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プロフィール
コメント数 67
性別 男性
年齢 38歳
自己紹介 最近、映画の評価基準はこんな感じです。

 ①ストーリー、演出、設定の妙、自分に影響を与えたかを考慮する。

 ②それらを含めた上で「映画を通してでしか表現できない作品である」といえるかどうか。

 という感じで見ています。

 スタッフロールが終わり、スクリーンに拍手を送りたくなるような映画に出会えることを願っています。

◆最近グッと来た映画◆

 
 『ショーガール』
 『colorful』(原恵一)
 『ヒーローショー』
 『ゴッドファーザー』

 ポール・ヴァーホーベンが最近好きなんだと気がつき始めました。あとは山田洋次と井筒和幸がご存命の監督の中では好きです。
 

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順12
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1.  おおかみこどもの雨と雪 《ネタバレ》 ◆映画の中で描かれない部分を自分で勝手に補完しだしたら、それはハマっている証拠だと映画批評で有名なラッパーがおっしゃっていましたが、もう映画の冒頭からどんどん補完しちゃいました。◆まず、あの旦那さんの性格。「団地って言ってもいろんな家があるんだ。子どもがいっぱいだったり、ひとりぐらしのおじいちゃんの家だったり・・・(うろ覚え)。」と花に説明する。(この人は、楽しみを見つけて感動できる人なんだろう。それぞれ訪れた一軒一軒に深い愛着をもって仕事をしているんだろう。そして感受性がとても豊かで優しい人なんだろう。いい人だな。)とか思ってしまい、この二人が出会えた幸せに涙してしまいました。その後はカール爺さんばりの幸せの回想シーン。多幸感に包まれて涙が止まりません。◆続いて、雪が転校生を傷つけたところ。相手の親からの詰問に、花は声を荒げるわけでもなく、雪に謝罪を促す。その後、駐車場にとめた車内で雪が心情を吐露するシーンになるが、あれは駐車場に車を止めてからこのシーンが始まるまでに、相当長い間沈黙があったと思う。その間、「どうしてあんなことしたの!」とか花は多分言っていない。花は雪の心に寄り添って黙っていた。だから、さっきまで黙っていた雪は心情を吐露したのだと思う。◆このことに関連するが、この映画で秀逸なのは花が子どもをほとんど叱らないところだと思う。おそらく、叱ったのは、前述した謝罪を促すシーンと、森に行こうとする雨を引き止めるときだけである。これは凄い。本当に凄いことだと思う。「これからどう生きていきたい?」と雨と雪に尋ねる花のスタンスは、彼らの意思を尊重してほとんど叱らない所に一貫してある。◆あとはもう人のつながりが生まれる過程を、じっくりと優しい視点で描かれたらもう泣くしかないです。心の隙間をあそこまで埋められたらぐうの音も出ないです。すばらしい。◆ひとつ気になったのが、花があれほど農作業したのにほとんど日焼けしていない所と、農作業するのにあの格好なのかーという点ですが、まあ些細なことです。至極の子育て映画!最高です![映画館(邦画)] 10点(2012-07-30 23:45:48)(良:2票)

2.  ヒーローショー 《ネタバレ》 ◆現在の邦画界には、綺麗な部分を強調する映画、汚い部分を強調する映画の二種類が存在すると思う。そしてそれらは何らかの形で落ちがつき、観客にカタルシスをもたらす。観客にとって、映画の内容はカタルシスによって完結し、映画館の外に出た瞬間に消化される。◆そんな昨今の映画の内容どころか、映画の風潮、ひいては現代の風潮に挑戦した作品が本作であると思う。劇的に感動的なシーンや、最高にカッコイイ主人公のシーン、涙が溢れ出て止まらないシーンはこの映画にはあまり見られない。しかし、現状に対する鬱屈とした感情を登場人物の誰もが持っており、観客はそれを追体験する。友人の死を看過するどころか、逆に手を貸してしまったり、M-1の賞金目当てに親の金で養成所に入った挙句寒いギャグしか言えなかったり、成り行きで知り合った人の家族事情を知り、手を貸すと思いきや次では裏切ったりする主人公は、今までの映画には中々居ない存在でありながら、現実には腐るほど存在するし、自分もまたその一人であったりする。◆映画は現実を忘れ、カタルシスを得るためにあるものだという考え方は当たり前で、もっともである。しかし、現実を浮き彫りにし、見つめなおすきっかけとなる映画もまたあってしかるべきである。(井筒監督が最高のカタルシスを観客に与えることができる監督であることは、『パッチギ!』で証明済みであると思う。それなのにあえてこの映画を撮った所の意味を私は考えたい。)◆この映画は、何年か経って見返したときに、映画館で感じた体験を追体験することができる現代を表現するにおいて最も適した作品である。[映画館(邦画)] 10点(2010-05-30 00:31:07)(良:4票)

3.  パッチギ! 《ネタバレ》 ◆前評判をちらと見た限りでは、わりとありがちな、在日の人が差別をうけながらもイムジン河を歌って、つらい日々に耐えていく、そんな映画なのだろうなと思っていました。そしてその予想は見事に裏切られました。冒頭のシーンで女の子が墨(?)をかけられたのをみたときには、「ああ、やっぱり」と思っていましたがその後が凄かった。もうバスは倒すわ、レーンを滑るわ、セメントかけるわですき放題やってました。しかし、ただの青春不良映画じゃない、一見普通に生活しているように見えても差別の影がチラホラ見える。それは主人公の母親がキョンジャをみる時の怪訝そうな目だったり、棺おけの入らないぐらいの小さな戸だったり、そして葬式でのお坊さん(?)の言葉だったり。自由奔放な生活の中にそんな影がチラと見えると、ぎゃくに押し付けがましくなく在日の人たちの辛さが伝わってきました。◆それから、曲も良かったです。本当に音楽が効果的に使われているように感じました。あまりに良かったので僕もカラオケに一人で行って『イムジン河』を熱唱しました。◆見終わった後に爽快感と、考え深い問題をくれたこの映画に、そしてとなりの女子高生に白い目で見られながらもランキングの上位を『イムジン河』で独占した僕に10点を献上したいと思います。 [DVD(字幕)] 10点(2005-11-02 19:32:28)(良:1票) 《改行有》

4.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 《ネタバレ》 ◆今回、Qのために復習としてみたのですが、やっぱり面白かった。何度見ても鑑賞に堪えうるだけのポテンシャルを持った作品だと思います。なぜ、繰り返し観ることができるのかと考えました。◆まず、圧倒的に戦闘シーンが緻密で、動きまくって、カッコいいということがあげられます。使途を受け止めるためにダッシュする時の速さがやばすぎて、衝撃波で車が吹っ飛ぶとか、刺された後に血がブシャーとか、様式美というか、いよ!待ってました!と叫びたくなるというか、観客のつぼを押さえた感じがとてもいいんですよね。◆次に、エヴァ作品において観客が初めて公式にガス抜きを許してもらえた、ということがあります。基本的に映画は観客がカタルシスを得るために作られているわけですが、アニメ版ではそれを逆手にとって、ほとんどカタルシスを得られない作りにしてありました。その鬱屈としたものが、細かい作品内容を分析する原動力になりましたが、それを昇華できるのは限られた人だけで、大多数はもやもやしてました。それで、鬱屈としたものが長年蓄積されていた観客は、突如この作品でガス抜きを許されたわけです。それは、他の映画のカタルシスを得る仕組みと基本構造は同じでも、快感がやばいわけです。見方を変えれば、どれだけエヴァでモヤモヤしていたかによって、その快感の大きさが違うのだと思います。◆あとは、人間の内面と外的事象が交差的に描かれることが多いので、そこら辺のリテラシーをあいまいにしながら見ると案外すんなり見れます。最後の、綾波を救うシーンは、一人の人間に踏み込むことについてどれだけ監督が苦労したかよくわかりました。すごく楽しい作品です![DVD(邦画)] 9点(2012-11-15 12:23:29)

5.  恋の罪 《ネタバレ》 ◆園子温の映画には人間の成長、すなわちアイデンティティの確立に焦点を当てている映画が多い。世間を気にせず素直に生きることが良いことである、という価値観はとても良いと思う。本作はその過激さに目を奪われがちだが、主人公の女性が立ちんぼの人と出会い、さまざまな「淫らな」経験を通してアイデンティティを確立させるというものだと僕は解釈します。そして、今回の主人公は女性である。僕は、女性の成長は出産によって劇的に促進されると考えている。◆そう考えると、非常にすごいと思うシーンがある。それは最後の廃墟でお婆さんが仕切り、男性が手を持ち、女性が相手の首を絞めるシーンである。あの場面が主人公にとっての出産であり、成長なのではなかろうか(「生」と「死」が逆転しているところが皮肉っぽくてまた良い。)。そして、園監督の持ち味でもある、『紀子』の血まみれで食卓を囲むシーンでも感じた、狂気と日常が混ざり合ったなんとも不思議な場面でもあり素直に感服した。◆最後の廃墟を目の前に刑事が発した一言は、刑事もまた児島に対する依存から脱却し成長したことの表れであると思う。◆やっぱり、園監督にはヴァーホーベンの『ショーガール』を観たときに感じた正直さを感じます。自分の奥さんだからといって一切容赦せずおしっこさせたり、男にフルボッコにさせたりするところにも誠実さを感じます。[映画館(邦画)] 9点(2011-12-05 00:06:23)

6.  鉄コン筋クリート 《ネタバレ》 ◆これはクロの成長物語だと解釈しました。◆本作では形式上の二項対立が多用されています。クロとシロ、仁義と開発、善と悪など、一瞥するとわかり易い物語に見えてしまい、その分ストーリーの難解さに肩透かしを食らうのではないかと思う。しかし、二項対立を克服し、両面が並存していいんだと認めること=大人になること、なのだというのが本作の主張であると僕は受け止めました。◆クロは一見すると悪であるが、シロの面倒を見るやさしい一面を持つ。シロは、ああ見えて、人にガソリンをぶっ掛けて殺す残酷さを持ち合わせている。シロは善と悪が共存している大人な存在である。逆に、クロは、シロがいなければ善を施しえない子供である。◆そんなクロはシロと別離することによって、自分の本来持ち合わせていた善の施しの行き場を失い、同時に純粋な悪の心と向き合わざるを得なくなる。その存在が「イタチ」である。クロは純粋な悪の心と対峙し、自分がシロによって善の心を持ち合わせていたこと、純粋な悪にはなりきれないことを自覚し、あらためてシロとともに生きることに希望を見出す。クロの手に刻まれた傷は、そのものずばり、心に純粋な悪が潜んでいることを自覚した上でどう生きていくのか、という少年が大人になるための過程を描いているのだと思う。◆誰にでも悪の心はあるのだけれど、それを単なる道徳律で押し込めて無反省に生きているのは寂しい。そんなことを考えさせてくれる映画だった。[DVD(邦画)] 9点(2011-10-01 00:16:03)

7.  おくりびと 《ネタバレ》 ◆見終わった後、本気でスクリーンに拍手を送りたくなりました。◆まず、この映画には解説がほとんど存在しないという所が凄い。どんな作品でも、観客にとって初めてのものを見せるときには解説が必要です。なぜなら、どんなに凄いことをやっていようと、見る側が理解しなければその凄さが分からないからです。解説は、見る側の知識を補填する役割を果たすという意味で重要です。ましてや、納棺師というテーマは観客にとって未知の世界であるため一層解説が必要になるはずです。◆しかし、この作品は見ただけで納棺師の誇りが伝わってくる。納棺における主人公の一つひとつの所作や遺体の着物が刷れる音、そこに漂う独特の緊張感からそれが伝わってくるのです。映像だけで納棺師の誇りを表現しきっているという所に感動します。◆さらに、ストーリーにおいても「どんな仕事にも喜び、苦しみ、そして誇りがある。」というテーマが一貫している。ストーリー自体はシンプルで分かりやすいけれど、一貫したテーマのもとに成り立っているため、どんなに分析的に見ても入り込めるのです。◆キャストも味のある役者を揃えている。本木雅弘は役に本当に忠実に演じており、山崎努は熟練の納棺師の誇りを体現していた。笹野高史の醸す哀愁は、スクリーンから少し漏れていた。それぞれがそれぞれの味を存分に出しているけれど、ひとつの作品として融合している。◆このような映画を、しかも愛すべき邦画を映画館で生で見られたことが純粋にうれしい。この作品は、映画でしかなしえない、「映画」と呼べる作品だと思う。[映画館(邦画)] 9点(2008-09-28 01:08:53)

8.  もののけ姫 ◆「もののけ達」と「タタラ場の住人」という二項対立の間に、大和から迫害され続けてきた蝦夷の一族、アシタカが介入してきて、その争いを「曇りなき眼で見定める」というお話です。◆アシタカという中立の視点を通して、それぞれの言い分を実に丁寧に描いていてとても面白いです。見ようによっては、「アシタカはどっちつかず」の印象を受ける人もいるでしょうが、じゃあ自分だったらどのような結論を下すだろうか?と考えてみるのも悪くないとおもいます。物語は必ず明確な結論を出さなければいけない、というルールはないわけで、あの終わり方も一つのパターンでしょう。もし、安易にエボシを殺して、タタラ場がなくなってしまえば説教くさくなりかねないし、そこで問題は完結してしまう。見る側に「私だったらこんな解決手段をとるなあ」と考えさせることが、この映画の最大の目的なのだと思います。◆アシタカは凛としていて、落ち着きがあって僕の理想像ですが、気がつくとサンの腰に手を回したり、カヤの小刀をあげちゃったりと、ここはさすがにいただけない。なので1点引いて9点を献上させていただきたい。[DVD(吹替)] 9点(2005-12-14 00:03:34)(良:3票)

9.  GO(2001・行定勲監督作品) ◆いい映画です。◆「何人か」っていうのは、書類上の問題でしかない。そこにアイデンティティを求めると、それは誰かからの移ろいやすい評価を一生受け続けることになる。「名前」って言うのは、上位のものがわけのわからないものに一定の価値をつけることで自分を納得させるための道具である。だれでも自分の祖先を遡っていけば朝鮮・中国の血が混じっている。◆いまの国籍や人種っていうのは、薄っぺらいものだとおもう。国籍の拘束力を強く意識させるのは、ナショナリズムを声高に叫び続けるお偉いさん方なのであって、二人の愛には何の関係もない。◆テーマと痛快さと主張が明確に伝わってきてとてもよかった。ただ、完成披露試写会のときの窪塚のコメントが何もわかっちゃいなかったので-2点で8点を献上させていただきたい。[DVD(字幕)] 8点(2006-11-04 14:07:07)

10.  家族ゲーム ◆この映画全てにわたって、快と不快が両立して撮られている様な印象をうけました。◆おいしそうな料理と食べるときの汚い音、夕暮れの色と煙を出す工場、家族の食卓とうるさいテレビの音・・・とにかく全てのシーンに渡って快と不快が両立されている。だから、見ていて何か気持ち悪い。◆ただ、これが15歳、すなわち中坊の時期なのだなと思います。受験に恋愛にライバルに・・・自分にとって不快なものと心地よいものをいっぺんに背負っている時期。そんな彼らの複雑な心境をうまく映し出しているなという印象を受けました。最近僕は、マナーをわきまえずに友達と好き勝手やっている中坊を見ると嫌悪感を覚えているのですが、この作品を見て、彼らも彼らで大変なんだなと思いました。◆まあ、その考えに行き着くまでに、既に僕は映画を見ているあいだ中、口が開きっぱなしでしたので、これはかなり凄い映画なのだと思います。◆終始僕の口を開かせたこの作品でしたが、全体的に何をテーマにしているのか曖昧ですし、ブラックユーモアという印象をあまり受けなかったことから-2点で、8点を献上させていただきたい。[DVD(字幕)] 8点(2006-11-04 13:44:40)(良:2票)

11.  マルサの女 《ネタバレ》 ◆今思い返してもふきだしてしまうのが、鍵を隠してすっぽんぽんになった女の人のシーン。あれは素晴らしい。下ネタのレベルが高すぎる。あんなに下品なのに面白いシーンが撮れる伊丹さんは凄いと思います。8てんを献上させていただきたい。[DVD(字幕)] 8点(2006-02-09 23:33:57)

12.  タンポポ 《ネタバレ》 ◆冒頭のラーメンの先生から、伊丹さんの食に対する姿勢がわかります。いまでこそ、飽食の時代でみなさんおいしいものを求めていますが、それと比べても知識としてはまったく劣らないあたりが凄い。◆配役もぴったりで、それぞれの演技力が素晴らしい。ワインのことについて語るホームレスや、役所広司が死ぬシーン、中でも特に大滝秀治のあの演技はすごい(笑)。◆あとエッチなシーンもいいですね、下手なAVよりどきどきします。伊丹さんは、エロスのつぼをおさえてますね、高尚なエロスといったかんじです。◆ただ、ちょっと過剰な演出が目に付きました。特に、スパゲッティのシーン。ちょっとあれは露骨過ぎます。◆血のついた牡蠣と山芋の腸詰はあまり食べる気になりませんが、食を中心にこれだけの映画を作れる伊丹監督の巧さに8点を献上させていただきたい。 [DVD(字幕)] 8点(2006-02-03 22:02:25)《改行有》

13.  血と骨 ◆『オールウェイズ三丁目の夕日』の対極にあり、『パッチギ!』を五倍に濃縮したのが本作品だと思います。◆オールウェイズでは、1950年代の富裕層を、本作品では最下層の在日朝鮮人の暮らしぶりを描いている(まあ一応金は持っていますが)。『パッチギ!』では青春要素も入っていたが、本作品は暴力、女、金と、かなり露骨にテーマを設定している。そしてそのどれもが、実際に起こっているかのようなリアルさがある。特に僕が驚いたのは、水に浸した新聞紙を、女の人の顔に押し当てて殺すシーン。ものすごくリアルだった。でかいインディアンが友達の顔に枕を押し当てて殺すシーンも見ましたが、それを上回る衝撃であった。本当に経験していなければ、このような考えは出てこないでしょう。◆本作品を見た上で考えなければいけないことは、当時このような状況が、この家族だけに限定して起こっていたのではないということだと思う。それをまざまざと見せ付けたこの映画に、僕は8点を献上したい。[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-01-28 13:27:57)

14.  砂の器 《ネタバレ》 何十年という気の遠くなる期間を経て、成長したわが子の写真を見た千代吉の「アアァァァッ」という叫びほどに親子の愛や、断絶の悲しみ、孤独が伝わってきたシーンはありませんでした。どんなに素晴らしい音楽でも、どんなに味わい深い丹波哲郎の語り口でも、どんなに四季を交えた美しい親子の旅の回想シーンであっても、千代吉のお腹からえぐりだすような魂の叫びほどには、多くのことを語らなかったように思います。 [DVD(字幕)] 8点(2005-10-31 20:50:01)《改行有》

15.  ゲロッパ! 会話が行き交い錯綜する、そんな中でも妻の位牌を見て泣いたり、歌を歌ったり、また 共感して泣いたり・・・そんな緩急のつけ方に人の心の温かさを感じました。「住基ネット、便利だねえ」というシーンでは思わず笑ってしまいました。[DVD(字幕)] 8点(2005-10-27 00:31:13)(良:1票) 《改行有》

16.  DEATH NOTE デスノート the Last name 《ネタバレ》 ◆OPがかっこよかったです。◆原作を踏襲しつつ、一部で話を完結させた編集技術と、藤原竜也・松山ケンイチの演技はとてもよかったです。ストーリー展開も2時間空きさせない作りでした。とくにラストはよかったとおもいます。◆ただ、あいかわらずエキストラの演技がわざとらしかったように思います。また、さくらTVの、死体を生放送して視聴率をとるようなやり方が平然と行われていることにも違和感を覚えました。なんかとても浅ましかったです。特にさくらTV祭りの会場にいたカメラマン。あいつに無性に腹が立ちました。◆エキストラに―2点、個性の無い調査員に―1点で7点を献上させていただきたい。[映画館(字幕)] 7点(2006-11-05 00:34:35)

17.  木更津キャッツアイ ワールドシリーズ ◆友達に薦められてテレビシリーズを見始め、見事にはまった口の一人です。◆前回の日本シリーズも見たのですが、展開の急さと荒唐無稽さについていけず、ちょっとがっかりしていました。そんなときにワールドシリーズをやると聞き、見るかどうか迷っていました。しかし、やはりファンには変わりないので、あまり積極的ではないのですが見にいきました。◆感想からいいますと、とってもよかったです。◆今回は、様々なところに伏線が張られており、それぞれのキャラクターが立っていて、全体的にかなり面白くなっています。特に、伏線のつけ方が絶妙で、ところどころ「ん?」と思わせる程度の疑問で、わかったときにはニンマリしてしまいます。映画を見ていて、久しぶりに「まだまだ見ていたい」と思いました。◆泣けるシーンは、直接にはなかったですが、ぶっさんの姿が、お父さんに見えない理由を考えて納得できたとき、胸に来るものがありました。さらに、映画でこれほど笑えたのも久しぶりで、映画作品としても、かなり完成度の高いものになっています。◆見終わった後にすがすがしさが残る今作品、映画館で見られてよかったです。[映画館(字幕)] 7点(2006-10-29 23:37:29)

18.  ブレイブストーリー 《ネタバレ》 ◆この映画は枠があと2時間あればおそらくアカデミー賞獲れたと思います。大げさじゃなくてそう思います。なぜこれだけのストーリーとアニメーション技術がありながら2時間に収めなければならないのか。この映画に足りないのは時間だけでした。他の要素は全て整っていました。声優の使い方も瑣末的な配役はしょうがないとして、中心人物に関しては問題なかった。演出面でもこれまで見たことがないような演出がつぎつぎ飛び出してくる。特にミツルが城を壊すあたりからは驚きの連続でした。ラストの主人公の決断と、そこから見えてくるこの作品の伝えたいことも共感できるし、子供にも絶対にお勧めできるし、とにかく4時間映画だったとしたら、ラストの感動は確実に10倍以上でした。そして監督も4時間描けるだけの技術を持っていた。僕には、この2時間じゃ収まらないよ、もっとやらせてくれよという監督の声が聞こえてきました。だって、途中の旅のハイライトシーンはどれもまったく手抜きをしていなかった。どの絵にも世界観が構築されていた。宝玉の能力の描き方を見ても分かります。赤が回転、緑がクッション、青が伸びて、白がスケボー。全部分かりますよ。ちゃんと剣の能力はキャラがたってるんです。明確に分かるんです。剣の能力がきわだってるんだから、登場人物のキャラをたたせられないわけがないでしょうが。だからこそ、この人に時間を与えればきっと最高の作品ができました。・・・なんで2時間なんですか?アニメだからですか?それとも2時間じゃないとお客が退屈するからですか?そういう固定観念のせいでこの作品は台無しになったんだと思います。アニメだって内容がよければ十分やっていけます。この監督と作品に時間を与えられない今の映画業界は腐っていると思います。なんか女の子が黒い涙を流して「映画を守りたい」とか広告出してるじゃないですか、そんなこと言ってる前にすこしでもこういう作品に手を貸してやれよとか思います。・・・守る前に攻めろよ!こういう良質の作品をのびのび描かせてやれよと。そういう封建的なところでこの作品の輝きを失わせてしまうのはあまりにももったいない。この作品はもっと枠があれば映画界を救えたと思います。監督の代弁者のつもりで怒りをぶつけます。[映画館(字幕)] 7点(2006-07-23 23:23:40)

19.  明日の記憶 《ネタバレ》 ◆敏腕サラリーマンがアルツハイマーになり、人生の「負け組」となるのですが、献身的な妻の介護により仲むつまじく暮らしていくというお話です。◆堤監督の斬新な撮影法と、割と起伏の少ないストーリーとの間のギャップが心配でしたが、杞憂でした。例えば、話としてはただ主人公が道に迷っているだけなのですが、ちょっと耳障りな音楽と独特なカメラワークによって、ちゃんとハラハラする。しかし一方で、その演出が不快でもありました。画面がブれたり、回ったり、不安を掻き立てるようなバイオリンの音楽が流れると、大画面で見ている分酔いそうになります。◆内容ですが、結構ベタでした。ただ、S・O氏が生きていたことについては素直に驚きました。と同時に、この映画で唯一泣けたのはS・O氏と主人公とのシーンです。彼が生きていたことについての驚きと、複雑な社会で生きてきた主人公に対して「必要なのは食い物と酒と女だけだ。」というシンプルだけど、原点を突いている言葉に涙が出ました。二人で焚き火を囲んで飲み食いするシーンは、シンプルながらもとてもいいシーンです。◆主人公とその妻を演じた役者二人はとても自然な演技をしていて見事でした。ただ、ミッチーは、もうちょっと、淡々としゃべってもらいたかった。いささか熱すぎました。◆全体的にいい映画でしたが、中盤が少しだれたのと、映し方がすこし不愉快であったこと、ラストが弱かったこと、無駄なシーンが目立ったことなどを考えて7点を献上させていただきたい。ただ、見る価値は十分にあると思います。[映画館(字幕)] 7点(2006-06-18 19:41:27)

20.  THE 有頂天ホテル ◆素直に面白かったといえる作品でした。あれだけのキャストとセットと脚本をもってして面白くないわけがない。ただ、あまり笑えませんでした。唯一声を出して笑えたのは、西田敏行の「せ~のっ、ハイ!」のシーンだったように思います。西田敏行はほんとに器用だなあと思います。観終わったあと、あまり高揚感がなかったのと、空席が目立つ中見たことを総合勘案いたしまして、7点を献上させていただきたい。[映画館(字幕)] 7点(2006-04-02 00:06:58)

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