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861.  眠狂四郎 魔性剣 《ネタバレ》 最初のうちはいいかなあと思ったの。陰気な雨のなかを傘がゆき、能面をつけた女が出てきて、情念の世界がドローンと淀んで迫ってきて、本作はこういう線でいくんだなと思っていると、狂四郎がなにやら反省し「いい人」になりかかって戸惑った。しかしそれもまずは受け入れようと思った。映画は不特定多数の観客に提供するもので、ある程度「いい人」の要素を入れないと企画が通らないんだろう、とそこまで妥協して見続けた。でもそれも「黒ミサ」までだったかなあ。ヒーロー像問題以前のシナリオの質の点で問題ありでしょ。蛇使いの女はあれなに? 善人狂四郎が必ず助けると予定して、簀巻きで河に投げ込まれていたわけなの? 風魔一族の末裔の尼さんとか爆殺の計画とか、もうドラマが連続せずシーンシーンで切り替わってるようで、呆然(このまわりくどい爆殺計画も狂四郎が「印籠を恵んでくれるいい人」を前提にしている)。狂四郎が「いい人」のぶん、嵯峨三智子が「拗ねもの」を担当してるのね、とそこにすがったが、彼女も最後にはいい人が感染し、少年を殺せず苦悶する。弓矢で襲ってきた城侍たちも、狂四郎にとどめを刺さず、面倒にも縛っただけで逆転されてしまう(一応少年と交渉する材料に使ってはいるんだけど、最初は殺意あったよなあ)。ニヒルな無頼の徒は少年に「振り返るな、前に向かって歩くんだ」と最後に人生訓を垂れるのであった。[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-10-26 09:52:17)

862.  眠狂四郎 殺法帖 いちおう抜け荷がらみの話なので、悪の側がひっそりと動くのは分かるが、それにしても厚みがない。悪いお殿さまと悪い商人・銭屋が剥き出しで存在して、それを取り巻くグラデーションが感じられない。ナンバー2なり、その手下どもなりのピラミッドが想像され得ない。玉緒さんはかつて縁があったんだから唐突に城内に現われるのも分かるけど、狂四郎も唐突に江戸藩邸内に出現する。手下は何をしているのだ。チームが存在しない若山富三郎も所在なげで、いちおう狂四郎と吊り合う一匹狼的存在のようだが、なら何をしたいのか・なんでそこにいて飛んだり跳ねたりしているのかが、よく分からない。二人ともけっきょくのところこの事態に対する態度がよく分からないので、最後に砂丘で向かい合っても盛り上がらない。砂地での争いって足跡が残るのでカメラマンが撮影するの面倒だと思うが、すぐに踏み荒らされていて誰の足跡か分からないようになっていた。けっきょくモヤモヤしたまま、崖っぷちに狂四郎が立てば、終わったんだな、とは思えるのであった。/今ほかの方のレビューを読んでたら、鱗歌さんが音楽が「春の祭典」に似てると指摘されていた。まったく同じ印象を持ったので嬉しかった。坊さん連中がぞろぞろ塀ぎわを歩くあたりだと思うが、『羅生門』の「ボレロ」より似ていて、盗用ギリギリの線。これから同曲を聴くと『ファンタジア』ではなく、坊さんの行列が出てきそうだ。[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-09-15 09:46:41)(良:1票)

863.  源氏九郎颯爽記 白狐二刀流 違う国・違う時代で「かっこいい」とされている姿を、映画では目の当たりに見ることが出来、「世界は時空を超えて分かりあえるんだ」と感動することもあるが、同じ国のちょっと前の映画でも、「分からない」と頭を悩ますこともある。この錦ちゃん、分からない。どうやら「颯爽」がモチーフらしく、白ずくめで二刀流構えた姿はなんとなく「かっこいい」をやってるんだな、とは思えるが、その前に笑ってしまう。ごめん。60年ごろに「かっこいい」の断層があるんだろうか、役柄の問題だろうか。こういうヒーローはもう現代では無理だろう。とりわけ武器商人の娘の西洋レディと一緒の場になると、日本の時代劇ヒーローの演歌歌手的たたずまいの奇妙さが突出する。ま、彼女のほうもフラメンコ踊って映画のリズムを狂わせてて、どっちもどっちなんだけど。そう言えば、こういうリズムが狂う感じって加藤作品ではけっこう出会う。熊虎親分が馬車を走らせるシーンが唐突に西部劇だったのは『花札勝負』だったっけ? 傑作と言える作品でも、どこかにサインのようにリズムの狂いを感じさせる場を残す監督ではあった。[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-02-07 09:55:47)(良:1票)

864.  バカヤロー!4 YOU!お前のことだよ 二話の潔癖症ものはまあまあだが、どれも話が拡がらないのが辛い。別に社会問題を扱えってんじゃないよ。話が映画のなかだけで閉じて、「それだけ」になってしまってる。観てる客が、映画の世界をパンすると社会に拡がっていってんだろうな、という気分になることが必要だろう。一話の、田舎の罠に落ちる都会もん、って視点はいいんだけど、単にオーナーの性格だけにしちゃってるんで、拡がらない。でこの春風亭小朝が、悪いけど、駄目なんだ。落語家って一人で全体を構成する癖が付いてるから、映画の演技者には向かないんじゃないか。くどくなる。一人ですべての笑いを引き受けちゃおうとし、関係で笑わせることが出来ない。これ、オーナーがもっと善意を振りまかなくちゃ面白くない話だと思う。[映画館(邦画)] 4点(2013-01-23 09:17:07)

865.  魚からダイオキシン!!  内田裕也の魅力ってのは、ツッパッてる男をどこか醒めて戯画化してたとこにあったと思うんだけど、これマジになっちゃってる。マジメ男がイビツな社会の中でイビツになっていくってのが『水のないプール』や『十階のモスキート』のモチーフだった。クルド人コンサートをやろうとするマジメ男を、日本の営利だけのプロモーションシステムの中で浮かび上がらせる滑稽さで勝負できた題材なのに、主人公と内田とを重ねすぎちゃったんだろうか、いつもの距離を置いた笑いが出てこない。単純な男が単純でない社会を照射する、といういつもの姿になれず、変にマジメなぶん、社会も単純になってしまった。それで「割り切れる映画」になってしまった。前半の選挙ルポも、内側から見た面白味ってのが出せなかったのか。[映画館(邦画)] 4点(2012-07-27 10:14:52)

866.  鉄男II BODY HAMMER 想像力の狭苦しさに、ある意味で日本の現状を素直に映している気はする。あるいはせわしなさ・目まぐるしさの氾濫。現代日本を論じる素材としてなら価値はあろうが、どうもこの世界は苦手と言うしかない。「ごっこ」を感じさせる映画は4点と決めているのでそうするが、でも「ごっこ」の映画でも、なんか「いとおしくて弁護したくなる4点」と「別に弁護したくならない4点」とあるんだよな。その違いが自分でもよく分からないんだけど、これは弁護なし(馬鹿馬鹿しさの笑いの広場にまで突破してくれてると許せるのか)。主人公はワーッと叫んでヒクヒクやってるだけ。幼年期の記憶が呼び戻されたりして、かろうじて筋らしきものは読み取れる。でもどのカットとっても作者のオリジナルなひらめきは感じられなかった。[映画館(邦画)] 4点(2012-04-02 10:18:54)

867.  アンモナイトのささやきを聞いた イメージが広がらないの。わざと広げないその閉塞感が狙いなのかな。アンモナイト・螺旋・円運動といったものに、本当はもっと「機械」が拮抗する予定だったんじゃないか。観覧車・時計仕掛けのアンモナイト、あるいはプラネタリウム・幻灯機といった光源など。それらが絡み合って膨らんでくれて、初めて夢幻的な世界を構築していくんじゃないの。そういうふうに「展開」する映画じゃないみたい。だとすると70分は長すぎる。段落ごとにタイトルを入れておくかしてくれてればまだしも。ハッとするイメージをわざと入れない、そのまどろむ感覚を持続するのが狙いなのかな。海の上を逆に撫でていく風。妹的な話って本当は好きなはずなんだけど。[映画館(邦画)] 4点(2012-03-19 10:38:08)

868.  エロティックな関係 徹底的に閉じて内輪で遊んでいる感じ。隠し芸大会の雰囲気。映画に限らず、日本の文化の困ったところがこの内輪で閉じちゃう感じなんだな(いや文化に限らず政治とか、いろんな方面で表われる困った特徴)。わずかに荒戸源次郎のとこに乗り込んでオズオズしてるあたりで、往年の裕也映画の面白味が出掛かった瞬間もあったが、あとはほとんどノレなかった。話がいい加減でも面白い映画はあるし、それ以外の見せ場に何か作者の執着を感じさせるものがあれば納得できるんだけど、ない。最後まで内輪の弛緩した空気が続く。オクヤマとかキシンとか内輪落ちの名前もけっこう苛立たせた。[映画館(邦画)] 4点(2012-01-10 10:19:24)

869.  世界大戦争 《ネタバレ》 七五三のシーン、乙羽信子のお祖母さんにフランキー堺のお父さん、その子たちの三代かと一瞬思ったが、会話から、あれは夫婦なんだろうな、乙羽さんまだお祖母さんは気の毒だ、などと思い返していると家に帰り、すると星由里子が出てくる。え、この人誰? こっちがフランキーの若妻か、するとやっぱり乙羽は気の毒でもお祖母さんか、それとも星はフランキーの妹なのか、などと混乱していると、星が「お父さん」と呼びかけている。え、じゃあの子どもたちはずいぶん歳が離れてるようだが星の妹弟なのか。ここまでに分かったことを整理すると、つまり大正生まれの乙羽と昭和生まれのフランキーがアネサン女房の夫婦で、フランキーが14歳ぐらいのときに長女の星が生まれ、それから戦後の混乱期十年間は子どもを作れなかったが落ち着いてきてあと二人作った家族、ってことなんだな。別にどうでもいいんだけど、この映画のヘンさがそんなところから始まっていた。これ、近景と遠景しかなく、中景はパニックになる群衆だけで、たしかに核時代の怖さってのは遠景が突如近景に覆いかぶさってくるところにあるのかも知れないけど、近景がいま言ったように輪郭が曖昧。会話もひどく、ホームドラマ用のセリフの間に強ばったメッセージがこなれないまま挟まっている。一方遠景がこれまた、大事な回路が簡単に故障したり軍人のオッサンがチャッチャッと起爆装置外せたり、ほとんどコントをやっており、核時代の軍隊はもうコントなんだという『博士の異常な愛情』的な批評の目でやってるんなら分かるが、どうもそうは見えない。マジでやってる。典型的なプラカード映画で、けっきょく戦後日本が核兵器廃絶に関して何にも出来なかったのは、プラカードを掲げるだけで満足していたこの想像力皆無のだらしなさに尽きるだろう(この国のプラカード主義は根強く健在で、たとえば拉致問題。交渉をしようとせず内輪での講演会やポスター貼ってるだけ、しかも交渉の扉を閉ざしたバカな政治家の人気が当時は上がった)。というわけでこの映画、建設中のビルが見える日比谷公園など時代の風景だけ味わえました。[DVD(邦画)] 4点(2011-12-16 10:19:03)(良:1票)

870.  REX 恐竜物語 ファンタジーでこそ、作者は自分の世界をしっかり持ってなくちゃいけないもののはずなんだけど、日本ではそれがいい加減になってグズグズにされてしまう。とりわけ目立つのが不思議な公私混同。よくあるんだ。これなんか、恐竜生育という行ないと、ピーマンを食べさせる教育とが、ベタッと当事者が奇妙がりもせずにくっついている。この科学実験世界の貧相さ。せっかくペットを恐竜にしたのなら、もっと成長することの悲しみなり、怖さなりが必要なのではないか。後半家出してからのいい加減さは、もっと意識的にやればナンセンスのきらめきに至れたのかも知れないのに、ただの「いい加減」にとどまってしまう。無理にいいとこを思い出そうとすれば、ラストの雲によるREXがちょっときれいだったこと。[映画館(邦画)] 4点(2011-06-22 11:04:19)

871.  宇宙大戦争 私にとって千田是也はまず「東宝特撮映画にちょっとだけ出てくる博士の人」って存在だったので、のちに偉い演劇人と知って驚かされたものだった。そしたらこれでは「ちょっとだけ」じゃなく「ずっと」出てる。変なピッタリした水泳帽みたいな宇宙服(?)姿で、同じ格好の池部良とともに、出ずっぱり。しかもこの映画、当時の右寄りの空気が若干感じられ、外交交渉の出来ない敵に対しては先制攻撃あるのみという勇ましい話で、どんな役でも平気でやってしまう左翼演劇人のふところの深さを感じた。一番驚いたのは、59年の映画で、設定が65年という近未来なの。で日本のロケットが月に行っちゃうんだ。東京オリンピック後の未来は、もうなんでも可能なバラ色に見えてたのかな。宇宙人対策の国際会議が当然のように日本で開かれていて、日本人が地球防衛を仕切っている。そういう6年後の未来を描くことが可能なほど、日本が成長期だったってことか。あ、映画は私にはつまんなかった。とにかく都市が破壊されるとこが好きなもんで、これ、ほとんどの舞台が月面なんだもん。破壊光線が砕くのは岩とショボい円盤ばかり(しかも山が変にとんがっている)、冷却光線で地球が攻撃されるのは、冒頭で予告のように特急が転覆された後は、終わりのほうでちょびっとだけ。怪電波で操られる隊員ってところに一応ドラマ的なサスペンスは用意されていた。池部良が亡くなったとき、追悼記念で彼が金田一耕助をやった中川信夫の『吸血蛾』って珍品どっかでやってくんないかなあ、と思ってたのだがかなわず、そのかわりに、彼の出演映画としてはまあ珍品と言えるだろう、これを観た。どっちも安西郷子と共演してんの(写真家秋山庄太郎によると「映画フィルムよりもグラビア写真に傑作が多い不思議な女優」で、この二年後に三橋達也と結婚して引退)。[DVD(邦画)] 4点(2011-01-25 09:55:43)

872.  おそいひと 《ネタバレ》 分かりませんでした。「作品の意図」とか「作者の言いたいこと」とか以前の問題として、そもそも話の展開が分からない。なぜ通り魔になったのか、という大事なポイントのとこで、思わせぶりな映像になってしまい、分からせようとしていない。全体としても無意味なアップや、なに映ってんだか分からないカットが多すぎ。最初の殺人はどうも嫉妬ゆえらしいんだけど、そこから殺人鬼にジャンプしたのは、女学生との問題だけなのか。階段の手前で進行を阻まれる電動車椅子のシーンはあり、それが階段の下で酔っ払いを待ち伏せる行為につながっていたのか、よく分からない。からかわれたり馬鹿にされたりするような、分かりやすい動機がないのはいい。でも彼の動機を納得させるだけの「彼の心の気分」は、せめて欲しい。それには電動車椅子から見た世界がどういうものかを、もっと描くべきだったのではないか。介助されることの苛立ち、よってたかって親切にされることの鬱陶しさを、車椅子の高さから見せるべきだったのではないか。介護されるほど募る孤独を描写で見せるべきだったのではないか。たぶんこの作品は、主人公を本物の身障者が演じているということに寄り掛かり過ぎている。でも私たちはそのことを、マスコミの情報なりレンタルDVDのパッケージなり、フィルムの外の回路を通じて知って観ているわけで、健常者の俳優が演じていると思って観てもいいわけだ。そう観てもこの作品は自立できるだろうか。たしかにドラマで障害者がいつもかわいそうな善人の役になるのは差別の一種だろうが、だからといって現実に実行できそうもない通り魔をやらせるのも、障害者が持つ夢や希望に対する侮りが感じられてしまうのだ。[DVD(邦画)] 4点(2010-12-05 10:07:01)

873.  ロボゲイシャ 《ネタバレ》 『愛のむきだし』における渡部篤郎が、どこか演技に自信なげで、こんな感じでいいのだろうか、と自問しながらラジオ体操をしていたのに比べ、こちらの志垣太郎はさすが、堂々と悪役を迷いなく演じきり、年季の違いを見せつけた。そして生田悦子、私は随分久しぶりにお会いしたが、ほとんど草笛光子になっていて粛然とさせられた。で作品内容ですか。んー、竹林で看護婦が唐突に迫ってきたあたりなどに、この監督の匂いを嗅いだな。とりわけ看護婦がやられた後で肩車して二段になった天狗女らがゆっくりと手を水平に広げていくあたり(観てない人には何のことか分かるまい)。芸者カツラのヒロインが三味線をジャジャ弾きしながら戦車になって走り出すあたり(観てない人には何のことか分かるまい。観てたってよく分からないのだ)。まあそういう映画なのだが、前作のセーラー服には監督の熱烈な執着を感じたのに対し、こちらの芸者は取り敢えずの題材という気配で、もひとつ製作者側のノメリコミが欠けていたような気がする。さして必然性なくヒロインたちにルーズソックスのセーラー服シーンを与えていたっけ。まあほとんどのシーンに必然性はないんだけど。[DVD(邦画)] 4点(2010-07-22 10:06:34)

874.  仏陀再誕 《ネタバレ》 祭りの賑わいのなか、金魚すくいの金魚が何かにおびえたようにクルクル回り始めるなんてあたりは結構いいんだけど、それで出てくるのが空飛ぶ円盤の軍団という突拍子もないもので、怪光線で街を破壊していくのでポカーンとしてしまう。作品の構造としてはイイモンの組織とワルモンの組織との争いで、仏教というよりキリスト教的な正邪の対比、ワルモンの方がこの円盤やら大津波やらの集団幻覚で人心を惑わし恐れを振りまいているのだそうだ(この前の選挙で北朝鮮のミサイルの脅威をやたら煽ってたK実現党を思い出した)。プロパガンダ映画・PR映画なのなら、観ている方に「そうだな」と納得させるものがイイモンの組織に必要だと思うんだけど、ワルモンの方が「ひれ伏すのだ」イイモンの方が「許すのだ」と、分かり易すぎる対比しかないので、「ならイイモンの方の活躍だって集団幻覚かもしれないじゃん」と思ってしまう。この二つの組織が宗教というものの分かちがたい両面なのだ、っていう認識に立てれば、もうちょっと意味のあるフィルムになれたかも知れないが、当然のようにイイモンの方にだけ自己を投影している。で結局イイモンが力でワルモンに勝って、ワルモンの方は改心し澄んだ顔になって、牢屋で手を合わせて拝んで終わるの。宗教ってものをこんなに軽く扱って罰はあたらないのか、とやがて地獄に堕ちる唯物論者の私でも心配になってしまう。黒いモヤモヤが漂うあたりなど悪くなく、再誕仏陀がやたら説法したがるのを除けば、予想よりは退屈しないで観られた。でも別に薦めない。[映画館(邦画)] 4点(2009-11-07 12:03:17)

875.  幻の湖 これを見た試写会は、私にとって忘れられない思い出。キネ旬の試写会に応募したら当たって、うわっラッキー、と期待いっぱいでイイノホールで見た。満員。だって橋本忍が、誰にも遠慮なく自分が最も書きたいものを書いて映画化したわけでしょ、期待するなってほうが無理。だいたい日本映画は冒険をしなさ過ぎると常々思ってて、作者が本当に作りたいものより、平均的な観客が60パーセント楽しめる企画ばかりが通っちゃう。これでは未来はないよ、と考えてたからすごく期待した。しかしすべてが裏目に出たようだ。こういう結果を見ると、臆病な企画しか出来ない企業の気持ちも、理解できなくはないなと思った。最初のうちは満員の観客も?となりつつも、なんとかついていこうと黙って鑑賞していた。なにしろまだマッサラな状態で、ただ橋本氏の名声だけを信じて見ているのである。まったく独自の因果律で登場人物が動く超前衛の作品なのだろうか、と皮肉でなくかなりマジに考えたところもあったんだけど、シロの幻が主人公を励ます目を覆いたくなるような陳腐な場面があったりすると、これはただ単純にひどい映画なのではないかという判断に近づき、また満員の観客も、おそらく同じような経過をたどって同じような結論に至ったらしく、中盤からはあちこちでプッという笑いが起こり、次第に遠慮がなくなり、後半の追っかけから宇宙に飛ぶあたりはもう爆笑の渦。こうなったらもう笑って楽しみましょうや、という気分が客席を一体感で包み込む。どよもす、というのはこういう状態を言うんだろうなあ、などとしみじみ思いつつ、私も涙を流して笑った。あんなに盛り上がった試写会というのは、後にも先にも経験がない。私が座った席の前のほうに関係者席があり、見間違ったのでなければ、藤村志保と江波杏子が招待されていて、藤村さんはじっと端正なお姿のまま鑑賞を続け、江波さんは豪快に笑い転げていた。それ以来ずっと江波杏子のファンである。映画が終わって退場していく人々の顔は、つまらなかったにもかかわらず、みな晴れ晴れと輝いていた。いま見直すと評価はいくぶん変わるかも知れないが、あの日の思い出を大切に取っておきたい。思えばこう時間が前後に跳ぶ話法は『羅生門』や『生きる』や『切腹』と同じで、やはり橋本忍の刻印は押されていたのだ。[試写会(邦画)] 4点(2009-08-20 12:12:03)(笑:2票)

876.  片腕マシンガール 井口監督の『猫目小僧』を見たとき、初めて4点をつけた。それまで最低点は5点だったのだが、どうも5点に埋もれさせてしまってはいけない映画のような気がして、4点にした。あの牧歌的な怪物たちがうごめきまわるクレイジーな、どーしょーもない世界、映画から逸脱し続ける怪作にはその点しかないと思ったのだ。しかしあれは本当に監督が意識して作り上げた世界だったのだろうか、マグレということはないだろうか、という疑いがつきまとい、今度新作を鑑賞してみる気になった。もしや改心してマトモな5点級のアクション映画を作ってしまっているのではないか、と危惧していたところ、それは杞憂であった。改心してない。洗練への誘惑に逆らい、またオチャラケた笑いに逃げそうになっては踏みとどまり、最後まで“しょーもなさ”の崖の上を綱渡りして、エンディングまでたどり着いてしまうのだ。自動車修理工場の襲撃から神社のバトルまで、一気呵成に行きたくなるところで、ヒロインたちの友情ドラマをはさんでちゃんとギクシャクさせている。そして血が飛び、肉が弾け、ブラが回転する。悪夢などという上等なものではなく、“ごっこ”の気分に徹底する。これだこれだ、と思い、4点以上でも4点以下でもないところでまたピタリと決めてくれた畸形の映画に、私は心から満足している。[DVD(邦画)] 4点(2009-03-30 12:00:25)(笑:1票) (良:3票)

877.  富江VS富江 このシリーズでは、とても大変な世を揺るがすような事態が、小さな狭い世界で展開してそのまま小さく狭く終わるってのが多く、たとえば学校の一クラス、たとえば一つの家庭内。そして今回はと言うと、マネキンリサイクル工場という中小企業内で、赤い富江と黒い富江とが争っている。世界にばらまかれた富江の血が起こした結果にしては、話が小さい。いや、それがいけないって言うんじゃなくて、それにもっとこだわれば面白くなれたんじゃないかと思うの。赤と黒それぞれに心服し服従している男どもがいて、いわば二つの女王国が中小企業の中で戦争しているようなもの。その戦争を描けばこのシリーズに新展開をもたらしたかも知れない。歌舞伎でよく、市井の世話物的な暮らしが実は源氏と平家の武将のせめぎあいだった、っていうのあるでしょ、ああいうのが至って好きなんだけど、ああいったスケールの意図的な混乱によるめまいのような味(普段のものと超絶したものとが簡単に入れ替わり得る世界)が、もしかすると生まれたかも知れないのに、二派の対立ってのは膨らまないで終わっちゃって、いつものドロドロした再生シーンになってしまった。惜しい。パッケージの表記を信じるなら、これでシリーズは終了って言うんだけど、どーだか。[DVD(邦画)] 4点(2008-11-25 12:13:56)

878.  富江REVENGE 《ネタバレ》 ラストに至って「そうか、オリジナルの富江は誰なのかという謎でドキドキさせる仕掛けの映画だったのか」とやっと気がついた。そもそも最近、若い娘の顔を識別する能力が劇的に衰えてるもんで、途中でちょっと誰が誰か混乱しちゃってたんで、そんな方面にまで気が回らなかった。行方不明の所長の娘の顔と、高笑いしている富江の顔とがすぐにつながらず、そしたら内臓食ってる富江も出てきて、所長が娘見て富江ーって叫ぶでしょ、男がいなければ戦争やテロはなくなる、って御立派な演説も始めちゃうし、もう頭んなか渾沌の渦巻き状態。終わってからもう一度要所を再見し、ああこれはどうもあれらしいぞ、と遅まきに理解し、なんとか話の輪郭は認識できた。一苦労であった。ビデオをフィルムに起こしたぼんやりした画調が、記録ビデオのシーン前後になるとビデオそのものの画質になり、また戻ったりと落ち着かない。とにかくこれでやっと全シリーズ見終えたとホッとしてたら、いつのまにかもう1作増殖している。[DVD(邦画)] 4点(2008-11-14 11:16:06)

879.  口裂け女 なんで今さら口裂け女かと思ったが、以前流行した親の世代と子の世代との30年の差を置くことで、親の子への虐待というモチーフを潜ませる深い企みがあったのだった。母の子である男教師と子の母である女教師との冒険を通し、ローレンツの動物行動学が、愛と攻撃とは同じ根を持つと指摘しているような、そういう母性の根源的な衝動の両面を探ろうとした意欲作なのである…って感じなのかな、とうっかり最初のうち思ってしまった私を笑ってくれ。だってこいつらへんなんだもん。男教師は己れの幻聴に導かれて車走り回ってるし、女教師は女を刺殺してその子を憐れんで、でも一緒に車で走り回ってる。こいつらの行動に確からしさの裏打ちが出来てないので、観客は置いてきぼりを食い、その間もドラマはただただ陰惨に進行する。もう途中で製作者が観客にどういう反応を期待しているのかすら分からなくなっちゃった。呆然とするにもけっこう体力がいるらしく、ラストでは疲れきってすっかりウツロ、サトエリに向かい「そうですか、ハイ、分かりました、どうもご苦労様でした」と弱々しく呟いて電源を切った。[DVD(邦画)] 4点(2008-02-25 12:21:50)(良:1票)

880.  猫目小僧 前半は、つらいなー、と呟きつつ陰気に鑑賞したが、そうね、遊園地のシーンあたりからかな、これはこれでよいのだ、という確信が兆し、そうすると、村がニクダマに襲われていく非常に牧歌的な展開の最中も、たえずニコニコしながら見ていられた。嘲笑や苦笑ではなく、すべてを許す仏のような微笑で。私が「少年ジェット」などで育った世代という前歴も関係はしていよう。しかし製作者側が、あるレベルよりは絶対に洗練させまいという一線をしっかり守っているその律儀さを褒めたい。すると前半の、姉弟と猫目小僧の三人が部屋で踊ってるしょうもないシーンですら、訳もなく懐かしく思い起こされるのだ。[DVD(邦画)] 4点(2007-11-05 12:26:55)

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