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581.  ウルトラミラクルラブストーリー 《ネタバレ》 DVDだったんで、津軽弁の洪水につい字幕付きで観てしまったが、あれはそのまま分かるとこだけを聞く態度で、ドキュメント的に受け取るべきだったかも知れない。発声練習の無意味な言葉とつながって響き合うように。全体ドキュメントタッチとミラクルストーリーが渾然としていて、ミラクルであるものがミラクルらしからぬ態度でひょいと現われてくるとこが面白い。そこが方言の力。唯一方言をしゃべらぬ町子さんて考えてみれば魔性の女で、周囲にいる男の頭を次々カラにしていくわけだ。人類は脳を発達させてしまったので、知力によって新たな危難を避けるようになり、これ以上身体の進化は起こらないだろう、という説があるが、脳をカラにしてしまえば、新たな奇跡が未来に開けてくる可能性もある、ってことか。進化は必然なのかミラクルなのか、ってテーマ? 長回しが多用され、自転車で二人帰る夕方のシーンなんかは楽しかった。サドルでメモしていると自転車が回ってしまうような動きが入り、アクセントになる。逆方向にいく夜のシーンでは、あれもっと花火が映える予定だったんじゃないかな、今ひとつであった。農薬倉庫での長回しは、さして趣向がなく面白くなかった。長回しをもたせるってのは難しいのだ。ラストの脳での子どもの遊びシーンはドキュメント調なので、自然に眺めていて熊につなげられた(前作でもそうだったが子どもをドキュメント的に捉えるのが好きみたい)。それにしても変な話を考えるなあ。[DVD(字幕)] 6点(2010-06-13 12:11:09)

582.  しんぼる 《ネタバレ》 たぶん、これはどういう意味があるんだろう、と考えること自体無意味な映画なんだろうが、観ているあいだ何も考えないことも難しいので、まあいろいろ考えてしまう。この白い部屋とメキシコとどう絡んでくるんだろう、というのが一番の興味になるわけ。この監禁は天使のいたずらなのか、あちらにはカトリックで、ここらへんでつながるのか、とか。あの覆面をとると何かなんだ、とか。白い部屋は日本の象徴か、とか。ある種の閉塞感。自分が望んだものでなければモノは手に入る。醤油なしでなら寿司も食える。出口の暗い部屋に閉じ込められたとき、パジャマ男は白い部屋で監禁されたままの暮らしでも良かったんだ、という夢を見た。あそこらへん、今の日本の精神状況と言えなくもない。脱出への試行錯誤では、番地表示板で押さえてガムテープで止めて伸ばしていくと、ツーッと剥がれていくとこが好き。で、メキシコとの切り返しで切迫を高めていって、その頂点でああなる。このハジけた感じは、私はけっこう嬉しかった。そして無意味な奇跡が続く。パジャマ男は閉じた部屋から闇を抜けて世界に作用を及ぼせるようになったわけだが、その作用の無価値さ。なんかこの馬鹿馬鹿しさは、宗教的なるものへの批評として、いいとこをついているような気もした。この先を「教祖の妄想」と大笑いしていいものなんだか、へんにマジメぶっているので、真意はつかめません。[DVD(邦画)] 6点(2010-06-11 12:24:18)

583.  フランケンシュタイン(1994) 《ネタバレ》 ケネス・ブラナーって、舞台は知らないが、映画では役者としても演出者としても、あんまり才を感じないなあ。一人浮いてた。トム・ハルスやロバート・デ・ニーロはちゃんと映画の俳優だなあと思った。音楽を延々と垂れ流すのも困ったもので、なにかしばらく間違って予告編を見せられてるんじゃないかと思ったもん。カットとカットのつながりがそんな感じなんだ、尻が座ってないってのか。まあ18世紀末の実験室はこんなものかという面白味はありましたが。原作尊重ということで、主人公が博士なのか怪物なのか揺れてたみたい。やはりこの話の面白さは、怪物が怪物にされていく過程にあるわけで、博士の科学論などは脇に回してもよかったんじゃないか。つまりフランケンシュタイン博士が出しゃばりすぎた。「フレンド」を求める孤独こそ中心に来るべきだった。と、ここらへんはこちらの好みに引き寄せた愚痴だが、セットの大階段をあまり生かせなかったのは明らかに監督の罪。醜くなったものが自殺しちゃうってのは、一般人にとって都合が良すぎる展開だなあ。改めて思ったのは、怪物に名前がないのは大事なポイント。まだ名付けられない新しいものってのは、すべて怪物視される可能性があるんだ。[映画館(字幕)] 6点(2010-05-29 11:56:16)

584.  白い馬 ЦАГААН МОРЬ(1995) 観光映画よりは踏み込んでいるけど、内側からモンゴルを観察したというほどのドキュメンタリー精神はなく、まあ「留学映画」とでも呼んでみましょうか。モンゴル人の心に直接触れてるという気にはなれないが、短期旅行者の傍観よりはいい、ってとこで。雄大な風景と対比させるような、病気の子どもの目に映る狭い青空。町の図書館のシーン。あるいはロングで、バイクのラマ僧と移動百貨店トラックが道でよけあうとこ、などいくつか印象に残るシーンがある。それらがこじんまりと納まってしまうところが物足りないが、それがこの作家の資質なのだろう、新しい歌を歌おうとせず・新しいものを発見しようとせず、しかしそういうものが好きならそれでいいではないか、という大らかな気にはさせる。観ているほうにもモンゴル的大らかさが伝染していて。ラストのナーダムは、揺れる画像の合い間にロングの揺れない画像を入れてほしいところ。[映画館(邦画)] 6点(2010-05-20 11:57:43)

585.  塀の中の懲りない面々 部分的には面白いところもあるんだよ。外に出てからの夢を描くところなんかかなりおかしいし。アベベの脱獄シーンもいい、足音が。シャバに出た植木等がタバコをハッと消しそうになるところ。ただ全体がうねってくれない。つながんない。話の構図が、人間味溢るる囚人にサディスティックな看守、という単純な構図で、そんなもんかなあ、とこちらはつい皮肉な目つきで観ることになってしまう。その構図から離れたのは、ヘリコプターをきょとんと見送るとこかな。突然「革命」なんて言葉が飛び込んでくるおかしさ。インターナショナルはヘリの音に消されがち。この断絶の滑稽さ。口笛は『砂のミラージュ』観てなかったら感動したかもしれない。[映画館(邦画)] 6点(2010-04-30 11:56:03)

586.  ディア・ドクター 《ネタバレ》 二人の場面になると、いい。多人数の公的な場では、ニセモンとニセモンに気づかない振りをしている人とが、暗黙の了解でもたれあっていられたのに、二人きりになると何か剥き出しになってしまう。八千草薫の家でぶきっちょに大葉を刻むところ、(厳密に言うと三人目の患者がうんうん言って横たわっているのだが)余貴美子が気胸を指示するところ、など。逆の意味で、剥き出しにしてるのに気がついてもらえない、瑛太に告白する場も面白い。鶴瓶のいかにも善人顔が、時折うさんくささに見えてくる。そういうホンモノとニセモンの関係といった形而上学的テーマ、それに「何にもしてもらいたくない」患者をどう扱うべきか、という倫理のテーマ、さらに無医村問題という社会派テーマ、と盛り込みすぎて焦点がぼやけてしまった感じもある。余貴美子は、今の邦画界で貴重なバイプレイヤーの位置を確保してるなあ。[DVD(邦画)] 6点(2010-04-12 11:58:43)

587.  永遠の1/2 ところどころに会話の妙はある。生活臭が感じられないってのは、この作品の場合悪口にはならないんだろう。暮らしてはいるが、生活はしてないんだから。おそらく映画として一番面白く出来そうなのは、自分そっくりのヤツがいろいろ面倒を起こしてる、ってとこだろうけど、それがずいぶん遠慮がちな描き方で、いづみちゃんがウロウロ身の回りをうろついてるあたりはいいんだけど、もひとつ盛り上がらなかったなあ。まあそこで大竹しのぶの「もっとこんがらがっちゃえばいいのよ」が生きてくるのかも知れないけど。でもこの主人公そう人間関係の鬱陶しさに悩まされてるって感じでもなく(婚約者にはウンザリしてたけど)、つまり状況のほうがこんがらがってくれないと、人間関係が動いてくれない、ってところに当時の「現代青年」像があったのか。部屋の奥で二人並んで神妙にモーツァルト聴いてるところなんかは、おかしかった。あと超ロングの右端で竹中直人が荒れてるとこかな。[映画館(邦画)] 6点(2010-04-11 11:57:44)

588.  マークスの山 長編推理ものは映画には向かないんではないか、とつねづね思う。清張ものでもいいのは『張込み』とか『影の車』とか、すべて短編の映画化で、長編原作のは緩いでしょ。連続テレビドラマ向きなんだな、長編は。推理ものには「説明」の部分が必要で、でもそれを徹底するには言葉に頼らざるを得なくなり映画が死んでしまう、それを抜くと、観客は「…ということなんでしょうなあ」という曖昧な気分のまま映画館を出ていくことになる。これは後者で、現在と過去とが同時進行で描かれる暴力シーンで映画的に何となく説明したことになっているが、曖昧。でもベストセラーの映画化ってこうなるの多い、読んだ人だけを対象にしてるのかなあ。映画ならではの緊張は、終盤の事情聴取に対して、前を向いたまま微動だにしない小林稔侍のカット。萩原聖人が無垢の気味悪さをよく出していた。彼が山に行くまでを、列車の切符を買うとこから丹念に追っても良かったなあ。[映画館(邦画)] 6点(2010-04-06 11:56:06)

589.  ファザー・ファッカー 《ネタバレ》 すごく神話になりそうな話で、しかも父親の象徴的な誇張なんかがあるために、抽象的な世界になってしまいかねないところを、桃井かおりがリアリティを与えている。ただ現状を受け入れるだけの母、「なんだかわかんなくなっちゃった」とか言うような。父はまっとうな家庭を求める、冷蔵庫という祭壇を持ち込み、肘掛け椅子の玉座を置く。「あらねばならぬ」家庭を外側にがっちり作り上げようとしたときに、内側では最も「反家庭」的なことが起きてしまう。外でふしだらをしないための「おしおき」。こういう屈折は日本家庭の病理としていいところを突いているのだが、もっとリアリズムで押したほうが効果が出たテーマかも知れない、難しいところ。荒戸源次郎だから清順の影響が濃く見え、水槽が割れて金魚が流れ出し屋台崩しに至るあたりは『陽炎座』を思い出す。いくつかのシーンは幻想として美しいが、それがテーマとうまく噛みあってこないように、私には感じられた。ケーキのおうちに雪が降る。やがて切り刻まれてしまうごちそう。廊下をゆく市電てのは、よく私も夢に見るので嬉しかった。[映画館(邦画)] 6点(2010-04-01 11:57:01)

590.  重力ピエロ 《ネタバレ》 地図に何かを発見し印をつけたり、落書きに暗号を読み取ったりするっての、それだけ取り出せばワクワクするんだけど、これを物語の中で納得させるだけの動機が弱いので、趣向のための趣向になってしまっている。「兄弟愛」にストレートにつながって感じられない。放火された各地点、同じレイプ被害者家族に火つけられ「浄化してるんです」って言われても、「はあ?」だろ、普通。そもそもマスコミが被害者宅を特定しかねない地図情報を印刷したら、そうとう問題になったはずだ。こういうところがミステリーものの難しいところで、趣向と物語と割り切って楽しんでもいいんだけど、でもやっぱそこをいかに融合させるかってのが、この手の映画の腕の見せどころだろう。それと悪役の心情と行動が理解できづらかった。モンスターに造形すれば観るほうの処罰感情は心地よくくすぐられるが、それでいいのだろうか、という疑問符も付いてしまう。抽象的な存在になってしまい、かえって「この世界にはこんな奴もいる」って現実感が薄れた。それよりも世間の視線の残酷さのほうに怖さがあったが、絵画発表会の場のように、いささか描き方が大振り。この作家は「いい人たち」を描くときに細やかさが生きるようで、このひっそり暮らす家族のシーンはどれも感じいい。親父の「二人で遊んできたのか」のセリフは、きれいに決まった。もっともこの内輪の「いい人」ぶりは、世間に対する壁の反映でもある閉じたものなので、晴れ晴れとはいかない。ゲバラの写真もあったな。[DVD(邦画)] 6点(2010-03-28 12:04:42)

591.  800 TWO LAP RUNNERS スポーツと青春。登場するのはモーツァルト型とサリエリ型。この「悩まない」モーツァルトのほうの青春が生き生きしていてよろしい。サリエリが「あいつ尊敬してんだ、何にも考えないで本能だけで生きてるだろ」と、海岸で妹と遊んでいるモーツァルトを遠くに見ながら言う。サリエリを捉えるときに、ロングでゆっくりとしたクレーン移動が好んで使われ、とりわけグランドで脚の悪い少女との場は美しい。ハードル女史と屋上での待ち合わせ、背後に巨大な飛行船のようにゆっくりと国立競技場が浮遊してくる移動もいい。スポーツ選手にはスポーツ選手としての固まった人生コースがあり、その中で走らされているという窮屈感があるのだ。そのコースから外に出ることの恐怖は、ときに死を招いたりもするぐらいなんだな。スポーツものにしては珍しく曇天を選んで撮っている。たまたまかも知れないが、意図したのなら立派な選択。走ると空が大きくなる、と言っていたが、それが晴れ渡った空とは限らないわけだ。ラストは実際にワンカットで800を走らせていた。たしか市川監督の『東京オリンピック』でも、800をワンカットで撮っていたと記憶しているが、違ったかな。[映画館(邦画)] 6点(2010-03-17 12:02:21)

592.  トイレの花子さん(1995) 《ネタバレ》 子どもらは緊張している。いじめもあるし、変質者もいる。いじめも、「だってこれは多数決よ」なんてあたりに現代の特徴があろう。じわじわくる。そういう緊張の凝り固まったものとしての恐怖の幽霊、ではなく、変質者から守る守護霊になっていくところが、古い伝統を残していてちょっと嬉しい。階段の踊り場という中途半端な場所の鏡が繰り返される。この中途半端さも利いているのだろう。理科室は定番、骸骨の標本を出さなかったのは偉い。そういえばこの映画には母的なものが不在だったな、しいてあげればケーキ屋のおばさん、あとは保健室の先生の土屋久美子だが、母的にしては色っぽい。そこらへんも、現在の子どもの緊張と関係があるのかも知れない。昔は学校に守衛さんてのがいたが、おらなくなったのか。[映画館(邦画)] 6点(2010-03-15 09:07:13)

593.  新宿インシデント 《ネタバレ》 終始憂い顔のジャッキー・チェン。コミックアクションスターからの転身をはかっていて、ここは今までの作品歴をすっかり忘れ、知らない俳優として見てやるのが礼儀だろう。日本でも喜劇役者がある時期から地味な辛抱役に変わることは多く、ましてアクションは加齢にくる。チェンジが必要だったのだな。それにしても回想の初恋シーンをそのままで演じられるのだからすごい(55歳。ブルース・ウィリスより年上!)。映画としては、最初のほうの不法入国者の目から見た東京が、けっこう新鮮だった。街は宝の山に見え、かえって平凡な住宅地の風景が刺々しく見えてくる。ゴミにたかる烏さえ不法入国者の目を通すと、「虚飾の繁栄」とでもいったタイトルが付いて見えてくる。ただ後半、やくざ組織の話になると、そういう面白さはおおむね消えてしまった。気の小さい仲間、阿傑の甘栗屋からの展開が、脇筋として支えている。90年代アタマの新宿が舞台ってことなら、ちょうど大沢在昌の小説「新宿鮫 毒猿」と重なるころ。あの夜の新宿御苑の争闘を香港映画で観てみたいと思うが、ケツの穴の小さい当局は撮影を許可しないかも知れない。大久保駅(それもセット?)が限度か。[DVD(字幕)] 6点(2010-03-11 11:59:40)(良:1票)

594.  インスタント沼 《ネタバレ》 流行を追う雑誌の世界がまずあり、それから一時は最先端だったものが古物になりかけているツタンカーメンの占いマシンがあり、さらに後ろに骨董・折れ釘が控えていて、その背後には蔵・何者かを潜ませている沼、そして河童の世界につながっている。そんな世界観。雑誌の世界を追われたヒロインの、最後の世界までのオデュッセイ、ってなところか。「本当の父親探し」なんてのもほとんど骨董の世界の物語だ。そういった古いものとインスタントなものの対比、というか混交。ラストは、「インスタントの中からでも空駈けるものは出てくる」と肯定的に見るのか、「現代では空駈けるものもインスタント」とショボンと見るのか、どっちにも取れる。冒頭のシークエンスなんかすごく凝っていて、手間暇かかってる。“どうだ、ささいなクスクス笑いのために、これだけ手間かけてるんだぞ”といった自慢げな意気込みが感じられる。ほかにもけっこう手間かけてるなあ、と思うシーンがあったんだけど、ほら、もう思い出せない。瞬発的には感心するんだけど、けっきょくクスクス笑いの元なので、さして記憶に残らない。そこらへん、なにか映画としてもインスタント感が漂ってしまった、意図したものなのかどうかは知らないけど。[DVD(邦画)] 6点(2010-03-08 11:58:28)

595.  日本侠客伝 仁侠映画のハシリだが、もう型が出来かけている。ラストが仇役の家でなく作業場ってのがやや踏み外しているほかは、石松的馬鹿役の長門裕之がチョロチョロしたり、大木実と品川隆二の友情が敵味方になるってのは『昭和残侠伝』の原型のようであり、分かりながらも泣きこらえつつ錦之助を送り出す三田佳子とか、すでに安定した型を成している。悪役は「近代」であり政治家や軍に近く、善玉は滅びることを意識している。自分たちをも邪魔ものと認識して、そこにラストの悲壮味が倍加する。『次郎長三国志』ではワッショイワッショイと担ぐ次郎長という元気な親分がいたが、これからの仁侠映画になるとそこが空になる。そこにニヒリズムというかペシミズムが生じる。「最後の親分」は途中で病死するか、悪役に卑怯な形で殺されるかするのだ。しかし何だな、これらの運送業者たちはやがて企業に吸収されていくのは目に見えており、仁侠映画の底にあるのは、近代で切り捨てられたものに対する共感なんだな、あるいはその怨霊鎮めというか。[映画館(邦画)] 6点(2010-03-03 12:07:30)

596.  大阪ハムレット 《ネタバレ》 自分に与えられた輪郭に収まりきらない人たちのドラマ。大学生に見える中学生、女の子になりたい男の子、うじうじ悩むのが苦手なトサカ頭のハムレット、彼らのそれぞれの「戦い」の物語、ってことになるのか。彼らの芯になるのが、松坂・岸部の『死の棘』コンビで、あれとは全く違ったキャラクターながら、「どっしり」と「ヒョウヒョウ」を楽しそうに演じている。ただそれらの「戦い」のラストが、どうにも冴えなく、かなりガックリくる。学芸会の場の観衆の反応など言葉で説明しているだけで、たしかに言葉で言ってもらわなければこっちには伝わってこない演出で、「感動のシーン」だったんだな、ということを理屈で納得するだけ。町の描きかたなど高低差を生かしてかなり良かっただけに惜しい。遠くの橋の上、歩道橋、駅の階段、あるいは崖下の老夫婦との会話。しばしば人が高低差を越えて会話をしたり、移動したりするとき、画面が活気づく。川の堤防の上を走りながら、大阪弁のハムレットを語っていく。ただ言葉が変わるだけでなく、ハムレットの性格も大阪人になっているのだ。[DVD(邦画)] 6点(2010-02-24 12:01:29)

597.  次郎長三国志 第九部 荒神山 《ネタバレ》 前作からのつながりで、山に籠もってる、いう設定。土屋嘉男の農民が恨みから変わっていく展開がポイント。良いやくざとしての次郎長と悪いやくざとしての新辰、というはっきりとした図式が後の仁侠映画の定型をほうふつとさせる。それはまた何やら芝居がかってくるということでもあり、このシリーズ前半のアナーキーな味わいからは遠くに来てしまった。この映画、後半になると「荒神山完結篇」へ向けた布石がもっぱらになる。私はこれフィルムセンターで観たんだけど、「完結篇」の予告編ってのが付いていて、「撮影快調」だそうで、次郎長一家が樽みこしを担いでワッショイワッショイやっていたのが微笑ましかった。全体を通してでは、前半の、サークル的と言うか、気のあったもの同士がじゃれ合っていたあの感じが、このシリーズの良さだったのじゃないかと思える。やくざとしての一家の構えがはっきりしてしまうと、もう損得を考えない「馬鹿」で押していくのには無理があり、どうも気分がうまくノレない。後の仁侠映画のような「日蔭もん」という陰気なポーズをとって、衰滅なり崩壊なりを前提としたドラマを仕切り直さないとならない気がする。日本文化における「やくざ」というのは、実に微妙な位置取りにあるんだな。[映画館(邦画)] 6点(2010-02-20 11:57:36)

598.  次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港 豚松(加東大介)とカタギとの関係が今回のポイント。豚松(個人)は次郎長の子分(集団)に入りたいが許されない。立派な魚獲りとヤクザもんという身分の高低のタテマエがあり、しかし個人の集団への憧れが逆方向にある。このカッコつけは仁侠映画でも常にあるもので、彼らの屈折した美意識かも知れない。豚松の対極にいるのが三五郎で、はっきりと所属しない一匹狼的傾向、ここに「ニヒル」が生まれる。さらに「裏切り」ってことがポイントになってくるんだけど、これがこれまでワッショイワッショイやる陽気な連中からは排除されていたものだった。でもこのシリーズではあくまでワッショイ派が主で一匹狼派は従。ラストで初めて本格的なチャンチャンバラバラが訪れる。人情的味わいとしては、やや劣る一篇か。[映画館(邦画)] 6点(2010-02-15 12:07:01)

599.  紀子の食卓 《ネタバレ》 『自殺サークル』を観てないせいか、集団自殺とレンタル家族の、テーマとしてのつながり具合がよく分からず、判断留保の部分が多くなってしまうのだけど、レンタル家族のテーマに限れば、ラストの実家のセットを組んでいくあたりへ向けての緊張は楽しめた。未知の他人の家族を演じることで得た解放感と喪失感、解放したつもりで引きずっていたもの、喪失したつもりでまだ残っていたもの、などなどが、ゴチャゴチャと未整理のまま提示され堆積していく手応え。ただあくまで「提示」であって、結論はない。もちろん結論などなくていいのだが、結論に少しでも接近しようとする試行錯誤があったのかどうか、そこがちょっと疑わしく、既製の「結論」的なものをパッチワークしただけじゃないか、という気分も残る。徹底したモノローグ進行という手法も面白く、弁士つきサイレント映画のような世界、いや弁士は第三者として存在しているわけで、これは本人が脇で説明しているホームビデオって感じか。「お父さんは寂しい」という新聞のスクープがおかしい。[DVD(邦画)] 6点(2010-02-10 12:06:00)

600.  ガキ帝国 《ネタバレ》 ワルの階層というのがよく出ている。また、こういうふうにワルくなっていくんだなあ、というところも納得いく。ヒョイと死んでしまうとこなんかリアリティ。朝鮮人の友だちの改造拳銃や、リフトで車に突っ込んだところなど。「俺、歌手になりたかった」なんてのは、いらぬ技巧でしたな。つくりには粗いとこもあるけど、この三人組の仲間仲間してる感じがいい。とくに三人目のが「しっかりしてる」んだな。いろいろ寄り道しているようでいて、自分をしっかり捉えている。だからといってクールなのではなく、友の死ではホットになれる。実に好青年であった。言葉の凄味にも期待したんだけど、それほどでもなかった。[映画館(邦画)] 6点(2010-02-04 12:02:37)

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