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1. 紅夢
普通シンメトリーの構図ってのは、ここぞというところでバンと置くと効くので、あんまり使いすぎちゃいけないものなんだけど、この作品はそれがテーマだからね。シンメトリーの安定した重苦しさ、人を発狂させるほどの、整然とした堅苦しさ。シンメトリーの息苦しさをここまで徹底して追求した映画も珍しい。あとは音の響き。作者によって選択された音しか響かない。それも幽界に響くような雰囲気で、嫉妬によって残響を与えられ心にエコーを掛けられているというか、灯篭を消す竹吹きのブボッという音も腹に響く。遠くから聞こえる第三夫人の歌声、若主人の笛。きっちりした画面に選ばれた音のみがキラッキラッと閃く感じが実にスリリング。昔の中国映画だったら、もっと目覚めたヒロインが反抗する設定になったんだろうが、もうそうはならない、プロレタリアートの部屋にまでレッドランタンは侵入してしまっているのだ。画面に現われているのは「八方ふさがり」の嫉妬渦巻く世界なのだけど、ネチネチという感じはあまりなく、荒涼の風が「八方吹き抜け」ていたのではないか。白・黒・赤の物狂いの世界が魅力的。[映画館(字幕)] 8点(2012-10-13 09:56:42)
2. ココシリ
《ネタバレ》 自然を保護するために自然の猛威と戦う男たち。チベットカモシカを保護する組織を運営していくために、密猟されたその皮を売らねばならない皮肉。いくらでも膨らませられる矛盾を蔵しながら、それらがどうも立ち上がってこない。追う者も追われる者も生活感がないので、隊長のエイハブ船長的執念は抽象的に研ぎ澄まされて描かれたかもしれないが、生活感のなさは全体を「自然の脅威」の観光映画にもしてしまった。生活感のない人物はブリザードに取り残されても、心細さがもひとつ迫ってこないのだ。人の匂いのしない地形に、すんなり溶け込んでいってしまう。[DVD(字幕)] 6点(2007-11-25 12:21:26)
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