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プロフィール |
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895 |
性別 |
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自己紹介 |
ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。 「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。 映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。 目指せ1000本! |
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1. 切腹
《ネタバレ》 不気味で緊迫感のある白黒映像と音楽に引き込まれ、全編にわたり武士たちの冷徹な眼差しが死線と向き合わせる。金をせびりにきた老いた浪人が切腹されることになり、そこから二転三転して、社会派ドラマにもギリシャ悲劇にも通じる普遍性のあるストーリーが展開される様は見事。貧困で飢えと病に苦しみ死んでいった娘とプライドを捨てた挙句武光で切腹された婿のために、武士道の虚飾を引き剥がす復讐劇に強烈なカタルシスを感じた。誇りある武士道なんて所詮嘘っぱちと言わんばかりに、あまりに残酷で壮絶で、そこまでしても変えられない無常感が最後まで貫く。何もかもぶち壊した果てに、何事もなく取り繕うだけで終わる理不尽さ。空洞になった社会における人情と倫理を問いかける重厚なまでの後味の悪さが残る。痛切な傑作。[DVD(邦画)] 9点(2018-07-24 21:06:09)(良:1票)
2. 千と千尋の神隠し
《ネタバレ》 19年もの間、歴代興行収入トップを守ってきた作品としてしか見なかった。
子供の時に見るのと、大人になって見るのとではかなり印象が変わる映画で、
突然"社会"に放り投げ出された千尋が通過儀礼を通して、はじめて"生きること"と向き合うようになる。
名前という個を奪われて、社会の歯車になる。
お金がないと何もできない、理不尽な現実と如何に折り合いをつけていくか。
だから大団円にはならない。
もっとも宮崎駿特有の隠喩やバックストーリーが張り巡らされていて、
水流=初潮、油屋=ソープランドとかなりアングラだったり、
千尋の母が冷淡なのは、ハク=千尋の兄が死んだからという考察もあるくらいだ。
侘しさを感じさせるエンドロールを前に、千尋はここで過ごした記憶は風化されるかもしれないが、
その体験を糧に人生と闘っていくのだろう。
生まれてしまった以上、配られたカードで勝負していくしかない。[映画館(邦画)] 7点(2022-10-22 11:35:52)《改行有》
3. 宣戦布告
《ネタバレ》 ある共産主義国が侵入した時の政府の対応を描いたシュミレーション作品。時代の先見性があったのか、自衛隊が武力行使している点がタブー視されているかは分からないが、真っ当な発言をしている若手の発言権がなく、トップ陣がズブズブドロドロで身動きが取れないあたり、現在の日本の縮図を見ているよう。そういう意味で価値はあると思うが、純粋に映画としては凡作。軍事アクションと政治ドラマを何とか両立しようとして支離滅裂になり、クサいメロドラマを見せられるのはちょっと・・・[DVD(邦画)] 4点(2018-03-23 22:42:07)
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