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プロフィール
コメント数 118
性別 女性
年齢 41歳
自己紹介 前回アクセス(H30.11月)から2年ぶりに再びアクセス。
なかなか時間がないものの、地味〜に、たま〜に、映画は観ているのですが、、何故か映画鑑賞よりレビューを書く方が時間がかかる不思議…
簡潔に論理的にまとめる能力が欲しいです(泣)

<採点基準>
10  :生涯のベストムービー。理由は様々だが愛してる

9 ~8 :かなり大好き。純粋に面白い。好き!

7 ~6 :なかなか良い、悪くない。云わば平均!

5 ~4 :微妙、消化不良、苛々。あまり好きではない

3 ~2 :見たことをひたすら後悔、後悔、後悔

1 ~0 :滅多に出ないが出たら最後。永遠にさようなら

これからもよろしくお願いします!

令和2年10月10日

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順123
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変更日付順123

1.  自虐の詩 《ネタバレ》 原作未読ですが、DVDは何度も(おそらく10回近く)観ています。 私はこの映画が本当に大好きです。 でも正直言うと、初めて見た時は「まぁ面白い」程度の評価でした。(点数で言えば6~7点) しかし、この作品には不思議な中毒性があります。 なんだか急に、本作に溢れている『さまざまな愛の形』に触れたくなるんです。 そういう時は大抵、自分の心が疲れて荒んでいたり、優しくされたい、愛されたい!と思っている時なんだなぁ…ということに気がついたのも、ごく最近のことです。 一度目より二度目、二度目より三度目とどんどん魅せられていき、最終的には私にとってバイブルのような存在になったのが、加点の理由だと思います。 序盤は、ただひたすら不憫な女性にしか見えない幸江と、端から見ればただのダメ男であるイサオの関係性が、テンポよくコミカルに描かれています。 悲壮感は一切漂わず、寧ろ笑ってしまう(幸江ちゃんごめん!)描写が多いので、不快感もありません。 では何故イサオに不快感を抱かずにいられるのか? それは、彼から「幸江に対する深い愛情」が感じられるからだと思います。 イサオは天性のヤクザ気質を必死で抑え、堅気として真っ当な人生を歩みたいのに歩めない葛藤に苛立ちます。 ゆえに物に当たりギャンブルに逃げるものの、決して幸江には手を挙げず、弱音も吐かず、言い訳もしません。 どんなに辛くても、嫌気が差しても、すべては幸江のため、愛する幸江あってこその決断だから。 幸江に対する誹謗中傷も一切許さない彼の姿勢には、「深い愛」と「男としてのスジ」を感じさせます。 その「スジ」が厄介だったりするのよね…と女の私は感じる時もあるのですが、それはきっと男の人にしか解らない領分ですから、私も幸江のように受け容れようと思います。 そんなイサオの醸し出す「何か」があってこそ、幸江が献身的に尽くす理由に含みを持たせてくれています。 その「何か」は、現在の2人とは真逆の関係性だった「過去」にあることが判明します。 2人の関係だけでなく、幸江自身の過去も詳らかになることによって、彼女の人間性にも深みが増してゆきます。 人間は多かれ少なかれ、裏切り、裏切られる人生を歩むのだと思います。 幸江は若くして信じていた人たちに裏切られ、たくさん傷つきますが、彼女自身も自分を必要としてくれた人を裏切り、傷つけていたのもまた事実です。 しかし悲しいかな、人間は傷つけるより傷つけられた事実の方が心に大きな影を落とします。 ゆえに幸江は常に愛されることを望み、愛されることこそ幸せになる近道だと信じていましたが、自分から人を愛するという観点は無いため、愛し方にも疎い、悲しい人間になってしまったのだと思います。 けれど、そんな彼女に『ありのままの自分と向き合う強さと勇気』を教えてくれたのが熊本さん。 そして『一途に人を愛することの難しさと美しさ』を教えてくれたのがイサオ。 死の淵でも『自分の見方を変えれば愛や幸せは常に感じられる』ということを、幸江は母から教わります。 私が思う『彼女にとって最も幸せなこと』とは、「愛とは、幸せとは何か?」を教えてくれる人たちが周囲にたくさん居たことだと思うのです。 彼女はそれに気づき、自分を変え、受けた愛情や恩を彼女なりにお返ししていこうとする心を持ったからこそ、ずっと欲しがっていた愛情や幸せに値する人間になった…のではないかと思います。 不思議なパラドックスですが、渇望するほど遠のき手放せば近づいてくるのは、世の真理なのかもしれません。 彼女は一見、決して幸せとは言えない人生を送っているのかもしれません。 けれども、その過程で彼女が手に入れたのは、何よりも大きく、何にも代えがたく、日頃は気が付きにくくて手に入れるのがとても大変なもの、だったのではないでしょうか。 「愛する」とは「必要とすること」や「信じること」で、受け取る以上に惜しみなく与えるもの。 それが自然にできた時こそ、幸せは私たちの心に訪れるのかもしれません。 幸も不幸も同じだけ価値がある。人生は確かに意味がある。今の私なら、その言葉に心から同意することができます。 ありがとう。[DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2015-11-18 17:22:00)(良:1票) 《改行有》

2.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 この映画を見る度に、男性がいかに脆く純粋な生き物で、女性がいじらしくも強い生き物であるかを実感する。 ジョゼのキツい物言いは、恐らく自らの不安・恐怖・コンプレックスを隠すための防壁なのだろう。 乳母車に隠れ乗る事でしか外界を知る術がないジョゼ。 外の世界を知りたいジョゼが自分の願いを叶えるには、 「好奇の目を向ける人々の存在」というリスクを背負う必要がある。 ゆえに自己防衛本能が生まれる。 また、それを譲れないのは「壊れ物だろうと私は私」という自我確立の意味もあるのだろう。 誰にも頼らず、誰に頼ればいいのかも解らず、頼み方も知らないとは、なんとも悲しい。 しかし、そうした生き方を選ぶ事しか彼女は知らなかったのだろう。 強いフリをした弱い人間は、肝心な時に素直になれず、本心とは裏腹な事ばかり口にする。 「帰れと言われて帰る奴は帰れ!」と心にもない事を泣き叫びつつ、 すぐに「・・・嘘や、おって」と翻すいじらしさには、同性の私でさえ彼女を愛しく感じた。 愛する人に心からの望みを口に出来たからこそ、ジョゼは纏っていた鎧を脱ぎ、女になったのだろう。 しかし、ジョゼには二人の関係が永遠に続かない事も解っていた。 出来るだけ長く一緒にいたい気持ち、変わりゆく自分、叶った夢、そこにあった幸せ。 それだけで十分なのだと、彼女は自分に言い聞かせていたようにも思える。 それがサガン著「一年ののち」にの、例の台詞に帰結するのだろう。 対する恒夫は、純粋にジョゼを愛するも、背負う物の大きさに気づき、逃げ出す。 しかし「失って初めて気づく存在の大きさ」で、初めて心の痛みを知る。 寂しさに弱いせいか無意識に「独り」を回避してきた恒夫の決断が、傷口に塩を塗る結果となってしまったのだろう。 みっともない姿を晒しながらも涙が止まらない彼の姿は、切なさを覚える。 最後、ジョゼの目は力強く、凛としている。 過去、現在、未来の全てを受け入れ、生きていこうとする強さが感じられた。 池脇千鶴の「セックスの無い恋愛など有り得ないから脱いだ」という発言と、彼女のその度胸に盛大な拍手! <追記> 前回鑑賞から2~3年経ち、改めて見直したが、何故か初めて涙が出てきた場面があった。 それは、二人が結ばれた時のジョゼの「うち、あんたのこと好きや」と言う場面。 なぜ、こんなに優しく切ないのだろう。[DVD(字幕)] 10点(2005-06-29 17:38:40)(良:2票) 《改行有》

3.  いま、会いにゆきます 《ネタバレ》 原作は未読でしたが、十分ストーリーも理解できましたし、 登場人物のキャラ設定もしっかりしていて、本当に素晴らしい映画でした。 この映画を見ると、自分の好きな人への気持ちが再確認できると思います。 迷い・悩み・不安、そういった負の気持ちをやわらげ、 純粋に人を愛することの喜びや一緒にいることの大切さを改めて感じさせてくれます。 当たり前の事が一番難しくて、でも誰もが一番求めている事なんですよね。 本当に心が温まりました。 映画のコピーどおり「好きな人に”好きです”と言いたくなる」映画でした♪ まぁ、なぜ雨の季節に戻ってきたかは有り得ない(でもステキ♪)奇跡ですが(笑)、 それでもすんなり受け入れられるのは、きっと湖や森、雨の幻想的な雰囲気があったからだな~と思います。 主人公の二人はもともと運命の糸に繋がれていたのかもしれないですが、 ただ運命に身を任せるだけでなく、お互いなりに努力しているのが微笑ましいです。 運命は、自分の手で作れるものなんだ…ということも感じられて好感が持てました。 夫婦愛だけでなく、家族愛、親子愛が描かれているのもこの作品の素敵なところでした。 主題歌をオレンジレンジが歌っているそうですが、良い意味で期待を裏切られました。 それまでは理解し難い曲が多かったのですが、この歌は映画にマッチして良かったです。 ずっと心に残る映画です。 いつか自分に子供が出来たら、家族皆で一緒に見て、 愛の大切さを分かって貰いたい…そんな映画でした。[映画館(字幕)] 10点(2004-11-15 11:34:27)(良:1票) 《改行有》

4.  男はつらいよ 寅次郎夢枕 《ネタバレ》 寅さんシリーズ、鑑賞4本目。 八千草薫さん演じる千代に感情移入しっぱなしでした。 女としても、母としても、彼女の発する言葉、彼女の見せる表情、気持ちのすべてに共感してしまった私がいます。 千代が土手で息子のサトシくんと会うシーンは、たった5分ほどの短いシーンです。さして多くが語られている訳ではありません。 けれど、あのシーンだけで千代が抱えている様々な気持ち、送ってきた人生の苦渋などを読み取ることが出来てしまい、涙無くして見ずにはいられませんでした。 第2作でも寅さんのお母さんが言っていました。「どこぞの世界に自分の子どもを喜んで放る親がいるんじゃ」と。 本当にその通りです。 母親が自分のお腹を痛めて産んだ子をわざわざ手放すには、それなりの理由があると思います。 時代も時代だから、もしかしたら父親が譲らなかったのかもしれない。 はたまた、我が子の幸せを総合的に考えた上で、母親が泣く泣く子を手放したのかもしれない。 必ずしも、母親が我が子を引き取るだけが愛情ではない。 どんな理由であっても、子の幸せのために我が身を切る決断を出来るのが母親だ…と、当該シーンは語っているように思えました。 サトシくんと一緒にいる間は涙を堪え、見送りながら小さく肩を震わせて泣く千代の姿に、世の母親は涙を隠せないはずです。 そして、何気ない千代の発言からも、女一人で生きていく人生の不安、大変さ、辛さが表れていて、胸が締め付けられる思いでした。 荷物を運んでくれる寅さんに「やっぱり男手って必要ね…」と彼女は言います。 これ、力仕事における労働力だけを意味している訳ではないと思うんです。 自分に力を貸してくれる男性の存在そのものに安心し、癒され、喜びを見出しているのではないかと思いました。 千代と息子の関係を気遣う寅さん&とらやの人々に対して「寅さんの気持ちが伝わってきて、私、本当に嬉しいの」と喜び泣いたとき。 これも、彼女の心の奥にある辛さや寂しさに寄り添おうとしてくれる人たちがいる、という事実に、彼女は救われたのだと思います。 「ああ、私は一人ぼっちではないんだ。こうして優しくしてくれる人がいる。それだけで十分。また頑張れる」そんな気持ちだったのではないかと思いました。 そして寅さんへの愛の告白。 「私、寅さんと一緒にいると気持ちがホッとするの。寅さんと話してると『あぁ、私は生きてるんだぁ』って楽しい気持ちになるの」 千代は初登場のシーンから、常に笑顔で穏やかでした。辛さや寂しさなんて、微塵も感じさせないほどに。 別に無理に隠しているとも思いません。 けれど、自分でも知らぬ間に気は張ってしまうものです。「強く生きねば」と。 それが、何も考えず、何も気にせず、自分の気持ちがホッとして、気がつくと自然と笑っている…それが寅さんだったのでしょう。そういう人って、なかなかいません。 この愛の告白は、寅さんを一人の人間として最大の賞賛をし、一人の男性としても温かい愛情を示しているのだと思いました。 それだけに、寅さんが及び腰になってしまったことがとても口惜しい。 寅さんって、傍目は大口叩いて自意識過剰に見えるけど、実はとても傷つきやすくて自信が無い人だと思います。寅さんがもっと自惚れ屋さんだったら、きっと彼女の告白を受けていたでしょうね。 私は個人的に、インテリ先生がいなかったら、二人は結ばれていたのではないかな…?と思います。二人だけのタイミングで、二人だけの時間の進み方で関係が深まっていったら、もしかしたら…と思えてなりません。 いや、これも叶わぬ私の願望かな?[インターネット(邦画)] 9点(2018-12-01 00:00:19)(良:1票) 《改行有》

5.  男はつらいよ 噂の寅次郎 《ネタバレ》 寅さん鑑賞2作目です。 何よりもまず、大原麗子が美しい。 ほんとうに美しい。上品で色っぽい。なのに可愛くていじらしい。 「寅さん、あたし泣きそう。。二階に行ってもいい?」 「あたし、寅さん好きよっ!」 「はいっ!寅さんに出会えたこと!」 「見ないでっ!」 もう反則ですよ(;´Д`)ハァハァ あの独特の低い甘ったるい声と表情でこんなことを言われたら、女でも落ちますって。 なのに、離婚届を出す場面になった時の打って変わった冷たい表情。まなざし。声のトーンの機微。 さすが女優だなぁと思いました。 まだ寅さんシリーズを見始めたばかりなので何とも言えないけれど、これはほぼ大原麗子が主役といっても過言ではない気がします。 割烹着を脱ぐ仕草ひとつにさえ目を奪われてしまうのは、彼女の魅力を丁寧に撮った監督の愛さえ感じました。 大原麗子にばかり言及してしまいましたが、作品としてもとても素晴らしい。 私は個人的に、今回は寅さんは失恋していないと思っています。 早苗さんは、絶対に寅さんに惹かれていたはずです。これは女の勘です。 もしかすると、一時の気の迷いなのかもしれない。 けれど、少なくとも彼女は、はじめ兄さんよりは寅さんに男性として惹かれていた気がします。 はじめ兄さんの一途さを目の当たりにして寅さんは身を引いたのかもしれないけれど、そこには今昔物語からの教訓もあったように思いました。 寅さんは、早苗さんの美しさのすべてを彼の中に残す選択をしたのだ、と。 彼女と時を共にすることは、その残酷さ、無情さも受け入れることを意味する。 だから彼は去ったのでしょう。 妻の墓を掘り起こしたがゆえに、もう二度と美しかった妻の顔を思い出せない夫と同じ轍を踏まないために。。。 ある種の「逃げ」かもしれないけれど、寅さんらしい愛の形や優しさでもあるなぁ…と、胸が熱くなりました。 しかしながら、寅さんの王道とも言えるドタバタ感は相変わらず健在で、何とも言えぬ安心感を与えてくれます。 特にタコ社長!(笑) 彼が出てきた時は、思わず「よっ!待ってました!」と声をかけたくなるワクワク感やニヤニヤが止まりません。 寅さんの良いところって、たぶん「こんな人たちに囲まれて人生を送ってみたいな」と思える点なんだなぁと、今回鑑賞していて思いました。 出てくる人たちが、みんないい人。 ただのいい人じゃない。 みんなそれぞれに思いやりがあって、お互いを思い合っている。 その表現方法やポイントが、それぞれに違うだけ。 だから良いんですよね。 人間臭くて、あたたかくて、いじらしくて、とてもホッとする。 寅さん鑑賞2作目としては、この作品で良かったと心から思いました。 鑑賞後、またすぐ見直したくなったほど、この作品はとても魅力があると思いました。 同時に「今はもう寅さんも早苗さんもこの世にいないのだ」と考えると、今昔物語と同じだなと思ってしまいました。 過去の名作を掘り起こしてその姿を渇望する私たちもまた、エゴに満ちているのかもしれません。 皮肉ですね。儚いです。 それでも、私はまたこの作品を見たい気持ちを否定できません。[インターネット(邦画)] 9点(2018-11-30 19:55:34)(良:4票) 《改行有》

6.  ゆれる 《ネタバレ》 私には2歳下の妹がいる。姉妹仲は恐らく普通。私たちはすべてが似て非なる存在のため、家族として当たり前の慈愛、信頼、寛容はあるものの、姉妹であるが故の嫉妬、劣等感、羨望も持ち合わせていることもまた事実だろう。同じ親から生まれ、どれだけ親が平等に扱っていたとしても、環境によって育まれた立場や認識の差は、なかなか変わらないのかもしれない。 事件によって大人しかった兄は豹変し、そんな兄に戸惑う父や弟。それぞれが描く互いのイメージ(認識)がことごとく覆され、沸き起こる不安。人は「家族」という存在に、心のどこかで絶対的価値を求めているのかもしれない。絶対など存在しなと思いつつ、それでもどこかで信じているのかもしれない。だからこそ、その考えが根底から覆された時の絶望感は計り知れない。小さな波紋はじわじわと大きく広がり、心は揺さぶられ、絆も揺るがされ、互いの存在や価値さえも揺るがしてしまうほどの恐怖に変化するのだ。 兄の稔は、必死で自分を助けようとする弟の猛に深い謝意を感じてはいるものの、同時に自尊心を傷つけられ、恥と屈辱を感じてしまう。皮肉なことに、稔自身も父や弟と同様に、自らの認識と違う弟を目の当たりにして戸惑い、不安や恐怖心が生まれてしまったのだろう。証言台で話す猛の表情は悲しいほど無機質で憎しみに満ちているが、その姿を見つめる兄の表情が安堵に満ちているのは、なんとも悲しい。 しかし、猛が偶然見たホームビデオに映し出されていたのは、取り合う手と手から感じられる兄弟の確かな絆。これを見た瞬間、私も猛同様に嗚咽を漏らしてしまった。幼かったあの頃の数々の映像が頭の中を駆け巡り、苦しくなるほど胸が痛んだ。同時に、温かく優しい感情にも包まれた。私は、自分が想像していた以上に妹を大切に想っていたことに気がついたのだ。 本作のように、いつか私たちにも認識のズレを感じる時が来るかもしれない。しかし、私たちにも見えない絆があると信じたい。不安定で不確かなことばかりだが、私と妹との絆だけは消えないで欲しいと願う。 最後に猛が必死に「兄ちゃん、家へ帰ろうよ」と叫ぶ言葉の裏には、「あの頃の二人に帰ろうよ」という願いも込められていたのだろう。そして弟の声に気づき微笑んだ兄の「帰る場所」が、どうか父や猛のいる場所であることを、切に願った。[DVD(邦画)] 9点(2008-06-19 00:30:23)(良:1票) 《改行有》

7.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 人を愛し愛されたいと言う誰もが抱く感情を、 松子は人一倍強く持ち、大切にし、それに従うまま生き抜いた。 何度騙され裏切られても、彼女は愛する事を決して止めず、 転んでも決してタダでは起きず、どん底からでも這い上がっていった。 それでも人間とは弱く儚い生き物。 かつては愛に生き抜き、どんな逆境や不幸のどん底でも笑顔を絶やさなかった彼女が、 最後の数年はその影など跡形も無く、絶望の果ての諦めに佇んでいた。 しかし、彼女の死に際の行為は、かつての教師たる影を匂わせる。 「未来を担う前途ある若者たちに、自らのように道を踏み外して欲しくない」 「一寸先は闇。 だからこそ、時間を無駄にせず懸命に生きて欲しい」 これも彼女なりの一つの愛であったように、私には感じられた。 そんな彼女の人生の最期は、何とも呆気無い、何とも悲しい幕引き。 あまりにも救われない人生の結末と現代社会のリアルさを見せられ、 それまでのミュージカル調に明るく鮮やかな色彩が、一瞬にして闇に落ちる。 愛とは、正義とは、誠実さとは、いったい何なのだろうか。 彼女の人生を「無意味、空っぽ、下らない人生だ」と哂う人もいるかもしれない。 しかし、本当に彼女を哂えるだろうか。 幼少の頃に父親の愛情を切望していた彼女が原点だとして、それ以降も 愛を求め続けたのは、ただ単に淋しさや愛に飢えていたからではないと思う。 彼女は、ただ自分に微笑んでくれる温かさが欲しかっただけなのではないだろうか。 愛する人たちの笑顔を見れれば、彼女にとっては充分だったのかもしれない。 母のように温かく包み込み、少女のように可憐に純粋に愛でる彼女の愛は、 あまりにも大きく心地が良いため、その価値にすぐに気付くことが難しいのだろう。 失った後に初めて気がつく彼女の存在価値。 自分の中にかけがえの無い何かを確実に残していった、彼女の深さ。 心から愛した相手の心の中に自分の存在を残し、この世を巣立っていった彼女には、 それが何よりの幸せの証なのかもしれない。 鑑賞中、そんな彼女の幸せをどんどん切望している自分に気がついた。 そして終盤、なぜか涙が止まらなかった。 その後の清々しい気持ちは今でも覚えている。 「曲げてのばして」の歌が、今でもたまに私の頭の中で流れる時がある。 私の心に粋な残り方をしてくれたこの映画に、感謝の意を述べたい。[映画館(吹替)] 9点(2007-07-31 17:10:02)(良:1票) 《改行有》

8.  下妻物語 《ネタバレ》 ロリータとヤンキーまではいかなくても、そういえば私の周りの友達も みんな個性が強くて、自分とは性格や考え方が正反対の子が多かった。 恋愛ではよく正反対の者同士が惹かれ合うけど、 女同士でその仲が成立するのは確かに難しい。 きっと女は男より欲深くて自尊心の高い生き物だからかもしれない。 それでも心を通わせていくのは、お互いに『尊敬』をし合っているからだと思う。 桃子は周囲の目や言葉など気にせず、冷酷なまでに自分の世界をどこまでも貫く。 それが自分の幸せに通じる、と言うことを知っているから。 そんな桃子の「強さ」にイチゴは憧れと尊敬の念を抱いたのでしょう。 逆にイチゴは、人から虐げられる外見をしていてもポリシーとルールは持っている。 自分を変えたくて始めたことでも、すべてソレに染まる必要はないことも知っている。 そんなイチゴの「純粋」さに、桃子は戸惑いつつも『感情』を学んだのだろう。 桃子に足りなかったモノを持っていたのがイチゴ。 イチゴが欲しかったモノを持っていたのが桃子。 唯一、二人に共通していたモノは『素直さ』だったのだろう。 自分の世界を貫くのも、ストレートに感情を表現するのも、 どちらも自分に対しても他人に対しても素直でなければ出来ないことだと思う。 単純な構図だけど、人間が人間に惚れる時は、きっといつだってシンプルなんだ。 「男の友情は強く、女の友情は脆い」ってよく聞くけど、 女の友情だって捨てたモンじゃないでしょ。[DVD(字幕)] 9点(2006-08-18 10:22:50)(良:1票) 《改行有》

9.  電車男 《ネタバレ》 原作が2ちゃんで色々と問題になってるらしいですが、私は素直に感動しました。 電車男は言います、「人を好きになるって苦しい」と。 本気で人を好きになったことがあれば、彼の気持ちは理解できるでしょう。 「言いたい、でも言えない(様々な想い・状況から)」の葛藤があるからこそ、 この言葉が生まれたのですから。 私は、電車男の気持ちだけでなく、エルメスが抱いてる気持ちともリンクしました。 エルメスは「あなたは会う度に、私に小さな幸せをくれる。 あなたにとって些細なことでも、私にとってはすごく大きくて、嬉しくて、 幸せだと感じる」と言います。 自然と相手を思いやることができ、小さなことでも幸せを感じるられるのは、 お互いに「ありのままの自分と相手」を受け容れることが出来たからでしょう。 さらに素敵だな…と思ったのは、 相手に対するまっすぐな想いを、二人ともこの年齢で持てたことです。 恋愛は、歳を重ねれば重ねるほど傷つくことを恐れ、臆病になってしまうものです。 全力で誰かを好きになりたくても、過去の経験や考えによって、足踏みしがちです。 けれど、そこで一歩踏み出せたら、確実に何かが変わるんですよね。 エルメスが電車男に「頑張って!」と言って告白させたのも、 その一歩を彼自身の力で踏み出して、変わって欲しかったからかもしれません。 (”告られたい願望”があったことも否めませんが) デートで有り得ない失敗をしたのに、それでもエルメスが電車男のことを好きなのは、 彼女が彼の良い部分に目を向けていたことと、 それが彼女にとっても必要なものであることを、彼女自身が解っていたからでしょう。 人は、どんな形でも、いくつになっても、変わることが出来るはずです。 自分が変われば、周りも自然と変わります。 世界が広がり、違う景色を見ることも出来るのです。 そして得るものは、大きな自信と溢れる希望なのかもしれません。 映画としての細かい評価は千差万別なので、異論はあって当然です。 私個人としては、この映画を多くの人が見たことによって、 「人を愛すること、愛されることの素晴らしさ」を分かち合い、 多くの人が自分の最愛の人と幸せになれたら素敵だな…と思ったので、この点数です。 何より、主人公の山田くんの演技に脱帽! 彼と自分が完全に同化したように感じてしまうなんて、本当に拍手です!![映画館(字幕)] 9点(2005-10-27 17:20:54)(良:2票) 《改行有》

10.  男はつらいよ 《ネタバレ》 まず最初に、謝りたい。 全国の寅さんファンのみなさん、ごめんなさい。 今まで「ぷっ(笑)寅さんとか何が良いのか全っ然分からない」とか「渥美清の何がいいの?」などと、見たこともないくせに勝手な先入観で「つまらなそう」と決めつけていて、ほんっっっとうにすみませんでした。。 何かと気の合う、好みの合う友人に強く勧められ、今般、わたくし齢35にして初めて寅さんを鑑賞いたしました。 記念すべき第1作を私の人生初寅さんにできたことは、とてもラッキーですね。 結論。なんて面白いのでしょうか! 渥美清の凄さが、やっと分かりました。名優ですね。 彼が織りなす江戸っ子のべらんめえ口調の、なんて聞き心地の良いことか… まるで落語か、ちょっとした歌を聴いている気分にさせてくれます。 そして物語のテンポの良さ。 まったくダレることなく軽快に物語が進んでいくのに、きちんとストーリーが成立しているのはすごい。 時間の長さを忘れるし、見ているこちらも引き込まれてしまう。 これも寅さん節が大きく貢献してるがゆえと思いました。 特筆すべきは、寅さんと彼を取り巻く人々の人間模様。 笑いあり涙ありで飽きさせないし、俳優陣に芸達者が多いからか、セリフだけでなく表情で魅せてくれるのがまた良い。 昔の女優、俳優さんは、目の演技が本当に上手いですね。 私は志村喬さんが好きなので、図らずも彼が出演していたことで、殊更この作品への思いも強くなりました。 結婚式のスピーチシーンは、彼の独壇場とも言えますね。思わず嗚咽を漏らしました。 寅さんシリーズ初見ということもあり、自分が作品としての正当な評価が出来ているかは自信がありませんが、初めての寅さんは私にとっては「衝撃」の一言です。 もちろん、良い意味で(^^) 人には好みがあるので無理強いは良くありませんが、もし以前の私と同じような「寅さんイメージ」を抱いている人がいるなら、騙されたと思って一度見てみて欲しいです。 見終わった後はきっと、あなたの心はあたたかくなっていると思いますよ。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 8点(2018-11-28 09:35:31)(良:2票) 《改行有》

11.  13階段 《ネタバレ》 あら、意外と低評価ですね。 私個人としては、とても良い作品だと思いました。 マイナスポイントは、終盤のシーンです。 10年前の出来事に対して説明が必要だったのは解りますが、この独白で、 かえって純一自身の冷たさや弱さが際立ちました。 あんなに純一に対して一途で献身的な友里に対し、冷たい態度ばかりとるなんて…。 友里の優しさや強さに、少々甘えすぎでは?と感じました。 しかもあの瞬間に目覚めるなど、あまりにもタイミングが良すぎだと思い、マイナスとしました。 しかし、それでも好評価なのはそれなりに理由があります。 死刑囚160番、寺田は最期に言います。 「ここに向かう途中で見たタンポポがとても綺麗でした」と。 恐らく、拘置所内にはタンポポなど咲いていないのではないでしょうか? 仮に咲いているとしても、死刑執行目前の受刑者の目には、決して触れない場所のはず。 だから南郷には、寺田の言葉の意味がずっと引っ掛かっていたのでしょう。 タンポポの花言葉には「真心の愛」「神のお告げ」「愛の信託」「思わせぶり」「別離」 などがあります。 恐らく寺田は、最期の道々で「神のお告げ」に巡り逢ったのではないかと思います。 もっと言えば、自分の最期が南郷に託される事を予見していたのかもしれません。 だからこそ寺田は、唯一最期の言葉を南郷へ向けたのでしょう。 刑務官としての南郷たちの「真心」に感謝し、さようならという「別離」の言葉を、 「思わせぶり」な言葉で伝えたように、私には思えたのです。 (勿論、寺田がこうした意味のすべてを知っていたとは思いませんが) だからこそ寺田は、怖がらず、足掻きもせず、胸を張って逝けたのでしょう。 そして、最後にタンポポが押し花にされていたのも、純一と南郷の別離も意味し、 また同時に夫婦や家族としての愛の再生も意味していたと思います。 「生きる」という事とは「失敗と再生の繰り返し」。 臭いものに蓋をして現実から目を背けて続けていては、愛にも、真実も、救いにも、 一生辿り着けないということなのでしょう。 しかし、その辛く厳しい過程を辿ると心に決めた時こそ、手を差し伸べてくれる人や 傍に居てくれる人が、この世にはいるのだ…と、不動明王様は教えて下っている。 私には、そう思えました。 この映画自体も思わせぶりでしたが、こういう思わせぶりならたまには良いものです。[DVD(邦画)] 8点(2012-04-28 21:33:27)《改行有》

12.  ウォーターボーイズ 《ネタバレ》 観賞当時はまだ高校を卒業して1年が経つか経たないかくらいの時期だったので、中学・高校と部活に明け暮れていた自分にとって、本作は胸が熱くなりました。個人的な思い入れが加味されて、点数は8点です。映画自体を単純に評価するならば、6~7点かと思います。 本作は「若者らしい真っ直ぐさ」に溢れてキラキラしています。舞台が夏ですし、海やプールの水しぶきの眩しさも手伝って、甘酸っぱい恋模様がよりキラキラして見えます。けど、何よりも「一つのことに一生懸命になる若者たちの真剣さ」は、純粋に見る者の心を打つのだと思います。 人が何かを始める切っ掛けや動機は、後々考えてみると極めて単純・凡庸だったりするものです。大切なのは続けていくこと。継続することで初めて見えるもの、分かることがたくさんあるからです。傍目から見た彼ら(初期からのシンクロ部員)は、一風変わった個性的な人たち。簡単に根を上げそうにも見えます。しかし彼らは、周囲から馬鹿にされても粘ります。始めたからには上を目指して努力し続けます。団体競技であれば、特に協調性を持って仲間との信頼関係を築きながら進んでいかなければなりません。その様子を変にクソ真面目に描かず、コミカルに仕上げている辺りに、本作の良い姿勢を感じました。 しかし、少々粗さも目立ちます。コメディ演出が意図して過剰にされていることは理解できるのですが、少々鼻につきます。竹中直人さんはおふざけの天才でもあるでしょうが、何をやっても竹中直人でしかないんですよね。。良くも悪くも目立ち過ぎて浮いているのが、本当に残念です。 終盤の彼らには心を奪われます。物珍しさから来る愉快と、純粋な笑いの融合が見事です。地道に努力し、仲間と助け合い、慰め合って前に進んでいく様は、次第に周囲の人間を惹きつけ、自然と応援してくれる人が増えて行くのですね。「努力は報われる」「お天道様は見ている」という言葉、此処に有りにけり。[DVD(字幕)] 8点(2010-09-22 18:29:30)《改行有》

13.  悪人 《ネタバレ》 原作は未読。役者陣の演技は文句無し。主演二人は切迫した状態や感情の機微を細やかに表現しているし、脇を固める樹木希林や柄本明の安定感と存在感は、素晴らしいの一言に尽きます。 テーマが「誰が本当に悪人なのか?」だとすれば、恐らく「誰もが立場や状況によって悪人にも善人にもなり得る」となるのでしょう。現実的に見れば、本作は「経験値の低い男と女の逃避行」に過ぎません。生まれ育った街から出た事もなく、人付き合いも碌にせず(出来ず)、世間一般では白い目で見られる「出会い系」で出会った男女が依存し合う、現実逃避の物語。しかし私は、この「世間一般」がキーワードだと思います。 二人は、自分の人生を満足に生きられない・生き方を知らない人間なのでしょう。閉塞感に包まれた何の変哲もない日々。周囲の期待や固定観念に縛られ、どこか自分に無理をしたり、犠牲にせざるを得ない人生。人並みに恋愛すらできず、またそのやり方さえ知らない不器用な生き方。世間一般では蔑まれる方法でしか他人と関わる事が出来ない、悲しくて弱い人間。それでも、誰かの存在を求めずにはいられない。そんな二人が出会えば、互いに惹かれ、共感し、依存してしまうのはごく自然の成り行き。先が見えていても一縷の望みに縋ってしまうのは、そういった弱い人間だからこそなのでしょう。 二人の行動には、多くの人が迷惑を被ります。それでも止まる事が出来ない(しない)のは、彼らのような人間が極限状態に追い込まれると、自ら破滅の道を選んでしまいやすい、という典型例なのかもしれません。彼らがもしいわゆる世間一般の感覚を持ち得ていたら、祐一は人殺しをしなかったはずですし、光代もそんな彼と行動を共にすることも無かったはずだから。結局二人は「似た者同士=世間一般とは少しズレた二人」だったのでしょう。それを対比として描写しているのが「被害者の父がマスオに危害を加えようとしたものの、ギリギリで踏み止まった場面」であり、「タクシー運転手と光代の会話」なのでしょう。 印象的だったのは「夜に鏡を見ていたら、急に(金髪に)したくなった」と言う祐一に、光代は「なんか分かるかも」と同調する場面。夜の孤独と現状を打破したい気持ちが集約されているような気がしました。 音楽が邪魔に思えたのは少し残念でしたが、それでも私は本作に強く心を打たれたので、この点数にしました。[映画館(邦画)] 8点(2010-09-20 01:52:27)(良:2票) 《改行有》

14.  秒速5センチメートル 《ネタバレ》 算数の『はじきの法則』でご存知の通り、距離・時間・速度は相関関係にある。本作では、この(はじきの法則)が物理的、心理的の両面に作用し、その差異を描いているように思う。 物理的(はじき)にも心理的(はじき)にも、それぞれに条件はあるにせよ、一定の価値基準は存在している。異なるのは、心理的(はじき)に平等の否定が許されている点ではないだろうか? 桜の花びらが落ちる速さは秒速5cm、ロケットを運ぶ速さは時速5km。3年間交際した恋人でも、近付いた心の距離はわずか1cm。貴樹と明里を隔てる距離。逢瀬の道中の長い時間。二人で過ごした一夜。バイクで下校する「幸せなひととき(花苗談)」。永い年月を要して宇宙に辿り着いたロケット。雑然と過ぎ去る日々。 こうしてみると、心理的(はじき)の克服は、物理的(はじき)の克服より困難に思える。物理的事象には、どこかに共通の目的地やゴールが存在している。しかし心理的事象には、受け手によって「独自の線引き」が許されていないだろうか?ゆえに果てがない。ある意味、究極の自由にもなる。 馳せる「想い」が募れば募るほど、それが「重い」に変わってしまう。物理的(はじき)と心理的(はじき)の差、それは「質量」でもあるのかもしれない 印象的だったのは、線引きをするのは女性側からだ、という点。皮肉にも、心の線引きには何らかの物理的要因が絡んでいるのも見過ごせない。終盤の踏切のシーンは、その物理的(はじき)と心理的(はじき)のバランスが描かれているように思う。明里は、踏切の向こうにはいない。とうの昔に心理的(はじき)を克服しているから。希望を捨て切れずに生きてきた貴樹は、列車が通り過ぎるのを待つ。そして現実を目の当たりにする。しかし、彼の顔は晴れやか。たった数十秒の物理的(はじき)によって、ようやく心理的(はじき)の質量を解き放つことが出来たからだ。幼い頃の希望は青い春で絶望へと変わり、無気力な日々に揺蕩うも、再び未来の灯(あかり)が生じる。明里は、貴樹にとって永遠に希望の灯として心に生き続けるのだろう。 マイナス1点は、文語の語り口が少し耳につく事と、好みの分かれる作品だと思ったから。私にとっては、胸を焦がし、狂おしいほど切なさを呼び覚ます作品です。[DVD(邦画)] 8点(2010-02-18 12:12:09)(良:1票) 《改行有》

15.  クローズZERO 《ネタバレ》 原作は未読。この映画は、私にとっては大変危険な作品だ。何故なら、私は本作で自らの動物的本能に気がついてしまったからである。 暴力が良くないのは周知の事実。けれど、拳一つでのし上がっていく男と男のぶつかり合いに、魅入ってしまう私。強い男を見た時、思わずドキッとして『あぁ…私も守られたい…』と思ってしまう心理。これではまるで、弱肉強食の世界で勝ち抜いたオスに憧れるメス…本能で生きる動物。危険だ…危険すぎる…。なのにDVDを購入して何度も鑑賞してる私は、もうダメかも分からんね。 話を作品内容に戻すと、山田孝之が素晴らしい。主役の小栗旬を完全に喰っていた。背も小さいし小デブなのに、山田孝之が最高の男前に感じられるから不思議。これが所謂「カリスマ性」ってやつなのだろう。申し訳ないけど、小栗旬からはそれが感じらなかった。もし私が「雌としてどちらの雄を選びますか?」と訊かれたら、迷わず山田だ。最後は小栗旬に負てしまったけど、それでも私は、彼に心を奪われっぱなしなのだ。男性としても人間としても、とても魅力に溢れている。…って、あれ?また雄雌の話に戻ってしまった…すみません(猛省)。 「てっぺん獲る」という単純だけど至高な目標。いつの時代でも、向上心と冒険心と野心を持って突き進む男性は素敵です。やっぱり、男性は中身だ! 三池監督ならではの雰囲気があってとても好きなのですが、あの血糊はどうにかならないものか?あれじゃまるで、口の周りにケッチャプを付けた子供みたいなんだもん(笑) 脇を固める役者さんたちが皆個性的なのに違和感がなく、愛すべき存在となっている。しかし、鑑賞後はいつも「黒木メイサはやっぱり必要ないよなぁ」と思う。[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-10-21 23:31:43)(笑:2票) (良:2票) 《改行有》

16.  かもめ食堂 《ネタバレ》 縁もゆかりも無い人々が、縁もゆかりも無い土地で出会い、そこで生じた小さな縁により、それぞれの人生や生活に影響を与えていく。鑑賞後は、なんとも言えない温かい感情に包まれました。 サチエさん、ミドリさん、マサコさんが『何故フィンランドを選んだか?』の明確な理由は、最後まで明かされません。きっと理由はさほど重要ではないのでしょう。明確な目的など無くても、自らの意志さえあれば、どんな旅でも希望が持てるのです。そんな人生も楽しそうだし、とても素敵ですよね。 印象的だったのは、マサコさんのトランクの中身が開かれたシーンでした。行方不明になったトランクの所在を繰り返し尋ねていたマサコさんに、サチエさんは言います。「大切なものが入っているでしょうから、早く見つかると良いですね」と。曖昧に返事をするマサコさんは、恐らく思い返したのでしょう。『無くして困るほどの物を、いったいどれほど持ってきたのだろうか?』と。 ようやく見つかった彼女のトランクを開いてみると、中にはあの森で拾ったような美しい落ち葉が溢れ返っています。たくさん拾ったのに何処かで落としてしまった、フィンランドの森の落ち葉。木漏れ日が射し込み静寂が佇む、まるでフィンランド人の穏やかさを象徴しているかのような美しい森で拾った、鮮やかなたくさんの落ち葉。きっとマサコさんが日本から持って来たトランクの中には、彼女が心から必要としているものは無かった、という意味なのでしょう。彼女が必要としているものは、ここフィンランドにあった。だからマサコさんはフィンランドに残ることを選んだ。 フィンランドという土地で素朴な日本の姿が徐々に受け入れられていく様や、言葉の壁を物ともせずハートとハートで人間関係が繋がっていく過程は、何とも言えない充足感や幸福感を与えてくれます。人と人との出会いは、ある意味「糸」のようなもので繋がっているのかもしれません。その「糸」は「縁」あって「絆」に変わっていくのでしょう。 彼女たちの「いらっしゃいませ」は、今日も新たな縁の糸となっていることでしょう[DVD(吹替)] 8点(2009-01-08 23:13:47)(良:1票) 《改行有》

17.  リング(1998) 《ネタバレ》 約8年の歳月が経った今でも『貞子』の名前は多くの人の記憶に残っている。これってスゴいことです。 ホラー映画って、興行収入や制作費などの『記録』ではなく、いかに『記憶』に残るかが名作としての絶対条件だと思うのです。 8年前に初めて「リング」を見た時、私の心は恐怖と感動でいっぱいでした。 若かったからかもしれないですけど、これほどの緊張感と恐怖心で支配されたジャパニーズホラーは、その時の私には初めての経験だったのです。だからこそ、恐怖を超越してある種の感動を覚えてしてしまったのです。 で・・・でも、やっぱり貞子こえぇ~っす(泣) 鑑賞後の夜、お風呂から出てきた時に独りぼっち&部屋が真っ暗だと怖いから、パパンに起きて待っててもらったのは良い思い出です(夜中の2時)。 <2020年10月:点数を7点→8点へ修正> たまたま見る機会があり10数年ぶりに鑑賞しましたが、これは本当に名作ですね。よく出来てるなぁ…と改めて嘆息が出ました。 ジャパニーズ・ホラーの原点って、やはり「水」なのかな?と思ったりしています。 水というか、ジメジメヌメヌメした梅雨時のような、あの肌にまとわりつくようなベッタリした不快感です。汗なのか湿度なのか判らない、あの不快指数100%のようなじっとりした肌感覚です。その言い知れぬ不快感が「リング」からは常に漂っていて、見ているうちにいつの間にかしかめっ面になってしまうんですよ。 しかしこうした不快感を恐怖として変換・認識できるのも、日本という海に囲まれた島国で育った日本人特有の感覚なのかもしれません。土着信仰も大いに影響しているように思います。 かつては幽霊と言えば「お岩さん」を思い浮かべる日本人が大多数だったにもかかわらず、今日では「貞子」がその地位を取って代わり、確固たるものとしています。この作品がジャパニーズ・ホラーの代名詞として一つの文化を作り上げたのは、紛れもない事実でしょう。 ところどころに粗はあるものの、封切りから20年以上経っても色褪せない良い作品だと思います。[DVD(字幕)] 8点(2006-08-16 10:02:53)(良:1票) 《改行有》

18.  逆境ナイン 《ネタバレ》 すんげぇーくだらねぇ~!! でもこーゆーバカは大好き!!! だって9回裏で112対0ってオカシイだろ(笑) 強豪との対戦は不戦勝なのにあたかも勝ったかのような振る舞い、 野球経験のない監督、なぜか落ちてくる『自業自得』の隕石、もう何でもあり。 この映画は大笑いの類ではない。 まさに小笑いだ。 思わずニヤリとしてしまう・・・くっくっくっと小さく笑ってしまう・・・ そう、例えて言うなら「ちびまる子ちゃん」の『野口さん』だ。 (知らない人はLet's Google!) 普段からくだらないこと一人でを妄想しニヤニヤする私のような輩なら、 恐らくこの笑いは理解できるはずだし、ツボだろう。 しかし、こんなにバカ映画なのになぜか全力学園野球部を途中から応援していた。 仲間とのすれ違い、恋と野球の天秤。 「逆境」こそが成し得る熱い魂の叫びが私の胸を打ったのかもしれない。 ひとつの目標に向かって仲間と共に突き進めるのも、 誰かを純粋に好きになり「恋に生きよう」と未来に想いを馳せるのも、 若さゆえの素晴らしき特権だと思う。 これが「青春」なんだ。 観賞後、昔の部活仲間たちに連絡を取ってみようと思った。[DVD(字幕)] 8点(2006-07-27 10:21:55)(良:1票) 《改行有》

19.  ラスト サムライ 《ネタバレ》 最初は本当に不安でした。トムがサムライだし、外国人が作る日本をテーマにした映画だし…。でもビックリするくらいトムは着物が似合ってるし(外人のわりに背が低いから?)、外国人が作った映画なのに8割方が忠実に描かれてるし!!確かに、風景や町並みに違和感を覚える点はたくさんありましたが、某TA○Iとかと比べたら…ねぇ?サムライ魂とはよく言ったもので、本当に古来から伝わる信義・礼節・名誉を上手に表現してくれたと思います。中盤の息子と謙さんのシーン、ボブと広之の最期のシーン、謙さんとトムのシーンがホントに泣けてしまった。でも最後の天皇のシーンは妙に許せなかった。「何で今更英語なの?!最初はアリガトすらカタコトだったじゃん!!」って感じだし、トムが生き残った時点でやっぱり英雄万歳アメリカちっくで納得いかなかったから8点。でもある意味、ちゃんとに勉強して日本を描いてくれてありがとう!!しかもトムが主演でこの映画作ってくれてありがとう!!って感じでした。8点(2004-11-16 14:04:34)

20.  続・男はつらいよ 《ネタバレ》 寅さんシリーズ、鑑賞3本目です。 寅さんのお母さんが出てくることで、今回は少し違う寅さんを見れるのが嬉しいところ。 母親役にミヤコ蝶々とは、なんとも絶妙なキャスティング!これ以上は無いんじゃないかと思うほどピッタリです。 元芸妓なだけに粋で少し蓮っ葉な雰囲気、気の強い顔つき、口から生まれたかのような早口でキレのいい口上。すべて想像どおりの「寅さんのおっかさん」で、大いに満足です。 性格も「この親にしてこの子あり」です。口は悪いが人は良く、顔で笑って心で泣いて、照れ屋で自分の弱みは見せんとする。 だから揉めた時は大変!二人ともトコトンやり合ってしまうタイプです。 けれど、二人とも「罪を憎んで人を憎まず」が根底にあるから、あっけらかんとしていて引きずらない。そしていつの間にかまた仲良くなっている。良い親子関係ですね。 唯一違うのが、二人の金銭感覚でしょうか?(笑) 母上は、さすが女一人で酸いも甘いも噛み分けて生きてきただけあって、財布の紐は固い。 対する寅さんは、生粋の江戸っ子で「宵越しの金は持たねえ」タイプ。 そして私が大好きなのも、この二人の金銭感覚が垣間見えるラストシーンです。 寅さんは、たかが靴磨きの小銭代さえ母親にねだります。 母の口ぶりからすると、どうやらその前から何かと理由をつけては、チョイチョイ母上に支払いを頼っている様子。 さすがにその靴磨き代は母上も出さなかったようですが、結局、その前まではそれなりに寅さんの代わりに支払いをしていたのです。 そう、息子の甘えを許容しているのです。 そして、誰に対しても大盤振る舞いする気っ風のいい寅さんでも、母親の前では甘えん坊の一人の子供に戻ってしまっているのです。 意地っ張りで素直じゃない二人の、ちょっと分かりにくい親子関係と愛情を上手に描いていて、とても良いシーンだなぁと思いました。 何より私が心に残っているのは、母上が寅さんに放ったセリフです。 「どこぞの世界に自分の子どもを喜んでほうる親がいるんじゃ!!」 この言葉の裏には、たくさんの想いや葛藤が募っているのだと思います。 子どもからすれば親の勝手と思ってしまい、理不尽に感じるのは当然のことです。 けれど、さまざまな事情があった上での決断であること、その決断の礎となるものは母親の愛であること。 こういったことに想いを馳せられるようになったのは、私も子を産んだからなのかもしれません。 寅さんの母上の心中を思い、涙がほろりとこぼれました。[インターネット(邦画)] 7点(2018-11-30 23:35:56)《改行有》

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