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1. 誰も知らない(2004)
断罪がない。そしてきっと、狭義においては功罪すらもない。それでいいと思った。充分だった。私が12歳の頃、世界には紗が掛かっていた。それこそまるで是枝監督の映像そのもののように。世界に、大人らに、日々不安感や失望感を覚えつつ、同時にそれらに対しての根拠のない柔らかな希望と嘱望があった。世界はいつも、柔らかな美しい皮膜を通して見えていた。いつの間にか映画館に、12歳の自分がいた。ある意味においては大人になった今の私よりも大人だったあの頃の自分が。世界の誤謬に対し、無意識的に断罪を忌避していた私が。そして、大人である監督は、この物語において、“確信的に”断罪を忌避した。その姿勢に賛同した。柳楽君の目に射抜かれた。何を思うかなんて、各々が考えればいい。それでいいじゃないか。「生きているのは大人だけですか」稀に見る秀逸なコピーだと思った。[映画館(字幕)] 9点(2005-04-09 21:22:28)(良:1票)
2. たそがれ清兵衛
淡々とした描写で終始進行する映画には、根源的で絶対的な深みが必要だ。それがきちんと根底にある作品なら、表層的には穏やかでも、きちんと心を揺さぶる感動作として機能する。だけれどこの作品に関しては、強烈な深みを感じなかった。武士道の精神とその悲哀を描く上で、この作品は脚本や演出ではなく、キャストの魅力だけに多大に依存し過ぎているような気がする。とにかく真田広之の上手さには感動した。誠実で生真面目で不器用で純朴。それなのに色気がある。汚い格好をしても臭いと罵られても抑え切れない、彼の色気にどきどきした。緊張と緩和、静と動。殺陣の美しさ。そんな時代劇の色気。この作品で私が買いだな、と思ったのは正直、真田広之だけだった。6点(2004-02-15 17:27:05)(良:2票)
3. 丹波哲郎の大霊界/死んだらどうなる
丹波哲郎のタチの悪い自慰映画。数あるつまらない邦画の中でも最低レベルの下衆映画。てゆうか映画じゃねえ。こんなもん丹波教でも設立してそのプロモーションビデオにでもしときゃいいんだよ、と思いました。こんなもんを製作して配給した大人たちに説教したいです。知らないで観てトラウマに震えた、小学生当時の純真な私に謝って欲しい。1点(2004-02-03 22:40:46)
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