|
1. 日本沈没(2006)
《ネタバレ》 まず、映像面。SFXはかなりレベルが高い。完全に旧作を超えている。
ただし、「視点」が惜しい。新作の視点は、全てが怪獣目線なのだ。
巨大建造物が壊れる迫力は凄まじいものがあるんだけども、人間の視点での恐怖感はない。
観客は、特等席から巨大建造物が壊れる様を見学しているような感じであって、
日本沈没という未曾有の大惨事を体験しているという感じにはならない。
だから、怖くないのである。
次に、ドラマとストーリーだが、これはもう旧作の圧勝。
新作は、旧作の足元にも及ばない。
第一に、主役カップルがダメダメ。
今の時代に藤岡弘のような暑苦しくて濃い若者は、画面に登場するだけで笑われてしまうかもしれないが、
だからといって、クサナギくんのような、やる気があるんだかないんだかわからない若者にはかえって共感できない。
で、この主役は、ラストだけは主役らしく頑張るのだが、その前は、何を感じ、何を思い、何を考えているのかが、全くわからない。
イギリスの会社からオファーがきたから、別にいいや、なのである。
日本が沈没してしまうことに対し、なーんの思いいれも無い。
なんだ、こりゃ。宇宙人だろ、おまえ。
同じ人類だとしても、日本人じゃねーわな。
ヒロインから「抱いて」といわれて、泣き始めるわけのわからんシーンもあるが←結局、抱かないしw
(と、ここまで書いて思ったのだが、もしかして、監督は電車男みたいな駄目人間が日本を救う話にしたかったのかな? いやいや、電車男はあれでも酔漢からエルメスを救おうと立ち上がるだけの男気はあった。ん? すると、クサナギくんは電車男以下じゃん‥‥)
で、私が一番「あーあ」とガックリきてしまったのが、
旧作では小林桂樹が演じ、新作ではトヨエツが演ずる田所博士だ。
旧作の田所博士を見ていると、最初は全く共感なんかできない。
しかし、田所博士の狂気と表裏一体となった天才性でしか、日本人を一人でも多く救う手はないのだと、観客は時を追うごとに知ることになる。
さて、新作のトヨエツだが‥‥
天才っていうよりもさ、ただの礼儀やお行儀が悪い素行不良中年でしかないんだよな。
一言で言ってしまえば、トヨエツには「品が無い」のだ。
なんだって、もっとベテランにやらせなかったのかねえ?
[映画館(邦画)] 1点(2010-01-10 18:29:12)《改行有》
2. 日本沈没(1973)
つい、先日、見直したばかりです。今のレベルで観れば稚拙なSFXシーン、はしょりすぎのストーリー。でも、今となってこそ、丹波哲郎演ずる総理大臣に涙し、小林桂樹演ずる田所博士に涙できる自分を再発見しました。ちなみに、この中で倒壊していく高速道路や新幹線の陸橋ですが、当時、道路公団や国鉄は「どんな大地震でも絶対に倒れない!」と憤然と抗議しました。しかし、阪神大震災では‥‥ ある種の予言映画でもあったのでした。8点(2004-02-23 05:33:51)
3. 二代目はクリスチャン
つかこうへいの同名戯曲の映画化。つかこうへい作品の映画化としては、もっとも映画としてのバランスが優れた佳作でしょう。『熱海殺人事件』『青春かけおち篇』は舞台臭すぎるという人でも、この作品ではそこまで感じないと思われます。
【見所】 ①志保美えっちゃんの清純さとエロスのぎりぎり融合シーン ②クライマックスでの蟹江敬三の台詞は号泣もの ③柄本明おいしいなぁー
注・ストーリー自体は平易というかストレートです。マニアな方には物足りないと思われます‥‥8点(2004-02-23 04:15:48)《改行有》
|