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プロフィール
コメント数 1252
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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21.  四月の永い夢 《ネタバレ》 まず主演女優は好きだ。そうでなければ絶対見なかった。それ以外の誘因は全くない。2017年モスクワ国際映画祭で受賞したそうだがそういうことにも関心がない。朝倉あきさん好きだーーーとひたすら思いながら見ていた。 撮影場所は主に東京都国立市らしいが、町田市(制作会社の所在地)の方でも協力していたようなので注目されないと気の毒だ。また終盤で出かけた元彼氏の実家は富山県下新川郡朝日町と特定されていたが、主人公が降りた富山地方鉄道本線の内山駅は隣の黒部市にある。各方面の協力により製作されたようだが、それほどご当地映画っぽいところは見えなかった。 監督はもともと詩人だそうで、映画というのは小説というより詩に似ているという話(ネット上のインタビュー記事)はなるほどと思った。自分としては散文を読むようにしか映画を見られないわけだが、この物語に関してはだいたいのところはわからなくもなかった。ただ自分の話でないのでそのまま同調できないところはある。 少し引っかかったのは元彼氏の母親が“人生とは何かを獲得していくことではなく…”と語ったところである。この言葉は、すでに失った領域が広がってしまった人間にはぐさっと刺さるものがあるわけだが、母親が自分のこととして言うのはいいとして、まだ若い主人公に対して“獲得することではない”と言い切るのは言い過ぎだ。さまざまな方面や局面で獲得したり失陥したりしながらたえず自分を更新していく過程が人生だ、といった感じになるはずで、少なくともこの主人公に関しては、これから新しい局面で獲得していくものがあるはずである。 そのほか全体的には、控え目に見える主人公のおかけで優しく穏やかに物語が流れていく印象だった。踊るように歩いていて持ち物が少しひっかかって逸らした様子が楽しげに見える。監督によると男にとっては面倒くさい女性ということらしいが、金を払いたがるとかキャンセルを気にするとかは潔癖という意味では嫌いでない。それよりかなり前方に心理的バリケードを張っている場合があるとか、何かあると引っ込んでしまって接点が失われるタイプは困ってしまう。「一人で帰ってもいいですか」のところはやっちゃった感が出ていたが、ラストの一瞬の笑顔には和まされた。[DVD(邦画)] 6点(2019-06-14 19:51:37)《改行有》

22.  少女ピカレスク 《ネタバレ》 まず前半ではウェブ配信と自撮り映像を多用して、地下アイドル3人の日常に「ちーちゃん」なるものが忍び寄る過程を見せられる。ここまではホラー風味が強く結構面白いと思っていたが、しかし後半ではその「ちーちゃん」が前面に出て来て種明かしを始めるのでサスペンス風味は失われる。あとは残虐行為が中心になるがおふざけ感が非常に強く、そういうものの愛好者がどれだけ面白がるかはわからない。 また並行して、精神状態に問題が生じていた主人公(題名によれば少女)の「嫉妬、憎悪、憧れ」が異常な形で噴出し、これを通じて人の真実の一側面が表現される映画と取れなくはない。しかしリアリティ皆無の茶番じみた展開で制作側の本気度が疑われ、こんなものを誰が真面目に見るのかとしか思えない。自分としては馬鹿らしいのでもう勝手にしろということで投げた。 エンディングのPV(劇中で撮影したのがこれか)では地下アイドルの光と影、表と裏といった感じのものも見せられたが、個人的にはろくでもないものを見てしまったという思いだけが残った。こういう作風の監督なのか。 登場人物のアイドルに関しては、見た目は年齢不詳で中高生のようだが演者はみな成人である。主演の椎名ひかりという人は実際に極端にユニークな人物らしく、これはもう本当にこういう人なのだろうと思っておく。 また「日菜子」役の長澤茉里奈という人は童顔で中学生のようでもあるが、天使と呼ぶなと言っていたあたりが実情を示しているものか。これまで見た範囲では「咲-Saki-」(2017)で鶴賀学園の初心者役をやっていたが今回かなり印象が違っており、この映画の方が地の状態に近いのかも知れない。もう一人、「亜依」役の神門実里という人は大写しにすると味のある顔で、たれ目気味なのは愛嬌がある。 また人気モデル役で出ている武田玲奈さんは、途中で写真だけ見えていたが本人の出番はラスト12分程度のところまで延々と待たされる。友情出演とのことで、この映画としては大御所のような扱いで貫禄も見えていたが、演者の実年齢ではこの人が一番下である。自分としては何でこの人がこんなバカ映画でウソ泣きまでして真面目に演技しているのかという気分だったが、しかし見えないよりは見えた方がいいのでこの人だけでも点数が若干上がる。[インターネット(邦画)] 3点(2019-06-01 10:25:15)《改行有》

23.  しまこと小豆島 《ネタバレ》 香川県の銀行に勤務しながら映画を撮っている香西志帆監督のショートムービーである。香川県の小豆島のPR映画のようなもので、現地の青年会議所が中心になって製作されたものらしい。「岬の分教場」「エンジェルロード」といった島内の名所が映るほか、劇中に出る写真は小豆島町観光協議会主催の「小豆島の宝 魅力の景観24選」のフォトコンテストの入賞作を使っている。 物語としては、母親を亡くして父親と2人だけになった娘(高校生?)が父親の再婚相手と心を通じていく話である。再婚相手が好人物であることは娘本人が最初から認めており、結末がどうなるかを心配するようなものでは全くない。 主人公が心を開くにあたって大きな影響を及ぼしたのが小豆島の自然環境だったという話だろうが、島にいると境界線がなくなる、という説明は感覚的によくわからない。なくなるというよりすぐそこに境界線があるだけではないかと思ったが、そのことよりもどちらかというと、日に2回つながるという陸繋島(弁天島、その先に中余島・小余島・大余島)が象徴しているものの方がわかりやすいと思った。 主演の吉田まどかという人は東宝芸能の所属で、あまり派手に売り出してもいないようだが、少しずついろいろな映画やドラマに出ているらしい。この映画では拗ねたような表情がいじらしく、少し大きく感情を出す場面では泣かされるところもある。時間が短いのに加えて主人公の印象もあって、愛らしい小編というイメージの作品ができていた。 ちなみに主人公の父親が脚本家で、その再婚相手が女優という設定は必然性不明だが珍しい。「銀行員 竹井薫の旅情事件簿」というドラマの主演をしていたようだが、例えばサスペンスドラマの女王のように言われて日本で広く親しまれている女優という設定だったものか。「銀行員」というのは監督がそうだからという程度のことと思われる。[DVD(邦画)] 6点(2019-05-11 11:16:19)《改行有》

24.  死にぞこないの青 《ネタバレ》 まず前半で重要なのは、理不尽な仕打ちにはしっかり対抗する構えを見せないと、相手がどこまでもつけ込んで来る恐れがあるということである。主人公はもともとコミュニケーション能力が不足だったのか、三度続けて適切な対応を怠ったことで集中攻撃されたようだが、しかしその後は焼却炉での反撃で迫害側の一部に打撃を与え、同時に教員の弱味も衝いた形になっていた。これを一定の勝利と捉えて、あとは川原で青いのが言ったことを心にしっかり持てばそれでもよかったと思われる。 しかし後半に入ってからは不満が多くなる。原作がどうなっているのか一応読んだところ(年少者向けなので読みやすい)、原作の筋立てを比較的忠実に追いながらも巧妙にアレンジを加えていたようだが、その変えた部分が不満の原因だったようである。 まず映画では、教員の家族関係の話を加えることで、教員もまた救われるべき者として位置づけていたらしい。しかしそのように同情を引く扱いにされてしまうと、そもそも教員たるものが児童を監禁し暴行を加えた上に殺そうとまでしておいて、本当は怖かったなどと泣きを入れれば許されるのか、という怒りがかえって誘発される(お前が死んで妹を泣かせろ)。 また映画では、主人公と教員が対等な立場で和解したかのような演出になっており、これで父親の言った“話せばわかる”式の綺麗事がそのまま通った形になっているのが気に食わない。もし相手が単純に他人を虐げたい性癖の者であったりすれば和解しようなど有害無益であり、ここは実力で対抗したからこそ要求が可能になったというように、あくまでパワーバランス的な解釈でなければ納得できない。愚直に理解を求めていれば願いが天に通じるとでもいいたいようなのは戦前の発想か。 そのように、いわば“製作側の良心”のような改変を加えたことで、かえって自分としては毛嫌いするタイプの映画になってしまっていた。ちなみに主人公の姉を死なせたのはかわいそうだ。 なお出演者では谷村美月嬢が青い顔で迫力を出しているが、背景色との調和に配慮されていたようで特に違和感もなく、最後には清潔感のある姿もちゃんと見せていた。また子役では三吉彩花という人が出ていて、明らかに美少女だがかなりの変顔をしている場面があったりする。ほか知っている範囲では近藤真彩という人の顔も見えたが、広瀬アリスは誰がそうなのかわからなかった(目立っていたはずだが)。[DVD(邦画)] 6点(2019-01-12 18:59:13)《改行有》

25.  CMタイム 《ネタバレ》 本仮屋ユイカ嬢が目当ての機能性映画として見たが、機能性成分があまり濃くないので満足ということにはならない。しかし姿全体が可憐で清涼感があるので、見ているだけで解毒効果はある気がする。 話としては広告代理店のお仕事映画のようでもあるが、クリエーターの心意気のようなものも入っていたようである。雇われ監督というのはご苦労様なことで、自分としては「カメラを止めるな!」(2017)を思い出したが、題名からすれば「ラヂオの時間」(1997)の方に近いのかも知れない(見たことがない)。 そのほか注意を引いたのは島根県の人口が少ないことである。劇中では731,531人(なぜか2007.11.1推計人口)と言っていたが直近の数字は679,444人(2018.11.1推計人口)で、東京都の特別区1個分程度しかない。人がいなくて寂しそうだが、それでも鳥取県の560,413人(同前)よりは多い。[DVD(邦画)] 3点(2018-12-04 18:56:24)《改行有》

26.  死者の学園祭 《ネタバレ》 原作は読んでいない。ミステリー・青春・学園物といった想定で見たが結果的には残念な映画だったようで、題名だけでも結構イメージが広がる割には名前負けしている。公開時には「仮面学園」(主演・藤原竜也)という映画と同時上映だったとのことで、全体サイズの制約はあったかも知れないがそれで大目に見る気にもならない。 まず若い役者が多いのはいいとして、最初から素人が出ていたりするのはいかにも安手のドラマである。また特に気になったのは各場面の間がつながらず、必要なピースが抜けたように見える箇所があることで、そのため登場人物の考えや思いの変化が伝わらずに意味不明なところも多い。劇中劇には少し期待していたが、主演2人がいなくなった間をコントでつなぐとか、主人公の個人的発言を台詞めかして言っていたのはその場の観客には支離滅裂でしかなく、これで最後までやり通したといえるのか大変疑問である。たとえアドリブでも演劇として筋が通った内容になっていれば感動的だったろうが、そこまで作り込もうとしたわけでもないらしい。その一方でラストの場面の印象が妙に強く、要はこれを見せたかったわけかと呆れた。 キャストに関しては、制服姿の主人公は清楚で可愛らしいと思ったが、特に自転車の場面など色気づいたところが丸出しでかえって引いた。またなぜか原作者でもない作家が出ており、確かに昔は役者をしたことがあると聞いたがこれを見る限り場違いでしかない。というかこの顔を見て笑えということか。劇中のほとんどの人物や事物が嫌悪を催す方へ作用している。 ちなみに柳田真弓役の坂本三佳という人は嫌いでないので今後の活躍を期待する。[DVD(邦画)] 2点(2018-11-13 22:29:05)《改行有》

27.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 基本は恋愛映画のようだが、ひと通り見てああそうですかで終わってしまい、深入りする気になるわけでもなく引き込まれもしなかった。あらかじめ感情移入の種なり解釈の柱になるものを持っていないと上っ面で終わってしまうということかも知れない。自分としてはただ第三者的に眺めるだけの映画だったが、一つだけ思ったのは、自分の所業を悔いることと、相手がどう思っていたかは別次元の問題という状況はわからなくもないということだった。 なお妖婆のようなヒロインの話し方には最後まで馴染めなかった。また男が最後によりを戻した元彼女はどこがいいのか全くわからず(驚くほど可愛くない)、これは男がとりあえずの間に合わせとして使っただけだろうという印象だった。 ほか登場人物がほとんど関西弁で、「西寝屋川警察署」(架空)という言葉も映像に出ていたので北河内という設定かと思うが、そういうディープな?大阪に沈んだヒロインの境遇と、地方から出て来た男のギャップを出そうとしたようでいながら実際そうでもなく、この場所設定の意義があまり感じられないのは少し変に思った。ヒロインの住居のある一角も、いたいけな(したたかな?)少女2人とエロオヤジ1人の存在感しかなく、乾いた空き家が建ち並んでいるだけに見える。 ちなみに撮影地は首都圏のようで、海の場面はどうせ千葉県だろうと思っていたらその通りだったらしい。制作上の事情はあるのだろうがこういうところは結構興醒めで、かえって初めから東京の話にしてしまっても支障なかったのではと思う。[DVD(邦画)] 5点(2018-09-24 08:49:56)《改行有》

28.  呪怨 黒い少女 《ネタバレ》 [2018/9/11修正] このシリーズ必須の家にまつわる呪いは出て来ないようだが、その呪われた家ができるまでの話だと思われる。 登場人物としては少女の叔母のすらりとした姿が印象に残る。当初は繊細そうで脆弱なようにも見えたが、その後に覚悟を決めてからの表情は少し差が出ていたようである。階段の手前でこの人物の足元を映していたのは境界線のようなものの存在を暗示していたということか。そのほか富士の見える屋上風景や、その後に母子が落下する際に、高架の道路を普通に車が走っているのと対比されていたのも印象深い。 ちなみに少女の叔母が驚愕の表情を見せた直後に、のほほんとした看護師の顔を大写しにしたところは笑った。 物語としては少女~母親~叔母が本筋で、そこに看護師/隣部屋のバカ/少女の父親のエピソードが付随する形に見えるが、その関係がよくわからないのは困る。特になぜか看護師が危険な人物だと匂わせる場面があり、これは何か裏があるのではという気にさせられる(例:初めから水子の霊がついていたなど)。また父親のエピソードは枝葉のようでもあるが、実はこの男にも隠れた問題があったと考えられなくもない(例:初めから水子の霊がついていたなど)。そもそも「黒い少女」とは何なのかを突っ込んで考えれば意外な真相が見えて来そうでもあり、また本筋部分でも実は母親と叔母の思い込みがとんでもなく間違っていたということもありえなくはないが、どうも深読みを強いられているようで面倒くさい。 制作側の思惑はともかく見る側としての問題は、この手の映画は真面目に考えても解答が得られる保証がなく、単に時間の無駄になる恐れがあることである。ここに書くのは筋違いかも知れないが、現代ホラーにつきものの理不尽さや不条理というのと、ストーリーとしての整合性不足というのは話が違うので、きちんと辻褄の合った話にするのは最低限のことである。そういう面で観客が制作側に全幅の信頼を置き、安心して見られる映画にしてもらいたいものだが、まあそういうことをこのシリーズに期待する方が間違いか。それにしても今回は、スルーしかねる程度に思わせぶりにしておいて、やはりわけがわからないという中途半端な感覚の映画だった。 なお劇中の少女役は松本花奈(まつもとはな)という人で、芸歴が長いようだが昔からこういう変な役をやっていたらしい。一見美少女のようで実は微妙な顔で不気味さを出しているが、現在は普通に美形に見えるので問題ない。役者だけでなく映画も撮ったりしている多才な人である。 ちなみに最近(2018年)になってこの人のヘソがネット上で話題になっていたようだが、その元になったのはこの映画でのヘソ出し場面である。そこはただ寝ているだけだが、ほかに目だけの演技というのもあったようである。[DVD(邦画)] 5点(2018-09-11 22:51:37)《改行有》

29.  呪怨 白い老女 《ネタバレ》 [2018/9/11修正、記載量削減] オープニングとエピソード構成は基本的に旧作を踏襲しているが、終盤で一気に全部を解説してみせた上で、全編で最も心に訴える場面を最後に置いていたのはこのシリーズとしては特異に見える。 一方で性的虐待と惨殺の場面に子役が直接関わっていたのは見ていてつらいものがあり、これで大幅に減点したくなったというのが正直なところだが、ラストで何とか挽回した感じにはなっていた。 なお本質的な問題ではないが、主人公の女子は高校生には全く見えない。 [2018/9/11追記] 久しぶりに見たが、小児性犯罪に対する個人的な(社会的にも)拒否感がさらに増しているため、この機会に点数をさらに落としておく。 なおこの映画最大のイベントは終盤の一家惨殺だろうが、単に試験に合格できない男が自暴自棄になっただけのようで現世的な理由が明瞭すぎる。性的虐待に関しても、この男なら呪いがあろうがなかろうがやりかねない雰囲気になってしまっており、このシリーズの特徴である理不尽さが不足している。そういう意味でも番外編の印象が強い映画になっている。[DVD(邦画)] 3点(2018-09-11 22:51:34)《改行有》

30.  人狼ゲーム インフェルノ 《ネタバレ》 連続TVドラマに続く劇場版だが、ドラマ版を見てからの間に早くも忘れてしまい、武田玲奈さんと上野優華さん以外は誰が誰だかわからなくなっている。恒例の自己紹介もないためわかりにくいが、少しずつおさらいをするので一応思い出す。 話としては前回の続きだが、やはり高校の同じクラスから欠員補充したため学校から持ち込まれた対立関係ばかりが目立ち、純粋な生き残りゲームとしての性格は薄れているように見える。しかし逆にその学校からの対立を軸にして、人狼ゲームの場で展開する愛憎ドラマと思うこともできなくはなく、結果として、ミステリー調だったTV版よりも人間ドラマとしての充実感は出ていたかも知れない。 主人公は真面目な人なので今回また誰も死なない方法を提案し、一度は成功したようだがあとには続かず、結局主人公の学級委員長的正義は通用しない世界になっている。半端な友情を切り捨ててからもあくまで正しさを志向していたようだが、あまりに理不尽に正義を否定された腹いせからか「私情」を目の敵にし始めたようにも見える。最後の判断など別にそうでなくてもよかったはずで、ここはどうやら私情絶対主義へのダメージを優先したらしい。映画のキャッチコピーは「勝者こそ正義。」なので結論としてはそうなのだろうが、しかし自分の立場としては、“カワイイは正義”と同レベルで武田玲奈さんは正義と思って主人公の行動を支持していたので(私情だが)、もしそういう人物が劇中にいたら主人公はどうなっていたかということは思った。 ほか警察側のドラマはほとんど進展しておらず、一方で以前使った施設に警察が入ったことで、かつて古畑星夏さんが上って行った階段も(「ラヴァーズ」ラスト)もう使えないことになってしまった。今後どうするかは原作者を含めて検討しているのだろうが、続けるのなら運営側の男が無惨に滅びるタイプの結末を用意しておいてもらわないと納得できない(「何人殺してきたと思ってんの!」が本来の正義)。 なおキャストとしては今回も最初から最後まで武田玲奈さんが見どころで、また上野優華さんも相変わらずの役どころだったが、小倉優香・都丸紗也華の両人も別映画で見ていたことに今回は気付いた(千里山女子の部長/イースターバニー)。どうもこの手の映画ばかり見ていると覚える若手女子の数が増えて来る。皆さん悲鳴がリアルだった。[DVD(邦画)] 6点(2018-08-19 10:06:50)《改行有》

31.  女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。 後編:出る! 《ネタバレ》 前編に続けて気楽に見た(DVDが1枚なわけだが)。 今回も主人公は相変わらずだが、本職がドラマーの人が何でこんな映画にキャスティングされているのかという疑問がますます膨らんでいく。オバサン(ババアとも言われていた)にしても自分などよりはるかに若いわけだが、劇中中学生がダンスに馴染んでいることへの感慨を述べていたあたりは自分としても同感で、こういう点は当時20代後半の人々でも世代ギャップを感じているということか(劇中人物は26、脚本家は25、ちなみに演者は29)。生徒も一通り紹介が終わっているので馴染みが出て来て、一応みなさん個性的なので顔もだいたい憶える。 今回は前編の導入部を受けて、これまで少しずつ名前を出して来ていた文化祭への動きが加速する。便所アーティストが発案したライブペインティングを軸にして雑多な登場人物が一つの流れにまとまり、その中で、中学時代の記憶に縛られた主人公が中学生のおかげで解放されるというドラマが展開する(それほど感動したわけでもない)。今回も結構笑う場面が多く、特に便所アートを毀損した犯人が隠れていたのは爆笑した。またその首謀者が次第に形勢不利になり、孤立無援で追い詰められて最後は開き直っていたのは柔軟でしたたかで微妙に感心した。 そのほか前編でも最後に一つ出ていたが、別室で撮ったスピンオフのような小エピソードが入っていたのは結構好きだ。冒頭のパンの話は、時間の流れが本編と全く違う世界で何が始まったのかと思わされる。3秒ルールというのは当然知っているだろうから、それをこの場で適用するかどうか判断する即応力が問われているのだと思われる。また中盤の原宿訪問練習のエピソードも、ラストの一言に失笑を催すので嫌いでない。[DVD(邦画)] 6点(2018-07-20 19:59:14)《改行有》

32.  女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。 前編:入る? 《ネタバレ》 あまり真剣に見るものでもないだろうから気楽に見た。 出演者については知らない人ばかりだが、主人公を自称するオバサンは、風貌の見せ方はともかくナレーションなどは結構かわいい声なので和む。また生徒の方は人数が多いが、絵に描いたような美少女ばかりでないのが現実に寄せた感じもある。当初は若さだけで圧倒的な優位に立っていたように見えた連中も、まつげの件とかメイクとかで次第にボロが出るので相対化されていく。 この前編ではキャラクター紹介のようなエピソードが連続し、笑うところも多いので結構面白く見ていられる。個別エピソードでは第1話で“キセル”に誘う場面が、よく言われる“ぶぶ漬け”の話を思わせるものがあったが、古都と違ってドライで開けっ広げなのが誠実ともいえるので嫌いでない。こういうのが中学生女子の実態かというと自分は知らないが、予告編のキャプションに出ていた「あるあ……ねーよwww」というあたりが妥当な見解なのだろうとは思う。 各エピソードに笑わされながらも少しずつラストにつながるネタが出て来るので、後編への期待が一応高まらなくもない。 なおこの前編で感心したのは、第2話に出た「桃山新聞」の中身がかなり濃いことだった。ストーリーに直接関わる記事のほかにも、東京駅丸の内駅舎の保存・復原工事にまつわる陰謀論が紹介されており、地下要塞の話までは現実にも語られているようだが、( ) 付きで「お菓子倉庫」と書かれていたのはこの映画らしいアレンジか。またトップ記事の「中央線沿線の魅力」は個人的に好みの内容なので本気になって読んだが、これを本当に中学生が書いたとすれば非常に優秀で有能な人物で、この学校の教育水準や生徒についても評価を改めなければならなくなる(DQNネームのサンリオペアも含め)。[DVD(邦画)] 6点(2018-07-20 19:59:11)《改行有》

33.  写真甲子園 0.5秒の夏 《ネタバレ》 2014年夏の「東川町国際写真フェスティバル」の時期に現地に行ったことがあり(皆さんお世話になりました)、その際に映画化の話も聞いて来た。その後にふるさと納税(株主制度)のお勧めがあったので喜んで「写真甲子園映画化事業」に協力したが、いざ公開されてみると自分の住所地から半径100km以内では上映していなかった。まあそれはだいたい予想していたことなのでDVD化を心待ちにしていたわけである。見覚えのある場所とか花火大会とかが見られるのは嬉しい。 東川町は2014年に「写真文化首都」を宣言しているが、そういうアピールの仕方は個人的に好きだ。ちなみに環境分野では「環境首都」というのもあるが、何にせよ何から何まで東京が一番でなければならないことはないはずなので、うちはこの分野では全国代表だ、という気概を持ってやっているところは応援したい(気持ちだけだが)。 この映画でも無理に町民を主人公にはしていないが、実際の写真甲子園で本当に活躍するのは全国の高校生であり、地元としては仕組みを作って場を提供することで写真文化を盛り立てる立場になっている。文化での町興しは無理との意見もあったそうだが、その正否はすでに実証済ということである。 褒めてばかりでも何なので映画に関していうと、まず予選を勝ち上がる過程を大胆に省略したのは時間の節約としても、全国大会の出場者にしてはあまりに素人っぽいとか緊張感のなさすぎな連中で大会の権威に関わるのではと思ったが、それはまあ審査の厳しさを強調するための下準備と解される。その審査の講評には台本がなかったとのことだが、「できるでしょう」「できます」というやり取りがあったのもアドリブだったということか。審査委員長の人となりは知らないが芸術家にしては意外に優しい物言いで、厳しい単語は使っていても若い人を伸ばそうとする意図は明らかであり、「未来しかない」「開き直る」といった励ましの言葉には正直感銘を受けた。ここには本物の感動がある。 その後の椅子工房は話を作り過ぎだったが、今しかできないことを今しなければ、という意味ならわかる。また終盤でひたすら走る女子の情けない顔に少し泣かされるところもあった。結末も意味不明瞭だった気はするが、今回の体験が当然、出場者それぞれの未来につながっていくはずだと思っておく。彼らの後に続く人々は、写真を含む芸術文化の創造性が人間の力になるということを、例えば極端に古風な(ステレオタイプな)言動の校長に見せつけてやってもらいたい。 その他個別事項として、必要な告知事項などをCGか何かで映像中に紛れ込ませていたのはスマートな説明の仕方だったかも知れない。また撮る側のマナーにかなり気を使っているのが目についた。[DVD(邦画)] 8点(2018-07-15 09:29:09)(良:1票) 《改行有》

34.  白魔女学園 オワリトハジマリ 《ネタバレ》 前作から2年経っての新作ということで、前作がよほど好評だったからかというとそうも思われないが、あるいはその間に「でんぱ組.inc」というグループ自体の存在感が高まったからということかも知れない。 物語としては前作のかなり厳密な続編になっているが、そもそも前作自体がよくわかっていない上に、今回はまた黒魔女学園などというものが出て来て心の整理が追い付かず、さらに貴公子然としたイケメンが頭ポンポンしたりするのでわけがわからなくなる(ちなみに22歳くらいの男が26歳くらいの女性の頭をポンポンしていることになる)。しかし最終的には前回も出ていたように、個別の救済をこえて根本的な変革を求めようとするストーリーであって、それを前回も頓挫した「支配」で実現するのでなく、全く別の方法をもって主人公が達成したということのようである。 映画宣伝によれば「想像を超える神展開」とのことで、終盤に至ると確かにその通りとは思ったが、創世記まで遡るのはエヴァンゲリオン(「セフィロトの樹」も出る)、主人公が最後に断行したことは“まどマギ”のようで、あくまでどこかで見たことのある範囲での壮大な展開である。しかし「普通の女の子」を守りたいという点はちゃんと一貫しており、白魔女6人勢揃いで大活躍する感動のクライマックスを見れば、結果的には魔法少女モノを目指した展開だったことがわかる。また今回はピアノソロのエンディングが静かな余韻を残していた。 登場人物としては、グループ全員を出演させるために一度死んだ人間も引っ張り出す形だが、復活した5人のうちなぜか1人だけが先輩で、この先輩までが小指にピンクのマニキュアをしていたのはさすがに変だ。前回から2年も経っているので、高校生というにはさらに厳しくなっていたはずだが大して変わっていないようでもあり、主人公が黒髪のロングヘアにした顔などは可愛くも見えた。また妹役の山谷花純という人も前回より2年分だけ大人びた感じになって出ている。 当初メンバーのほか新しい登場人物もいて人数がかなり多くなっており、小池里奈という人の出演は歓迎である(が歌を聞きたいとまでは思わない)。女優系(兼声優?)の人物としては市道真央という人の熱演を見るべきだろうが劇中人物としてウザい。ほか特に自分としては「始まりの魔女」があまりに美形で神々しいので見惚れてしまった。本来この人も声優なのか。[DVD(邦画)] 4点(2018-04-15 19:37:40)《改行有》

35.  白魔女学園 《ネタバレ》 「でんぱ組.inc」は昔も今もよく知らないが、以前に国際的な文化交流事業である「東アジア文化都市2014横浜」の広報親善大使になったと聞いて、これが日本を代表するアイドルグループなのかと思ったことはある(が本当にそうなのか知らない)。 監督は仮面ライダーや戦隊シリーズの坂本浩一、脚本は「けいおん!」「映画 聲の形」などの吉田玲子で、監督インタビューによるとこのグループ先行の企画ではなく、監督がこのグループを選んでプロットを作って脚本家に依頼した、という順序のようである。要は特撮(+アクション)・アイドル・学園モノという感じになっており、ほか女子高らしく少女の肢体を狙う視線も多いが、自分が見た限りあまりエロいとは思わなかった(悪い意味で)。 物語的には真面目に見てもよくわからない。みんなで一緒に高みを目指すのかと思ったら、結局は学園バイオレンス風の生き残りゲームになってしまい、結局この学校は何だったのかが不明に終わった気がする(虎の穴?世界征服を企む悪の秘密結社?)。しかし最終的なまとめとしては、世界を変えようなどと考えるのでなく、まずは目の前の人を救うために「居場所」を提供することが大事であって、そのために他人の痛みをあえて受入れようとする“勇気”が必要だ、という感じのことが述べられていたようである(よくわからないが)。 登場人物に関しては、当初はアイドルとしてのキャラクターの延長かという感じの(そうでもないかも知れないが)イタい人物ばかりで茶番のようにも見えた。どうしても山谷花純・小宮有紗といった女優系の人の方に目を引かれてしまうわけだが、しかし後半の修羅場になると、アイドル出演者も真剣な顔で演技する場面が多くなってアクションも結構ハードに見える(スタントの代役が多かったのだろうが)。主演の最上もがという人(この当時24歳くらい)は、このグループの中心人物なのかと思い込んでいたらセンターでもリーダーでもなかったようで意外だったが、少なくともこの中では、容貌や雰囲気の面でこの人以外に主役はありえなかった気はする。終盤で白魔女になった姿は正直格好いいと思った。 ちなみにエンディングテーマは「W.W.D II」という曲で、「やっぱり綺麗事じゃん」「綺麗事でいい」というような行ったり来たりの歌詞がなかなか心に染みた。[DVD(邦画)] 4点(2018-04-15 19:37:37)《改行有》

36.  手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー THE MOVIE 忍者・イン・ワンダーランド 《ネタバレ》 VSシリーズとのことで2つの戦隊が一緒に出ているが、途中でまた別の戦隊が出て来るのは意外だった。この企画の通例としては、今の戦隊(ニンニンジャー)のTV放送が終盤にかかった時期に、前の戦隊(烈車戦隊トッキュウジャー)と共演するのを基本とし、そこに放送開始前の次の戦隊(動物戦隊ジュウオウジャー)が予告的に姿を見せるということらしい。次期ヒーローを出すのは仮面ライダーでも同じだが、昨年の戦隊が再登場するのは前から見ていた人には懐かしく感慨深いということになるようである。 エンディングテーマはニンニンジャーの方だったので今の戦隊がメインということだろうが、実際は2つの戦隊がほとんど並列で活躍する形になっている。自分としてはニンニンジャーのかすみ姉のファンなのでもっとじっくり見ていたかったが、メインキャストが12人もいて存在感が低下するのは残念だった。また両戦隊とも、どちらかというとお姉さんキャラより妹キャラの方が目立つ構造だったようである。 内容に関しては、特に烈車戦隊の方の基本設定がよくわからないまま起こっていることをただ見るだけだったが、それでもけっこう声を出して笑うところが多い。両戦隊ともベースがそのように作ってあるのだろうが、ある程度年齢と関係なしに観客を楽しませようとする姿勢は好印象である。単純に面白いだけでなく両戦隊の間をつなぐ共通のテーマがあったようで、みんなのところへ帰るイメージが自らを救うところはなかなかよかった。 ちなみに次の戦隊(ジュウオウジャー)は出番が短かったが、撮影地の都市的景観や戦隊メンバー自体のカラーリングの関係もあってか爽やか感の強い映像になっていた。戦闘中にトラの人が「にゃあ」と言っていたのは好感が持たれる。[DVD(邦画)] 6点(2017-11-09 19:39:41)《改行有》

37.  人狼ゲーム マッドランド 《ネタバレ》 前回から半年で新作というのではほとんど量産体制である。 副題の印象として、佐賀県のガタリンピック(1985~)のようなことを泥まみれでやるのかと一瞬思ったが当然そんなわけはなく、実際見ればいつもの研修施設のようなところで撮影している。landに付くならmadではなくmudと思うのが自然だろうが、ちなみに原作では英語で書いてあるので間違わない。またついでに書くと、今回は人物の背景に明らかに富士山が映っていた。要は小山町フィルムコミッションの関連施設である。 今回も役者の熱演は相変わらずである。前回は「運営」の内幕に立ち入っていたので、今後はシリーズ全体の終結に向けた動きが出て来るのかと思っていたがそうでもなく、まだまだ同じパターンで続く予感を残して終わっている。 今回特に感じたのは(以前からあったことだが)、登場人物がやたらに怒鳴るのがやかましいことで、人の感情を音量で表現しようとしているのかと思うほど気に障った。また女子が男言葉で他人を罵倒するのは21世紀の今日よくあることかも知れないが、20世紀人としては当人を思いやる気持ちが薄れてしまうので困る。これもまた感情を刺激するための安易なツールにしているようで気分が醒める。 そのようなこともあり、今回は一部を除いて登場人物の誰にも共感する気にならなかった。終盤での主人公の意外な行動はいわば無償の愛によるものだろうが、当初の純粋な利害関係がどのように変質してこの結果になったのか、描写はあったようだが納得はしない。性的マイノリティの心情も説明は理解できるが共感どころでなく、どうもドラマ部分が弱いのではと思ったが、唯一心から共感できたのは虐げられた男の最後の行動だった。個人的感覚ではこれこそが正しい人の道である(途中でやめなければもっとよかったが)。 ところで映画の宣伝上、このシリーズは「本格派女優の登竜門」とされているようで、別に桜庭ななみとか土屋太鳳といった人々がこのシリーズでのし上がったわけではないだろうが、中身が濃いので役者が印象に残るのは間違いない。今回は特に飯田祐真という人が否応なしに目についたが、ネットで検索しようとすると普通一般の美少女タレント並みに「飯田祐真 かわいい」とかいう予測候補が出たりしてイメージが大混乱する。とりあえず自分としては「TOKYO CITY GIRL -2016-」というもののDVD化に期待したい。[DVD(邦画)] 5点(2017-10-29 19:40:28)《改行有》

38.  人狼ゲーム ラヴァーズ 《ネタバレ》 若手役者の熱演で知られるシリーズの5作目だが、ここまで来るといつまで続けるのかと問う気もしなくなる。今回は最初と最後、特に最後の施設映像が好印象だった。また中盤の長回しは約6分である。 今回はシリーズ初の「運営」という言葉が出て、ゲームの背景が少し明らかにされている。この世の悪は「金持ち」のせいというのは安易な感じだが、身内が有力者すぎて手が出せないことはありえなくはないので、一応は荒唐無稽になり切らない線を狙ったとはいえる。この運営側に関する説明は、前回ラストの出来事(ただし原作限定)と整合しており、また第1作の段階でも一部示唆されていたことが思い出される。「いけにえ」の存在も前回の劇中で匂わされていたもので、次第に真相に近づいていく雰囲気はないでもない。 今回初出の「恋人」は、その言葉自体にドラマ的な意味はなく、単なる役職以上のものではないらしい(原作者はそれなりの意味を付与していたようだが)。全員が経験者のため無用の混乱がなかったのは歓迎するが、一方で「処刑」を参加者自らすることになったのは過激さを増すための強化策ということか。しかし同時に追い出し方式が提案されていたのは結構なことで、毎度流血の大惨事では面倒臭いだろうし、またこの人だけは無惨な姿を見たくないという人物もいる。 最後の指名は意図がよくわからなかったが、金額の問題だけだったとすれば残念なことである。死んだ本人はこれで納得していたようでもあるが、しかし他人の純粋な好意を費消する形で個人的欲求だけを満たそうとするのではあまりに後向きな結末である。自分としては最後に残った者が死者の思いを受け継ぐ形にしてもらいたかったわけだが、当日朝の言葉からこういう結果につながるとも思われない。最後まで良心を持ち続けた人物を好んで犠牲にするのが「絶望型エンタテインメント」にふさわしいということか。 個別の人物に関しては、個人的には八木ひなた(演・溝口恵)という人がいい感じで、役者としては年上の方だろうが、劇中ではひ弱そうで控え目な下級生の姿ができている(鼻水が垂れずに済んだのは安心した)。またあからさまな美男美女ばかりを揃えないのがこのシリーズの通例だろうが、今回は名前に似合わず地味な牧詩央里という人物が「最悪!」と言ったあたりの“普通の人”感が非常に好きだ(少し惚れてしまった)。金髪の男は屑だ。[DVD(邦画)] 5点(2017-10-29 19:40:25)(良:1票) 《改行有》

39.  人狼ゲーム 《ネタバレ》 [2017-10-29再視聴による改訂] 現時点で6作まで続いているシリーズの第1作である。改めて見ると特徴が見える気もする。 そもそもこういうゲームを小説化なり映画化して本物の人間が死ぬ物語を作ったからには、良識人が眉を顰めるタイプの創作物になっているのは間違いない。台詞にあった「アリとクモを戦わせて遊んでる」ガキ向けのような企画だが、しかしそういう枠組みを逆用して、見事にヒューマニスティックなドラマを作ったのは大人の仕事である。 主人公は最初の事件のせいもあって現実に適応できないままで経過するが、後半に入って親友の幻影を見たことでやっと覚悟が決まったらしい。このこと自体は前進ではあるが、ただ本人の話を聞くと理屈先行で少し行き過ぎたところがあったようで、そこを補正して妥当な見解に落ち着かせたのが新しい友人(恋人)の男だったように見える。これまでずっと主人公を助けてくれていたという親友の役割を、この男が引き継いだというのは台詞にもあったとおりである。 誰も殺さない+自分も死にたくない、というのが許されない状況で、自己保全のための利己主義が正当化されるのは当然だろうが、しかし自分のことしか考えないのが当然ということにもならない。この物語では、利己主義を超えたところにある人間の情(姉妹愛と恋愛感情?)が計2人を生き延びさせたのであり、逆にこの2人が死者の思いを背負う形で、これから生き抜いていく務めを課せられたのだと思われる。男が最後に人としての矜持を見せたのもよかった。 ちなみに映画を見ていて主人公を腹立たしく思った観客も、本当にこの状況になれば主人公と同じになる可能性があり、それは劇中出ていた戦争の話のとおりと思われる。そういうレベルから初めることで、普通人がこの手の話に感じる心理的抵抗に一定の整理をつけたことにより、以降の続編を見るための基盤が整備されたという意義づけもできなくはない。まあ純粋にこのゲームの愛好者とか、単純に人殺しの映画を好む向きには満足できないだろうが。 なおこのシリーズは現在も若手役者の熱演で知られているが、この第1作では後に残る役ほど感情の爆発を強いられる構造だったようである。井上姉妹のこのみちゃんが主人公を殴り返す場面は毎度少し驚く。 また藤木毅役の入江甚儀という役者は、自分としては最初にこの映画で見たのが原因で今も悪人イメージが残っているが(この男が「ヤクザ」扱いされていたのは笑った)、しかし改めて見たところ、粗暴なように見えてちゃんと思慮もあり人情もあることがわかってこの人物を見直した。後のシリーズに出る一部の連中よりよほどまともである。 ほか細かいことだが誕生日という趣向は悪くない(少し切ない)。月を映して人物を見せないのは奥ゆかしい。[DVD(邦画)] 8点(2017-10-29 19:40:23)《改行有》

40.  島々清しゃ(しまじまかいしゃ) 《ネタバレ》 どこか南の島のこぢんまりした静穏な劇中世界ができている。女性の登場人物が多いがあからさまな美女などはおらず、外見よりも内面を見せようとする映画のように思われる。題名の歌をはじめ突然のセッションなど音楽で聴かせるところもあり、この雰囲気に乗ることができれば、映画全体を好ましいものとして受容することができるのかも知れない。 しかし自分としては各所にある微妙な齟齬のようなものが気に障って共感が妨げられる映画だった。 そもそも少女が音を不快に思うのは音感がどうとかいうより音のずれを脳が許容できるかどうかの問題ではないかと思ったが、序盤では発達障害か何かを示唆したように見えながら、最後には単なる気の持ちようで終わった感じなのははぐらかされた気がする。また母娘それぞれの事情~思い~行動の関係とか、サックス奏者がバイオリン奏者に喧嘩を売った経過など、話のつなぎに食違いが生じているようなのは気持ち悪い。 そのほか個別の台詞や行動などにも何かと違和感のあるところが多いが、そういうことが気になって素直に映画を見られないのは、少女と同じく特殊な性質のために生きづらい人生を運命づけられた人間と思うべきか、あるいは少女と同じく心を開けば共感できるはずだということなのか。よくわからないがグルーヴの問題か。 物語的にも最後に何がどうなったのか正直わからず困惑するばかりの映画だったので、点数は4点が限界である。ちなみに、序盤のステージ上で音楽家同士が揉め始めたのと、落ち込んでいる少年にバイオリン奏者がちょっかいを出していたのは面白かった。 付記:エンドクレジットの「撮影協力」に「環境庁慶良間自然保護官事務所」とあったので、これは一体いつの時代に撮ったのかと思ったが、出演者の顔ぶれ(特に伊東蒼さん)からすると今の映画としか思われない。単純な誤記ではないかと思うが、こういうものの事務的なチェック体制などはないということなのか。[DVD(邦画)] 4点(2017-10-13 00:14:00)《改行有》

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