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プロフィール
コメント数 604
性別 女性
ホームページ http://www.geocities.jp/suminoe_kagaya/
自己紹介 2004年から映画専門サイトをたちあげました。
ジャンルはSFが主ですが、サスペンスも大好きです。
リバーランズスルーイットや、ショーシャンクの空に
のようなヒューマンものから、未知との遭遇やバックトゥ
ザフューチャーなどのアンブリンもの。
十二人の怒れる男やパルプフィクションなどの脚本もの・・
自分が良いと思った映画が合う映画で、見る人の数だけ
思いも変わると思います。その中で、共感できる人が
多ければ売れるのでしょうね。
たまに<これだけ映画を見てるんだから万人受けは・・>
と、マニアックな映画にも手をつけますが、
できの良い映画や単館ものなど多趣味なジャンルに疲れ、
子供時代に帰ってるみたいです・・
それらは映画館で見た映画本来の娯楽作だった・・

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順12
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変更日付順12

1.  天国と地獄 《ネタバレ》  映画ってやはり残るのは映像、演出なのだと思いました。 長い間記憶に残っていたのは、パートカラーの煙の画面。 それを見たさに見出し、あれっ忘れてるこの人たちは誰?と 映画が進んでゆくのですが、面白い。 自分で思い出しながら推理していきます。 見たのに忘れてる、忘れてるけど見覚えはある・・ なかなか楽しく前半が過ぎた後、気がつきました。 グリコ・森永誘拐事件に似てないか? 他にもこんなのあったような・・? 昔の日本のモノクロ技術ですから、海外のモノクロとは 全く画像の質は違い、黒い部分はつぶれ非常に見にくい。 しかもすごい人数が出てて誰がしゃべってるかわからない。 カメラワークも3場面をひとつに撮るから、 よけいわかりにくい。前半の、大広間の主人公、廊下の刑事、 二階から降りる家族を奥行きを持たせ、 1カットで撮ってるんです。字幕を利用しました。 これでセリフに名前も書かれ、理解しやすくカメラも楽しめる。 病院での窓を枠にし、窓の手前には刑事。 向こうに階段を上る犯人と手のアップ。うまいよね~! もちろん特急列車のトリックもスピード感たっぷりで、 外の風景の誘拐犯がリアルで感動しました。 煙突の煙の色はずっと暖めてきた記憶のせいか、 えっ?こんな色だった・・?とちょっとガクリ。 後半のモノクロはかなりごちゃつき黒がつぶれてた。 肝心のお話についてですが、見終わった後いやな気分になり、 こんな後味の悪い映画だったかなあ・・と。 でもその気持ちを問い詰めすっきりしたいために考えました。 犯人は権藤をなぜ呼んだのか?罵倒してほしかった。 そうすれば救われるのでは?救われなかった犯人は、 ラストのシャッターにより境をつけられる。 天国から地獄に高台の金持ちを落としてやった。 自分は地獄のままの位置にいる。ののしり罵倒しろと。 だが権藤は地獄から天国に這い上がろうとする 自身の希望を説く。貧困の問題でなく、心の位置なのだ。 前半から中盤までの高台の屋敷の中で、 被害者でありながら主人公の位置が変わるのが面白い。 十二人の怒れる男を思い出しましたよ。 私がすごいなと思ったのは、この作品に恐ろしいくらいの 庶民性を感じることです。 時代は違えど、日本のどこでもあるかもしれない風景に。 高台の金持ち、電車(江の電がいいね)、新興住宅地の 影に隠れたアパート・・ 10点(2004-04-29 07:44:02)(良:1票) 《改行有》

2.  南極物語(1983) 《ネタバレ》  やはり探して思いつかないときは昔の(70-80年代)邦画ですよ。 「復活の日」これも映画選びに迷い借りて感動しDVDを買った。 そういえば復活の日は日本初の南極ロケ映画だったのです。 その3年後の作品になります。 あらすじはもう誰でもわかるネタバレもしかられないストーリー。 南極版中犬ハチ公というか犬が南極に置き去りにされるのですが、 テンポはゆるやかで音楽もいいから眠くならないか? その心配は冒険ドラマのようなストーリーでなくなりました。 作品がうまいこと作られていて置き去りにした隊員の日本と、 南極に残された犬たちの時間が同時に進んでゆきます。 置き去りにされたといっても、 これは上の連絡ミスなんです。 人間の命優先非常事態といっても、 助かった(船に乗せてくれた)犬たちもいるんだから、 絶対連絡ミス不手際以外ないでしょう・・(怒) 現実にあったことなのですが当時大人気であったらしい、 生き残った2匹の兄弟犬よりも私はすごく好きになった犬がいます。 ゴロは最初によく出てくるどうしょうもないバカな犬です。 でも隊員の手を煩わせるこのかわいさがなんともいえない。 犬を飼ったことのある人は共感し苦笑するでしょう。 そしてリキはもうその存在だけで泣けるのです。 私はすっかりリキに感情移入をしてしまい、 このリキの最期のシーンでは最高にボルテージが上がりました。 そのあとが実は見せ場の再会シーンとはなるものの、 リキ以上には感動しなかったなぁ・・ リキはかっこよすぎますよ。 怖い自然雄雄しい南極、 本編で演出された南極とはまた違う穏やかな南極・・ そこに行き続ける命があることは当たり前なんですが、 この穏やかさを最後にもってこられると、 環境とか命とか自然とかそこまで考えてしまう・・ ただの犬と隊員の泣かせ映画ではない。 すごく大きな作品だなと感じました。 [DVD(邦画)] 9点(2006-04-02 13:39:10)《改行有》

3.  砂の器 《ネタバレ》  この作品でやはり誰もが褒める名演技の役者が加藤嘉です。 後半の犯人の幼少時の父とのロードムービーが、 まるでサイレント映画のようにほとんどセリフがありません。 ハンセン病というその時代では差別的な病気により、 村を追われ旅を続ける父子がたどりついた先は・・ 決して明るくも和やかでもない旅なのになぜかほっとする、 そんな父子が引き裂かれる(宿命) 少年が選んだのは名前を変え生き場所を変え過去を捨てることだった。 後半の音楽だけの回顧シーンはピアニストの演奏会のシーンとだぶり、 もうひとつ重ねるように説明するのが主役の刑事 丹波哲郎。 この3つのトライアングルが見事で、 この作品のクライマックスでありモノローグでもあります。 私はこの回想シーンで涙が止まりませんでした。 父がかわいそうでかわいそうで、 そして育ての父でもあり父子を引き離した善意の父もかわいそうで・・ なんでこんなことになったんだろう。 救いようがないじゃないか・・ 犯人には全然感情移入できないしかわいそうとも思えない。 でもなんで・・そう心が揺れていたエンディングにラストの大逆転の真実。 ここで犯人の気持ちがわかったような気がした。 この人はパニックになったんだろうと・・ 宿命に囚われた過去を捨て人を踏みつけても這い上がってきた。 それがまた切っても切れない宿命で繋がってしまう・・ 多分私が犯人だとしてもパニックになって自分を押さえられないと思う。 もちろんそこで自分を抑えるのがしなければならないことで、 それができなかったことが犯人の宿命なのです。 感動し見終わったあと考えてしまう後半に対し、 前半はまるで西村京太郎(も好き)の旅情サスペンスのノリで、 邦画にしては長いのですがその長さを全く感じさせず、 特に地方の方言やトリックによる面白いドラマになっています。 昔観たときには感動はしたけれど暗いかなぁと記憶していたのですが、 今回久々に見てみると前半が意外にテンポよくしかも後半も暗く感じず、 ただ扱う問題がかなり特定される救いようのないテーマなだけで、 それをここまで娯楽も取り入れ映画化できたのはすごいなと思いました。 非常に丁寧で好感の持てる映画です。 [DVD(字幕)] 9点(2005-12-04 15:40:21)《改行有》

4.  シンプル・プラン 《ネタバレ》  アタマのいい夫婦が始めに決めたシンプルプランを破ってゆく・・ この夫婦は贅沢ではないけれども、 他のふたりより明らかに幸せのはず・・ 兄は援助を受けてその日暮らしのフリーターでひとりで住む。 このビリー・ボブ・ソーントンがすごくよい。 あの役は子供を生みたてというのが鍵です。 守りに入っています。 入る予定の大金は誰にも邪魔させない(爆) 役として一番ヤな役なのに子供を出すから非難できない。 そういううまい脚本で得をしていますが・・ 先が読めるストーリーであるにもかかわらず、 緊迫感をいたるところでイベントとして演出し、 最後は静かに静かに後味の悪さが残ります。 これがサスペンス・ミステリーの基本じゃないでしょうか。 もともとサスペンスの王道とは後味が悪いものです。 だから推理小説が売れる。 ベストセラーとなったこの作品の原作はわかるような気がする。 後味の悪さは「二十日鼠と人間」のような感じ。 コーエン兄弟の「ファーゴ」は観ていません。 コーエンといえばライミ監督の「死霊のはらわた」の編集。 そしてライミといえばコーエン監督の「未来は今」の脚本。 と親密なる仲なのです。 雪に現ナマと同じような作品にはなりましたが、 シンプルプランは元がベストセラー小説。 あのスティーブン・キングが絶賛したらしいです。 話が読めるのに面白いサスペンスってちょっとないですよ。 どんでん返しというよりも、 なるべくしてなるという雪ダルマのような転がりがた、 ドミノ倒しのこっけいな哀れさ。 古くはヒッチコックの「ハリーの災難」的な手法なのですが・・ お金のない人間がお金を持つとどうなるのか。 つもりごっこはもうできない。 高級車に乗ってるつもり、 大邸宅に住んでるつもり、 美女と暮らしているつもり・・ そんなつもりごっこが本当になるとしたら? 呪われた(悪いお金)お金は悪い心を呼び、 ひとつついた嘘は引き金となり自分に向けられる。 夢を見ながら愚痴をこぼす生活が楽なのかもしれない。 人間はお金では買えないし、 お金で繋がった営利な人間はなくなれば去るのですよ。 [DVD(字幕)] 8点(2006-05-28 15:19:17)《改行有》

5.  日本沈没(1973) 《ネタバレ》  今の邦画はハリウッドに追いつこうと何かを無くしてしまっている。 そのひとつが特撮だと思うのです。 ハリウッドはCG使い放題ですが役者も時間もお金も邦画とはかけ方が違います。 「ゴジラ」などの特撮は邦画のオハコだったはず・・ 特撮がチャチだなと観ていて思いましたがお話がよければいいんですよ。 日本が沈没するくらいの現象がおきているのにお隣の国に影響が出ないのはおかしい。 しかしそれはSFの範囲でかまわないのです。 なぜなら日本だけアトランティス大陸のように沈むお話なのだから。 突っ込みどころを引いても魅了するのがSF映画だと私は思います。 この日本沈没は暴徒&逃げ惑う人々を描いています。 マドンナ役のいしだあゆみが恋人とはぐれるんですが、 あらら「宇宙戦争」しちゃった~まあいいか暴徒も描けてるしと苦笑。 考えれば宇宙戦争の原作も死んだと思った家族と再会なんてあるんだし、 左京氏がこれをオマージュとさせたのは間違いない。 渚にて、宇宙戦争、ここらの原作を読んでいない昭和のSF作家はいないでしょう。 人間ドラマとしてみるならば「復活の日」より重く深いです。 最初に観た時は東宝の特撮のチャチさで減点しました。 ところが今回は最初に違和感を感じた特撮も、 人間ドラマとして見ることが出来(すでに見たから) 後半なんか感動して泣けました。 日本人にしかわからないかもしれない感情・・ それを沈む島国に残る人に見ました。 一番日本のことを思い力になった人が・・ そこを離れたくないと言うのです。 それもまた彼らの生き方なのです。 しかし・・あの感動したキーワード役の渡老人・・ 来年のリメイク作ではないかもしれないのです。 渡老人を抜きにして制作して何の意味があるのか・・ もし災害になったらどうなるかがこんなチャチな特撮でも、 リアルに感じ感情移入ができる怖い映画です。 この感情を洋画に感じるのは難しい。 やはりいしだあゆみの役どころや突っ込みどころはありますが、 あの「宇宙戦争」だって原作も生き別れ再会なんだし、 SF映画に細かい突っ込みは仕方なくそれを上回る出来なので許せる。 良い映画なら邦画に高得点をつけたっていいと思うので、 7点から8点に加点したいと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2005-10-22 12:46:49)《改行有》

6.  Shall we ダンス?(1995) 《ネタバレ》  この映画の中にも子供がこぼしていた言葉、日本人なのに社交ダンス? やってた私も思いましたもの。ここがイギリスならって、自分が日本人でなければいいって。 でもそういうことは趣味がたまたま英国発祥の娯楽であって、 もし自分が英国人で日本のたとえば歌舞伎とかに夢中になったとしたら? 同じようなもんです。どこに生まれても住んでもないものねだりで・・ なりきりたくて踊ってる当人たちは夢を見ますが、回り特に世界を知らない人は異質に思います。 この社交ダンスとやらはめちゃくちゃお金がかかる娯楽であります。 入会金やチケットなどはもちろん、コンテストやパーティ発表会などには、 衣装がいるのですがその衣装もレンタルできません。 当時の私はこの主人公と同じように汽車(うちは田舎、映画では電車)で教室に通ってました。 仕事が終わるとふたつの教室をかけもちで習いに行き、小遣いのほとんどは教習料と衣装代に。 はじめて教室に行ったときのことや、窓から見えるビルの教室、レッスン風景、コンテスト・・ お金が続かなくてやめてしまった社交ダンス。 教室に行きだすともう踊りが違うのでセンターとかでやってるパーティに行けない・・ でももう姿勢も元に戻ってしまい、別に大会に出るわけでもなくどう踊ったってかまわない。 年をとって(想像でいえば70代くらいが素敵)夫婦で踊るのっていいなぁと思う。 すごくロマンチックだしね。体と頭を使うのでボケ防止にもなるだろうし健康にいい。 考えながら相手と合わせ数分間に酔う。とても素敵な贅沢ですね。 この主人公は自分を知ってて趣味の範囲で夢をこっそり楽しむ。 そしてもうひとりの主人公のプロダンサーは、 初心に帰ってまた自分の夢を求めて踊り続ける。 何かに夢中になることは結果がどうあれ時がたてばかけがえのない宝ものになる。 教室の窓を見上げる主人公が憧れから始めた世界でも、 いつのまにかプライドが芽生えそしてそれが挫折となるのです。 ほろ苦い現実ですが、教室の仲間がとても素敵ですよね。 挫折してもまた趣味の延長で続ければいいんですよね。 [ビデオ(吹替)] 8点(2005-05-07 07:31:10)《改行有》

7.  アンナ・マデリーナ 《ネタバレ》 真剣に見入っていました。なぜかというと私は音楽家ネタが好きだから。 バッハは特によいんです。知ってるのはあの名曲G線上のアリアが、 Gコードに載せてアリアのために作った曲とかそれだけですが・・ これは妻アンナに捧げた曲ですね。メヌエットという曲と思う。 ラバースコンチェルトという題で、歌詞をつけられて大ヒットした・・ すごく品がある脚本で本当に真面目に見ていたんです。 ところが後半、小説の中のお話に変わりわけがわからなくなる。 ここまででかなり評価は低かった。 終わったあと、引っかかるところがあり、またDVDを再生。 その引っかかるところが解明されても(いきなりガーフの妄想小説) なぜ彼は書けたのか?そんな才能は前フレなかったじゃないか? は・ん・そ・く!と怒っていたのですが、 やっぱり時間がたつとこの映画、いとおしくなってきたのです。 誤字の封筒、出版社の女性のもうひとつの思い。 愛を伝える才能だけがなかった(運と性格)調律師。 生真面目な小説家や音楽家にあるパターンです。 それが誰にでもある琴線に触れたのかも。 ドラマティックな妄想の中の告白とは裏腹に、 それでもいいと終わらせるわけでもなく、 ただ妄想の中で生きている。 欲を言えば、このもやもやしたラストを、 もっとはっきりした感情(感傷)にしてくれれば、 感動できたのですが。 年老いた小説家の思い出話とまではいかなくても、 小説を閉じ過ぎ去った思いを懐かしむ感じで。 3人の写真だけではまだピンと来なかったので・・ 8点(2004-11-30 04:40:12)《改行有》

8.  疑惑(1982) 《ネタバレ》 コレは面白い! やはり松本清張のサスペンスはわかっていても面白い。 昔観た「鬼畜」「天城越え」もまた観てみよう。 そして最近見直した「砂の器」といい、 同じパターンだった・・ このあざとい演出は野村監督の技なのか原作からくるものなのかは不明。 今作はコメディかとも思わせるくらいの法廷劇が見事に笑える。 計画的な殺人容疑者桃井かおりの無計画さも見事だが、 弁護士役の岩下志麻の事務的なそっけなさは、 かっこいい~と見ほれてしまった。 保険金目当ての殺人容疑事件を当事者発見者、 報道側裁判側そしてお得意の容疑者の過去に至るまでの描写、 どれをとっても見事で飽きることがない。 桃井の親友であるチンピラ役の鹿賀もはまりすぎ。 エンディングは黒澤明の「悪いやつほどよく眠る」のような感じで、 真実は一体どこにあるのかないのか・・ その後味は不気味なものでも嫌悪感を覚えるものでも爽快なものでもなく、 なんともいえないしたたかさがある。 大人のサスペンス娯楽といっていいだろう。 私は邦画はあまり観ない方だが清張に代表されるサスペンスは、 洋画より地域の細やかな描写が親近感を感じるしテンポも悪くはない。 法廷モノでこれだけ笑えるドラマは珍しいだろう。 ワインを岩下にかける桃井のシーンも見世物。 そしてクライマックスの松本清張のお決まりシーンの、 それは言えない・・シーン。 またかと思いつつこれが楽しみ。 今作では泣きを誘うまでには至らなかったが、 感動作というのではないので仕方がないかも・・ しかしそれでもその真実が明かされたとき、 脚本のうまさや演出の見事さに深いよなぁと感心してしまう。 [DVD(字幕)] 7点(2006-09-21 07:09:51)《改行有》

9.  海と毒薬 《ネタバレ》 日本の黒い夏 冤罪 の熊井監督の作品を探していて見つかりました。 医療サスペンスになるし実話にヒントを得たミステリーにもなります。 邦画でこの世界をコレだけ真面目に描けたのはすごいことです。 淡々と進んでゆきますので客観的に見るしかないので、 主人公の奥田瑛二と視点は近くなると思います。 国際映画祭出品作で世界的にも認められたこの作品は、 なんと86年作なのに白黒です。 なぜ白黒なのか疑問に思いただ気取ってるだけかと観ていましたが、 白黒でなければリアルな手術シーンは再現できないかも。 カラーであれば単なるキモイ映画になっていたかもしれない。 このたった2色のメリハリが社会派映画としても見られるような演出になっています。 難を言えば世界を意識したのか外人や日系(岡田真澄)の使い方が・・ この時代(いつの時代もですが)の日本の医学界、 戦争時の退廃的な生き方生かされ方、 文学的でもあるし過度な演出による娯楽的な残酷シーン・・ 邦画でもこういう作品があったんだなぁと感心。 渡辺謙のセリフが的を得ていてそれでもなんかなぁと・・ なぜか戦時下だから人体実験をするっていうのは無理やりな説得力ある。 無差別に病院や公共施設も破壊したアメリカ兵だから、 人間ではなく物として扱うから死ぬまで実験をするというのも、 患者はどうせ死ぬんだから、 戦争で死ぬよりも実験に使うほうが世のためになる、 こういうことが本当に行われていたとしたら、 医学の発展とは犠牲の元なんだと暗くなります。 見終えたあともドヨ~ッと暗いまるでホラー映画のようなのですが、 見ごたえのある演出と感情移入さえ許さないような乾いた演技、 戦争映画を根本的に嫌いな私もこういう切り口なら観られます。 どことなく巨匠シドニー・ルメットを思い出しましたが、 それは言いすぎでしょうか・・ 誰に感情移入できるか、 誰にもおそらく主人公にでさもできかねないのに、 実験手術されるアメリカ兵捕虜を好奇心で取り囲む日本兵。 彼らと同じ好奇心でこの映画を観ていることに気がつきました。 その後味の悪さも何か問いかけていて怖い作品でした。 [DVD(邦画)] 7点(2006-04-02 12:58:08)《改行有》

10.  連合艦隊 《ネタバレ》 戦争とは(やむを得ないに始まってやむを得ないに終わる) (戦争を始めるのも難しいが終わらせるのも難しい) こんな名言が随所で出てきます。 「男たちの大和」を劇場で前に観てあまり私は世界に入れずににいたので、 こちらを観ないといけないなぁと思い今頃この作品を観たわけです。 世界が大きくてわかりやすい! 時間も長いし特撮もチャチなのですが勢いがあります。 そして役者が揃っている・・ 多分特撮を除いてはこれ以上のものは作れないことと、 今こういった作品を作るならば一番人気のあった大和になったのでしょうか。 この作品は第二次世界大戦がどうやって戦略的に行われていたか、 かなり細かいところも描けているし戦争の理由もいきさつも終焉も全部描いています。 もし「男たちの大和」を観て全体像が知りたい人はぜひ観てください。 勢いで泣いてしまったけれど細かいことはわからない人にもお勧めします。 こちらの作品はもちろん時代からいって特撮や演出は今観たらガクッとするかもしれない。 しかしなぜこういった作戦ミスがあったのか、 大和が最終的に沖縄に行かなければいけなくなった理由、 世界的な政治の裏側・・ この時代にも天皇制も露骨ではありませんが描かれています。 上官の派閥や他の戦艦はどうだったのか・・ 歴史の勉強にもなるので日本史近代史に興味のなかった私には助かりました。 音楽もあまり好きではなかった谷村新司の群青。 こんないい曲だったとは・・ しかも曖昧に終わるあの場面でピアノとともに語りかけてくる。 これは哲学だと思いました。 もっと突き放したところで戦争を描いている。 もちろん色々な家族との絡みもある。 残された家族特に時代に翻弄される古手川祐子(夫兄弟が戦死)のセリフもいい。 主役級の夫役永島敏行とその弟の 金田賢一。 また別の家族としてはもうひとつの主役、 中井貴一が沈む大和の父に宛てた言葉・・ (父より少しだけ長生きする息子の親孝行をお許しください、 さよなら母さん・・)と、特攻隊を選び空から沈む大和を見ながら終焉を迎えます。 [DVD(邦画)] 7点(2006-02-28 08:53:25)《改行有》

11.  新幹線大爆破(1975) 《ネタバレ》 西村京太郎と小松左京を足して割ったような贅沢な作品。 のちの洋画ヒット作の「スピード」の元ネタとなったことでも有名。 前に夜中にやってたので気にはなったものの、 やはりCMが映画のテンポを邪魔をして楽しめないので、 借りてきちんと見直すことにしたのです。 面白い! やはり邦画は昔はよかったと思う。 脚本も俳優もですがなによりこの作品は、 編集が素晴らしい。 洋画も含めてお手本にしてほしいくらい編集がうまい。 やたらと斜め構図の演出が目立ちますが、 古い洋画を大胆に邦画に反映したセンスのいいことといったら・・ 邦画奇跡の作品といっても過言ではないのですが、 難を言えば宇津井健の最後のほうの正義感あふれる演出はどうかと。 あの(もし)というスピーチがなければ、 この作品を観る観客の想像に身をゆだねさせ、 娯楽作から社会派娯楽作まで高められたのではないか。 それはおかしいとかすっきりしないとか、 もし・・という解釈は観客の良心を呼び起こす手立てで、 それを映画の中で全部演出してしまうのは丁寧すぎだと思う。 ラストの画が見事でそしてそれまでの退廃的で観客に訴えるものがあっただけに、 そこは宇津井健の想像という使い方もできるので惜しいと思いましたが・・ 今観るとチープな模型かとも見える場面もあるのですが、 そこはエアポートシリーズやカサンドラクロスのような感じで、 脚本がよいことと編集がうまいことの相乗効果で全く気にはならない。 おおまかには犯人側と国鉄側(JR)と刑事側なのです。 そして新幹線の中でのパニック模様。 時間と速度のトリックに科学のトリック、 そして最後には刑事側のトリック・・ 最終的には「砂の器」をはじめとする松本清張的な演出。 邦画でこれほどドキドキしたシュミレーション映画は、 やはり他には小松左京ものくらいでしょう。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-02-15 10:49:59)《改行有》

12.  復活の日 《ネタバレ》 ほとんどの人がこの作品のラストに感動をしたかもしれませんが・・ 私は(嘘だろ?)とひいてしまいました。 人類終焉のスペクタクルドラマともなれば仕方のないことなのかもしれないけれど、 シリアスな内容をテンポよく重苦しくなく描けていたのでよけいリアル感があり、 逆にあのメロドラマチックなラストが非現実な物語となったわけです。 非現実さだから感動できるのかもしれないけれど、 読めてしまうから私にはついてゆけなかった・・今のハリウッド映画になってしまいました。 さて、未見の方はぜひぜひ見終わってこのラストをどう見るか・・ 原作と比べてみるのもまた面白いかもしれません。 「渚にて」のオマージュといわれるだけあり導入部から潜水艦が登場。 こちらは最初の潜水艦からしばらくすると長い回顧シーンとなります。 なぜ世界がこうなったのか、世界がどういうふうに滅んでゆくのか、 実に丁寧に描かれています。 パニックSFで私が重要視する(苦笑)逃げ惑う人々や暴徒の描写もきちんと描かれてる。 悲惨な映像の連続から世界各地のニュースまで盛り上げ、 見ているほうもSFだし変な映像もあるんだけれど見入ってしまう。 非現実さの中に観客も入ってゆけるのです。 この描写の細かさはハリウッド映画にはちょっと見られないです。 ウィルスに感染した死体の山を焼いたり(現実問題ならあるはず) 廃墟になった街のあちこちには骸骨・・ 水槽の魚や鳥かごの鳥の屍なんて細かい! どんな悪い奴らがどんな操作をしてこうなったのか・・ 悲劇の共感の次は勧善懲悪です。 普通の映画なら勧善懲悪はつまらないのですが、 ここまで地球規模となるともう悪なんて狂気だとしか言えません。 しかも計算された報復コンピューターなる同じ人間が作ったもの。 「博士の異常な愛情」この作品のオマージュ(というか完全なるパクリ)もあり、 「未知への飛行」もちろんこちらの作品にも似ているのは仕方ない。 けれどこれ邦画なんですよねぇ・・いやぁすごい! ウィルスによって世界の多くが滅びる・・今では古いSFかもしれないけれども、 この作品の原作はなんと1964年! [DVD(字幕)] 7点(2005-11-04 08:00:27)《改行有》

13.  悪い奴ほどよく眠る 《ネタバレ》 ラストにドーンとその題が現れるともう、言葉をなくしてしまいます。 なにかが足りませんので題材の説得力が伝わってこないのです。 それは何かと考えました。 悪い奴・・もっと掘り下げて描いてもよかったのでは? 「天国と地獄」の犯人のような時代の必要悪の否定や理由のない反抗の怖い環境の哀れさ。 そういったある意味犯人=悪人の過去や人間性が足らなかったように思います。 これを観ると政治家や建設業がみんな悪く見えてくる(笑) もちろんそれは一部であることは承知ですが、親玉の描写が足りない。 過去に心の傷を負うとかトラウマですね、そういうのを絡めるとステレオタイプになる。 けれどそれにしても主役の西秘書の家庭環境や身の上は細かいのに、 影の主役である義父役をこんな時代劇の悪役のような描写だと憎しみが薄い。 観客も感情移入して悪い奴は悪く思いたいのですが・・ 途中まで逆に西秘書の方が悪い奴か?と首を傾げたくなるくらい粘着質です。 この主役・・またまた黒澤映画には不可欠な三船さんでしたが、 全く今回は気がつかなかったです。 メガネをかけてすごく若く見え私にはG・ペック日本人版か(苦笑)と見え、 三船さんはセリフが少ないほうが存在感があるなぁと妙なところで感心。 しかし脚本は良く出来ており昔見た「砂の器」とか思い出しました。 復讐は美学とも言われていますがそれはマフィアとかの世界で、 こういう現代サスペンスになると美学とは言えません。 復讐とはノウノウと行き続ける悪を本当に眠らせること。 だからこの映画の後味は悪くちょっと考えます(重い本を読み終えたような) それでその手の作品を見たあとはしばらくはその気分にひたるのですが、 現実的に気味が悪いのでいいほうに考えたり映画の世界だと忘れようとします。 「天国と地獄」「悪い奴ほどよく眠る」このふたつは外国の監督でいうと、 白黒のときのシドニー・ルメット(十二人の怒れる男の監督)の社会派の世界です。 黒澤監督は本当に白黒映画がうまいと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2005-10-09 14:59:20)《改行有》

14.  この世の外へ クラブ進駐軍 私はこの映画は最近の邦画にしてはよく出来たと思いますよ。 まず、暗い内容でもあるのに暗くはない、軽くもない。 見やすいのです。客観的に描かれていてドライなんですが、 邦画の戦争モノ(時代が敗戦後)としては暗くない。 難を言えばバンドのメンバーがみんなお坊ちゃんみたいで、 伝わってこないというのはありますが・・ この題材で別にリアリティもいらないし、 とにかく暗い邦画は(人間ドラマは別にして) 好きじゃあないんで・・ 心配しましたから。 うわ、また不幸なコドモが出てきた。と見ながらでも暗くない。 やはり製作側が戦争を知らない世代ということもあるか。 洋画を見ているような錯覚さえ途中からしました。 淡々と自分らのアイデンテイを見つけようとしている彼らは、 アメリカ兵らとは全く違うのです。 戦争に負けた方は平和を手にし、勝った方は命をひきかえに。 実際私は見ていて、ああ負けた何もないところから、 この時代の人らは這い上がってきたんだ。 でも這い上がろうとする敗者の意地がある夢があると感じた。 でも負けてくれてよかったとも思う。 自分がその時代の人じゃないから言えるのだけど、 アメリカ兵を置き換えると勝って命と引き換えはごめんだ。 そんな思いで見ているとふとある洋画を思い出した。 「太陽の帝国」スピルバーグの映画。舞台は1941年。 この映画と同じで主人公は客観的に見るしかない、 イギリス人のコドモ。さすがにこちらがうまく演出しているが、 言ってることや立場は似通ってはいる。 7点(2005-02-19 06:44:17)《改行有》

15.  千と千尋の神隠し 《ネタバレ》 今頃見ました。この人のアニメシリーズは絵的に受け付けなかったのです。私はアニメはラスカル、ハイジ等のテレビファンでしたから。でも人物少し似てますね。千と千尋の世界は、昔はまったRPGアクションゲームがんばれ五右衛門(だったと思う)に、出てきた風景を思い出しました。飛んでるけど不思議に懐かしかったです。変な童心に帰れます。子どもはわかりにくい世界と思う。大人が見て子供のころ諭されたり聞かされた昔話の世界。大事なことと思います。おばあちゃんが語る世界みたいな。今の子供にはこの世界どうでしょうか?私は大人ですからわかりました。トンネルの向こうになくしたものが見えたような、郷愁とか切なさを感じました。カオナシは哲学的な取りようをされてる人や、不思議に哀しい存在にひかれましたが、中半のグロさは怖かった。ホラーと化しててファンタジーなぞ感じません。あの行動はなにか人間的で現実的なものすら感じます。向こうで評価されたのもわかる。これを無理やり最後にファンタジーとまとめてしまったのか、ハクと千尋の空飛ぶシーンあたりがディズニーになってるし。でもはじめて見た宮崎アニメとしては、良かったです。好きなキャラは釜じいとリン。後半名前忘れたけど、姉妹魔女?の姉のほうが語るあたりで泣けました。 正直どこかで感動できるのかと心配なホラーがかった御伽噺だったのですが、(自分の名前を大事にする)これが私に合いました。自分はどこから来て誰なのかという、普遍的で新しくない問いかけ(自分探し)が、この映画では名前というキーワードで、自分の存在もいとおしく思え過去を振り返り今に感謝できる。 日本的な(言霊)や、(神)の世界をおかしく描いてるのは、わかりやすく受け入れやすいと思う。海外で絶賛され、特にスピルバーグがカオナシのファンで映画を褒めていて、それなら日本人も見なきゃと思い見たわけです。東洋的で不思議な映画と言われるとおりでした。全体的に面白かったし不思議な気持ちでしかも泣けましたから。7点(2004-03-13 20:27:22)《改行有》

16.  地震列島 《ネタバレ》 何しろ特撮はあの爆破!中野監督。 突然マンションが大揺れするシーンは多岐川さんには知らせてなかったので、 逃げ惑うシーンは演技ではないのです。 特典にある監督のコメントが面白い。 割れた高速道路から火ダルマになって飛ぶ車や、 高層マンションが階段のようにつぶれてゆくシーン。 助けに来た永島は宙吊りのエレベーター。 そして一方の勝野夫婦は営団地下鉄に閉じ込められる。 これはすごかった。 燃え爆破した車両は今度は水。 「インディジョーンズ魔宮の伝説」での水が溢れ出す場面、 あれと同じ演出なのですよ。 隅田川の水があふれ地下に閉じ込められた人らは水攻めに・・ 「ポセイドン・アドベンチャー」の後半のシーン・・ しかもじわじわ沈みゆく車両の向うを見るため潜るのですが、 幽霊列車のごとく死体が浮遊(爆) 流れゆく死体の描写はまるで「宇宙戦争」です。 あ、スピルバーグは邦画が好きに違いないと憶測。 パニック映画の最大の楽しみは、 いかにしてなすすべもない現実から抜け出すか。 それがある意味冒険映画に参加している観客の楽しみ。 あと夫婦たちを引き合わせる役の大滝秀治(殺虫剤?のCMで最近出てる) これがまたえらく派手なシーンの犠牲に。 「エアポート」シリーズのようなものです。 航空機に乗ってるところで地震に遭遇し、 割れた滑走路に航空機が突っ込み爆破・・ 飛んでれば助かったかも(苦笑) ・・ダンヒル。 これ突っ込む人いると思うんですが(苦笑) いや、私はこれが成功するなら災害時に絶対活用しますよ。 その前に泳げない潜れないんだけどね(爆) ラストはまるで洋画のようなエンディングでしたが、 こういう映画は大袈裟にしめてもまあいいか。 それからどうなったのかを映さないところがなかなかいい感じでした。 [DVD(字幕)] 6点(2006-09-21 07:02:07)(良:1票) 《改行有》

17.  クイック&デッド 《ネタバレ》 監督で選んだこの作品なんですが俳優陣の豪華なことにびっくり。 それがあとの祭りかも(苦笑) もうこの違和感から覚悟してコメデイと割り切って観ることに・・ ホラーで笑えるサム・ライミが撮る西部劇の主役は、 なんと中世貴族のような顔のシャロン・ストーンと、 ディカプリオがなぜなぜ西部劇・・?? あのラッセル・クロウはなんとも情けない神父役~?? ゲイリー・シニーズなんてどこに出ていたんだ?? ・・ジーン・ハックマンだけはなぜか違和感アリまくりのこの映画の中で、 全く違和感がなかったのは悪役顔だからでしょうか??ポパイ~! 趣味で撮ったとしか思えない違和感アリまくりの俳優陣に演出。 だからコメデイ西部劇。 西部劇というのは意外と私には合いましたね。 元から西部劇は苦手だったのに克服するため何本か観ていたんですよ。 西部劇とはこうゆうものだと「真昼の決闘」「大いなる西部」等観ました。 その西部劇の世界をサム・ライミでどう料理するんだろうか? その世界で楽しめましたので内容はあまり気にしません(爆) 「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」みたいだ。 カメラワークはもろサム・ライミでありまして、 大袈裟でこだわりがあっておかしい。 なぜホラー演出!? シャロン・ストーンは制作にもかかわっているせいかひとり真面目(爆) ディカプリオはこういう軽すぎる役が合うのが不思議。 いやぁここまで悪の権化のように描かれているハックマンならば、 対決で息子にとどめさしちゃった方が逆に効果ありかも。 漫画、漫画、つまらないのに面白い。 久しぶりにこんな見方で映画を観ると肩が凝らないです。 それもまあ好きな監督の演出を観て豪華な俳優陣を楽しんだから。 ちなみに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でおなじみの、 アラン・シルベストリが音楽やってるんですが、 漫画チックなライミ監督の演出とまた変に合ってるようで合ってないようで、 おかしい(苦笑) やっぱり・・サム・ライミ=スピルバーグというよりは、 ゼメキスに近いかもね(この作品では) [DVD(字幕)] 6点(2006-05-28 14:46:19)《改行有》

18.  壬生義士伝 《ネタバレ》 中井貴一はやっぱりうまい俳優だなぁとあらためて感心。 最初は貧乏くさい役だとかなり違和感(なまりも役柄ひどい)があったのに、 ここまで完璧に演じられては逆に寺尾聡の演技のように見え苦笑・・ 言葉を理解するために字幕つきで邦画を観ました。 何を言っているのかわからない部分もありましたので・・ それほどなりきっていたのですが。 だから寂しいのです。 後半の見せ場をあんなふうにひつこくしなければよかったのに・・ 切腹をするまでが長い・・長すぎる。 満身に傷を負いもとの旧友邸に転がり込んだ行き場のない体。 あの時代なら切腹もいたしかたない(武士の情けです) しかしそこで観客にソレは違うと考える余裕を与えてくれず、 勝手に不幸の主人公の語り部と化してしまいます。 そしてそれからもひつこい説明的な演出・・ 観ている方はわかっているから考えたいのですが、 もしかしたら本を映画で読ませようとしているのか・・ う~ん「男たちの大和」で感じた思いと同じだった。 頭の中でそのメッセージを映像化したいのに朗読とかされると・・ こういった邦画の最近の演出を見ると、 過去の旧「砂の器」の素晴らしい演出が思い出されます。 時代の政治の犠牲になった人を美化しすぎなく、 観客に考える余裕を与えてくれるような作品を邦画に期待します。 [DVD(字幕)] 6点(2006-02-15 11:17:56)《改行有》

19.  日本の黒い夏 冤罪 《ネタバレ》 この作品は誰でも知っている松本サリン事件を題材にした、 きわめてリアルなドラマなのですが・・ 視点は報道の体制を問いかけ、 犯人扱いされていた河野氏(もちろん違う名で登場)を中心に、 真実は報道によってゆがめられる怖さを描いていますので、 カルト教団の事件は二の次です。 私はこの描き方はよいと思いました。 悪いことをした架空の人物ではなく実在の人物がモデルならば、 こういう描き方の方がありかなと。 実在の犯人たちを派手に中心に持ってくると、 恐怖は間違えれば英雄視される恐れもあるのです。 ハリウッド映画ならば最後に真実の映像のあと、 カルト教団がいかに悪いことをしたかで終わるかもしれないし、 裁判のシーンまでつけてくれるかもしれない。 娯楽的にはそのほうが緩急がついていいのですが、 そうなると報道の冤罪を問うテーマがぼやけてくるのです。 邦画でそこまでやるのは無理でしょう。 好意的にこの真面目な作品を観ていたのですが・・ どうも作風が丁寧すぎというか、 私的には高校生は邪魔でした。 演技がどうというのではなくて、 ストリーテラーのように回想シーンに割り込んで問うのです。 これでは観ている方が自分で考えることができない。 頭で考えるのではなく自分のそのときの10年前の記憶で考えていくのに、 語られてゆくと自分の考えが映画を通しての理屈のようになる。 と私は思ったのですがもしかしたらこの描き方が共感できる人ももちろんいると思う。 そうだ思い出した、そうなんだよね、いや違うと思う、なんでそうなの・・ そういった問いかけは映画の中でできればしてほしくないのです。 それに扱っている問題が10年ほど前の最近の実話。 個人個人が思いを馳せ反省し共感し考えればいいことではないのでしょうか・・ ドキュメンタリーにはしたくはないと監督は言っていたけれど、 これではドキュメンタリーのようです。 [DVD(字幕)] 6点(2006-02-15 11:00:37)《改行有》

20.  男たちの大和 YAMATO 《ネタバレ》 後半の最大の見せ場(プライベートライアン顔負けの演出) ここまで人間ドラマに力を入れ大和の全景をリアルに描写しておいて、 人が死んでゆく演出が軽すぎます。 最近のハリウッド映画に特に多いのですが、 名前を呼ばれないとわからないくらい死体の扱いが粗末。 カメラワークが早すぎるのです。 ハリウッド映画では最近の「アイランド」「キングダムオブヘブン」の戦闘シーンのような・・ 人間ひとりが死ぬ場面を丁寧に撮れとは言わないけれど、 命の尊さが逆にあまり私には伝わってこなかった。 だから生き続ける人のほうが存在感があったことはまあいいことなんですが・・ この後半の最後の船出に向かう大和は圧巻で、 この映画の最大の見せ所だと私は思いました。 「鳥」のように囲まれサンドバックのように米軍戦闘機に攻撃を受ける大和。 これはすごくよくできているなぁと思いました。 それまでの人間ドラマからしてここから主役は大和から人間だ。 ひとりひとりきちんと最後まで描いてほしいと見ていました。 ・・なぜ早回しをするんだろう。なぜ必要以上にカメラを揺らせるんだろう。 誰が誰やらわからないじゃあないか(爆) 大事なところで感情移入ができないのに、 なんと回りは泣いている・・?? そしてさらに感情移入ができなかった理由があります。 若い役者の顔が見分けがつきにくい(苦笑) 現在のシーンと回顧シーンとが重なっているのですが、 コレだけよく似た役者を揃えると誰を主体に見たらいいのかわからない。 パンフを購入しあとで見たらよくわかるんですがやっぱり似てた・・ 仲代達矢の若い頃の神尾君役松山ケンイチ がピンとこなくて、 結局は神尾君と西君と内田守が必要な役であり、 その他の配役に時間をさけばこの3人の焦点がぼやけてしまう。 もちろん上司は必要不可欠ですが・・ 反町はどうだったんだろうか・・ 渡哲也が出てきたあたりから面白くなってきたんだけど、 それまでが誰を主体にしているのかついてゆけませんでした。 私の評価としては、 後半の大和の最後の戦闘シーン(人間の描き方は悪い) 歴史をきちんと描けている。 天皇制や戦争の意味など今の時代に描けたこと。 こういったことが評価の好対照です。 [映画館(字幕)] 6点(2005-12-23 14:33:06)(良:2票) 《改行有》

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