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761.  恋と涙の太陽 主人公はヘリコプター操縦士の橋幸夫、古風な漢方薬店のせがれ。家に対しては革新的な立場から文句を言っているが、女医倍賞千恵子と見合いをする段になると「女だてらに」の保守派になる。この翌年に作られた日活の『夢は夜ひらく』では横浜ドリームランドが登場したが、本作は富士急ハイランド。大型レジャー施設が客を集めようとし始めた時期だった。妹が早瀬久美(新人の但し書きつき)、芸者が山東昭子で三枚目役。恋のライバルに香山美子、これが漢方薬に通じる古風な日本舞踊の世界の人。樹海の中のわざわざ開けたところで倒れていて橋に発見される。待田京介がチョロチョロ出る悪党。味わいとしては橋がホテルで香山と話し合っていたとき突如歌いだす瞬間のときめき。出来ることならバックの楽団なりコーラスなりが慌てて登場してきて欲しかった。[映画館(邦画)] 5点(2013-11-26 09:45:32)

762.  眠狂四郎 女地獄 《ネタバレ》 伊藤雄之助の竹光浪人がいい。自分の腕だけに自信を持ち、大きく吹っかけて売り込もうとしている。真刀を持たねばならなくなったとき、三両の刀を買う。「お侍さんならこの十両のが」と刀剣屋の亭主に言われても、七両ぶんは腕で補う、と言う。狂四郎と対決し刀を合わせるとポロッと折れ、三両は三両か、憮然と呟く。最後は竹光で狂四郎と向かい合う破れかぶれのどうしようもなさが、雄之助の真骨頂で、浪人の身分のやりきれなさが迫って本作唯一の見どころ。あと脇役は田村高広や水谷良重、お家乗っ取りの悪役が小沢栄太郎に安部徹と盛りだくさんなのだが、かえって焦点が散ってしまって、さらに刺客登場の前にいちいち女人が現われて狂四郎にしなだれかかってくるのが、最後は馬鹿馬鹿しくなり、大きな失点。あの馬鹿馬鹿しさを「これでいいのだ」と認められる心の広さがあったら、本シリーズの良い観客になれそうなのだが(60年代末のエロっぽいサイケな空気は味わえた)。狂四郎のキャラクターと時代劇の大枠とがしっくり合わないのがこのシリーズのつらいところで、親思いのお姫様という大枠の設定(お家の存続)を否定し切れてない。狂四郎のキャラクターは、木枯し紋次郎につながっていったのだろうか。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-11-15 09:33:05)

763.  オペレッタ狸御殿 この監督の映画は安っぽさを何か肯定的なものに変えてしまうところが面白いんだけど、でもこれはただ安っぽいだけに見えるところも多く、あと何かギクシャクした感じを肯定的なものに変えてしまう面白さについても、以下同文なの。もしかするとこっちが安っぽさなりギクシャクなりを感じると、それを面白さなんだと思い込ませる回路がいつのまにか組み立てられていて、そういうのをそっと作らせてしまう才能が、名監督と呼ばれる条件なのかも知れない。なんてことをこのピカピカの狸御殿見ながら思ってた。そこまで思っても全否定は出来ないんだよね。琳派の美的雰囲気を全然その味わいを生かさないように使ってるあたり、やはりタダモノではなく、でもあれで美空ひばり出演って言っていいのかな。[DVD(邦画)] 5点(2013-11-12 09:37:00)

764.  眠狂四郎 炎情剣 安部徹と西村晃がひそひそ話し合ってれば、もう時代劇定番の情景、慈善の相談には見えない。しかもその悪い奴らは裏切りあっている世界でもある。目新しさはなくとも、時代劇の情景としてしっくりくる。西村晃の顔を見ているだけで嬉しくなれる。なのに、権力の被害者や善人が出る場面になると、こそばゆいと言うか、思わず顔を背けたくなるほど恥ずかしい。中原早苗と姿美千子(中原さんも当時はこっちの側の人間だったんですね)。ここらへんが緩いので、いくら狂四郎がニヒルぶっても、シャープさに欠けてしまう。土下座して助けを懇願する下人を見捨てたクールさも、ぬるくなってしまう。烏の群れが飛び立つ図柄の襖絵とか、にわかの面をつけたままの襲撃者とか、美術や小道具は凝ってるのに。チャンバラもぬるめで、撮影許可得るまでに面倒な申請書が必要そうな寺の回廊使っているが、そこ狭くて活劇には窮屈そう。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-10-19 09:23:24)

765.  奈緒子 イスラム圏で女性の髪を見せない習俗があるのは、納得できる。風に乱れる髪は、心のけっこう中心部を音楽のように悩乱させる。あれはいい。雄介に給水しようとする場で思いっきり乱れる奈緒子の髪のスローモーションは、別に名場面でも凝った撮影でもないのに、嬉しくなった。まだこういうシーンは来るぞ、と待ち受ける気持ちでさらに続きを見ていくと、練習の場で、監督と衝突した雄介が橋の途中からコースを戻り、それを追う奈緒子の髪が乱れる。二人とも着ているものにさして汗が沁みず、「爽やかな青春」に徹する(陸上の夏合宿なんてすごく臭そうなんだが、そういう気配は排除されている)。きっと終盤で給水がらみでもう一回奈緒子の髪が乱れるに違いない、と座りなおして画面を凝視していると、ライバルの綾野剛(だから高校生)が雄介に追いつかれてまとめていた長髪を解いた。う~ん、男の髪じゃダメなのよ。ライバルの諫早学院はチームカラーが黒で、彼の名前も黒田君ていうあたり、若大将などの時代の昔からライバルカラーはしばしば黒だったなと懐かしくも嬉しかったが、綾野君の髪じゃ乱れがいがないんです。そもそも「成せば成る」の精神主義系の話をストレートにやられるとゲンナリしてしまうほうで、樹里の髪だけでは覆せなかった。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-10-03 10:26:58)

766.  宇宙大怪獣ドゴラ 《ネタバレ》 宝石ギャングにかなりの比重がかかっているのが、子どものときは不満だった記憶がある。建物を壊すところ目当ての子どもには、橋だけってのは厳しい。でも怪獣・怪物・怪人に悪漢が絡むのは東宝ではごく自然なことであり、ギャングどもがみな(若林映子も含め)揃ってサングラスをかけている愛嬌を、子どもは味わい切れなかったのである。ダンディな悪漢天本英世がよい。権威の博士は中村伸郎だった。選択的に酔っ払いだけが浮いたり、悪漢が浮き上がったりするのは、けっきょくよく分からなかったが、石炭を吸い上げる場には、怪獣映画としての面白味があった。このころは火力発電所以外でも都市部で石炭が積まれている場所があったんだ。蜂の毒が弱点てのにエセ科学的なこじつけが欲しいところ。哀しいのは、映画で「宇宙大怪獣」と名乗ったのは、このドゴラとギララの覇気のない二匹(ニ頭?)だけだったらしい。[DVD(邦画)] 5点(2013-09-18 09:42:59)(良:1票)

767.  薄桜記 《ネタバレ》 立ち回りってのは、立ってやるものだったが、これは寝てやるのがミソ。立って刀を構えて相手のスキを探して互いにグルグル回るから「立ち回り」なんだろうか。戸板に寝て、しかも右手がなく、片足も負傷している。素人の私にはスキだらけに見えるが、そこは雷蔵、強いのだ。刀を杖に体を起こそうとしているときなど、もう全身スキのようだが、敵は刀を構えてたじたじとするだけで、雷蔵が体を起こし終わってから斬られに突っ込んでくる。武士道である。倒れているときには、ワーッと叫んでただ雷蔵の上を跳び越したりしている。半分歌舞伎の立ち回りと思って見ればいいのか。ああいう様式とリアリズムの中間の不思議な世界であった。悲壮美ではある。敵方の一人が短筒で仕留めようとするのを止め、代わりに出ていった別の敵があっさり斬られちゃうのも武士道である。前半は、千春に襲い掛かる凶暴な「お犬さま」がやけに人懐こそうだったり、飛び掛かっているというより投げつけられてるようだったりなど、なかなかノレなかったが、右手を斬られるあたりから凄絶さを秘めた伝奇的な雰囲気が漂い出した。夕焼けの橋の上での立ち回りには、あとで五人の手負いの経過を思い出すところも含め、やはりリアリズムから遊離しかけた美しさがある。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-09-11 09:53:46)

768.  ハラがコレなんで 状況としては切羽詰ってはいるのだが、気持ちで乗り切ろうとする娘を描いて、『川の 底からこんにちは』の流れを汲んではいる。あちらが中小企業という場だったのに対し、こちらは長屋が舞台。社会に対して攻める立場の企業と、社会から守る立場の長屋の違いか、どうも切れ味が悪い。「いい風吹いたら、そのときドーンと」と風待ちの姿勢を基本態度にしている。そもそも、この長屋世界を持ってきたのがパロディなのか、本気なのか、はっきりしない。福島の災厄で「地域の結びつき」が破壊されることの傷ましさを私たちが痛感していたときだから、ここで長屋ユートピアを夢想したい気持ちになるのは分かるけど、もう私たちは長屋暮らしの鬱陶しさも十分知っており、何も地下に不発弾はなくても、最初のアパートで引越してきたばかりの隣人のように警戒感抜きの態度は取れなくなっている。ラストで何もない福島に行くのは、もうそういうものが非現実的なユートピアになってしまっているってことの確認なのか。ここらへん、マジかパロディかよく分からないんだ。タクシー料金踏み倒す女が、粋だ粋だって言ってるおかしさを笑えばいいのか。石橋凌の店で男二人が陰気にカウンターに立ってる図と、子ども時代のヒロイン(大野百花嬢)はよかった。[DVD(邦画)] 5点(2013-08-15 09:34:34)《改行有》

769.  ヒルコ 妖怪ハンター 《ネタバレ》 せっかく「古事記」をベースにしてるのに、オリジナルなものを創出できなかった。宣伝では、世界的レベルで作ったとか言ってたが、どこのことを言ってたのか、自国の文化からしか生まれないオリジナルなものを作り上げることが世界性のはずだ。夏の校舎の静かな感じはそう悪くないのだが。手作りの兵器も悪くなく、あそこらへんのユーモアをもっと生かせなかったか。殺虫剤が最終兵器になるの。自転車に乗って夜の廊下を走るってのもいい。のどかな昼のピクニックの幻想になって、主人公が月島嬢に穏やかに電動ノコギリで首を切られそうになるとことか。理科室、給食室、音楽室、用具室などが舞台になる。給食室が一番力が入ってたか。校舎ってのは、やはりホラーの舞台にふさわしい。[映画館(邦画)] 5点(2013-08-05 09:08:50)

770.  カポネ大いに泣く トランプ遊びをしている加藤治子、そのつながらないカットの効果など、ワクワクしたのは最初のうち、なかなか本調子に入ってくれないままアメリカに行ってしまう。“部屋の中に真新しい盥”の図なんかいいんだけど、雰囲気の統一がないっていうか、たとえば『陽炎座』はわけ分からないながら「怨み」いうものに集中していたが、そういう軸が感じられない。日本人の意地とか、男を立てようという意気込みとか、さむらい論とかに拡散して、ジュリーのあっけなさ・ショーケンの無様さなんか清順的だとは思うが、今回はシナリオに『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』の田中陽造が加わってなく(田中はもっぱら相米と組み、次に清順とは『夢二』になる)『悲愁物語』の大和屋竺。清順映画ってシナリオなんかどうでもいいかと思いがちだったが、そうでもないんだな。監督に好き勝手させるには、それなりの線路を敷いておかないとダメらしい。[映画館(邦画)] 5点(2013-07-30 09:46:37)

771.  メイン・テーマ 《ネタバレ》 マジックが副モチーフで、いろいろ細かい仕掛けがあり、慢性的愉快感はある。全体、飛行機とか車とか乗り物にこだわっていた。本物の飛行機から紙飛行機まで。木に引っかかった紙飛行機をチョチョと突付いていると動き出し、実は荷台に積まれてた、ってのがあり、それのヴァリエーションとして、運転席がカラッポの車が動き出し、やややと思っていると、新車をまとめて運ぶ大型運搬車に乗せられている一台だった、なんてのもあった。瞬発的な愉快感は得られても、映画の魅力とは違ったなあ。映画は細部が大事、とは思うものの、その細部が連続してひとつの有機体を構成していく、という前提があって言うのであって、最初から細部だけというのは困る。薬師丸と森田という顔合わせは、期待したんだが。[映画館(邦画)] 5点(2013-07-01 09:45:47)

772.  ツルモク独身寮 浜田光夫的勤労青年がスクリーンから姿を消してだいぶたつが、家具工場で働く地方出身者の独身寮物語ってのにちょっと興味をひかれた。でもどうだろう、「歯車には歯車のプライドがある」ってだけで結論にしちゃってたみたいで、歯車の交換可能な悔しさとか、こんなことやってていいのか、という苛立ちとかがここにはない。けっきょくこの設定はモチーフではなく味付けでしかなかったのか。ブスの描き方も、なんかヤだった。フロントガラスに顔押し付けなくてもいいんじゃないか。竹内力が、二枚目を差別すんなよ、って叫ぶのはちょっとおかしかったけど。[映画館(邦画)] 5点(2013-06-05 09:11:13)

773.  幕末純情伝 前半はいいんです。沖田総司が人や格子を斜めに切り裂くところとか、喜八や清順を心の師にしているのか、新人監督の気合いが感じられます。牧瀬里穂の二本差し姿もりりしいし。でも彼女が娘姿になってから勢いが落ちた。別に史実を守る義務なんかまったくないんだけど、せっかく沖田が女だったという嘘を一個入れたのなら、その回りは出来るだけ史実で固めたほうが、その嘘が輝いたんじゃないか。つかこうへいの原作はどうなってたんだろう。全共闘がダブって、変革とか挫折とか、そういうモチーフも入ってたな。町人たちのなかにチョイ役で漫才がいる(「ピンクの電話」って言ったか)のが、なんか懐かしかった。むかしは鳳啓助・京唄子あたりが顔出してた。ちっとも面白くないし、映画作品としてどういう効果が出てたのかは分からないけど、あの「賑やかし」の気分は、寄席の演芸で落語の合い間に色物芸が入るようなもんで、嫌いじゃない。ポスターなんかで無理におどけた顔して隅っこに写ってて、ああいう伝統しばらく絶えてたんだけど。[映画館(邦画)] 5点(2013-05-26 10:02:25)

774.  ぼくらの七日間戦争2 宮沢りえのような目玉がないのがつらいところ。また本作は戯画化が紋切り型になっていて、大人たちがトンマすぎないか。敵側にも、一人ギラリとした参謀が必要だろう。内藤剛志がそうだったのかなあ。眼鏡を掛けたパソコン少年ってのもウンザリ。渋谷琴乃嬢のタラタラとした喋り方はちょっといい。空き缶を蹴り合いながら気持ちがまとまっていく。「君たち自然保護派なら空き缶が落ちてたってことがそもそもいかんじゃないか」。沖縄の街に戦闘機の爆音がちゃんと入ってたのは正しく、嬉々とはしゃぎながら「失敗」へ向けて旅立っていくというところが、ミソと言えばミソか。[映画館(邦画)] 5点(2013-05-03 10:55:31)

775.  ホームレス 金持ちが捨てた犬を拾うってのは、嫌味だな。壁ってものを単純に考えてるのが気になる。単に隔てる装置というだけでなく、社会からの防御って面もあるから、「壁」を考えることが現代の問題にストレートにつながってるんじゃないか。オノ・ヨーコが出てるの(協力ってのか)を売りにしてたのが、当時も情けなく感じたものだった。これハイビジョンで撮ってフィルムに起こした最初のころで、移動のとき、残像みたいのが滲む感じがあるの。今見ると、懐かしいかもしれん。[映画館(字幕)] 5点(2013-04-25 09:29:09)

776.  美しさと哀しみと(1965) 人間に厚みが感じられないのは、川端作品を監督なりに無機質的に捉えようとしたってことか。日本的な湿り気を除いて(原作読んでないけど、もともと川端作品ってそれほど湿ってないな)、モダンに再生させようとしたら、ただ薄っぺらになっちゃった、って感じ。要になる作家が単なる俗物にしか見えず、音子さんの嫉妬が馬鹿馬鹿しいものになってしまう。それが狙いなのかな。息子の山本圭なんか、ほんとただの馬鹿扱いで可哀想なくらい。おそらく加賀まりこの静と動の対照が見どころの中心だと思うが、周りがこれだからあんまり生きてこない。こういうドラマはみな視野が狭い登場人物ばかりだから、その狭い内輪を一つの宇宙に感じさせなくちゃならないのに、そうなってないから、みんなウジウジしてるだけになっちゃう。そうやって全体を批評しているわけでもなく中途半端。長回しの多用(女二人の会話)や超望遠(橋の上の会話)などあり。カラーフィルムは褪色しちゃうとどうしようもなく濁る。[映画館(邦画)] 5点(2013-04-17 09:36:48)

777.  海燕ジョーの奇跡 いつか面白くなるだろうと思いながら見ててとうとう最後まで来てしまった、っていう種類の映画。主人公に思ったほどの魅力がないんだ。混血やくざの親探しに、切実さがなかったし。かたぎになろうとした友人を殺されてカッとなるなんてのも陳腐だし。陳腐と言えば、海に向かって石を投げないでくれるかなあ、あと怒りで缶を潰すとかも。フィリピンのスラムでこっち見てニタニタ笑ってる人なんか、「本物」の凄味があった。当地でごろごろしている日本人のうさんくささが良かった。原田芳雄がよく、清水健太郎など脇が充実。島伝いにフィリピンまで行けちゃうっていう、国境を無視できる島の生活圏の広がりが実感として分かった。[映画館(邦画)] 5点(2013-04-01 10:20:59)

778.  太陽のない街 ちょっとでも弱音を吐こうとすると、すぐ裏切り分子的に見て、採決もせず団旗を奪い、意気揚々と前進していくらスト、これは困る。「今ここで敗れたら、今までの犠牲者たちは浮かばれない」っていうの勇ましいけど、戦争後半での日本軍の考えそのものでもあるわけで、指導者にこういうのがいると迷惑するんです。原作はプロレタリア文学の古典だが読んでなく、作品の発想の責任がどこにあるのかは分からないけど、少なくともこの映画を作った人々は戦争後半の異常な「勇ましさへの熱狂」が国民の中にあったことを知ってるわけで、それを承知の上で「軍の興奮はけしからんけど、労働運動の興奮は正しいんだ」と思ってるんだったら、救いようがない(そうか、ソ連の水爆はきれいという発想につながってるな)。どんどん勇ましい考えのほうへ熱狂し興奮していくシステムをこそ突いてほしいのに、すぐ敗北主義とか裏切りとかいう言葉で捻じ伏せられちゃう。そりゃね、資本や官権の悪辣さはひどかっただろうが、こういう展開で描かれると「それならもう何度も聞いた」ってつい思っちゃう。もっと争議団内のゴタゴタやスト破りする人たちの苦衷こそが、新鮮なテーマだったはずなのに…、と不満を募らせたが、昭和もまだ20年代なら仕方ないか?[映画館(邦画)] 5点(2013-03-31 09:30:30)(良:1票)

779.  戦争と青春 実に正しい作品ではあるんだけど、同じことを反復してるだけでいいのか、という苛立ちも感じる。そりゃもちろん「何度も語らねばならない」と言われればそれまでだし、製作者たち一人一人の熱意をからかう気はなく尊重したいが、繰り返すごとに「津波警報」と同じで、緊迫が薄れていってしまい、かえってこういう反復が「戦争の記憶」を遠くへ押しやる加速度を付けてるんじゃないか、いう気もするんだ。このちょっと前に日本で公開されたドイツの『ナスティ・ガール』なんてのと比べても、日本の風土の甘さを感じた。ちょっと視点を工夫して、国防婦人会のおばさんたちの心なんかをこそ見詰めるべきなんじゃないか。弟が赤ん坊を渡されたときに「非国民の子ども」と思ったあたりをもっと突き詰めるべきだったんじゃないか。とは言え、この遺作が今井監督で唯一封切り時に観た作品でした。[映画館(邦画)] 5点(2013-02-18 09:51:05)

780.  冷たい熱帯魚 《ネタバレ》 でんでんは最初ピン芸人で、サングラス掛けてハードボイルド風にクールに登場し、それを外すとあの顔で、その落差で笑いを取るという、いたって単純な・しかしそこでは必ず笑える「芸風」だった(趣味は卓球と知って凄く納得)。その落差を本作では裏返しに使ったわけで、この映画に価値があるとすれば、彼にやっと助演賞を与えられたということ。最近でも印象に残っているのは『クライマーズ・ハイ』の、地方新聞はこういう人物によって支えられてるんだなあ、と思わせた部長、『母べえ』の、日本のファシズムはこういう善良さによって支えられてたんだなあ、と納得させた隣組の組長、など素晴らしかった。本作のようなアクの強い役でないと賞を貰えないのが悲しいところだが、ファンとしては嬉しい。園監督は映画作りより、役者起用に才能があると思っている。本作でのでんでんの前にも、安藤サクラ、満島ひかり、吉高由里子、と幾多の才能にスポットを当ててきた。もう当時から評価はあったが『気球クラブ、その後』の永作博美も素晴らしかった。本作で気合いが感じられたシーンは、落語の「らくだ」を思わせる逆転の前のでんでんの言い募りの場で、インテリが非インテリに対して抱いている根源的な不安を、彼がズバズバと突いてくる、その滑らかでない喋りの鈍痛感。[DVD(邦画)] 5点(2013-02-16 09:55:58)(良:1票)

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