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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. ゆれる 人は自分の目で見、自分の耳で聞いたことさえストレートに認識することが出来ず、脳内で一度処理された情報を追認することしか出来ない。だから人は見たいものを見て、聞きたい音を聞き、信じたいことを信じる。それが一己の人間性を形作っていく。事実や真実とされる事柄も、所詮は相対的な不確定情報でしかない。法廷でも面会室でも、兄は正直に自分の真実を話し、そのことが弟を徹底的に揺さぶっていく。妬み、羨望、歯痒さ、負い目。血を分けた兄弟であるが故の葛藤は、代が変わっても受け継がれ、そして弟は信じたいことを信じるに至る。自らの人間性の否定に比べれば、これまでの生活を捨てることなど造作もないこと。人はかくも弱き生き物なり…。若干32歳の西川美和は、既に師匠の是枝裕和を超えた。脚本もさることながら、絶妙のカッティング・センスが素晴らしい。唯一の難を言えば、ラストに弟のモノローグはいりませんでしたね、7点献上。[映画館(邦画)] 7点(2006-09-05 00:04:53)(良:1票) 2. ユンカース・カム・ヒア 全く無名の作品ながら、まず、その余りにも高いクォリティに驚いた。シンプルな線で表現される動画のリアルなディティールと、水彩(パステル? クレヨン?)で統一されつつ生活感のある背景美術。そしてストーリーは、親にも子にも訴えかけてくるであろう普遍的テーマ(少し「点子ちゃんとアントン」風ながら、親が涙を流しながら子供を抱き締め、「私を許して!」等と叫ぶ安っぽい展開じゃないのが何より「素晴らしい」)。なぜ少女の犬が喋り、突然喋らなくなるのか? 彼は果たして奇跡を起こしたのか? こういった物語のポイントが、ラストでストンと胸に落ち着く良作です、7点献上。7点(2005-03-04 00:05:51) 3. EUREKA ユリイカ 217分という長尺やセピア調のモノクロ映像を鑑みると、作家の方が観客を拒否しているようにしか思えない。映画芸術は作家性と娯楽が融合した時にこそ「傑作」足り得ると考えている私は、逆に勿体ない映画だなぁと思ってしまう。妙な緊張感が映画を支配しているので、私の嫌いな遠景長回しの連続でも決して退屈はしませんが、この内容ならば無理矢理カットしなくとも150分以内に抑えることができた筈。PTSDからの再生の物語にしても中途半端にファンタジックで中途半端にリアル。ということで、ちょっと厳しいかもしれませんが6点献上。6点(2002-03-17 13:15:24)(良:3票) 4. 友情 Friendship 白血病治療で髪の抜け落ちたクラスメイトの為に、クラスの全員が坊主頭にしたという有名な逸話(私は外国の公共広告か何かで見たことがあります)にインスパイアされた、三船美佳の最初で最後(?)の主演映画。話自体はオリジナル脚本だそうですが、余りにも一本調子で珍しくもないエピソードが羅列してあるだけなので、映画はさして盛り上がらずに終わってしまいます。これは話の作り方を間違ってる。もちろん美談ではありますけど、これでは全員ノリだけで坊主にした様に見える。この話なら病気の主人公の苦労と同等に、クラス全員の決断に重点を置くべき。男子はいいとしても、主人公と特に親しくない女子ならば、それ相応の覚悟がいる筈。むしろ観客は、その部分にこそ感動できると思うんですけど…、4点献上。[CS・衛星(字幕)] 4点(2005-10-10 00:14:15) 5. 夢の中へ メジャーな俳優を動員して臆面もなく撮り上げた、典型的な自主制作「ビデオ」。売れない役者の締まりの無い日常を通して、例によって「アイデンティティ」についての模索が繰り広げられる。懐かしささえ込み上げてくる様な古臭い作品でした(70年代の学生映画みたい…)。「今の自分は無数に存在する未来の自分の中から自分で選択したんじゃない。全部、金星人の所為なんだー!」(こんなだったかな?)。繰り返されるこの台詞が、園子温の見た現在の「若者像」なんでしょうか。何でもかんでも社会の所為にして「夢の中へ」と逃げ込むばかりが「若者」じゃないと思うんですけどねぇ…。やっぱり園氏の様な「クリエーター」や「芸術家」の周りには、こんな若者がウヨウヨと集まって来るんでしょうか? そういうことで、3点献上。[CS・衛星(邦画)] 3点(2006-10-04 00:03:59) 6. YUMENO ユメノ 特別に優等生でも不良でもないけれど、両親に強い反感を抱いてる女子高生が、突然両親を殺されたらどういう心理状態に置かれるのか、どういう行動をとるのか…というのは中々興味深い題材。それが、どうしてこうもセンチメンタルであり得ない展開の映画になっちゃうんだろ? もしかして「バッファロー’66」を狙ったのか? 話自体もつまんないけど、それ以上に、こんなどーしょーもない登場人物達に共感した(振りをした?)視点で作ってるのが気に食わない。監督はこの映画から一体何を伝えたかったのか? 最後は結局、小学生が主人公になっちゃってるじゃん、2点献上。[CS・衛星(字幕)] 2点(2005-12-28 00:04:15) 7. 夢なら醒めて…… 傑作サイコ・スリラー・アニメーション「PERFECT BLUE」と原作を同じくする、クズの様なビデオ映画。アニメ版のサイコ・スリラー路線と違い、相手と同化することを究極の愛とする、一種のホラー路線(ちっとも怖くはないですけど…)も悪くない。しかし、この映画の関係者全員合わせても、才能や熱意は今敏の1/50,000にも満たない。駄作なのは大目に見るとしても、このやる気の無さだけは看過できんゾ。低予算を創意や熱意でカバーすることなんて全然してない。とにかくディティールが安すぎる。マネージャーと駆け出しアイドルしか登場しない芸能界。絶対に売れそうもない曲(これが劇中、耳障りな位リフレインされる!)。ルックスや演技同様の前田綾花の酷い歌。金かける所にかけずに、一体何処に遣ったんだ? 1点献上。[CS・衛星(字幕)] 1点(2005-05-17 00:34:41)
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