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1. 花様年華
メロドラマとしての格調の高さは大したものだ。狭さを意識した画面、その息をひそめている感じがいい。新聞社の無表情な大時計、赤いカーテンの揺れる廊下、と舞台もふさわしい。下の屋台へポットを持っての往復で、ちらちらと意識しあう男女。そのかすかな空気の揺れのようなものがメロドラマの味わい。ここぞというときに入ってくる憂鬱なワルツ、あるいはキサス・キサス・キサス。連れ合いが不倫をしている二人は、意地でも関係を結ばない。それが全編に緊張をはらませている。時代や社会やあるいは女の生き方についての思索など、余計なものを排除して純粋な織物を織りあげたって感じ。だからこそラストのカンボジアが引っかかる。あの時代の新聞社を舞台にしながらベトナム戦争に触れずに綴ってきて、ラストで竹の文化圏から石の文化圏のカンボジアに跳ぶあの画面の質感の急変、分からないからこそ、すごく引っかかる。[映画館(字幕)] 8点(2008-08-12 10:52:15)(良:1票)
2. カンフーサイボーグ
《ネタバレ》 いちおう未来の話になってて、主人公がロボットと最初から分かってて、SFとしての設定は整ってるんだけど、前半は「田舎のドタバタ警察もの」の牧歌的な世界。香港映画お得意の泥臭いコメディが綴られていく。と中盤に至って突如『トランスフォーマー』が乗り移り、巨大なロボットがヌンチャク振り回したりする(後段ではキョンシーロボも出てきた)。笑いとアクションが香港映画の二大柱。あと「泣き」があれば三本柱が揃うな、と思っていると、心を持ったために泡になって崩れていくアンデルセンの人魚姫ばりの涙のラストが控えていた。う~ん、「香港映画」でしかないものを観てしまったという濃い後味が残った。つまりこれ映画としても『トランスフォーマー』やってるようなもんで、ぜんぜん溶け合わない部品を横に強引に連ねて合体させ、一本の映画にしてしまっている。スープを作るというより、それぞれの具材がそのまま残ってるゴッタ煮の中華寄せ鍋の楽しみ。よろしいんじゃないでしょうか(後半は二回見ちゃった)。「欲情ウィルス」を出そうとして間違って武侠ものの連中がワイワイ出てくるあたりが、個人的には一番うけた。この主人公のメイクは『A.I.』のジュード・ロウを参考にしてたのかな。[DVD(字幕)] 6点(2012-03-05 09:57:46)
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