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1. EUREKA ユリイカ
《ネタバレ》 “ユリイカ=発見。「分かった」を意味するギリシャ語”。思えば発見とは、外的な未知のものとの邂逅による変化ではなく、内的に既存するものへの回顧と再考による進歩のことのような気がする。発見とは決定的な変転の契機であり、変化とはそもそも内面からでしか起こり得ないものなのだから。ラストに思うのは、彼らが遍歴により得た、大きな悟入。既存のもの、内なる傷痕、取り消せないものを享受することと、そこからでしか進めないことを悟ること。それこそが「発見」なのか。受け入れることで姿勢が変わるということ。受容という悟入により、世界が色を変え、拓けて行くということ。景色が彩色され、俯瞰で世界が広がって行く、静かだけれど劇的なラストに「ユリイカ」を見た。[ビデオ(邦画)] 6点(2006-06-03 11:15:59)(良:1票)
2. 幽☆遊☆白書 冥界死闘篇 炎の絆
飛影が黒龍波を打った辺りでやっと、何でこの作品がこんなに面白くないのかが分かった。あの技が出たということは、武術会以降ですね。仙水編。つまり冨樫が編集部に「連載をもうやめたい」との申し入れをしていた頃です(笑)。ジャンプはDBとスラムダンクを失い(逃げられ)、大黒柱は幽遊だけ、という切羽詰まった状況。編集部は死力を尽くして冨樫を引き止めたが冨樫はあらゆる意味で限界。じゃあ今の内に儲けられるだけ儲けてやろうと思ったのかな、という下世話な憶測をしてしまいます(笑)。幽遊、ほんと大好きだったのになあ…。この映画はほんとおもろなかった。汚いものが見えるというか、お金の匂いがする。“冥界”っていう取って付けたような設定に唖然。ネタ切れのまま突っ走ったほうほうの体。幽遊ってアレだ。映画化作品も少ないし、作者はある意味異端児だし、色々な意味で「喰えない漫画」だったのだろうと思う。おいらは小学生の時から冨樫のファンです。お陰でおいらの描く絵は冨樫の絵に似ている(ただし「レベルE」の時の)。別にいくら休載しても構わないんですが、今度はぶち切れずに満了して欲しいな、と切に願う今日この頃。2点(2004-06-20 20:26:28)
3. 夢(1990)
正直、決して名作だとも傑作だとも思わないし、中盤は冗長で凡庸だとすら感じた。それでも、終盤になると「うーむ…」と考えることも多い。要するに、夢というものには3種類あるのだ。①睡眠時、脳内で起こる記憶整理作用の名称②「こうありたい」という希望、大志の別称③過去の遺物、幻影。消え滅んで行くものの比喩。この作品を最初は①の羅列だと思っていた。しかし、違った。導入部分は確かにそうかも知れない、しかし最終話には、「日本はこうでありたい」という焦燥感すら憶える程の静かながらも凄烈な願望とビジョンが見える。それは明らかに②だ。そして同時に、日本の良いものたち、昔日の美しいものたち、日本の美しい風景が夢と消えつつある、飛沫の様に、うたかたの夢のように消えつつある、という深い深い憂いも感じる。それは③だ。「歳を取ると夢を見ることが多くなる、それは若い頃の夢を見る為だ」という素敵な言葉がある。世界のクロサワだってそれは同じだろう。どこか、日本映画が1番素敵だった時代に生きた「つわものどもの夢の跡」のような余韻を残す作品。映像よりもその行間に重みがある。「こんな夢を見た」その一言が、億千万を語る。これは、クロサワの見た、夢だ。6点(2004-02-06 13:47:04)
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