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381.  今年の恋 ジャズを聞きながら勉強する高校生の田村正和は開けた横浜、それが友人の家である東京の料亭の古風な感じと対比される。またその彼ら若い世代とそのちょっと上の岡田茉莉子の世代との対比もある。ラストは京都で除夜の鐘を聞くという正月映画らしい流れだが、岡田が日本髪を結って特急に乗っているのが、ちょっと驚きだった。東京オリンピック前だと、正月ならそういう髪で娘(オールドミスになりかけといった微妙なところ)が特急に乗ってても不自然ではなかったのだな。でもたぶん田村正和の世代になると、ヘンだろう。またそれぞれの家に、東山千栄子、若水ヤエ子の婆やなり女中なりがいるのも時代か。こういう軽いスケッチ風の作品のほうが、時代を、その中の微妙な世代の違いも含めて、濃く残してくれる。[映画館(邦画)] 7点(2008-09-12 12:12:38)

382.  吹けよ春風(1953) 《ネタバレ》 脚本の谷口・黒澤がどういう分担だったか分からないが、こういう短編連作への好みをすでに黒澤が持っていたのか。乗客の人生観察をするインテリ傾向のタクシー運転手って三船敏郎に似合わないけど、まあいい。外苑を越路吹雪とデュエットしながら回るミュージカル的シーンなんか、似合わなさを突き抜けていて感動しちゃう。風船売り、マンホールの工事人、都電の乗客らがあっけにとられてタクシーを見送るあたりがたまらない。一番好きなのは、早慶戦帰りらしい二人の酔っ払い客(藤原釜足・小林桂樹)のエピソード。これから見る人のためにネタばらしはしないが、タクシーの屋根を人が這うボコンバコンという音の効果がよかった。映画として充実している一編。次に東京で暮らす大阪ものの寂しい夫婦のエピソードがあり、三好栄子があいかわらず達者。三国連太郎のタクシー強盗があって、最後に、おそらくBC級戦犯だったらしい山村聡が釈放され、子の待つ家に妻の山根寿子とためらいながら帰る、という時代ならではの話で締めている。当時の東京風景をたっぷり眺められて嬉しい一本。冒頭、新人の小泉博と岡田茉莉子がちょっとだけ出てた。[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-09-05 12:19:53)

383.  ALWAYS 続・三丁目の夕日 《ネタバレ》 もしかすると、ワイドの画面てのが一番懐かしかったかもしれない。怪獣映画が始まるときのワクワク感を東宝スコープマークで思い出していると、それがそのままラジオに重なり、ゴジラの襲来につながっていくニクい設定。まだゴジラが戦争の記憶にかろうじてつながっていた時代へと引き戻されていく。着ぐるみのゴジラがCGで再現されるところに、この作品の立ち位置が表われている。あたりさわりのない話に風俗図鑑を埋め込んだ構成。むかしの現代劇映画を見れば、時代考証の必要のないそのものズバリの懐かしの風俗を発見することはできるが、それらを集めた図鑑をパラパラと眺めるような楽しみがこの映画の味だ。拾った捨て犬を空き地で飼えた最後の時代か。狂犬病対策で野良犬が撲滅され、空き地も消えていく。戦争がらみの亡霊もやがて消えていくだろう。最後に東京タワーからの展望が出るかと思ったが、さすがにそれを作るのは大変だったか。[DVD(邦画)] 7点(2008-09-01 12:13:48)(良:2票)

384.  弥太郎笠(1960) 映像のリズムの良さに、ほれぼれする。ひょっとこ面の連中が祭りの囃しにのって、ヨイヨイと手を振りつつ大河内伝次郎を連れ出していくあたりの凶々しさ。あるいは通り過ぎた弥太郎のあとで、ワラワラと三度笠が現われてくる場のリズム感など、これしかないという間合いで。ほとんど音楽を感じさせるのは、カタキのとこの土間口での殺陣。弥太郎がひとくさり喋ってはひと太刀浴びせ、と緊張をためては放つその緩急のリズムが絶妙。そして全体の構造としても、ラストにまた祭りとひょっとこが反復される大きなリズムとなる。アウトローものでありながら、実はいいとこの侍であった、ってのにはちょっとガッカリさせられたが、「おとっつぁん、弥太郎さんがいじめます」とか「冥土へ行くんなら静かに行ってくれよ」などもキメぜりふがピタリとハマってる。[映画館(邦画)] 7点(2008-08-09 12:04:04)

385.  ウォーターボーイズ 微妙にこの監督向きの題材ではなかったような。ガールフレンドが自販機にケリを入れて登場するようなあの感じこそ、この監督の味だ。「これコツがあんの」って。5人がボーゼンとこっちを向いて並んでいる場の反復とか。頑張って成功するという段取りのとこより、新任女性教師の登場でワッと集まり、産休でワッと減り、テレビで紹介されてまたワッと集まり、ってようなとこがいい。ゲーム機などを見ると同時代の話らしいが、出てくる曲はすべてナツメロ、これ監督の強引な趣味であろう。指導者がいいかげんなイルカ調教師ってのは面白いんだけど、竹中直人がはしゃぎすぎてしまう。[映画館(邦画)] 7点(2008-07-13 11:13:36)

386.  まぶだち 《ネタバレ》 特別不貞腐れてるわけではないけど、先生にはそう見えるって子、いる。万引きがばれて、ほかの子は親に叱責されるが、主人公の親子は廊下に出て気まずく見つめ合うだけ。じゃ、そろそろ戻ろうか、と仕切るのは子の方。でも家に帰ってきて、やっぱり殴ることにした、と言ってぶち、でもいまさら殴って良かったのか? とまだハッキリしないおとーさんがいい。反省文が先生に褒められてしまうことの居心地の悪さってよく分かる。反省文を川に流す段取り、「あ、あれ何だ、って言って」って言って、それに気を取られて落とすという、事故の原因をちゃんと捏造するのがおかしい。自分から飛び込んだのではないか、と聞く先生に、足を滑らせたんです、ときっぱり答える。そういう小さな名場面がいろいろありました。生き生きとした緑の中にある廃バスや廃機関車。[映画館(邦画)] 7点(2008-07-12 11:15:03)

387.  リリイ・シュシュのすべて いじめている人間もつらそうだったりする。傷ついた者たちが、さらに互いに傷つけ合って、そして壊れていく教室。だらしなくいじめている者と、必死にいじめている者とがいて、星野君は必死にいじめているのが、なんかとてもつらそう。沖縄で死にそうになって、悪霊がついたって感じで。でもきっと、本当に怖いのは、だらしなくいじめることができる連中の方なんだ。ひとり踏ん張っている久野さんが希望。伊藤歩がすごくいい。[映画館(邦画)] 7点(2008-07-10 12:10:24)

388.  プラットホーム おそらく二度目により感動するたぐいの映画だろう、と日記に記しているが、まだ二度目は果たしていない。青春の自由と自由ゆえの頼りなさみたいなものが、あわあわと描かれていた。炭坑で働く人々の描写が向こうでは当局のチェックにあったとか聞いたけど、社会問題を提示するというより、青年たちがこれから出て行かねばならぬ社会の苛酷さにおびえためらう要素として置かれていたよう。汽車のモチーフが全編を貫いた。汽車を見たことのない彼らが、バスの中で警笛を真似て始まり、最後は村に戻って家庭にはいった一人の部屋でケトルが警笛のように鳴って終わる。その部屋からは、若いときにタムロしていた城門が見えている。日本にもあるサークル青春ものの中国拡大版だ。日本の青春ものの過剰ななれなれしさがない。外から聞こえてくる町の音、半野喜弘のヴァイオリンとチェロの音楽が、断片的に入る。[映画館(字幕)] 7点(2008-07-04 11:22:36)

389.  天然コケッコー ヒロインそよちゃんにとって東京は大沢君が暮らしていた場所でしかなく、それ以上でも以下でもない。そりゃ人混みに身はすくむけど、別に卑屈感なわけではない。ルーズソックスを買ってくるぐらい。新宿の街も耳を手で囲えばゴウゴウと山と同じ音をたてている。「行って帰ります」だ。この映画がいいのは、田舎の舞台を、都会人のユートピアとしての自然賛歌や人情賛歌として描いたのではなく、べつに都会と関係なくちゃんとやってま~す、っていう地方賛歌にしているところ。学校の将来はちょっと心配だし、借金自殺の「名所」もあるけど、ここで生まれたんだから、ごく自然にここにいる、って感じのヒロインなの。ここからがいいとこじゃけー、とやたらお神楽の解説をして引き留めたがる郵便局のアンちゃんが、土地の人のよさを代表する。話の区切りごとのフェイドアウトに安定感。ラストに、ワンカットの中で時間が跳ぶ、映画ならではのマジックがあった。[DVD(邦画)] 7点(2008-06-27 12:14:49)

390.  腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 《ネタバレ》 周囲のせいで“十分実力が発揮できない”スミカさん。田舎生まれのせいだし、仕送りが不十分のせいだし、困った妹のせいだし、自分が自分を発揮できなくさせる環境のせい、と思ってる。一方兄嫁のマチコさんは、自分が自分だけという状況をいやと言うほど味わってきて、やっと家族を得られた。この新しい環境を保持したい。尽くして尽くして笑顔を絶やさない。この和合家、家族がある不幸と家族がある幸福が、変に噛み合って同居してる、それは家族のせいにできる幸福と家族の鬱陶しさを知らない不幸でもあるのだけど。黙ってそれを観察してるのが妹のキヨミさんで、もしかすると一番性格が悪いのは彼女かもしれない。お姉ちゃんのいいとこを百コ歌いなさい、と命じられて歌いながらも、そういう姉を「面白い」と観察している眼がある。ラスト「これからが面白いんだから」とタンカを切ったことで、やっと姉も妹と同じレベルになったということか。また一人になったマチコさんの後ろ姿も気になるエンディング。この三人の、押したり引いたりの被害者合戦が見ものでした。サトエリはオーディションの場が一番良かったが、それが女優として喜ぶべきことなのかどうかは不明。[DVD(邦画)] 7点(2008-05-25 12:16:50)

391.  女の園 そうか、この54年、木下恵介は高峰秀子に女先生と女学生の両方を演じさせていたのか。木下作品で暗い高峰は比較的珍しいが、かといって成瀬の高峰のように不貞腐れているわけではなく,まっすぐな向学心が家や学校によって妨げられていることから来る暗さなの。そのまっすぐさが、やはり木下。それまでお嬢さま専門だった高峰三枝子が、おっかない舎監役で新境地を開拓した。この延長線上に『犬神家の一族』の高峰三枝子がある。この舎監、ただの意地悪ではなく、彼女なりの信念があって衝突してるってとこがいい。それぞれの信念がぶつかり合う女の園、その扱い方に戦後民主主義に希望が託されていた時代を見ることが出来る。といっても“自由のはき違い”論ってのがもうこの頃からあって、根深いものだということも分かった。[映画館(邦画)] 7点(2008-05-17 12:15:22)(良:1票)

392.  私が棄てた女 回想シーンがどれも美しい。海の景色、馬追いの夕景のシルエット、スターの家を見に行ったときの桜吹雪。原作のらい病院を老人ホームにして、宗教的な求道性を監督は社会性に置きかえている。これは監督の権利として許される範囲内。ただこの監督はちょっと余計なものを付けちゃうとこがあって(たとえば『青春の門』でガイコツの山を貨車に積んでみたりとか)、ここで終わってもいいのにってとこでオマケがついてしまう。まあ、つけまつげのない浅丘ルリ子の顔が見られるのも珍しくていいんだけど。河原崎長一郎は、渋谷での待ち合わせのあたりからして、うまい。 [映画館(邦画)] 7点(2008-05-02 12:18:33)(良:1票) 《改行有》

393.  その場所に女ありて 《ネタバレ》 私にとってこれは「はばはば」の映画である。ラスト、退社時の原知佐子が司葉子に「はばはば」と言うのである。そんな言葉聞いたことないから私はうろたえた。なのに周囲をうかがうと、お年を召した観客の方はうろたえず泰然とスクリーンを見ている。さらに退館時に「はばはばかあ」などと懐かしがってさえいる。ある世代にとっては謎の言葉ではないらしい。後で調べたら大きい字引になら載っている言葉だった。「ハバハバ『感動詞』早く早く。相手に対して促して言う語。第二次世界大戦後、駐留軍のアメリカ兵が伝えて、流行したもの」。勉強になった。その後、戦後のラジオ番組「日曜娯楽版」で使われていたのも耳にした。それはともかく、これ働く女性群像ものの映画。アネゴ肌の大塚道子、男に貢いで身を滅ぼす水野久美、金貸しやってる原、主人公の姉森光子は嬉々として男に尽くす古風なタイプ。こういった群像を散らしておいて、主人公の司が、接待マージャンでも本気で勝ちにいくシャープな性格。かっこいいんです。昭和30年代の風物も味わい。銀座には線を引いただけの横断歩道に、まだあるゴミ箱。御茶ノ水では花屋の移動屋台が出ていた。[映画館(邦画)] 7点(2008-04-27 12:25:14)

394.  キサラギ 《ネタバレ》 キサラギ役のコに出演依頼するとき「君だと絶対笑いが取れるんだ」と正直に説明しただろうか。いや、していまい。「小栗旬が熱狂的なファンというアイドル役で、君のキサラギって役名が題になってるんです。ん~大丈夫、全然芝居は難しくないよ」などと言ったであろう。どれも嘘ではないから詐欺罪で告訴するのは困難だ。冷血なマネージャーが「これで君もブレイク必至さ」と後押しする。嬉しくって田舎のお父さんにも、今度主役をやります、とメールを送っただろう。田舎のお父さんは、地元ではなかなか見られないので、東京まで出てきて鑑賞したかもしれない。映画なんて若いときに『天と地と』を最後に見て以来だ。いつ娘の顔が出てくるかとドキドキしながらスクリーンを食い入るように見ている…。芸能界とはむごい世界だ。しかしそれにしてもキサラギが顔を見せた瞬間の「ウワーッ」というノケゾリ感は圧倒的だった。けなげじゃないか、実にけなげじゃないか。あのコにも5人くらいのファンクラブが出来てるかもしれない、ちょっと検索してみよう。[DVD(邦画)] 7点(2008-04-23 12:20:54)(笑:1票) (良:3票)

395.  結婚行進曲(1951) 《ネタバレ》 登場人物たちの早口に、なにか必死なものが感じられる。しゃべり続けることでギリギリ自分を内側から支えているような、黙ってしまうと途端に自分の輪郭がぼやかされてしまう不安に追い立てられているような。ただ一人、おっとりしゃべる浦辺粂子を置くことで、さらにそのスピードが強調される。もちろんコメディとしての演出の一手段ではあるが、このスピードの不安は以後の崑作品で次第にクローズアップされていくわけだ。上原謙が中原謙という役で出てて、杉葉子と映画を見る場面で「(さも侮蔑するように)あの役者なんて言うんだ」「上原謙ですわ」というギャグがあった。戦後の上原謙は、かつての二枚目を自嘲し、ひっくり返すような役どころを好んで演じる(『晩菊』がその代表的傑作だろう)。“二枚目だが大根”と言われ続けて、けっこう傷ついてたんじゃないか。私は戦後の自虐的な上原謙がかなり好き。[映画館(邦画)] 7点(2008-04-22 12:17:33)(良:1票)

396.  ラッキーさん 《ネタバレ》 もうすでにスタイリッシュな白と黒のタイトル。飲み屋で次々とサラリーマン小景を展開していくあたりのリズム感。崑です。前社長がパージされ河村黎吉がとりあえずの社長となり(これ『三等重役』と同年の作品)、その秘書になって張り切る主人公の話。そのはしゃぎの中のうつろさみたいなものが描かれ、そうか、戦前の松竹の小市民ものは戦後の東宝のサラリーマンものにつながっているんだ。そういえば、うだつは上がらないがニセ社長として葬式に行く才能だけはあるという役で斎藤達雄が出てた。自室に取締役の机を置いてるの。ブルジョワ令嬢に見初められるためのマラソンでコースを間違え、“水を打ったような”運動場に帰ってくるというギャグもある。ひらサラリーマンはがむしゃらに働くしかない、という苦みが笑いの裏に潜む。島崎雪子にブーッと洟をかませたり、パーマ屋の杉葉子に乱暴に伊藤雄之助を扱わせたりと、美人で笑わせるのが好きな監督だ。このパーマをかけられてしまう学者役でちょっとだけ出た伊藤雄之助、翌年の『プーサン』に通じるものをすでに醸してる。[映画館(邦画)] 7点(2008-04-21 12:22:56)

397.  選挙 《ネタバレ》 候補者本人は、体育会系の世界だ、と言ってて、たしかに路上パフォーマンスの日々なんだけど、なんか私は、選挙道という家元制度の世界を感じたな。もうすべてにわたって型が出来てるの。街宣車では3秒に1回名前を言え、とか、握手をするときは最後に相手の目を見てしっかり握り締めろ、とか(これなんかもう日本舞踊の所作ごと)、妻と言ってはいけない、家内と言え、とか(「家内がおっかないもんで」というダジャレを講演会で使える)、家元である党が決めたその型に乗り、候補者はただ印象の好さをアピールするだけで運ばれていく。言うことは「改革に取り組む」と「小泉自民党」と名前のみ。通勤時の朝、駅前に並んで「いってらっしゃいませ」と次々に頭を下げるのは、まさに歌舞伎のつらね、いっそ割りぜりふにしてくれたらもっと良かっただろう。完全に家元主導で、だから候補者も「ここまで面倒見てもらってるんだから、造反なんてとんでもないことなんだよ」と釘を刺されている。けっきょく候補者が一番気にしてるのは、有権者よりも党や地域のボスたちなんだな。選挙の時の電話戦術って反発を招きこそすれ効果あるのかなあ、と昔から不思議に思ってた。もしかして対立候補が嫌がらせで名前をかたって電話かけてるんじゃないか、と疑いさえした。でもこれ見て分かった。あれ、事務所を活気づけ、ボスたちにちゃんとやってますよとアピールするためにやってたんだな。だから一方的に電話をかけられる有権者の迷惑なんて関係ないんだ。そもそも平気で騒音まきちらす街宣車ってのが、それなんだし。とにかくこの映画、いろいろ裏が分かって面白かった。事務所でのおばさんたちの自然な会話も楽しく、公明新聞タダでいいからってとらされちゃって、とか、共産党に場所貸したら党本部から叱られちゃって、とか、カメラが全然意識されないまでに溶け込んでいる成果だろう。気のふれた女の人が事務所の前でニコニコ笑ってる、なんてのも(画面には出てこないけど)、なんか選挙の躁病的な賑わいにふさわしいエピソード。[DVD(邦画)] 7点(2008-04-08 12:27:14)

398.  火まつり 何といっても山の中で神と感応するシーン。『さらば愛しき大地』でも風が渡るところが怖かったけど、こちらの風も凄かった。ま言ってみればこれ『大魔神』みたいな話ですな。海中公園への怒りが一人の男に憑きものとなって現われるアニミズムの世界。むしゃくしゃしてるという主人公の不機嫌があんまり表に出てない分、このノリウツリに凄みが加わる。むしゃくしゃを表に出して演じたら“敗北”ゆえのヤケクソって感じになってしまっただろう。自然保護対開発という図式ではなく、もっと積極的に自然そのものが大魔神のような人格を持って人間を襲う話なんだ。いつもながら武満徹の音楽の入り方の的確さ。ロープを張るとこなんか、あれ音楽がなければ「山の人々の暮らし」といった教育映画ふうになったところを、ボワーンという音が入ることで、さっと画面の色合いが変わる。人間の行為に対して山が応答した声のような。[映画館(邦画)] 7点(2008-03-26 12:19:36)

399.  非行少女 「本当はいい子なんだ、社会が悪いんだ」なんてメッセージは、たぶん今では無効だろうけど、その単純さに徹してあれこれいじらずに押し通されると、紋切り型は承知の上で、それを越えて感動させられてしまう。浦山監督のいいところは、前向きの人間を描いて嫌らしさが出ないとこだ。観客は若い二人の仲だけは絶対に信頼できるようになっている。窓越しに「俺のこと嫌いか?」「ううん」なんてやってるシーンに、今さら感動できるとは思ってなかった。最後の駅の喫茶店のシーンなんか、青春的でよかったなあ。前向きに生きる決意と、後ろにあるものを断ち切る勇気と、そしてレールに象徴される旅立ち! 単純なもの・陳腐なはずのものが、この人の映画では、素直にそうだそうだと見ていられる。人徳?[映画館(邦画)] 7点(2008-03-25 12:27:40)

400.  はたらく一家 プロレタリア文学の原作を成瀬が撮る、なんて珍品の予感のある映画だったが、これがちゃんと成瀬の映画になっている。時代の変化と世代の交替との微妙なズレの中で生まれてしまう摩擦、それがときにぶつかり合いはするけれど、でも何となくズルズルして、回避できれば回避したいというニュアンスが滲むところが、いかにも成瀬。社会の貧困には直接の関心は向けないで、貧困によって困惑する庶民への共感の方が前面に出てくる。相談に乗ってはくれないが、愚痴は聞いてくれる、って感じ。成瀬の映画ってだいたいそうでしょ。徳川夢声が同僚に「これがグレてるんなら意見のしようもあるんだが」って愚痴るあたりなどいいし、子どもたちがかたまって歩いているのを、親が後ろから見るシーンもいい。原作は知らないが、自分の得意な世界にうまく脚色していったのだろう。ラストのでんぐり返しは、あれは若い力の発露と見るべきなのか、それとも屈折と見るべきなのか。[映画館(邦画)] 7点(2008-03-19 12:19:59)

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