果的に“沖縄の利害は国内他地域と相反する”といった分離主義的な印象が強くなかったのは幸いだった。もっとも制作当時は東アジアの国際情勢が現在と異なっており、この時点でそんなことはほとんど誰も考えていなかっただろうが。[DVD(邦画)] 2点(2015-05-05 00:09:24)《改行有》

33.  311 《ネタバレ》 震災関連の映像記録に若干の素材を加えた意味はあると思われる。中で印象に残ったのは、大川小学校の児童の母親が“仕事があったので迎えに来なかったが、来たとしても学校側の指示に従ってしまって、結局は一緒に流されていただろう。一緒ならそれでもよかったが。”という意味のことを述べた場面だった。また途中で浪江町の赤宇木集会所が出てきたのは少し驚いた。 ところで本編中では遺体の撮影に遺族が怒って棒を投げる場面があったが、DVD特典で映画プロデューサーが語っていた後日談を聞くと、この人物も後になっていわば“反省”し、逆に制作側を励ましていたとのことで、最終的には遺族の心情は度外視でも可ということにされていたようである。 また同じ特典映像では別の出演者が、“戦争取材では死体などいくらも映すのに、今回の震災では遺体なり死体を撮ってならないことになっているのはなぜなのか”という意味の発言をしていた。しかし平和な日本と戦時下の外国では社会情勢も常識も異なっており、外国でやっているから日本国内でもやっていいということにはならないだろう。遺族が遺体映像の公開を望まないこと自体はどこの国でも同じだろうが、そうした人間としての自然な感情とは別に、彼らとしては映像を撮ること自体に独特の正義を感じているのだろうと思われる。それはいわば業界内の共通認識であり、彼らの自己表現の手段を確保するためのものだろうから、部外者が何をいっても彼らは動じないはずだ。 前記の映画プロデューサーの発言によれば、最終的にこの映画は作り手・伝え手としての自分らの姿を描いているのだ、というまとめ方になったらしい。ドキュメンタリストのドキュメンタリーということなら、業界内で広く見てもらえばいいだろうと思われる。 なお特典映像では森監督が自らの震災直後の行動について自虐的に語っていたが、彼らが何かすべきことはないかという思いに動かされ、結果として本来業務での行動を取ろうとしたならわからなくはない。同じく被災地の気仙沼市にある「リアス・アーク美術館」では2013年4月から震災関連の常設展示を行っているが、これも美術館本来の役割に沿った形での貢献を志したものと思われる。地元民としてはもう見たくないという声も聞いたが、実際見れば学芸員の真摯な思いが伝わって来て、半端なドキュメンタリー映画との差が際立つ気がした。[DVD(邦画)] 3点(2014-03-14 19:55:08)《改行有》

34.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 登場人物の多い映画だが、主人公とヒロインに限ってみれば著しく都合のいい青春ドラマである。内気な男子が自分では何もしないのに、年上女子が勝手に手を握ったり抱きついたりしてくれて、その上「あの子をよろしく」とまで言われて本当はうれしいのに迷惑顔できるような、年少男子の願望丸出しの気恥かしいストーリーになっている。ただ、よろしくと言われたのは主人公しか知らないことなので、あとは自分でがんばれということだろう。 また、映画に出るインターネット上のサービスがコミュニケーションや商用機能だけでなく、インフラなどの社会システムまで担っている設定は不自然に思われる。しかしパソコンやネットには詳しくとも実社会とは接触不良の青少年が、自分も現実世界を救うヒーローになれる、と感じられるシチュエーションを準備するためには、多少無理でもこうする必要があったということか。ネットやゲームを馬鹿にする母親(=劇中の主婦連)を見返してやるというような展開は大人気なく、これもまた年少者に極めて甘い内容になっている気がするが、それでも最後は主人公が新しい人間的なつながりを作って終わっていたので、まあよかったとすべきだろう。 ところでこの映画では、インターネットに依拠しない旧世界の「つながり」と、ネット上の新しい「つながり」が競うように危機に対処していたが、前者代表の曽祖母が電話で言っていたのが、要は“あきらめるな、元気を出せ”というだけなのは大変拍子抜けだった。本当の大事件なら関係機関では落胆する暇もなく対策に奔走している最中だろうから、この人は明らかに的外れなことを一生懸命言っている。福島第一原発の所長を電話口に呼び出すようなもので、相手先の組織的対応を邪魔しているようにしか思えない。これがリアルの「つながり」というならお粗末なことで、この映画自体が実社会と接触不良のように感じられた。 以上、前作に引き続き青少年向けの作りになっているが、対象範囲はさらに狭まった感じである。自分としては普通に面白い娯楽大作という以上の評価はできないが、映像面や人物描写ではいいところが多かった。消防3兄弟、自衛隊員と漁師のオヤジが格好いいが、ヒロインも可愛いと思う(実は予告編の「…1名なの!」という場面につられて映画を見た)。またラストの写真は素直にほめたい。[DVD(邦画)] 6点(2012-08-11 17:31:44)(良:2票) 《改行有》

35.  サヨナラ COLOR 《ネタバレ》 監督兼主演には何の思い入れもなく、主演女優が目的で見た。昔あこがれたマドンナが、今は普通に世間ずれした顔の大人の女性になっているのだが、心を開けば昔のままの(劇中人物というより主演女優の)笑顔がよみがえるというのがいい。筆談の場面は自分のことのように嬉しかった。 ところで、愛する者に生命を捧げるというのは本来泣ける話のはずだが、この映画の主人公が複数の女性を周囲に配した上、一番いいと思ったのだけに特別にこだわっているのは傍から見ると嫌味である。また自分の生命をヒロインに気前よく与えるならともかく、死んだ後まで出てきて恩着せがましく自己アピールし、一生かけて代償を払わせるつもりなのは自己犠牲どころか自分本位で、こうなるともうヒロインにとって本当によかったのかどうかわからない。別の医者にかかっても助かったのではないのか(執刀したのは中島みゆき先生だし)。これほど主人公のしつこさを徹底しなくても感動的な映画にはできたはずだが、そこを譲らないのが監督の自己満足映画ということか。 ただ、それでこの映画が気に入らないかというとそれほどでもなく、しょうがない奴だと笑って済ませるような感覚である。劇中にも出てきていたが、みんな笑って許しあえる同窓会のような雰囲気があり、本人が瀕死の白鳥のなりきりをやっていたのも、バカな奴が余興をやってみせたような印象だった。手放しでほめる気にはならないが、何か憎めないところがあるというのは認めざるを得ない。 なお編集で落とされた映像も含めて、この映画は海の風景に開放感がある。人が死んだら海の向こうに行くともいうが(自分の地元では山に行くが)、この映画は現世と来世の接点で展開したストーリーだったということか。本来この映画で提示するはずだった死生観のようなものがきちんと前面に出ていれば、主人公の身勝手な印象も少し薄められていたかも知れない。[DVD(邦画)] 6点(2012-06-23 21:24:58)《改行有》

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