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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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161.  野獣死すべし(1980/日本) 《ネタバレ》 松田優作の代表作だと思うけど、この映画はハードボイルドと言うより狂人の犯罪。徐々に伊達の狂気が表に出てきて、リップ・ヴァン・ウィンクルの話で大爆発する。柏木刑事に銃を向けて、マバタキしないで話し続ける伊達の狂気、ハッキリ言って気持ち悪さは圧巻。松田優作という俳優が、日本にとって唯一無二の存在だったことは間違いない。 伊達の独白によると、戦場で人を殺した経験がキッカケで野獣に目覚めたようだ。刑事から銃を奪い、裏カジノを襲った時の落ち着きの無さはリアル。表社会で人を殺す経験は、戦場のドサクサでの殺人とは重みが違うんだろう。 裏カジノ襲撃でそこそこの金を手に入れた伊達。どうして銀行まで襲う必要があったのか?まぁ銃を買う程度の金しか手に入れてなかったとして、どうして銀行を襲う際、サイレンサー付きの銃を使わなかったのかは謎。 柏木刑事を殺してからの浮かれ具合は別人のようで、短気で時々弱気な真田の変わらなさとは対照的。この電車内と、謎の地下洞窟(何だあそこ?)のはしゃぎ具合は、恐らく松田優作の思う“人間の内面の狂気”を、ほぼアドリブで演じたものと思われ、カメラの長回しと相まって、とても印象深い。 松田優作が松田優作の映画の中で、好き放題自分を演るのは当然と言えば当然だけど、彼の中での完璧(ここが万人の思う完璧じゃないのがミソ)を求める俳優故に「俺くらいのレベルになると、こんな狂気の役も演じられちゃうんだぜ」って言われているようで、止める者の居ないオーバーリアクションは、ちょっと鼻につく。だけど角川映画の味付けがマイルドに作用したのか、この時代の松田優作作品の中ではバランスが取れた観やすい作品だと思う。[地上波(邦画)] 6点(2022-05-03 22:39:00)《改行有》

162.  事件 《ネタバレ》 罪を認めている人の裁判と言うのは淡々と進むものだな 白いジャンバーに血が飛び散らないように気をつけながら。死体も後から埋めようと思ったけど怖くなって止める…ん?宏は犯人じゃないのか?なんて思ったけど、やっぱり犯人。 調書のいい加減さは、まるで“穴埋め問題”を作業的に埋めたような杜撰さ。目撃証人の供述もゴシップ記事の印象から来る思い込みが多く、証拠、証言としては説得力の無いものばかり。…だけどやっぱり宏が犯人。 宏は19歳という微妙な年齢。据え膳喰わねば。じゃないだろうに、彼女の姉とイイ感じになる機会が転がり込んだから、ホイホイ食っしまう。責任が重たくて面倒くさくなったら逃げようとする。一見不可抗力な殺人も、ナイフを刺しもせず、刺さらないよう引きもせず、ただハツ子が刺さったくるのを受けちゃっただけ、みたいな主体性の無さ。介抱もせず、死体を埋めもせず、適当に隠すだけで、ヨシ子との逃避行は予定通りするふわふわ加減。 あどけなさが残るヨシ子を大竹しのぶが熱演している。彼氏を実の姉に寝取られ、若くして妊娠し、姉を殺害した事を聞かされる事なく、逃避行も呆気なく頓挫。宏に自分の人生を委ねる決意、一大決心に対する、あまりに非情な掌返し。 ありきたりな痴情のもつれから起きた“事件”。原作小説の連載当初のタイトルは“若草物語”だったそうな。だから19歳のうちに判決が出るのか。若草物語として観た場合、主役の4人の若者とはヨシ子、宏、ハツ子、宮内だろうか。 普通の若者らしい青春を謳歌する事なく、大人の世界に飛び出したハツ子は、まだ中身が子供な宏に受け止めてもらえず、命を落とす。 宏の出所を待ちながら、子供を産む決意をするヨシ子。大人としての責任(労働)を果たさず、半端なヤクザ者として好きな事をして生きている宮内。 裁判後、宮内とヨシ子が橋で再会する。相変わらず女遊びをしていて大人にならない宮内と、大きなお腹を抱えて大人の世界に踏み出すヨシ子。大人と子供の微妙な境界線を、別方向に別れるふたりを対象的に観せることで表現しているように思えた。[インターネット(邦画)] 6点(2022-04-10 17:47:59)《改行有》

163.  226 《ネタバレ》 昭和初期の街並みの再現度が素晴らしい。木造の電柱、ブロック状の舗装道路、山王ホテルなんて実物っぽいけど、オープンセットだそうだから驚いてしまう。陸軍の戦車が3両。ブリキのような、強いんだか弱いんだか解らない辺りのソレっぽさ。この戦車も重機を改造して作ったと言うから、当時の邦画の、一本の映画に対する力の入れようがヒシヒシと伝わってくる。 主演俳優の豪華さも素晴らしい。昭和を彩った名優と、平成に活躍する俳優の共演。知った顔がどんどん出てきて思わず唸ってしまう。 当時の記録映像から映画のモノクロ映像に、そして徐々に色付いていくオープニングは、観るものに昭和初期のクーデターを現代に蘇らせる丁寧な演出として惹き付けられる。 深夜から早朝に決行されたクーデターを、首謀者の青年将校たちの視点で、ドキュメンタリータッチに描いているが、決行に至った動機や時代背景の描写が少なく、観る側に予備知識、事前学習が要求される映画だった。『私腹を肥やす悪い政治家を殺せば、天皇が直接政治を行い、政府の腐敗は無くなり、農村は豊かになる』と。どうしてそう考えたのかの背景。自分たちだけでなく、事情をよく知らされていない部下の命までもを懸けるに至った根拠が良く解らない。要人殺害からバリケードを作って占拠するだけで『昭和維新』の世の中が来るなんて、素人考えでも到底思えない。そこから次の一手が見えてこないのだ。 事件当日から終焉までだけでなく、その前後をしっかり描けば、この事件に初めて触れる人にも理解できる映画に出来たと思う。 安藤は拳銃による自決に失敗し、治療を受けた後に銃殺刑に処されたそうだけど、この映画じゃそんなこと解らない。将校たちの遺書や遺言ののち、一発の銃声が鳴る演出。敢えてそうしたにしても、銃殺刑のライフル一斉射の音でなく、まるで自決のような銃声一発にした意図は何だろうか? 国を良くしようと立ち上がり、志半ばで散っていった青年将校たち。彼らが残してきた妻や子どもたちの思い出の中の笑顔。一方で突然夜襲を受け、目の前で夫を父を殺される政治家の妻や娘の悲痛な叫び。激動の昭和の理想と現実。二・二六事件に興味を持つキッカケとしては充分だけど、出来ることならこの映画一本で、全体像を把握できるものにしてほしかったかな。[ビデオ(邦画)] 6点(2022-03-29 22:47:03)《改行有》

164.  CURE キュア 《ネタバレ》 -CURE- “治す”。 キュアに似た言葉で-CARE-ケアがあって、キュアは医者が施す治療。ケアは看護師なんかが行う、回復のための措置…らしい。催眠術を使った連続殺人。こんなの、防ぎようがないんじゃないか?と怖くなる。普通にサスペンス・ホラーだと思って観てたら、私が想像してたのとは違う方向に向かっていった印象。 映画の結末とは別に、例えば妻を殺してしまった小学校教師。ずっと付き合ってて恋愛結婚した妻を、催眠術で自ら手を掛けてしまう、やりきれない事件。加害者だけど被害者でもある、この何とも悲しい殺人事件の結末とかが気になってた。 『人を殺させる』のではなく、『相手の首元に“バッテン”印を付けなきゃいけない』暗示が掛けられてるから、暴れてバッテンを付け損なわないように、殺してしまうんだろうな。殺人はあくまで手段。バッテンが目的。みたいな。 捉えどころのない間宮との会話。イライラしつつ取り込まれていく様子が客観的に恐ろしい。 警官が同僚を撃ち殺すシーンのように、感情が感じられない無機質な殺人の怖さ。佐久間の部屋のバッテンと、慌てる姿の異様さ。この話はどう決着が付くんだろう?って期待が高まる。 よく解らずに終わってしまったので、他の方のレビューなんかを見て、なるほど~って思ったり。スルメのような映画なので、何回か観ていると理解も深まるかもしれない。 「あんな女房の面倒、一生面倒見なきゃいけないんだ俺は!」決して人に言えない、口に出せない心の叫び。帰ったら生肉。何があって、あぁなってしまったか解らないけど、奥さんの文江が可愛そうで仕方ない。出来ることを頑張ろうと彼女なりに努力している。沖縄のパンフレット貰ってきて、良い夫婦関係を作ろうと頑張ってた。その彼女が誰にどう殺されたのか?小学校教師同様、文枝についても、過程とその後が気になった。 私が気になるところは描かない映画だけど、観る度に新しい発見と解釈が生まれる、不思議な魅力がある映画だった。[インターネット(邦画)] 6点(2022-03-17 23:31:46)《改行有》

165.  君よ憤怒の河を渉れ 《ネタバレ》 -憤怒- 原作小説は“ふんぬ”、でも映画は“ふんど”・・・なんで?? 街中で女が叫ぶ「あの男が犯人よ!」無実の男の逃亡劇。顔見知りの刑事にも疑われ、手錠のまま靴を履かされる屈辱。展開はとってもスピーディで、グイグイ引き込まれる。葬儀会場で靴を変えるなど描写が細かく、サスペンスとして期待大。 アパートの管理人を筆頭に、逃亡先で出会う不自然なくらい優しい人々。早い段階で被害者の2人が怪しいことが解り、観てる側も杜丘の逃亡を応援出来るのは親切。偽名を使う必要がないくらい、みんなに正体がバレてる杜丘。 逃亡から真実の追求へ。だけどずいぶんと軽快で作風とミスマッチな音楽を挟んでくるのが気になって…テッテレッテレ~ン♪旅情あふれる場面だけでなく、加代の死体の場面でもこの音楽。ケキョッケキョッケキョ♪ 変なトラップで楽々ライフルをゲットした杜丘。女の悲鳴と襲うクマ。まさか健さんがクマちゃんと戦う映画だとは。だんだん味付けが大雑把になってきた。 杜丘「どうして俺を助けるんだ!」真由美「あなたが好きだから!」これまた突飛。だけど恋愛映画じゃないからその辺さらっと。音楽とかもぶつ切り。 初めて乗るセスナでF-104戦闘機の追跡を低空飛行でかわす杜丘。あ、結構何でもアリな映画なんだな。矢村の説明で不時着できるタイプのセスナだって解るし、安心だ。 新宿のど真ん中で簡単に連絡が取れる杜丘と真由美。夜の新宿でサラブレッドが走り回る映像は突然で開いた口が塞がらない。いや悪い意味でなく無茶苦茶で面白い。あんな映像、思いついても実際撮らないよ。 サスペンスかと思いきやアクション要素も多く、舞台が日本だけに現実離れしてるようにも思えるけど、後のハリウッド大作アクションでは、結構そのまんまなこと(初めて乗る飛行機で逃走、街中で乗馬)をやっている事を思うと、この時代の邦画で、凄い頑張ってると思う。誰でも思いつくカーチェイス、銃の撃ち合いを入れないのも、新しい映像を観せたい気持ちが感じられて好感が持てる。 執拗に杜丘を追う矢村警部が徐々に味方になる展開も良い。このあたりTVドラマ『逃亡者』のリチャード・キンブルとジェラード警部の関係みたいでアツい。先々で杜丘を助ける善意の人たちも同様。 キチガイ病院ってあんた…でもホント、キチガイ製造病院だった。田中邦衛の演技は慣れたモノだけど、薬飲まされる健さんの可愛いこと。 最後、悪の親玉長岡にバンバン銃撃ち込んで「正当防衛だ」この何でもアリな感じがカッコいい。 主人公に都合よく話が進みすぎるけど、一本の映画としてまとまりも良く、満足度も高い。でもあの音楽がなぁ…ちょっとイジればビバヒルの“アクセルF”くらいに豹変しそうな気がするんだけど…[インターネット(邦画)] 6点(2022-03-16 14:45:46)《改行有》

166.  もっとしなやかに もっとしたたかに 《ネタバレ》 これがいわゆる“日活ロマンポルノ”かぁ。いきなり奥田瑛二の自慰行為から始まるからビックリする。確かに濡れ場が多く長いけど、今の目で見れば過激ってほどでもなく、きちんとした(?)ストーリーもあって、まだ若手だった有名俳優がちらほら出てきて、主人公の務める大和運輸のマークもそのまんま。ファミリー向けではないけど、普通に内容を楽しめる映画だった。 奥田瑛二を中心にしたストーリーだけど、出演者クレジットのトップは森下愛子な辺りも、ロマンポルノだからだろうか? ラジコン飛行機を見上げる幼い大介と、テニス部員の太ももを見つめる勇一。欲しいけど欲しいと言えない男たち。 妻の君枝に逃げられ、父は倒れ、子供は自分を父親と思ってない、どうにも上手く行ってない勇一。 そこに18歳の家出娘・彩子がピタッとハマり込む。本来の君枝のポジションを、どんどん侵食していく彩子。勇一と寝て、大介と3人で遊園地に行き、病院で父の看病をする姿は、理想の夫婦像、理想の家族像にも見える。 理想の家庭像の裏で、持て余された主婦を食い物にするホスト海野。親友の勇一に内緒で君枝を援助していたのも、解らないでもない。 「くたばれよ!ニューファミリー!」 君枝と彩子の火花がバチバチ。奇妙な3人生活が繰り広げられるかと思いきや、案外アッサリと身を引く彩子。 彩子との勝負に勝って手に入ったのは、かつて自分が捨てた生活。この“勝負に勝って試合に負けた感”ったら… 勇一の目の前で親元から走り去る彩子。大介の目の前で墜落するラジコン飛行機。どちらも自分のものじゃないけれど、手に入らなかった理想かな? 海野も実家に帰り、完全に自由を失い、退屈そうにタバコを吸う君枝。軽快なマーチと対象的に、誰も何も手に入れられない、虚しい結末。[インターネット(邦画)] 6点(2022-02-23 15:31:33)《改行有》

167.  吉原炎上 《ネタバレ》 この作品は私の中で、とても邦画らしいと言える邦画だった。日曜洋画劇場だったと思う。番宣の『鬼才・五社英雄監督作品』ってフレーズが印象に残ってる。この映画を見たときも、キスシーン程度ならともかく、もっと激しいお色気シーン、いわゆる“濡れ場”が作品のメインとして入ってて、そういうのに耐性のない子供だったし、お茶の間が凍るのも苦手で…すぐにリタイア。 当時はじっとりジメジメな邦画は避けて、カラッと陽気に明るいハリウッド映画ばっかり観てたっけ。お陰で今、当時未見だった邦画を見る楽しみが出来てるけど。 中梅楼を中心とした当時の遊郭の町並みが凄い。セットのようだけどあの再現度、質感がとても素晴らしい。お金が掛かってるのがよく分かる。細かいところだけど、ふすまの中にガラス窓が入っていたりと、近年の画一的な工業製品に見慣れてしまったため、こんな些細なところに職人技を感じてしまう。 仕事を始める前の神棚を前にした儀式とか、当時の文化を勉強する資料としても、とても面白い。 中梅楼の造りからは千と千尋の湯屋を。おちかさんの話し方は湯婆婆を連想させる。今は鬼滅の刃も遊郭編だし、ぜひ今の子供にも観てもらいたいところだけど、無理だろうな。「ここ、噛んでぇ~!」だし。私も無理だったし。 コレってどこまで実話なのかな?って調べたけど、吉原が炎上したのって何回もあって、『いついつ、ココが火元でこれだけ燃えて、死者は何人で』とかって個別の記録がないのね。 純愛と見せかけて性的不能者なことにコンプレックスを抱いていた古島。お春との結婚に向かう絶望(不能者だとバレる)からの、自殺だったんだろうかね?逃げようと思えば逃げられたし。 古島の純愛より、自己満足の為に花魁道中を選ぶ久乃。不本意に売られてきた身の上には同情するけど、話が進んでいくうちに久乃より、庶民的な菊ちゃんの方に魅力を感じてしまった。[地上波(邦画)] 6点(2022-01-22 18:31:54)《改行有》

168.  わが母の記 《ネタバレ》 母親が80歳、物忘れが出だした頃から、89歳で亡くなるまでを描いている。 観ているとどうしても自分の母親(まだまだ元気だけど)と重ねてしまって、これから先、いつ起きるかしれない認知症と、私だったらどう向き合うかとか、ついついそんなコトを考えながら観てしまった。 樹木希林の演技とは思えない熱演がスゴい。洪作の家から自分の家に帰ろうと暴れる怒ったような困ったような顔。懐中電灯を手に徘徊する真剣な顔。息子の書いた『おかあさんと渡る海峡』を詠むときの遠くを見つめる目。 自分のことを息子だと理解してくれない母親に、あくまで優しく接する洪作が、ずっと抱えてた心の引っかかり。捨てられたと思いこんでた過去をぶつけるシーン。育ての母を悪くしか言わない八重に「息子を置き去りにしたんですよね」と、涙を浮かべて問い詰めるシーンがヒリヒリと痛々しい。ここから先は大泣きしてしまう。 奥さんからアッサリと母の秘密が話されるのも、洪作の人(自分の家族)の話を聞かない性格が出てたと思う。空回りといえば空回りだけど、受け入れるのに必要な時間というのも、あったのかもしれない。 昭和な空気も気持ちよくて、誕生会で泊まるホテルの案内板。八重さんが徘徊する食堂の麻雀卓も懐かしさを感じる。夜中の居間に浴衣姿の家族がみんな集まってる画も、なんか良い。 最初まだ学生だった琴子の成長を描くことで、ゆっくりとしていて、それでいて確実に過ぎていく、9年という時間の表し方も上手い。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-11-26 01:38:57)《改行有》

169.  殺人遊戯 《ネタバレ》 松田優作の遊戯シリーズ第2作…何てことは知らずに鑑賞。 松田優作といえば真面目で無口なハードボイルドな面と、探偵物語の工藤ちゃんみたいな饒舌でおちゃらけた面が思いつくけど、この作品ではその両面が楽しめて、ちょっとしたお得感があった。裸の大将みたいな格好しててもスラッとした松田優作はカッコイイなぁ。 「今日、野性の証明観に行かないと…」「ネバーギブアップ!」ラジオから『戦士の休息』と、同年のライバル映画ネタをジャンジャン出してくるのが笑える。たまたま先日観たばっかだし。こちらの音楽も大野さんなので、軽快でオシャレなルパンっぽさも味わえる。 鳴海という人物、照子が殺されて復讐のように花井組を壊滅させるとか、文太に殺人の報酬ぶんの金を全額置いていくような、情に厚い男の一面があるようだ。だけど人質にした美沙子にロシアンルーレット(もともと殺す気はないんだろうけど)をした後に「運が良い」と開放する。最後は自分を撃つ美沙子にキスをして撃ち殺す冷酷な一面もある。 最後の美沙子を殺す必要性がイマイチよく解らなかったけど、最初に殺された会長の秘書だった時は、美沙子はこの会長の愛人だったんだろう。その会長の利権を握ってクラブのママになってからは勝田の愛人だったから、5年前も今も、鳴海が暴れるたびに自分のパトロンを殺されてる。 最後鳴海に向かって撃つのは、きっとロシアンルーレットの仕返しなんだろう。もちろん鳴海に当てる気はなくて“もう運が尽きた”ことを伝えて、あの時に遡って殺してもらうことを望んだんじゃないかと。そう考えると美沙子を撃った鳴海は、一貫して情に厚い男と言えるかもしれない。美沙子の酒は涙でしょっぱかったのか。 寿会の銃撃戦は約3分に及ぶワンカット長回し。扉に穴が空いたりと、撮り直しが難しい中での一発撮りは、この時代結構スゴいことなんじゃないかな。 だけど確かに、殺されるヤクザのオーバーリアクションは、ふざけてるビートたけしみたいで笑えるかも。[インターネット(邦画)] 6点(2021-11-22 12:42:31)《改行有》

170.  野性の証明 《ネタバレ》 -野性の証明- 野生(=自然に育つ)じゃなく“野性(=動物の本能)”です。 たぶん兄が、原作の表紙(味沢が頼子を背負う絵)の、新聞の切り抜きをテーブルに置いていて、なんかあの絵の、生気のない頼子が幽霊みたいで怖かったんだ。これは絶対恐い本だ。と。それから数年、テレビでやってるのを観てしまう。これ昔見た恐い表紙の映画だ!と。 怖かったなぁ。テロ鎮圧シーンは大丈夫なんだけど、何も悪くない村人が次々残忍に殺されるのって、とてもショッキングだった。それと朋子の家に暴走族が来て殺されるところ。「家の中(安全地帯)まで入ってきて殺すなんて…」と、あれは逃げ場のない恐怖体験で、夜中に暴走族のバイクの音が聞こえると、家に襲撃に来るんじゃないかと、しばらく心臓パクパクして固まってたわ。 でも何だかんだ最後まで観て、頼子ちゃんが撃たれるのに悲しくなり、味沢の「頼子、行くぞ」に、何か熱いものが込み上げました。音楽も印象的で、メインテーマ(歌じゃない方)が頭の中でリフレインしていました。 大人になって観てみると、東北の羽代市が舞台で、そこでは自衛隊も警察も大場一族が支配しているというマッドシティ設定。ネットの発達で日本が小さくなった今と比べ、中央の力が及ばない地方都市なんてのも、あっても不思議じゃないなって思えた時代だった。犬神家の都市版のような雰囲気がいい感じだ。 朋子の姉を殺したのは味沢か、なぜ味沢が朋子に近づいたのか。野心的な記者の朋子と、保険のセールスマンの元自衛官・味沢。羽代市を支配する大場一族の裏の顔と、防衛省昇格を前に非公認の特殊工作隊を隠したい自衛隊幹部の思惑が交差する。複雑だけど面白い。 「俺たちが助かる方法は3つ。演習中隠れているか、演習地から逃げ出すか、あの22名を倒すかだ」ここまでは凄く盛り上がるんだけど、特殊工作員が一般の自衛官をあっさり殺す意外、特に盛り上がりがない。ここから、今までの面白いドラマが安っぽいアクションに切り替わってしまうのが残念。 エンディングが記憶では『戦士の休息』だと思ってたけど、大野雄二氏の音楽(頭の中でリフレインしてたやつ)だった。大野さんの音楽最高。 そのエンディングで、頼子との回想とか自衛隊との戦闘とかと一緒に、戦車部隊と一緒に歩く味沢の画が、当時も今も謎。 印象的な頼子の最後。撃たれて瀕死だった頼子は、予知能力で父がヘリの隊長に撃ち殺されるのを察知して、それで飛び出したんだろう。トロッコでの別れ際、味沢が「頼子ちゃん」と、他人扱いするシーンからの繋がりで『お父さ~~~ん!』「頼子!」は名場面。 頼子の父が発狂した原因の軟腐病。もしかしたらあの部落だけでなく、このマッドシティ羽代市にじわじわと軟腐病が浸透していたのかもしれない。“演習にかこつけて味沢親子を殺してしまおう”なんて、マトモな人間の発想じゃない。劇中何度も出てくるセリフの通り「狂ってる」。 そして最後の味沢の特攻。戦車と歩兵の大部隊相手に拳銃で戦いを挑む味沢。でも相手は特殊工作員でなく一般の自衛隊員。元特殊工作員ながら人間性・理性を失わなかった味沢も、この時には既に、軟腐病(≒野性)に侵されていたのかもしれない。[地上波(邦画)] 6点(2021-11-20 11:54:55)《改行有》

171.  ぼくらの七日間戦争(1988) 学校への不満、教師への反抗、立入禁止の廃工場、自分たちだけの生活。誰もが共感できて、誰もがワクワクする。私も同級生と、当時こんな事がしたかった。かつて少年少女だった全ての人のロマン。 でも初めて観た時は、私はもう15~6歳だったから、面倒くさいお年頃だったと思う。 外国のデモ隊と警官隊の衝突のニュース映像なんかを見た経験から『機動隊のやられ方、嘘くさ!戦車が出てきた時点で、警察も本気でツブしにくるだろ』学校祭の出し物、展示物を何日も掛けて制作した経験から『最後の罠とか花火とか、嘘ばっかり!』なんて。特に映画の後半部分の嘘くささが鼻について、気持ちが冷めていったっけ…あぁ、もう少し子供だった頃に観たかった。 いい大人になった今は、TMネットワークの歌とともに懐かしさも感じながら、当時よりずっと楽しめたかな。 何より宮沢りえの“時の人オーラ”が凄い。彼女の白い肌と透明感。他の女の子と並んだとき、腰の位置が違う。このあと芸能界で色んな仕事をさせられるけど、このときは宮沢りえの存在全てが絶対領域だった。 体育教師にジーンズの裾を引っ張られて破れる。中山役の宮沢りえをホットパンツ姿にする見事な演出。 中山「エレーナをそんなにぶたないで(棒)」カッキーが戦車を見上げると、あらら大胆な改造ホットパンツに。 ここのシーン、しゃがんだ中山が立ち上がるまでを、もっとネチッこく撮りたかったハズだし、その意図で入れたシーンだと思うけど、意外なほどアッサリしたカメラワーク。“宮沢りえをそんな目で見てはいけない”という意識が働いたのかもしれない。なんて思ってしまうほどの彼女の存在感だった。 菊池と中山の仲を見て急に機嫌が悪くなる安永。かといってこの三角関係が発展するとか無く、淡いままで終わらせるとか、いかにも当時の中学生らしい。 エース菊池と補欠の相原が仲が良かったり、絵の得意な久美子が、鉄の扉の外側でなく内側に大きな絵を書くとか、彼女の才能と内向的な性格が出ていてすごく良い。このくらいの歳まで、みんな才能も明るい希望や夢もあるけど、画一的な教育社会では、みんなの才能が世間に認められるわけじゃない。 61式戦車も重要。なんであんなところに居たのかは謎だけど、それが却って不思議で面白い。 何年も放置されたであろう古い鉄の塊。子どもたちの修理なんかで動くシロモノじゃない。それが動くなんてファンタジーだ。 まるでアイアン・ジャイアントやラピュタのロボット兵並みに、子どもたちのピンチに「・・・どれ、助けてやるか」と動き出すエレーナ。 61式は戦後初の国産戦車で、一度も戦闘で血を流すこと無く、今では全車退役しているそうな。そんな平和な時代の、動くはずのない戦車が、子どもたちを助け、みんなを載せて敷地内を楽しそうに駆け回り、元の位置の戻り、エンジンが焼けて寿命を迎える。 人に向けて撃つことのなかった大砲は、子どもたちの七日間戦争の終わりを告げる花火を打ち上げる。 今見ても最後の大暴れ、完成度の高すぎるトラップの数々が、11人の子供が頑張った感=リアリティが無くやりすぎで残念。 小規模にするか、せめて他の生徒も応援に来てみんなで…とかなら、多少説得力も増しただろうか? 最後どうなったのか。子どもたちはあれだけのことをして『楽しい思い出が出来たなぁ』くらいな感じで学校に通う。 バラバラに転校もさせられず、ワンポイント・ソックスも勝ち取れず、校長先生に殺されもせず。何もなかったかのような登校風景。 子供も大人もお互いに理解し合えず。って結末。最後が惜しい。[地上波(邦画)] 6点(2021-08-25 14:23:49)(良:1票) 《改行有》

172.  笑の大学 《ネタバレ》 面白かった。心から笑ったことがない人が、自分が理解できていない笑いを説明されて、それを理解して、実際自分が人を笑わせる手伝いをする(結果になる)。そこには検閲を通すためのヨイショもあるんだろうけど、向坂のダメ出しを見事に笑いに組み込む椿のセンスは、強引ながら大したものだと思えて、5日目の向坂が警官役をやらされる辺りまで、テンポも良く、作家と検閲官のお互いの距離が近づくようで、とても楽しかった。 6日目、向坂が坊主の格好している辺りから、若干クドさが出てしまったように思えた。好みの問題かもしれないけど、5日目までの距離感が一番絶妙だったような気がして、それ以上距離が縮まるのは、やりすぎなような… 向坂が上演許可を出さないために嫌がらせを告白は、それはそれとして黙って飲み込んで良いと思うんだけど、その後の椿の本音が、観ている私も聞きたくなかった。これは戦地帰りの兵隊に『人殺しは間違いだよね、あなた人殺したことある?』ってのと同じくらい、言っちゃいけないことのような。向坂がちゃんと「聞きたくなかった!!」と言ってくれてよかった。でもここまで積み上げたものがぶち壊しになり、修復は無理と思われた翌日の、赤紙。ある意味反則だけど、すべて持っていく上手な結び方。 あぁ、でも向坂に廊下で叫んでほしくなかったかな。もっと、あの部屋の中だけで、二人の中だけで認め合うような結末が相応しい関係だったように思う。 舞台版だとそういう所も含めて、完成度高いのかな?でも充分楽しめたよ。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-07-06 23:45:07)《改行有》

173.  Wの悲劇 《ネタバレ》 ダブリューの悲劇。アメリカの推理作家の『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』のオマージュとして、日本の作家が作った推理小説『Wの悲劇』を劇中劇とした、舞台女優の悲劇を描いた映画…へえぇ~~。 薬師丸ひろ子の脱アイドル、本格的な映画女優を意識してか、処女喪失というショッキングなオープニングから始まる。彼女が感情の微妙な変化を、声と表情の演技で出そうと頑張っているのが伝わる。…良く言えば今の薬師丸ひろ子の演技は、この時ほぼ完成されている。 オーディション後に落ちたと知らず、静香に花束を渡す昭夫。その花束でバシバシ叩かれたあとの、キラッキラの笑顔と優しい言葉が印象的。なにか思っていた世良公則のイメージと違って違和感を感じなくもない。脱いだパンツ挟んでの昭夫と静香の電気のひもバトル。何とも青春していて良いね。 こんな過去のアイドル映画の集大成っぽい内容が1時間弱続き、いきなり物語が動き出す展開は見事。 羽鳥翔の自分を語りつつ、静香に頼んでいるようで、逃げ道を作らせない有無を言わせぬ圧。演技の勉強を頑張りすぎたせいで、役と事件を天秤にかけ、事の重大さを故意に鈍らせる静香。記者会見で女優として現実の自分を演じ通す静香の姿は痛々しくもリアル。一方、翔がかおりを摩子役から下ろすためのいびり方は演技とは思えないくらい、本当にありそうで怖かった。 昭夫が刺されてからが駆け足で、主要メンバーのその後が気になって仕方ない。特にかおりは、あんな事件を起こさなかったら実力から再起は確実だったろうし、可愛そうでならない。 でもそういう、蛇足になりそうなところを敢えて描かないで、静香と昭夫の別れでアッサリした終わりも悪くないと思えるようになった。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-06-20 21:48:46)《改行有》

174.  探偵物語(1983) 《ネタバレ》 赤川次郎の原作自体が、薬師丸ひろ子をイメージした作品だって聞いた記憶があるが、このタイトルからして、相手役は松田優作をイメージしていたんだろうか? 探偵事務所に所属しているけど単独行動・孤立無援な辻山は、個人事務所だけど仲間とワイワイな工藤ちゃんとは、人物像が真逆と言うか… 本で見るとナルホドってなるかもだけど、実際画で見るとかなり無理があるトリック殺人。ものすごい偶然が重なってたどり着く推理。都合よく置いてあるペンダント。ゆるく楽しむのが正しい観方なんだろう。 事件解決からが見応えがあって、辻山の部屋での長回しが素晴らしい。というか、ここから先だけでも良いんじゃないか?って思ったりする。 今まで直美を“調査対象の子ども”として、一歩引いた距離で扱ってきたが、ホテルの話を聞き、落胆の表情を見せる辻山。 「ずっと一人で寂しかった!」「…一人で居て寂しくないやつなんていないよ」直美を大人としてみて本心を話す。 「帰ります」と2回。背中に向けて投げ捨てるような告白の言葉。そんな事解ってるから振り向きもしない辻山。 アイドル映画の告白シーンなのに、重苦しく物哀しい。切ないテーマソングの入り方もイイ感じ。 空港での別れのシーン。エスカレーター逆走から手を重ねて無言のキス。 キスの後も名残惜しそうにしがみつき、胸に頭をくっつける薬師丸ひろ子の演技は素晴らしい。 …ただディープキスにしたのはどうだ? 欧米の映画に比べて日本の映画界が劣っていると考えている松田優作が、ちょっとやり過ぎてしまったんじゃないかと思うんだけど。どうだろう。 普通のキスで良かったんじゃないかな。話題作りにはなったと思うけど。 もう一回ちょんとキスして、小さく手を降り去っていく直美。しばらく後に小さく手を振り返す辻山。 棒立ちの松田優作と、ディープキスのあとだけにホンワカした音楽がちょっとシュール。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-05-21 11:04:34)《改行有》

175.  日本沈没(1973) 《ネタバレ》 小さい頃、ウルトラマンの感覚でこの映画観て、怖かったなぁ。 今でも小さな地震さえ怖いのは、私の根底にこの映画の記憶があるからかもしれない。 OPの地殻変動の地球と、映画のセリフっぽくない先生のマントル説明を見ると、本当に日本が沈没しても不思議じゃないなって思える。 関東大震災から50年目「火さえ出さなければ大丈夫だ!」という、お爺さんの教訓を覆す予想外の大津波。 建物倒壊で小路に逃げ込む人たち。そこに逃げてくる服に火の付いた人たち。逃げ道が無くなり炎に包まれる人たち…あぁ、火災に巻き込まれる人って、こうやって死んでいくのか。あそこに自分が居たらと思うと、怖くって仕方なかった。 着水する飛行艇(US-1?)や自衛隊のUH-1ヘリの大群が飛び立つ様は迫力満点だ。 …だけどお腹がパカッと開いて消火カプセルを落とす特撮は、今見るとちょっと可愛い。 生放送で大暴れする田所先生。表舞台に出しちゃ駄目なタイプの人なのに、政府の責任回避の生贄に使われるなんて、腹黒い。 小野寺の「逃げるんだ!」も、群衆の中で唯一、日本の行く末を知っている身として苦しい気持ちが伝わる。その後災害救助に当たる藤岡弘の眼力がスゴイ。 3つの案を聞き「何もせん方がいい」と言われ涙を流す山本総理。疎開先が思うように決まらず「1億人でなく10万人なら」も充分わかる。個人の想いと総理大臣の立場の苦しみが良く出ていた。オーストラリアめ。 姪っ子の花江。木村文乃ソックリ。角ゆり子というのか、綺麗な人だけど一言も喋らない。 国の統制を映画では非常措置要綱と言ったか。いま緊急事態宣言が各地に出ているが、映画ほど重たく捉えられないけど、これが正常化バイアス? 最後の方のテロップ“地球のどこかで”という文字は、きっと“いい日旅立ち”の歌詞に影響を与えたに違いない。[地上波(邦画)] 6点(2021-05-09 15:11:27)《改行有》

176.  クリフハンガー 《ネタバレ》 ~Cliffhanger~崖に引っ掛かって吊り下がってる人≠いつ落ちるかハラハラ・ドキドキ=続きが気になる!のスラング。 冒頭サラの事故が何度見ても手に汗握る。今回も手汗かいてた。 空撮を多用したカメラワーク。スポーティな軽装で、スイスイ崖を登る姿が、慎重に一歩一歩ゆっくり登る山岳映画のイメージを一新させたと思う。 スタローンという映画界の絶対安心男の判断ミス(ではないと思うが)で始まるのは、当時意外に思えた。 飛行機の攻防が結構好きなシーンで、FBIマセスンと財務官トラバースのどちらが悪人か迷わす展開、その後のマセスンの意外な健闘は、上手だなと思った。スタローン映画と言えば、彼一人で何でもやってしまう印象しかなかったから。 初見は勢いで流して見たところも、複数回観ると引っかかる点や、よく考えろ!って展開も出てくる。 友人「あんな雪山でシャツ一枚だと凍え死ぬだろ。それが『寒い寒い』だけで済ますのどうよ?」私「いや、目的地(山小屋)がわかっていれば根性で行けると思う」あの格好で一晩以上生きられるか?で引っかかる人の評価は低いみたい。 強盗団「ガイドは二人いらない、殺せ」って、そういう話は金を探させてる最中でなく確実に手にしてからにしよう。 札束で焚き火は豪快だけど、強盗団がナイトビジョンゴーグル持ってるのに焚き火とか、見つかる。 トラバースとの最後の戦い、あんなにセット感丸出しだったっけ?あんな雪山の上に凍らない池があるなんて… 1200m。8ヶ月前サラが「…1200mもあるの?」って怖がって死んだのに、最後に彼氏のタッカー「クウェイランは1200m下だぜ!」って、絶対言っちゃいけないジョーク。 そのせいかラジー賞に多数ノミネートされてたけど、受賞はならず。かなりハラハラ・ドキドキしたことだろう。[ビデオ(字幕)] 6点(2021-05-08 10:53:41)《改行有》

177.  東京家族 《ネタバレ》 私はまだ東京物語を見ていないのだ。だけどある程度のイメージは持っている状態での視聴。キャストがセリフを言うたびに切り替わるカメラ。置かれるセリフ。うん、うん、こんなイメージだと思う。 サザンの名曲を星野源が歌ったら、きっと想像も付かない味わいが出るんじゃないか?…なんて思ったのに、星野による桑田のモノマネだったらきっとガッカリするだろう。それも素人がカラオケで誇張して歌うレベルの、上っ面だけのモノマネだったら。 東京物語を観てない私にさえも伝わる小津監督のモノマネレベルの撮り方。…なのかな?何でこうしたこうなった。 その、観ていて疲れる前半を乗り切れば、充分に引き込まれる内容だと思います。 観光先は東京タワーでなくスカイツリー。(たぶん)当時最新のラジコンヘリのおもちゃで遊ぶ孫。3.11で町を飲み込んだ津波。そして復興ボランティアに参加した昌次と紀子。 家族の間でたらい回しにされる老夫婦。旧友の服部さんのアパートで廃品回収に運ばれていく、まだ使えるテレビや自転車。粗大ゴミ扱いされる昌次の愛車チンク。とみこの形見として渡される古い腕時計。 都会と田舎。古いものと新しいもの。スクラップ&ビルドを、広島から出てきた老夫婦と若い昌次と紀子の視点から、いろんな形で観せるが、それが単純に、懐古主義に偏重させない気配りは感じられた。 さっきまで話していた母親が、階段で倒れて、それっきり死んでしまう。母の最後と同じ日に紹介される未来の家族。 生前の母親の家族への振る舞い、無愛想な父が私の両親とカブってしまい、色々と思ってしまうところがあった。こういうのは反則だ。母の日が近いし、短時間でも顔見てこようか。 紀子を上っ面だけの理想のフィアンセにしなかったのが良い。昌次の実家で愚痴る演技が特に良かった。 本屋でお客が探してた絵本が“ちいさいおうち”とか、そういうのは要らないと思う。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-05-07 02:12:08)《改行有》

178.  実録外伝 大阪電撃作戦 《ネタバレ》 実録で外伝、凄いタイトルだ。ヤクザ映画をマトモに観たのは初めてかもしれない。たまたま録画していたもので、俳優陣があまりに豪華なので鑑賞。 OPのモノクロ写真が雰囲気抜群。実際の抗争事件がモデルだそうで、まぁ~まヤクザ同士が喧嘩ばっかりしている。 神戸の老舗大組織と大阪の新興中小組織(連合?)の闘い。のようだが、組織が複雑でどの組織の誰が何をしてたか、正確に把握できてない。 安田と高山の友情をメインに、作戦とは言い難い場当たり的な大阪組の闘い方と、神戸組の軍隊のように統率の取れた組織的な作戦行動。俯瞰してみると勝敗は火を見るより明らかだ。 実話を元にした映画だから実録。負けた側から描いた映画だから“外伝”なんだろう。 他のヤクザ映画を見ていないから比較はできないが、やはり目玉は裏社会の仕組みと暴力とエロだろう。特にカーアクションはかなり力が入っている。 ボクシングジムでの高山の虎の入れ墨のイジり方は『さすが大阪人、上手いこと言うなぁ』と、ちょっとクスッときた。 1976年当時の大阪の商店街などの街並みが賑やかで懐かしく、抗争の中身よりそちらに目を奪われてしまう。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-03-30 22:48:55)《改行有》

179.  ギターを持った渡り鳥 《ネタバレ》 孤高のヒーロー、可愛いヒロイン、凄腕の悪党、見知らぬ街の旅情…当時の楽しい映画の要素がいっぱい詰まった娯楽映画。 滝は元刑事で、ギターも歌も射撃も上手いが、そんな経歴の割に随分と若い。 殺し屋ジョージの不気味な薄ら笑いがとても印象的。女性の扱いは酷いが、ズルさの無い悪役だから何か憎めない。 この映画ではピストルの扱いが軽いなぁと思った。簡単にポッケから出して簡単に撃つ。 これは日活無国籍アクション。固っ苦しい法律や貧乏くさい日常生活は描かない。架空の日本ってことだろう。 自然豊かな駒ケ岳の原野を背景に滝が現れる様は、日本を舞台にした西部劇然としている。 函館は北海道で南西の大都市。観光地も多いし、自然も豊かだ。まさに(サウス)ウエスト・ワールド。 駒ケ岳、金森倉庫、函館山…当時の函館の景色が綺麗。ロケ地で同じ角度から写真を撮った人のブログがあり、今と昔を見比べると楽しい。 肩の凝らない映画だったから、ぜひ他のシリーズ作品も見てみたい。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-03-15 23:17:41)《改行有》

180.  愛と死をみつめて 《ネタバレ》 以前、広末涼子のドラマ版を見た。うろ覚えだが、後日談を交えてのドラマだったように思う。 原作は二人が交わした文通と、ミコの日記をそれぞれ書籍化したもので、当時大ベストセラーになったそうな。書籍化、映画化、ドラマ化にレコード化。当時の一大ムーブメント。最近のそれに近いものと言えば『余命1ヶ月の花嫁』が難病・実話というキーワードが同じだけど、何となく『電車男』の方がマッチしてるように思う。 映画は二人の出会い(回想として)から闘病生活、ミコの死までを描いている。 『髪は女の命』なんて言うが、この年齢の女性が顔半分を失っても生きる道を選ぶのは、あまりに酷な選択だ。それでもミコは悲観することなく、マコとの会話を楽しんだり、同部屋の老女や身寄りのない老人の世話をする気丈な姿が健気。それだけにミコに隠れて涙を流す父親の気持ちが痛い。そして彼女を一方的に罵るオールドミスに怒りを覚える。というか、トラウマに… 吉永小百合の映画は数本見たくらいだが、この映画の彼女が一番美しく思えた。電話越しにギターを聞くシーンなど、病に蝕まれる役を熱演しているように見える。原作がベストセラーなので、ヒットは間違いなかっただろうとはいえ、ほとんど顔半分が見えない作品のヒロインを演じるのは、かなりの英断だったと思う。 ミコの日記に綴られた「健康な日を三日ください」は、文通でマコに見せたい元気な自分との対比のようで痛ましいが、想像の中で学友と自転車に乗るミコは、この映画史上最も美しい。ちょっとしたシーンだが、吉永小百合が大島みち子さんの代わりにミコの人生を楽しんでいるように見えて[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-02-12 11:53:20)《改行有》

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