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プロフィール |
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615 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが…… 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。 |
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1. 陽気なギャングが地球を回す
《ネタバレ》 導入部では、中々スタイリッシュな犯罪ドラマになりそうだと期待させられたのですが……どうもノリ切れない内容でした。
とてつもなくクオリティが低いという訳ではないと思うのですが、何かチグハグなんですよね。
例えば、カーチェイスをCGで描くシーンとか「おっ、これはそういう悪ふざけ演出で楽しませてくれる映画なのか?」と期待したのに、以降はそういうノリがあまり感じられないせいで(あれは意図的な演出ではなく、予算の都合でCGにしただけだったんだなぁ……)と、観ていて落胆させられちゃう訳です。
また、主役のギャング達には特殊な能力があり、ルックスも良くてと、魅力的に描こうとしているのは伝わるのですが、そのやり方が「周りの人間を恰好悪く描いて、相対的に恰好良く見せようとしている」ように思えてしまい、違和感が大きかったですね。
冒頭の警官をからかう件とか、自分達以外を見下している空気が伝わって来て、彼らが単なる「嫌な奴ら」にしか思えないという形。
その結果、馬鹿にされている警官やら他の強盗やらの方が「みっともないけど、必死に頑張っている」感じが伝わって来て応援したくなるものだから、主人公達が見事に強盗を成功させても、観客としては、ちっともカタルシスを得られない。
恐らくは黒幕を徹底的に嫌な奴として描く事で、主人公達を応援させようとしていたとは思うのですが「同じ犯罪者なのに、何で片方だけがさも善人であるかのように扱われているの?」と白けてしまったくらいです。
同監督の「極道めし」は結構楽しめただけに、非常に残念。
恐らく、この監督さんはスタイリッシュな犯罪アクション物などよりも、コメディ、人情物の方が得意なのでは? と思えましたね。
本作においても「象を冷蔵庫に入れる為に必要な、三つの条件は?」というクイズを、シュールに映像化させてしまうセンスなどは良かったです。
劇中で「映画の終わり方に関する演説」が始まると共にスタッフロールを流し、これで終わったと見せかけて、ちょっとだけ続けてみせる辺りも好み。
クイズの答えを伏せたまま終わるような意地悪をせず、最後の最後に、きちんと答え合わせしてくれた事からも、作り手の誠実さが伝わってきました。
一応は仲間であったはずの地道こそが、黒幕の神崎であると本性を曝け出す場面にて口にする
「神崎なんて存在しなかった。いや、地道が存在しなかったのかな?」
という台詞なんかも、あぁ「真実の行方」が元ネタなんだと分かって、ちょっと微笑ましかったですね。
オシャレな恰好良さ、というものは感じられなかったけど、オシャレな面白さの断片のようなものは窺えた一品でした。[DVD(邦画)] 4点(2016-12-29 04:13:16)《改行有》
2. 予告犯
《ネタバレ》 この映画、面白いです。
面白いんですけど……序盤の拷問シーンで「悪趣味だなぁ」と思い、終盤の感動シーンで再び同じ感想を抱いてしまったので、どうも手放しでは褒められない内容。
「良い話にしようとしているのは分かるけど、無理あるよね?」という思いが浮かんで来てしまい、中々それが消え去ってくれなかったのです。
結局のところ、本作を楽しむ上でのキーポイントは「外国人の友達が死んでしまった」→「彼は死ぬ前に父親に会いたいと願っていた」→「自分達で探しても父親は見つからない」→「日本で一番捜査力が高いのは警察。死んだ友人の名前を騙って事件を起こし、彼らを動員して父親を探させよう」という、犯人達の行動を受け入れられるかどうかに尽きるのではないでしょうか。
自分としては「死んだ友人の名前を騙って」の部分が、ちょっと受け入れられなくて、本当に友達想いの奴なら、そんな事はしないだろうと白けてしまい、残念でしたね。
作中のテーマとしては「理由があって、頑張れない奴もいる」という、社会的弱者の存在を肯定するような意図があったのだと思われます。
けれど、就職活動はともかく、父親探しにおいて主人公達が「頑張れない」理由がハッキリしなくて、真っ当な方法では探せないと諦めて、死んだ友達に犯罪者の汚名を着せるのを承知の上で、楽な手段を選んだだけとしか思えないのです。
せめて「何年もかけて自力で探したけど手掛かりすら掴めなくて、止むを得ず最後の手段を選んだ」という形なら納得も出来るのですが、そういった過程を経ていないので、主人公達が努力を放棄したようにしか見えない。
酷く典型的な台詞になってしまうのですが「そんなやり方を、本当に生前の友人は望んでいたのか?」という疑問も浮かんできます。
それらの罪を償う為の自殺オチだったのでしょうが、終盤やたらと主人公を賛美する展開になっているものだから、どうも作り手との価値観のズレを感じました。
主人公と対峙し、その思想を否定する立場だった美人女刑事にまで「全てを予告し、やり遂げた」と嬉しそうに言わせたりしたのは、ちょっとやり過ぎだったんじゃないかなと。
生き残った犯人グループの仲間が、罪を全部主人公に被せて自分達だけ助かる件も、シニカルに描くのではなく「主人公の自己犠牲の美しさ」を強調するような演出だったりするものだから(えっ、そこで感動させようとするの?)と驚いてしまったくらい。
その他、主人公が会社での陰口に気が付く件なんかも、あまりにも非現実的な「周りの人間は皆、嫌な奴」過ぎて(これ、現実なの? それとも主人公がそういう被害妄想を抱いているって描写なの?)と戸惑ってしまったし、女刑事と犯人の追跡シーンでも(どうして応援を呼ばないんだ? 刑事なら何らかの連絡手段は確保しておくべきでは?)と集中力が削がれてしまった形でしたね。
そういった諸々が伏線なのかと思いきや、全然そんな事は無かったという意味も含めて、終盤の展開が本当に残念。
「作中で明かされた真相に納得がいかなかった」というパターンの為、ついつい文句を並べてしまいましたが、以下は良かった点を。
まず、導入部から展開がスピーディーで「異常な犯人、シンブンシの目的は何か?」と観客にも推理させていく流れは、とても楽しかったですね。
映画の構成としては、序盤は刑事側の目線で事件を追いかけていく形であり、中盤以降に主人公=犯人へと視線転換して、その背景が明かされる訳ですが、順番が逆だったら冗長な話になっていたでしょうし、この導入部には「掴みが上手い」と感心。
主演の生田斗真の力によって、新聞紙で覆面をして犯行予告するシーンでも、ダークヒーロー的な恰好良さが醸し出されており、作中で彼らの賛同者が生まれていく展開に、さほど不自然さを感じさせなかった辺りも有難かったです。
ここのハードルをクリアしてくれないと、作中の世界観が根底から崩れかねないので。
犯人グループが仲良くなっていく過程も、短いながらも丁寧に描かれており、青春ドラマとしての魅力も備えている形。
主人公の「友達が欲しい」という夢が叶っていたのを示す、和気藹々としたやり取りを、最後の最後に持って来て、カタルシスを与えて終わらせた辺りも、上手かったですね。
ここで「良い友達を持つ事が出来て、幸せだ」などと口に出しては言わせず、主人公の表情や音楽などで伝えてみせる演出は、本当に好み。
決してハッピーエンドではないはずなのに、それに近い味わいがありました。
色々と気になる点は多かったのですが、それらを差し引いても面白かったし、良い映画だったと思います。[DVD(邦画)] 6点(2016-12-28 12:09:22)(良:1票) 《改行有》
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