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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 215
性別 女性
ホームページ http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/
自己紹介 正直、生まれは平成じゃないです。かなり、昭和なムード。昔みた映画を思い出しながらレビューしますので、記憶がずいぶんあやふやかも。なにか変なところがあったら、http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/のほうにツッコんでおいてください。

好きな女優
 「或る夜の殿様」の山田五十鈴、「近松物語」の香川京子
好きな男優
 「お茶漬けの味」の佐分利信
好きなキャラクター
 グレムリンちゃんとマシュマロマン

☆評価基準
10点:超絶。ほとんど奇跡。
9点:傑作。かつ大好きなんだもーんッ!
8点:傑作だし、好きデス。
7点:素晴らしいです。好みの映画です。
6点:まあ、悪くないと思います。
5点:なにか気になるものはあります(~~;

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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21.  眠狂四郎 人肌蜘蛛 《ネタバレ》 GYAO の無料動画で視聴。安田公義はこれで4本目。ここまでひとつもハズレなし。 序盤の奇天烈な構図やクローズアップやカット割りは、ちょっと鈴木清順を思わせるところもあるし、イタリアの変態モンド映画みたいでもあるし、荒涼とした射場の風景はマカロニウエスタンのようでもありました。そんなふうに序盤はかなりバタ臭い色彩とキワモノ・ゲテモノぶりを前面に出していた。 ところが、終盤になると、むしろ抑制された文体で乾いた表現に徹していて、まるで古典文学のような味わい。これがたまらなく渋い!そしてやっぱり美しい。内容はどう考えてもただのエログロなのに、不幸な出生を負った者たちの無残な最期を描き切って、文学的な風格を感じさせて終わるから、たんなるキワモノ映画には思えなくなるのですよね。途中までは7~8点のつもりでいましたが、最後には9点つけようと思わされました。 紫も須磨も、やはり狂四郎に惚れてしまうのですね。脚本的には、一閑が家武を殺してれば済んだ話じゃないの?…って気もするけど、そこらあたりが欠点になるかどうかはよく分からない。[インターネット(邦画)] 9点(2023-01-18 10:13:33)《改行有》

22.  座頭市喧嘩旅 《ネタバレ》 GYAO の無料動画で視聴。「大魔神」「眠狂四郎魔性剣」に続いて安田公義は3本目。すっかりファンになってしまった。ちなみに勝新の座頭市はこれが2本目です。だいぶ前に三隈研次による第一作を見て、そのシャープな画面とファンタジックな演出に興奮した記憶があるけど、レビューは書いてなかったみたい。 今作は「座頭市を抱き込んだヤクザ」と「お姫様を人質に取ったヤクザ」の大喧嘩という設定。黒澤明の「用心棒」の2年後に作られていて、砂埃の道を縦にローアングルで撮るなどのパロディっぽい要素も見受けられる。「大魔神」よりも3年前ですが、障害物をなぎ倒すように敵を追い詰めていく姿や、四方八方からの荷車攻撃にもビクともしない姿などは、ほとんど大魔神さながらに見えてしまいました。 脚本にはちょっと嫌なところもあって、目当ての娘を手籠めに出来なかった腹いせに家来に追っかさせて殺そうとするバカ殿を叩き切れなかったのも不満だし、バカ殿から離反した家来がその後どうなったか描かれないのも不満だし、疑うことを知らないウブなお姫様と色欲に目が眩んだっぽい市がちょっとイイ感じになったりするのも気持ち悪い。また、CGを凌ぐほどの神懸った勝新の殺陣には若干の恐怖さえ覚えます。 しかし、それでもやはり安田公義の様式美の魅力がすべてを包み込んでいるし、上記の欠点を補ってなおお釣りが来ます。竹林の中を歩くシーンや水辺でお握りを食べるシーンには「羅生門」や「雨月物語」のような神秘性を感じるし、夜の駕籠屋の入口を撮った画面の絵画的な美しさにもウットリします。もはや安田公義に7点以下はつけられない感じがしてきました。 追記:(考えてみたら当時の勝新は結婚したばかりの32才ですごく若いのですが、劇中の設定は「でっぷりした中年男」となってるのですね。藤村志保は当時24歳ですが、映画を見ると十代の生娘のようにも見えます)[インターネット(邦画)] 8点(2023-01-16 09:47:34)《改行有》

23.  思い出のマーニー 《ネタバレ》 なるほどね。とても良く出来ている。大林宣彦の「さびしんぼう」の物語に似ていますが、大林のほうがこの原作を読んでいたのかしら? さらにこのアニメは宮沢賢治も引用して、より普遍的な構造に組み立て直したのでしょう。ついでにいえば、じつは松田聖子も引用されてる感じ(笑)。そこらへんの話は長くなるので自分のブログにでも書きますが、簡単にいえばイマジナリーフレンドとの交流がもたらす成長物語なのですね。基本的には反復されてきたモチーフの組み合わせでしょうけれど、とても綺麗にまとめられているし、作画や音楽の美しさにも不満がありません。8点です。[地上波(邦画)] 8点(2023-01-14 00:18:24)

24.  鯨神 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。 捕鯨に取り憑かれた奇怪な村落共同体を描いたインモラルなプロレタリア映画。宇能鴻一郎と新藤兼人は、近世捕鯨を経済行為や食文化としてではなく、あくまでエロスとバイオレンスに突き動かされた人々の狂気の営みとして、男尊女卑もはなはだしいプロレタリアートの視点から捉えています。したがって、これは本来なら日活や近代映画協会あたりで制作すべきだった題材ですが、なぜか芥川賞受賞の直後に大映が権利を買い取ってしまったのですね。そして、あろうことか東宝の特撮映画を模範にしてしまった。 しかし、同じ特撮映画とはいっても、文明批判をテーマにした「ゴジラ」と、反理性的な習俗をテーマにした「クジラ」とでは、まるで方向性が逆だというほかありません。しかも終盤の特撮映像の嘘くささは、かえってリアリズムに逆行し、本来あるべき神秘性を損ね、たんなる安っぽい怪物映画にまで貶めています。 田中徳三の演出で勝新太郎が出演していますが、どこにも大映時代劇のような様式美は見られないし、伊福部昭が音楽をつけて志村喬が出演していますが、どこにも東宝特撮映画のような科学的理念は見当たりません。結果としては、やはり日活や近代映画協会のような野蛮かつ土俗的なテイストに帰着している。 特撮の安っぽさを大目に見れば、これはこれで成立してる気もしますが、だからといって、この映画や原作小説を引き合いに商業捕鯨を正当化できると思い込む人間がいるなら、途方もない馬鹿だと言うほかないでしょう。そんなことをしたら、かえって捕鯨文化の狂気と前近代性を世界中に触れまわることになります。[インターネット(邦画)] 6点(2023-01-11 04:12:02)《改行有》

25.  眠狂四郎 魔性剣 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。以前から興味はあったけど、眠狂四郎シリーズの作品をちゃんと見たのは初めて。 とても面白かったです。ひたすら様式美だけを楽しむ映画かと思っていましたが、けっこう敵味方の入り乱れる複雑なお話で、予想以上に渋い内容。結局、悪女のおりんさんは狂四郎に惚れてしまうのですね。 不思議なエキゾチズムにエロとグロが混じり合って奇天烈かつエグい世界観を作っていますが、けっして湿っぽいのではなく、むしろドライな印象を受けました。ひとつひとつのカットも構図が美しく、説明的な描写を排除して、75分という手頃な長さに内容が充実している。 キリシタンが弾圧されていたはずの時代に、江戸の大奥と転びバテレンの黒ミサが癒着していて、それを金儲けに利用している家老が幕府に黙認されている…、という巨悪の構造はよく分かりませんでした。もうすこしシリーズの他の作品も見てみないと、物語の構造や背景が分からないのかもしれません。[インターネット(邦画)] 8点(2023-01-10 00:22:37)《改行有》

26.  コンフィデンスマンJP 英雄編 《ネタバレ》 3人の騙し合いかと思いきや、その外側をいくドンデン返し。脚本もよく練られているし、マルタ島の映像も綺麗に撮れている。日本のタレントだけで漫画っぽい世界観を作る手法も功を奏していて、意外と海外の風景に違和感なく収まっている。とくに欠点らしい欠点も見当たらないのだけど、さすがに「コンテンツとして飽きが来てる」感は否めない。長い序盤部分を「どうせドンデン返しなんでしょ…」という冷めた気持ちで見なきゃいけないのが辛いところ。 キャラクターはそのままに、このパターン化した構成だけを塗り替えることができれば、まだコンテンツとして延命できる余地があるかも。[地上波(邦画)] 7点(2023-01-09 21:32:03)《改行有》

27.  大巨獣ガッパ 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。 愛すべき日活の怪獣ネタ映画です。 エチオピアあたりでも大ヒットしそうな美樹克彦の演歌ロック調の主題歌(=米山正夫)!バラエティ番組のコントみたいな島の原住民&噴火のスタジオセット!プラモデルにしか見えないミニチュアの潜水艦&戦車!ガッパの口からビームでことごとくやられる戦闘機群!ツッコミどころというより、あきらかなネタでしょ…。 不知火の海から現れた2体のガッパはどう見てもアマビエなのだけど、岩穴から出るときは頭がデカすぎて引っかかりそうだし、建造物を壊すときは手が短すぎて空振りしそうだし、何か踏みつぶすときも崖っぷちを歩くときもバランスを崩して転びそうだし、いちど転んでしまったら自力では立てなそうなので心配になります。この時代にして「ゆるキャラ」の資質をすでに先取りしています。ガッパ親子の感動の再会シーンは、斬新すぎて何を見せられてるのかよく分かりませんでした。エンディングは性懲りもなくエチオピアあたりでヒットしそうな美樹克彦の演歌ロック!二度も聴いたので、もう耳から離れない。 唯一にして最大の難点は、ガッパが登場するまでの踊りやら探検やらのくだりが退屈なこと。8点つけちゃおうかと思ったけど、冷静に考え直して7点。[インターネット(邦画)] 7点(2022-09-27 03:20:17)《改行有》

28.  幕末太陽傳 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。これが2度目の鑑賞です。前回は画質や音質が悪くてよく分からなかったけど、今回はデジタルリマスター版とあって内容は理解できました。 たしかにとても良く出来た映画で、これなら国際的な評価にも値するだろうと思ったけど、残念ながら、のめり込むほどの魅力は感じられなかった…。あまりにも緻密に作り込まれた結果、かえって明快さに欠ける気もするし、結末のカタルシスにも乏しく、墓場から去っていくラストシーンもちょっと寂しいですね。スタジオセットから飛び出して現代を走り抜けるラストなら、だいぶ印象は違ったかもしれません。[インターネット(邦画)] 8点(2022-09-27 02:51:59)《改行有》

29.  竜とそばかすの姫 《ネタバレ》 困りましたねえ(笑)。つい、スピルバーグの「レディ・プレイヤー」を思い出してしまいました。設定は面白いし、映像表現も素晴らしいのだけど、物語が致命的につまらない! 何故つまらないかといえば、思想が浅いからですね。この設定から起こりうる物語の可能性を、突き詰めて極限的に構想することができていない。だから、どんなに設定だけをバージョンアップしても、結局のところ幼稚で陳腐な物語にしかならない。そういうところが、悪い意味でスピルバーグと同じなのです。映画を作りたい気持ちが先走ってるだけで、これといって描くべき内容をもっていない。それが毎度毎度露呈してしまう。 映像はほんとうに素晴らしいし、音楽もほんとうに素晴らしいし、(設定上の疑問は数多くあるものの、そんな疑問点も含めて)展開には変な面白さもある。これまでの細田作品のなかでは、これが最良だという気持ちもあります。ただただ、核となる物語だけがつまらなくて底が浅いのが悲しい。 きっと同じ題材を使ってもっと突き詰めた世界を構想できるクリエイターはいると思いますので、とりあえずこの題材を提示したことと映像表現を極めたことだけを評価して8点を献上します。[地上波(邦画)] 8点(2022-09-24 00:18:13)(良:1票) 《改行有》

30.  大魔神逆襲 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。 3作目は森一生。今回はお姫さまじゃなくて子供ですね。べつに子供向けに作ったわけでもないのだろうけど、だいぶ子供騙しの感があります。子供の言葉に大魔神が頷いたりと、あまりに身近な存在になりすぎてるのも拍子抜け。 まあ、山越えのスペクタクルはなかなか良かったし、雪山に現れる大魔神もカッコよかったし、丸太と大砲による攻撃も悪くはなかったけど、前2作に比べて脚本・演出・編集ともに、だいぶユルい。とくに筏を作って川を下るシークエンスはかなりお粗末でした。[インターネット(邦画)] 6点(2022-08-29 16:53:27)《改行有》

31.  洲崎パラダイス 赤信号 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。すばらしい。他には見たことがないような非凡な傑作。 これは「入り口」の物語なのですね。赤線地帯の内側の様子は一コマも出てきません。何もかもが外側のギリギリの地点で繰り広げられる。そのことが、煮え切らない付かず離れずの男女の物語を何ともいえずスリリングにしています。 主人公の二人は突出して魅力的というわけでもないし、物語がそれほど面白いわけでもなく、原作を読んでみようという気にもならないけれど、やはり内と外の境界という絶妙な設定が効いていて、そこを出入りする人々や、その周辺で働く堅気の人々や、土砂を運ぶトラックや、水辺でボート漕ぎに興じる人々や、たわいもなく遊ぶ子供まで、すべてがスリリングに見えてしまって飽きません。 撮影所の技術に裏打ちされているとは思うけれど、まるでヌーベルバーグのようなしなやかさと軽さもあります。川島雄三の技ありの一本。[インターネット(邦画)] 9点(2022-08-25 03:21:02)(良:1票) 《改行有》

32.  花筐/HANAGATAMI 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。 最晩年にこれだけ瑞々しいアマチュアリズムと実験精神を炸裂させる自由度はなかなかスゴイ。黒澤明のカラー作品のようでもあり、鈴木清順の大正シリーズのようでもあるけれど、書き割りっぽい合成映像を多用した画面やポリフォニックな音響はかなり演劇的であって、むしろ寺山修司の映画を思わせるところがある。 20才の矢作穂香から42才の長塚圭史までを「同年代の若者」とした大胆な試みにも違和感はなく、それぞれのキャラ立ちもしっかりしていて、そこには大林宣彦の俳優起用の巧さをあらためて感じます。音楽の使い方にも彼流の美学が徹底している。 戦争の予感のなかで死んでいく若者たちを描いていますが、反戦色が強いというよりも、むしろ破滅の美学のなかに陶酔しているように見える。そういう傾向も鈴木清順や寺山修司に近似しています。[インターネット(邦画)] 8点(2022-08-22 02:04:21)《改行有》

33.  蒲田行進曲 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。面白くないわけではないけど、好きかと言われると好きではない。 兄貴やら親分やらへの忠誠のなかで生きることしかできない芸能ゴロツキの破滅型の人生を、つかこうへいの在日パワーと深作欣二のヤクザパワーを掛け合わせながら、ひたすら力業で押し切ってる感じで、最終的には安っぽいメロドラマの域を出ない。 つかこうへいの戯曲が、当初の予定とはちがって、松竹ではなく東映の話になってしまったらしいのだけど、なぜ『銀ちゃんのこと』というタイトルのまま東映で映画化しなかったのかが理解できない。まあ、そんなタイトルじゃヒットしなかったのかもしれないけれど。 和田誠のデザインしたタイトルをバックに「蒲田行進曲」を歌ってみたものの、実際には松竹蒲田とは何の関係もないし、桑田佳祐のお洒落な歌を挿入してみたものの、実際には湘南とは何の関係もないし、どこまでいっても東映京都の芸能ゴロの話だというところに不可解なモヤモヤが残ってしまう。[インターネット(邦画)] 7点(2022-08-18 21:20:34)《改行有》

34.  大魔神 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。素晴らしい!美しい傑作。 大映時代劇の様式的なドラマの文体こそが、特撮部分のリアリティを裏支えしています。「ゴジラ」や「ウルトラマン」のようなサイエンスフィクションの場合、特撮のスペクタクル部分に比べて、ドラマ部分が説明的すぎて弱いのが常だし、その結果としてリアリティを損ねがちだけど、そういう意味では本作の神話的なリアリティのほうが優っている。怪物の15尺(4.5メートル)という大きさにも臨場感と緊迫感があり、巨大すぎてかえってドラマ世界から乖離してリアリティを損ねたりはしていない。鉄鎖を用いて怪物の捕縛を仕掛けたり、枯れ木を乗せた荷車を燃やして火攻めにする戦法なども、よく考証されていると思う。 結末はやや呆気なく、欲をいえば城下の平穏な暮らしが再建されるまでを描いてほしかったけれど、84分であっさり語り終える簡潔な筆致こそが叙事詩的なリアリティにふさわしいのかもしれません。市川雷蔵の「眠狂四郎」や勝新太郎の「座頭市」のような時代劇美学と比べられることもあるでしょうが、わたしはむしろ溝口健二の「雨月物語」や「近松物語」に匹敵するような叙事詩的な説得力を感じました。[インターネット(邦画)] 9点(2022-08-12 00:11:34)(良:1票) 《改行有》

35.  ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。 「柳星張」と呼ばれる南の「朱雀(イリス)」を北の「玄武(ガメラ)」が封じているという風水的な設定。それを代々守ってきた旧家が「守部」だったりするのは面白い。イリスの味方をする少女の姓が「比良坂」で、ガメラの味方をする少女の姓が「草薙」ってのは、さしずめ「出雲と大和」(ヤマタノオロチとスサノオ)の関係ですね。 しかし、手塚とおるの台詞によれば「ガメラもイリスも古代文明が作り出した生物兵器」とのことで…。どうりでガメラはUFOみたいに空を飛ぶと思ったし、イリスは造詣がロボットみたいで、ヱヴァンゲリヲンよろしくコックピットに少女を格納したりするし…。つまり、これは怪獣映画というよりもロボット映画なのですね。そういう意味では『シンゴジラ』より『ヱヴァンゲリヲン』の原型といったほうが正しいかもしれません。特撮も、やはり遠景の美しさに対して、近景で見る怪獣の造形があまりにメカニカルで嘘っぽい。唯一、渋谷駅構内でガメラとイリスが倒れ込むクローズアップのショットだけはリアリティがありました。[インターネット(邦画)] 6点(2022-07-02 01:18:39)《改行有》

36.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 さぞかし現代的にアップデートされてるかと思いきや、そういうわけでもなく、むしろSF的な要素を排して素朴な青春ドラマに回帰したという印象。かけがえのない出会いや人生への愛惜というテーマは基本的に変わっていない。それだけ原作の物語が普遍的だという証なのだろうし、はじめてこの物語に触れる世代にはこの内容でも十分なのでしょう。ただ、年寄り側の立場からいえば、もうすこし驚かせてほしかったというのが正直な感想です。 ひたすらタイムリープを繰り返すだけの展開はやや退屈で、やはり叔母の芳山和子の過去や、彼女が修復していた絵画の謎に踏み込む展開が見たかった。「もう一人の男子」(本作では津田功介)の役割も十分に効果的とは言いがたい。作画についても、物語についても、可もなく不可もなしといった出来。[地上波(邦画)] 6点(2022-07-02 00:46:06)《改行有》

37.  殺人遊戯 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。オシャレでユーモアもあって、カッコよくて、安定的に面白い。大野雄二の音楽も相俟って、まるで実写版のルパン三世のようにも見えます。 ただし「蘇える金狼」もそうだったのだけど、なぜ最後に女を殺すんでしょうね。この結末がいただけない。脚本の必然性の有無にかかわらず嫌悪感をもよおします。そのせいで最後のおちゃらけたシーンも後味が悪く見える。村川透×松田優作のコンビによる作品は国際的な評価に値すると思うけれど、こうした「女の扱い」はその足枷になるだろうと推察します。[インターネット(邦画)] 6点(2022-06-13 21:56:25)《改行有》

38.  この子の七つのお祝いに 《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。 前半は、増村保造らしい明快で力強い演出が好感触だったけど、真相が明らかになっていくほど話のつまらなさに興味が減退しました。犯罪の背景になっているエピソードは、たんに「混み入った事情」という程度のもので、とりたてて心に訴える内容でもなく、社会的なメッセージ性があるわけでもない。本気で近現代史をテーマにするならば、大陸からの引き揚げ者の苦難にもっと焦点を当てるべきでしょう。お人形やら童謡やらの取ってつけたようなホラー演出は、陳腐にすぎて失笑しか出てこない。わざわざ映画化するほどの題材とは思えません。 自分でこの仕事を引き受けて脚本も書いたのだから仕方ないけれど、これが増村保造の遺作であり、なおかつ代表作のように思われているとしたら哀れです。映画作家というよりも、たんなる職業監督としての仕事でしかないように思う。やはり当時は、市川崑や増村保造のような名匠でさえ、角川の凡作のために従事しなければならなかったのでしょうか?[インターネット(邦画)] 6点(2022-05-19 18:51:30)《改行有》

39.  崖の上のポニョ 《ネタバレ》 まったくの幼児向け作品だと思って何の予備知識もなく観たのですが、実際にはトトロ以上に難解な要素をはらむ内容でした。端的にいえば、トトロが「森」の物語であり、ポニョが「海」の物語ですね。人間は、切り開かれた陸上世界にしか関心をもちませんが、トトロを見た子供はきっと「森」のことを考えるだろうし、ポニョを見た子供はきっと「海」のことを考えるでしょう。フジモトは人間を憎んでいましたが、意外なことにグランマンマーレは人間に寛容だった。グランマンマーレがリサに何を助言したのか分かりませんが、おそらく彼女の目的は、宗介とポニョを通して、人間と海を調和させることなのでしょうね。 アンデルセンの人魚姫を下敷きにしていますが、あえて「人魚/マーメイド」などの言葉は用いずに「人面魚/半魚人」といったバケモノを意味する日本語を使っています。ここにはおそらく2つの意味がある。ひとつめは、ポニョの存在がたんなる空想ではなく《魚類⇒両生類⇒哺乳類》といった生命史を内在させている点で人間と同じだということ(そのためポニョが人間になる過程でカエルのような形状になります)。ふたつめは、アンデルセンの人魚姫が最終的に「人間」になるのに対して、ポニョはあくまでも「半魚人(半分が魚)」だということ。宗介はそのことを理解するようにグランマンマーレから要請されます。この結果、宗介は、もはや海を「他人ごと」でなく「自分ごと」として捉えねばならなくなる。ここに本作のもっとも重要なメッセージが感じられます。 宮崎駿の諸作品を考えるうえで興味深いモチーフもたくさん散りばめられています。フジモトとポニョの物語は、父を否定する娘の物語であり、これはどちらかといえば宮崎吾朗の作品に共通している。フジモトは地球の生命史を原初からやり直そうと試みていますが、ここには「ナウシカ」との関連性がうかがえます(フジモトはなぜ日本人の名をもつのでしょうか?)。陸上では、港町に暮らす船乗りの家族の生活が営まれてており、ここには「コクリコ坂」との関連性がうかがえます。グランマンマーレは「granma(太母)」と「mare(海)」の造語だと思いますが、ディズニーの「モアナ」に出てくる《テ・フィティ》に似ていますし、これが日本の《観音》に比定されるのも興味深い。冒頭の海中シーンは、まるでヨーロッパのアニメーションのように幻想的でしたが、半神半人の川の女神《ワルキューレ》を描いたワーグナーの歌劇を海に置き換えた感じもあります。 2008年の映画ですが、まるで大震災の死者からのメッセージのように読み取れてしまうのは予言めいていて驚きでした。波の描写は、北斎の《Great Wave》を思わせます。[地上波(邦画)] 8点(2022-05-08 16:36:17)《改行有》

40.  風花(2000) 《ネタバレ》 「あ、春」の最後でヒヨコを孵化させたように、この映画の最後でもカエルが冬眠から覚めます。しかしながら、そんな暖かいエンディングとは不釣り合いなほど、そこにいたるまでの物語にはただならぬ寂しさがある。黒沢清の「岸辺の旅」が本作を意識しているようにも感じます。 「雪の断章」にしろ「風花」にしろ、何故その原作を選んだのか、その動機がよく分からないのだけど、たんに個人の人生を描きたかったのではなく、むしろ物語の舞台である北海道に対する個人的な愛憎や、あるいはローカルな感傷や、あるいは鎮魂めいたものを表現したかったのじゃないかと思えてくる。開拓から「120年」というセリフが執拗に繰り返されたりしますよね。相米慎二にとっての(実質的な地元である)「北海道」が、何かとてつもなく寂しくて悲しい場所のように感じられます。 「翔んだカップル」や「台風クラブ」や「ションベンライダー」は純粋に"文体の面白さ"を語ることのできる映画であり、それゆえに評価が高いのだろうけれど、「雪の断章」や「風花」は"文体"という観点では語りにくい部分がありますよね。逆にいうと、相米個人の本質に触れる内容であればあるほど、純粋に"映画の文体"だけを追求することができなかったんじゃないかしら? わたしは「雪の断章」や「風花」について考えるとき、相米映画を"文体"だけで語るのは限界があると感じます(→この件については、黒沢の「岸辺の旅」との関係もあわせて、ブログのほうで詳述することにします)。 やさぐれた男女の物語ですが、美男・美女の主演ということもあって、映像だけ見るとまるでトレンディドラマのように"キレイ系"の作品に仕上がっているのは意外。美しい映画といえないこともないけれど、これも叙情が先行してしまった結果のように見える。なお、大友良英の音楽は「これでいいのかな?」と感じるほど主張が強かったですね。[インターネット(邦画)] 8点(2022-04-30 06:35:09)《改行有》

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