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プロフィール
コメント数 1016
性別 男性
ホームページ http://blog.livedoor.jp/gepper26/
年齢 37歳
自己紹介 いつまでもこどもでいたいから映画は感情で観る。その一方で、もうこどもではいられないから観終わったら映画を考える。その二分化された人間らしさがちゃんと伝わってくる映画が好き。

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21.  その街のこども 劇場版 《ネタバレ》 映画は祈りです。誰かの幸せや平穏な日々や、 健康などを誰にともなく、手を合わせ祈っている、 それが映画の隠された一面です。 どうかあの人が、どうかあの人が、どうかどうか、 そうやって目を硬く閉じて祈っているのです。 この映画は、今を生きる多くの被災した方々への 祈りです。 まさか、公開された2ヶ月先に阪神淡路大震災と並ぶ 日本の歴史に深く刻まれる大震災が起きるだなんて、 誰が想像できたでしょう。 今この瞬間もその街のこどもが、彼らが15年前に 感じた痛みと同じように感じ、苦しんでいる筈です。 否応なく容赦なく、執拗に深く深く。 そう思うと胸が痛くてしょうがなくなります。 だけど、だからこそこの映画には意味があるはずです。 手持ちカメラでまさに今その瞬間に呼吸する二人の痛みと、 心の触れ合いを、触れる事ができてしまいそうな距離感で、 直に感じれました。 目の前にいる人の言葉を目を見て聞いているかのような錯覚は、 ドキュメンタリーでもそうそう感じれないけど、 ちゃんとドラマとして二人の背景がその瞬間に見え隠れするから、 深く深く届くのだと思うのです。 歩いて歩いて、言葉を交わし、思いをぶつけ合う。 耐震強度の矛盾に苦しみながら建設業を続ける彼と、 トラウマに縛られ続けている彼女が、 その日と向き合うまでの時間。 特筆すべきは、一つだけ光の灯った部屋に 向かうまでのその光は、トラウマそのものであって、 恐怖でしかないのですが、戻ってきた時にはその光は、 とっても温かいものに変わって映るのです。 それが人です。 向き合うというのは、知りたくないことを知り、 時に傷を深めることもあると思います。 彼女はその日に向かって走った、では彼は? 来年にする、そう言い残して歩いて行きます。 二人のほんの少しの変化が、身近に感じられ、 強く心に響きました。 どうか、忘れないで欲しい。 どうか、知って欲しい。 どうか、早く笑顔が戻って欲しい。 この映画を観たら祈らずにはいられません。 [DVD(邦画)] 9点(2011-07-17 13:02:54)(良:1票) 《改行有》

22.  マイ・バック・ページ 《ネタバレ》 赤軍も学生運動も、その出来事を日本の歴史の一部 としか捉えることのできないぼくにとっては、 この時代に何が起き、どうしてそうなったか、 という事実性はもちろんのこと、 それによって翻弄される社会がどういう 状態だったか、というのは とても新鮮な情報として ぼくは受け取ることができた。 映画はドキュメント的に、 多くの人に世界情勢や社会問題を 知ってもらうための媒体として 使われることもしばしばあり、 この作品に関して言えば、 学生運動に荒れるこの時代の 人間たちの姿というのは、 知っておく価値は十分にあった。 若松孝二監督の「実録連合赤軍」に 関しても、まずは何が起きていたのか、 という事実を知るにはもってこいの 作品だった。 ただ、事実を知るだけなら教科書で言い訳で、 せっかく映画を観るのなら、そこに映し出される人間たちを 通して、監督が何を描きたかったのかが、 見えてこなければ映画にはならない。 若きジャーナリズムに燃える青年と、 口の達者な運動家の青年を通して、 ぼくが感じたことは、 幼さに尽きる。 両者とも、至る所は後悔の淵で、 つまり後先考えず、衝動と流行りに 身を任せてしまった愚か者なのだと思う。 互いに言いたいこと、やりたいことは あったにせよ、 しかしながら劇中でも描かれているとおり、 論理が纏まっていないように思えた。 ようするに、流行りに流され、 自分の意思が固まる前に 衝動的に動き出してしまった あさはかな若者でしかないのだと。 さらには、連載誌も終わるまさに流行りの末期で、 若者の多くが抱える自分も何か時代に名を残したい、 という願望も合間っての愚かさだったに違いない。 そんな二人こそ、その時代の象徴なのだと感じた。 監督の同情ではないにしろ、 その時代を覆う大きな哀しみや痛みに対しての、 その肩にそっと手を添えるような 優しさは見えた気がした。 ただ、山下監督の「天然コケッコー」 以来の新作がこれ、というのは癪然としない。 人間の滑稽で愚かだけど、ユーモアに満ちた姿を 豊かに描ける山下監督が、 なぜこの作品を撮ったのか、 納得のいく回答をこの作品から見出せないのが残念だった。 [映画館(邦画)] 7点(2011-07-09 08:41:06)《改行有》

23.  星守る犬 《ネタバレ》 この作品の最大の欠点は、 ハッピーの感情がまるで 上手く描かれていない点にあると思う。 死を目前に控えた西田敏行さんを 傍に常にいるハッピーが どう思っているかが、 観客の最大のカタルシスに つながる筈なのに、 ハッピーの気持ちが常に ただそこにいるだけ としか描かれていないため何も感じられない。 悪く言えば、ただ西田敏行さんに 連れ回されている犬としか 見えてこない。 動物映画の難しさはわかる。 どんなに調教された犬でも、 集中力は短いし、 感情を持っているかのような 芝居というのはなかなかできない。 でも、ハッピーの感情がわからないのは、 監督の無精としか残念ながら言いようがない。 そう見えるように努力した様が まるで見えてこない。 たとえば、泣かせの一回目である 西田敏行さんがハッピーと 別れようとした時の鎖に繋がれた ハッピーが西田敏行さんの元に 向かおうとする姿は、カットを割り過ぎで、 監督の「こうすればこう思っているように見えるでしょ?」という 掌が見えた気がして馬鹿にされてる気がした。 さらに、西田敏行さんが死を目前にしているシーンで ハッピーが西田敏行さんの手をなめる。 わかりにくい! 心配の表現にすら見えない。 さすがに鈍感すぎるだろう。 死を目前にしていることくらい 本能的に気づけよ! 馬鹿犬に見えてしまっているぞ! なめるより、低く唸るような寂しそうな 鳴き声にするとかして欲しい。 説明的にならないようにしているのかもしれないが、 相手は犬なのだから、もっともっと わかりやすく表現しないと 抽象的過ぎてよくわからん! 終盤はもはや誰目線? この世を去ったハッピーの回想? そこだけ説明的! 終始ハッピーの感情がわからない故に、 この手の作品に重要な 別れの予感による重圧的な悲しみ、 緊張感が一切ない。 そしてその大打撃に加え、 玉山鉄二と川島海荷も感情がわけわからない。 西田敏行さんの死を目前にしながら、 最愛のハッピーと共に死に場所を探す、 その芝居が豊かなだけに、 二人の行動の動機が弱いので、 勝手にやってろ、な気分を終始 抱かされた。 この監督は台本に沿って人物、 ハッピーを動かしているだけで、 そこに感情の豊かさが微塵もない。 この監督は人間にも動物にも興味がない ことだけがぼくには伝わった。[映画館(邦画)] 3点(2011-07-03 18:30:21)《改行有》

24.  奇跡(2011) 大人には疑いがある。 迷いがある。 諦めがある。 己の人生に見切りを付け、 境界線をいとも簡単に引いてしまう。 これはやる、やらない。 これはやれる、やれない。 ぼくらはいくつもの限界と現実を、 この体と心で感じ、 知りもしない事を知ったように口にし、 知らない事に興味も示さなくなる。 大事な事はずっと昔に知っていたのに、 年を重ねて目を逸らす。 純粋で汚れのない、 まっすぐな眼差しの先に 見えているのは、その瞬間でしかない。 その瞬間に全力を注ぎ、 全力で気持ちを表現する。 笑い、走り、ときめき、夢を抱く。 いつからか 恥ずかしくなってしまったそれらの 輝きが、この映画からは惜しげもなく溢れている。 この映画は生き生きと輝いている。 映画館で観れて本当に良かった。 [映画館(邦画)] 9点(2011-06-14 00:54:48)(良:1票) 《改行有》

25.  八日目の蝉 《ネタバレ》 冒頭で、 被害者に向けて 感謝を口にする。 終盤で、 第三者に向けて 口にする言葉。 同じ1人の女が口にした言葉が、 鑑賞後に初めてつながる。 謝罪や反省の気持ちより、 女の中であふれる想いは、 我が子が自分に向ける笑顔、 我が子が自分を呼ぶ声、 小さな手、男の子用の服が似合う姿、 その全て。 だから、それ以外の言葉が出てこないのが、 心底理解できてしまう。 乗船場で女が最後に口にした言葉は、 我が身の保身でもなければ、 傲慢で身勝手な想いでもない。 そこにあったのは、 我が子を心の底から想う、 母の見返りを求めない、 一心不乱で頑な深い愛情だった。 好きや愛してるよりもずっとずっと、 心のこもった言葉。 与えるだけで 心が満たされる唯一のそれ。 だから、感謝しかない。 そして、それを与えられてしまったら最後、 それの温もりは一生忘れられない。 本物の家族の為、 忘れよう、 思い出さぬよう、 そうしていたそれが、 溢れかえり、抑えきれなくなった時、 それのあまりの深さに気づき、 膝が崩れ、泣き崩れた娘の、 最後の言葉がその全てだった。 ふつうに生活をしていたとしても、 それが得られる保証はない。 彼女が得ていたそれが、 ぼくの目には不幸で幸いな 八日目の蝉だった。 [映画館(邦画)] 7点(2011-06-05 22:27:46)《改行有》

26.  インシテミル 7日間のデス・ゲーム 《ネタバレ》 内容がないです。人を疑わない男が最後まで疑わない話ですけど、一体それの何が面白いんですか?疑わない人間が人を疑うから人間というえげつない生き物が見えてくるのではないですか?状況の変化を見せているだけで、結局最初から最後まで、何も考えさせてくれてない、何も触発されない、内容のない、薄っぺらい映像の羅列でしかありませんでした。[DVD(邦画)] 4点(2011-03-18 11:08:03)

27.  冷たい熱帯魚 人間の可能性は、果てしなく無限。それは、まさに宇宙の如く。大変残念なことに、基本的に人間は綺麗好きだから人間とその人間の住む世界を美化し過ぎてしまう。 人間とは優しく、愛に満ちていて、信じ合うことができる。そう、きっとそう。でもそれだけじゃない。人間にとってそれらは陽のほんの一部に過ぎず、それと同じくらい人間は憎しみ合い、殺意と隣り合わせにあり、そして簡単に殺し合う。人間のこれまで生きてきた短い短い歴史がそれを明確に物語っている。人間、生きていれば幸せだと感じれる瞬間もあるが、それと同じくらい、苦しみ、己を不幸だと、つまらない人生だと嘆いている瞬間もある。ただ、そっちがわに目を向けてしまうと気持ちが沈んでしまうから目を向けないだけであって、生きているというのはその両方があって、その両方をちゃんと受け入れなきゃいけない。陽が当たる場所には必ず影があるものだから。 そして、人間なんて簡単に死ぬ。人格や性格なんてもっと簡単に姿を変わる。理性なんて、たかが知れてる。本能には逆らえない。深い深い欲望の下にいる、生きようとする本能。 ぼくには十分伝わった。不器用で引っ込み思案、そして人見知りの激しい監督が、子供みたいに捻くれた思想を眠れない夜に酒に頼って死に物狂いで作ったこの作品の想いが。 泣きながら人の命がどうとか映画で描くのも良し、殺人者をただただ狂った人間だと描いたり語るのも良し、なんでもあり。 だけどぼくはやっぱり、これだけ遠周りなやり方でしか人間を描くことができない監督が、ぼくは本当に好きだ。 人間の残忍で冷酷な面を見せつけられ、ただただ幸せになりたいと願っていただけの男が、人殺しになる。誰もが、その可能性を秘めている。[映画館(邦画)] 9点(2011-02-04 10:11:40)(良:2票) 《改行有》

28.  さんかく 《ネタバレ》 変態、最高!「なま夏」で強烈な変態の片鱗を見せつけられ、「つくえのなかみ」で確信へと変わる清潔感のない、ださくて愛おしいほどの変態の美しさに感動し、そして「純喫茶磯辺」で期待し過ぎでがっかりしたぼくの心を、爽やかだけど鳥肌が立つほどの気持ち悪さで心癒してくれた本作「さんかく」名作の誕生である。日本人として、日本映画に期待するのは共感である。登場人物と同じ目線で出来事に遭遇し、揺れ動く思いを理解でき、同じ思いで打開策を想像し、時に落胆し、高揚し、期待する。男の思い代表である高岡さんの気持ちが、なんの隔たりも、澱みもなく、100パーセントわかる。男だから。スケベで下心だらけで、女性よりも愚かな事にロマンチスト。大変残念なことに自分でもそうなりそうだから、見ていて猛烈に苦しくなる。共感の渦。男心を見事に描いている。また、変態な監督はこれまでも女性を好き勝手描いてきたが、この作品ではこれまでにないほど丁寧に、自然な行動や心理の境界線を逸脱しないギリギリのラインで描いている。小野恵令奈のしたたかで、妙に色っぽい感じ素晴らしい。田畑智子さんのウザい芝居、その存在感、素晴らしい。どの人物もどこにでもいそうな人間でありながら、その三人を同じ屋根の下に住まわせた時の化学変化を、強引さや人為的な展開で動かすのではなく、人物の思うがままにまかせたのが素晴らしい。きっと、脚本を俳優が手にした瞬間にこうなるのはある程度分かっていはいただろうが、そこへ監督の変態エネルギーが注がれ、調和した変態芝居を丁寧にカメラで切り取った結果、この作品は必然性のもとに誕生したのだと思う。映画作りに置いて、面白くなる要素である三角関係、裏切り、超えられない壁が見事に描かれている。これは、まぎれもない変態な名作だ![DVD(邦画)] 9点(2011-01-31 17:52:26)(良:2票)

29.  SPACE BATTLESHIP ヤマト 《ネタバレ》 ファーストカット、ファーストシーンはもうスターウォーズの真似でしかないですね。巨大宇宙船のフレーム上手からのフレームイン。なんどとなくスターウォーズで披露された、最もインパクトのある登場の仕方です。これをやるということは、つまり日本だってこれだけのことができるんだ‼というアピールでしかないと思います。 驚きはありました。へぇーってくらいの。が、しかし人物の芝居と重なるカットや具体でいえばヤマトが発進するカットなどはやっぱり違和感を感じずには観れません。 VFX全体のできでいえば、多分ぼくの観た限り最高の出来映えの作品だと思います。 しかし、この作品は根本の本が大変お粗末だと思います。まず、物語が一週間くらいの話にしか観えないのです。内容的にはきっと一年くらいの物語にしたかったのでしょうが、全ての日付が繋がった数日間に見えてしまい、それに応じて全ての人物の感情の流れが納得のいかない内容になっています。 数日で弟のように思っていたと言っちゃう人、ワープ中にキスだけに留まらずやることやっちゃう人、やることやらせて身籠っちゃう人、数日で館長代理に任命しちゃう人。 全てにおいて、収まり切るはずの内容が詰め込まれ盛沢山を越えて、そのほとんどがこぼれちゃったような内容。 中盤を過ぎた頃にはもうすでに、納得できない物語、理解に苦しむ人物の感情に完全に置いていかれ、終盤は全てがぼくの目には滑稽にしか映りませんでした。[映画館(邦画)] 6点(2010-12-07 18:19:01)(良:4票) 《改行有》

30.  告白(2010) これを映画と認めたら、映画が失われる。 せめて、血の通った人間を描いてほしかった。[映画館(邦画)] 0点(2010-11-03 19:22:10)(良:2票) 《改行有》

31.  ディア・ドクター 《ネタバレ》 伊野が偽ってまで医師になろうとした動機は定かになっていないが、想像する事はできます。一つは、年間2,000万円という大金目当て。そうとうお金に困っていたのかな?バックグラウンドはあまり描かれていませんが、お金が必要な家庭で育ったようには見えませんでした。この時点で、お金目的ではないことは理解できます。西川監督の演出上でも、そのような印象を受けない人物でした。ただただ伊野は村長に頭を下げられ、心が動いたのでしょう。さほど大きな理由もなく、ただ「やってみるか」くらいの気持ちだったのではないでしょうか。だから月日が経つにつれて、高齢化の進む村での命と隣り合わせの状況の辛さや、極端なまでの期待、絶対の信頼を向けられる重圧、プレッシャーなどが募りに募り、潰れそうになっていたのではないでしょうか。命の重み、老人の苦しむ姿、家族の温もり、それらすべてが鉛のような罪悪感となり、伊野の背中に伸しかかり、逃げ出すしか術がなくなっていたのではないでしょうか。ラストのドキュメンタリータッチの描写は伊野を否定しているが、僕には肯定に見えて仕方ありませんでした。[映画館(邦画)] 8点(2009-09-11 16:20:07)

32.  恋文(1985) 《ネタバレ》 夫と浮気相手の江津子が目の前でキスをしているのを見ている郷子の表情や江津子の腰を狂ったように両手の拳で叩いているときのあの姿。全てに見えたのは“嫉妬”でした。どうしようもなく駄目な夫を、どうしようもなく愛し、求めてしまう郷子の想いを痛いほど感じました。江津子の、死に向かっているのに愛を求め、愛されて、愛してしまうその関係は本当に切なく、それを見ていた郷子も江津子の思いを汲み取り理解し、そしてその関係を羨ましく思ったのだと感じました。その郷子の心の変化が、健気で優しくて、悲しすぎて、僕は郷子を抱きしめてあげたくなってしまいました。郷子も愛に飢えていたからこそ、夫を求め、振り向いてもらえずに別の男に抱かれたのだと思います。その姿があまりにも可愛そうで、この物語がどこへ落ち着くのか、とても期待してラストシーンを見つめました。扉挟んだ向こう側にいる夫。たった一枚の扉が、越えられない。越えたいけど、越えられない。後悔や申し訳なさや愛おしさや引け目が、夫の躊躇する姿からビンビン伝わり、その決断の悲しさにゾクゾクしました。全ての登場人物たちを包む、神代監督の優しさに感動しました。[ビデオ(邦画)] 9点(2008-08-21 19:21:52)

33.  きみの友だち 《ネタバレ》 全編を通して驚くほどベタのオンパレードですけど、それでも観れてしまうのは、それが何より共感しやすい物事だからだと思います。しかし、あまりにも真ん中にある二人の女の子だけの話だけだと流石に萎えてしまいます。それを回避するためにある種のオムニバスのような構成になっていたのだと思いました。天井の画とか卑劣なほどベタですが、憎めないです…素敵だから…色々と想像できてしまうから… この作品で問いたいのは、「友」とは?だったと思います。本当の友情を求める少女、片思いのような友情に縋りつく少年、あまりにも不器用すぎて友情を築けない少年。それぞれ抱える想いがどっかで真ん中の物語に重なってくる。それは自分の記憶にも触れてくるから涙が出てきて厄介でした。良いお話過ぎて、ちょっと鼻に付きますが、それでも貶し切れない素敵な作品です。[映画館(邦画)] 7点(2008-08-21 18:59:04)(良:1票) 《改行有》

34.  ぐるりのこと。 《ネタバレ》 映画は救いだと、ある監督が言いました。この作品はまさに救いであり、希望だと思います。何事にも真面目に取り組む頑張り屋の翔子とだらしなく見える法廷画家のカナオ。皆そうなんだろうけど、頑張りすぎるとネジが外れて、崩れてしまいます。苦しいときに苦しいと言えず、悲しいときに悲しいと言えない、そのあまりにも急過ぎる時間の流れの中で、翔子はまるで溺れないようにもがいているように見えました。そんな疲労や苦痛が積もりに積もってしまった翔子は、崩れてしまったのだと思いました。だけど、そんな中でも、翔子のそばにいたカナオはどんな時も目を逸らさず、逃げず、抱きしめ、受け入れようとしているように見えました。現代社会には、人それぞれ異なった人生を歩み、それぞれの事情を背負っているのが当たり前なのに、その抱えているものも見ようともせずに頭ごなしに否定する人々や結果だけ見て、全てを判断してしまう人々、そして生きることは答え合わせではないはずなのに、間違いを恐れ、思い込みに捕らわれ、頭でっかちで凝り固まった考えしかできない人々など、それはもうたくさんの人がいます。それらの常識と呼ばれる凝り固まった考えに橋口監督は「二十才の微熱」の頃から疑問符を投げかけ続けているように思います。その橋口監督の考え方は、簡単に言えば他者への感心や尊重だと思います。ラストのカナオの台詞にも「人、人、人」とありますが、社会は人の集まりなのでそこから逃れることも目を逸らすこともできないのですが、それでも社会は他者への興味、関心、尊重が薄く感じられます。そんな世界で、橋口監督が描いたカナオという人物の、まわりの人間に関心と尊重をしっかり持つ姿勢にはすごく感動しました。法廷であろうと、妻に対してであろうと、ご近所さんであろうと、道を歩くあかの他人にであろうと、彼は関心を持ち、他人を尊重していたように思います。それは理想でしかないのかもしれませんが、僕はあのカナオの姿を目指したいと思えました。[映画館(邦画)] 9点(2008-08-13 19:12:47)(良:3票)

35.  純喫茶磯辺 《ネタバレ》 この作品は、はっきり言って吉田監督の前作「机のなかみ」ほど“何か”がある作品ではありません。「机のなかみ」には痛みがあります。青春の痛みです。誰もが少なからず経験する痛みを鑑賞中はしっかり共感し、共有し、主人公の少女に自分をダブらせ観る事ができます。でも、今作はそれが難しいです。 一貫してあるのは、ギャグというか、「机のなかみ」でもありましたが、吉田監督がやりたいことをやっているというのはわかります。例えば、主演の仲里依紗さんに不細工なイビキをかかせたり、宮迫さんに輪ゴムをぶつけたり、麻生さんが片足素足だったり、コスプレであったり、まぁ、とにかく女の人を好き勝手に扱いたいのだと思います。ある種の理想を描いているのでしょう。ですが、この作品ではそれがあまり上手くいっていないと思います。「机のなかみ」ではラストに向かうに連れて怒涛の理想像が爆発しています。可愛い女子高生が(大量の鼻血&オケツ丸出し→可愛らしく抱きしめたくなるような号泣→豪快に、爽快にホームラン!)という流れです。理想(あるいは妄想?)がちゃんと連なって感情を乗っけています。でも、この作品ではそういった連結した感情のシーンがありませんでした。麻生さんはその存在だけで魅力的だけど、問題は娘を演じた仲里依紗さんです。彼女の人物像だけが妙にキチッとしすぎていて、あまり奥行きがないというか、とにかく面白くないのです。イビキや自分の足の臭いを気にして引っ繰り返ったり、危うく盗撮されかけたりするのはいいんですが、もっと感情で連なっていて、尚且つ面白くて魅了的であって欲しかったのです。ナレーションとか微妙な回想とか使うのではなく、「机のなかみ」のように強引でもいいので引っ張っていて欲しかったです。結局、面白みも魅力もないので、彼女が父と仲良くなるってだけの話で終わっているので、「机のなかみ」の少女ほど面白くも魅力的にも感じれなかったのだと思います。期待してしまっただけに残念です。次作の女性に期待致します。[映画館(邦画)] 6点(2008-08-13 18:10:33)(良:1票) 《改行有》

36.  赫い髪の女 《ネタバレ》 感情を言葉で表現するのは容易い。だけど、そんなの感情じゃない。「大嫌い」と言えば「大好き」になるし、「出てけ!」は「いてください」だし、人間の言葉はそのまま受け取れるはずがない。それに、たとえ、本心で「好き」と言っても、そんなの十分の一も伝わらない。それが言葉。だから映画は本当の人間の感情を描くという点で、台詞を多用しないよう、昔から数々の表現方法で映画を作り、人物を描いてきたのだと思う。そういった意味で、この作品はまるで映画の教科書のような作品だった。登場人物たちの生々しくも、活き活きとした姿に人間を感じ、そして生きることにとことん苦戦している人間たちを見て、彼らの溢れんばかりの感情をはっきりと画面の中に見た。言葉と行動の矛盾に愛おしさを感じた。ドロドロしているけど、キラキラしていて、大人の行動のように見えるけど、その奥にある弱さは子どものようだった。僕は素敵な人間たちが観れて、幸せでした。[ビデオ(邦画)] 9点(2008-08-09 23:11:45)

37.  百万円と苦虫女 《ネタバレ》 この作品はとにかく蒼井優さんが素晴らしい。 彼女が町や村を転々とするのは、彼女が寂しがり屋で臆病で、弱い人間だから。人と関わるという事は、とにかく面倒なことで、迷惑をかけたり足を引っ張られたりするものだと思う。それは社会で生きるなら逃れられないことで、それから100パーセント逃れようとするのなら、社会の存在しない無人島に行くか、生きることをやめるしかない。だけど、彼女がそこまでしなかったのは、生きていたいからで、誰かとどこかで繋がっていたから。彼女は逃げて逃げて、でも最後は逃げたのではなく、別れたのだと思う。物語はある種のオムニバスのように、目的を果たすたびに住む町を変え、そこで出会った人との繋がりが、彼女を少しずつ変化させたのだと思った。 恋に落ちた瞬間も、弟への申し訳なさも、愛した人と別れる瞬間の力強い表情も、全てが変化の着地点に見え、その全てのカットが記憶に鮮明に残っている。 でも、彼女の弱さや脆さは誰しも心の奥に持っているものだから、彼女の心の小さな小さな起伏をしっかり掴むことができたのだと思う。そして、それが掴むことが出来たのは、蒼井優さんの演技が素晴らしいからであり、それを搾り出すように引き出すことに成功したタナダユキ監督の演出あってだと思った。[映画館(邦画)] 8点(2008-08-09 22:43:35)《改行有》

38.  セーラー服と機関銃 《ネタバレ》 「ションベンライダー」同様、登場人物たちの感情がさっぱりわかりません。行動には必ず動機が必要ですが、この作品に出てくる子どもたちの行動の動機がまるで納得できませんでした。一体なぜそんな発言が出てくるのか、なぜそんな行動ができるのか、どれもこれもさっぱりわかりません。この作品の公開当時は、理解できたのでしょうか。あの時代の子どもたちは皆、あんな感じだったのでしょうか…[地上波(邦画)] 5点(2008-08-07 22:15:32)

39.  赤線地帯 生きることの難しさや苦しさを、初めて知ったかのように教えられる。まるで現代のワーキングプアのようだった。がんばってもがんばっても報われず、現実の前ではやりたくなくてもやり続けなければならない。全ての人間の事情を考慮して全ての人間を描く辺りに、溝口監督の人間に対する慈愛の精神を強く感じる。人間の優しさや奥ゆかしさを強く感じた。時代の急な変化や流れに適応しきれず苦しむ人々と、それをはたから見ている一方的かつ断定的な人々。全て人。それぞれ生まれてきた場所がちがっただけ。みな、人間。それを最も強く感じた。[DVD(邦画)] 8点(2008-06-29 19:04:24)

40.  女は二度生まれる 《ネタバレ》 美しい彼女は誰も愛した事が無いのかもしれません。それは同時に、誰にも愛されたことがないという事なのかもしれません。愛しているフリ、愛されているフリ。全てが虚像の中で、自分を演じる自分を見つめているかのようだった。悲しげな表情も、嬉しそうな表情も、全てが嘘。誰に対してもそんな表情をしているから、いつもの間にかどれが本当の自分で、どれが本当の気持ちなのかわからなかったんじゃないだろうか。それでも、生きるためにはしかたがない。これから彼女はどこへ行くのでしょう?本当の愛を探すのか、本当の自分を探すのか。最後にベンチに一人で寂しく座る彼女の姿はまさに孤独だった。ようやく望んで一人になった彼女。これから彼女は何を目にし、どうなっていくのか、ぼくは悶々と想像していようと思います。あの、若いクソガキのように。[DVD(邦画)] 9点(2008-06-29 18:47:52)(良:1票)

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