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【製作国 : 香港 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  ジョン・ウィック:チャプター2 《ネタバレ》 危険な階段落ちや車両との接触、ミラールームの活用など、様々に工夫を凝らして 見せ場をつくっている。 単に発砲数やアクションの手数をインフレ化するのではなく、 静から動へ切り替わる瞬間に向けてのテンションの高まりが重視されていること(特にメトロでのモブ乗降シーン)や、 一貫して科白がごく短く切り詰めているのがいい。 中盤で標的として狙われ始めるシーンの時系列弄り等はただ混乱を招くだけで紛らわしい。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-08-31 00:02:09)《改行有》

2.  ジャッキー ファーストレディ 最後の使命 《ネタバレ》 ナタリー・ポートマンの特に横顔を中心としたクロースアップが強調されるが、一本調子の印象。表情芝居に頼り過ぎか。 エイジング処理によるホワイトハウス案内番組の再現シーン、取材インタビュー、狙撃事件後の顛末などが交錯していく構成だが、 彼女の人物像が明瞭に浮かび上がるところまではいっていない。 ナイーヴな側面と、気丈な側面と、そして煙草をふかしながらの強かな表情と。一筋縄ではいかない彼女の多面性が表現されているからでもある。 彼女はこの後、ギリシャの富豪と再婚し、浪費の限りを尽くしたそうな。[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2017-03-31 23:57:21)《改行有》

3.  アサシン クリード 《ネタバレ》 ドローン空撮や、馬車チェイス、市街でのアクロバティックなアクションなど、折角のスタントを雑な編集がことごとく台無しにする。 然程難しくはないはずの話に半端な観念談義を加えて、あたかも小難しそうに語りたがるのがこの手の作品の悪い癖だ。 そもそもマント下の顔貌も判然としない主人公に思い入れどころでなく、クライマックスに至っても何らカタルシスのない 陰気なドラマに滅入るばかりである。[映画館(字幕なし「原語」)] 3点(2017-03-18 00:53:07)《改行有》

4.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 クラクションから始まる二人の出会い。バーでの再会は街路に流れてくる音楽に引き寄せられてのものだし、店に入ったエマ・ストーンへのトラックアップに重なるのはあのクラクションの響きだ。三度目の再会もパーティ会場に流れる音楽が二人を引き合わせ、ボーイフレンドと会食中のエマ・ストーンが意を決して映画館へ向かうきっかけとなるのはレストランのスピーカーから流れてくるあのピアノソロである。 車のクラクションはさらに変奏されていき、最後のそれは夢をあきらめた彼女の決定的な転機となる感動的な呼びかけの響きとなるだろう。 音色とその記憶が一貫して二人を引き合わせていく演出は周到である。 エマ・ストーンが化粧室で独唱するとき、独り舞台に立つとき、最後のオーディションを受けるとき、照明が落とされ単一に近い光源が彼女を照らし出す。 プラネタリウムを舞い、スターとなるべき彼女はスポットライトを正面にみる。リアルト劇場の映写ライトの光を正面から受けるのも彼女の特権であり必然である。 序盤のバーのシーンでは赤のライティングが彼女のブルーのドレスを引き立て、中盤の仲違いのシーンでは緑のライト、終盤のバーではブルーのネオンが 彼女を印象的に縁取るが、たそがれ時の淡い光の中、『A LOVELY NIGHT』のタップを踏む彼女の黄色いドレスは可憐さを一層引き立てている。 そしてラスト、万感の表情で視線を交わす二人の切り返しショットが素晴らしい。[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2017-03-13 23:20:17)《改行有》

5.  光にふれる 《ネタバレ》 背景をぼかし気味にした深度浅めのカメラは、主人公ホアン・ユィシアンの不自由な視力と同調させたのだと考えよう。 感知できるものと出来ないものが、カメラのフォーカスで仕分けされているように見える。 列車がトンネルを抜けていホウ・シャオシェン的ショットも光の主題を担いながら台湾映画の薫りを濃厚に伝えてくる。 耳を澄まし、事物に触れて大学の新生活になれていく彼の姿が丹念に追われるが、とりわけダンスと音楽を通して 外界と触れ合っていく描写が映画と相性よく馴染んでいる。 そして、激情を秘めつつ穏やかな表情を絶やさないホアン・ユィシアンの佇まいが素晴らしい。 ダンサーを志すサンドリーナ・ピンナが仏頂面と泣き顔から次第に笑顔の似合うヒロインへと変わっていくのも、彼の言葉と表情を通じてだ。 彼女が月光の差し込む夜の教室内でユィシアンの弾くピアノに合わせて踊るシーン、 彼の故郷の海辺で楽しげに戯れるシーンが美しい。 クライマックスは、それぞれが挑むコンクールとオーディションのクロスカッティングであり演奏とダンスが劇的にシンクロして盛り上げる。 寮の悪友たちもここでいいところを見せて、青春ものとしても爽やかに決めている。 映画のサントラが未だに絶版で手に入らないのが残念だ。[DVD(字幕)] 8点(2016-10-24 23:29:39)《改行有》

6.  レヴェナント 蘇えりし者 《ネタバレ》 冒頭でまずレオナルド・ディカプリオがほとんど瞬きをする事なく銃を撃つショットに少し驚き、この映画で彼はほとんど瞬きをする事が無いだろう事を なんとなく予感しその通りに進行していくのだが、そのディレクションの意味も中盤でより明瞭となる。 スコープサイズ画面の半分を遠景、半分を極端なクロースアップで占める構図の多用によっても、人物や動物の見開いた眼へのこだわりは特徴的だ。 もっとも、目を瞑る度に妻や息子の回想シーンや気取ったイメージショットが頻繁に現れてはドラマを引き延ばしにかかる訳だけれど。 そうした中、アルフォンソ・キュアロン『トゥモローワールド』の長廻しからさらに難易度を高めたアクションシーンの機動的なワンショットは やはり圧巻である。 樹上からの人体落下、顔面を貫通する矢、林間の乱戦から騎馬戦への視点切り替え、それらを繋いでゆく高難度のカメラワークの合間に陽光を瞬間的に入れ込んで生々しさを際立たせるところこそルベツキの本領だろう。 評判のよい「美しい景観」のロングショットはただ美観にとどまる限り、それ以上のものにはならない。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-04-29 21:37:01)《改行有》

7.  ボーダーライン(2015) 《ネタバレ》 高空から撮られた地表や街並みのショットが、ただそれだけで静かな不穏と緊迫を醸し出す。 スコープサイズの画面に美しく広がる地平線と独特の雲とトワイライトは、血生臭いドラマと対照を為す形で印象深い情景を見せつけてくる。 銀行の監視カメラ映像、暗視スコープ映像など、様々な媒体の挿入も効果的に決まっている上に、環境音に似せたBGMも画面から浮く事がない。 中盤のバーでのジョン・バーンサルや、ベッド脇に置かれた札束バンド、そしてラストのベランダで銃を持つエミリー・ブラントなど、フォーカスを巧妙に外すことで逆にそのぼやけた対象を強く意識させ観客に注視を促すという、サスペンスと情感の演出にもついつい乗せられてしまう。 べニチオ・デル・トロ自身の佇まいもさながら、特に後半の彼が凄みを増していくのは、暗闇と影を相乗的に活かした撮影にも拠るところも大だろう。 レースカーテンの揺れる奥に佇むデル・トロ。彼の表情に落ちる陰影の黒味は彼の内面を見事に具象化している。[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-04-25 23:25:50)《改行有》

8.  黒衣の刺客 《ネタバレ》 何処其処のシーンがどれそれの映画を想起させ、、といった紋切り型はあまり相応しくないだろうが、 監督本人もパンフレットで「黒澤明などの侍映画」の影響について言及しているのだから、あの霧とか突き刺さる弓矢とか山中の騎馬の撮り方は 『蜘蛛巣城』あたりの淡い影響なのかもしれない。忽那汐里は『羅生門』?呪術を使った水の流れは何やら『雨月物語』のような。 その緩やかなカメラワークと大気の流れと人物の動きは、数々の美しいロケーションそれ自体による画面の固定化(審美化)、観念化を阻んでいる。 そしてスタンダード(一部ビスタ)のフレームゆえに意識が向く画面の深度と重層性。 襲い来る剣先を紙一重のスウェイで冷静にかわし、受け流していくスー・チーの優雅な動きと寡黙な表情にも惚れ惚れする。[映画館(字幕)] 8点(2015-09-27 22:26:06)《改行有》

9.  恐怖分子 夕景の街中にあるガスタンク。十字の格子が浮かび上がる部屋。木々のざわめき。 半透明なレースカーテンの白の揺れ。風にはためく、壁に貼られたモノクロ写真。 何気ない風景のようでいて、その佇まいだけで不穏な気配を濃密に湛える画面の 息遣いがことごとく心をざわつかせる。 そして人物の表情が見えるか見えないかの半逆光の加減が絶妙で、 その無表情と陰影はキャラクターの心理を読み取らせない。 ゆえに本作は、物語的にも画面展開的にも全く予断を許さない。 それだけに、突発的な暴力が炸裂する刹那のインパクトは見る者を戦慄させ、 静かに流れ出す『煙が目に沁みる』のレコード音の情感に 訳も分からないまま心を動かされてしまう。 80年代の空気をすくい取りながら、まるで古さを感じさせない。 [ビデオ(字幕)] 10点(2012-10-05 23:52:51)《改行有》

10.  1911 大予算・大スケールの弊害も顕わにいわゆる「偉人」らのドラマに偏向し、「民衆」は戦争スペクタクルを構成するその他大勢としてしか表象されない。 よって、群像ドラマは散漫な印象しか残さず、なんらエモーションを呼び込まない。 建国における「歴史に残らなかった命の物語」という、どこかジョン・フォード的なモチーフを標榜するなら、皇太后を始めとする朝廷側の描写はもちろん、同盟会指導部の描写すら省いても全く差し障りなかったはず。 視点を黄興なり、革命軍一兵士なりに限定したほうが余程良かった。 画面構成はその深度においても視点においても、「民主的」とは程遠い。 序盤からジャッキー・チェンの中指を失わせ、アクションを封じておきながら、半端なサービスシーンを入れてしまう辺りも興醒めだ。 そもそも、アクションスターの宿命的なワンマン性と、歴史群像劇との相性が悪すぎるのではないか。[映画館(字幕)] 3点(2011-12-12 23:32:58)《改行有》

11.  白夫人の妖恋 製作舞台裏の事情は、廣澤榮(助監督)の「日本映画の時代」に詳しい。 次第に産業的な翳りを迎え予算を抑えにかかる上層部と現場の軋轢や、スタジオシステムが培った大道具・小道具スタッフの臨機応変な知恵と技術が注ぎ込まれた特撮シーンの苦心談など、映画以上に感動的で興味深い逸話が多々あり、面白い。 中国民話の世界を全編セットによって創りあげた美術の豪勢さ。 西湖の水面に咲く色とりどりの睡蓮や牡丹、華やかな中国伝統衣装などがイーストマン・カラーに映える。 トリック撮影を使った山口淑子と東野英治郎の妖術合戦なども楽しいが、最大の見所は金山寺水攻めシーンに展開される怒涛の水のスペクタクルだ。その水量と迫力が凄まじい。 さらには、衣装を風になびかせながら山口淑子と池部良が昇天するイメージが(舞台裏の苦労談とは裏腹に)壮麗で素晴らしい。 いずれのシーンにも、海外との合作に向けた豊田四郎監督及び、新技術の導入と共にカラー特撮時代へと向かう円谷特技監督以下のスタッフの威信が漲っている。 それから忘れてならないのは、小悪魔的な八千草薫の可愛らしさ。まさにはまり役。 [映画館(邦画)] 7点(2011-05-04 22:53:42)《改行有》

12.  ブレードランナー/ディレクターズカット<最終版> 《ネタバレ》 全編を貫くのは「見る」という主題。人造人間識別機の画面に映る瞳、潰される目、眼球製造者、フクロウの目。画面の到る場所に様々な「瞳」が提示される。人間は識別機を通してしかレプリカントを判別できない(直接視覚の無力)。ハリソン・フォードがエレベーター内のショーン・ヤングに視覚では気付かない場面なども象徴的だ。これを画面上で補強するのが、闇の領域と蒸気・雨を大きく取り入れて視界を遮るノワール風照明設計である(ブラインド等の使い方も秀逸)。この映画はその盲目的人間が、目を閉じ頭を垂れたルトガー・ハウアーとの視線の切り返しを経て「開眼」(夜の闇から晴天への転換)するドラマともとれるだろう。ラストで対峙するルトガー・ハウアーの見開いた瞳は映画冒頭の「青い瞳」へと回帰し、その台詞「オリオン座の片隅で燃える宇宙船」「タンホイザー・ゲートの側で輝く星」が、映画のファーストショット(夜景と炎の俯瞰)と重なり直結していく巧妙な構成が非常に見事である。[DVD(字幕)] 8点(2009-10-11 19:56:35)

13.  トウキョウソナタ 映画の基調色となる緑が印象深い。ハローワークの階段の壁に貼られた無機質な表示や小泉今日子を拘束するガムテープ、清掃する香川照之の前で子供がこぼすメロンソーダらしき液体、井之脇海が拘置される警察署地下のホラー風アクセント照明、あるいは小柳友が仲間とチラシを投げ捨てる橋のライティングなど等、闇や陰影が控えめとなった替わりに多様なグリーンが画面を彩る。香川と小泉の断絶の提示が画面上で決定的になるのは、居間とダイニングの段差がもたらす立位置のみならず二間を分けるグリーンとオレンジの照明の分断にもよるだろう。地平線に立つ女性主人公を照らす光と大気と風と、時刻の変化が示す奇跡的な瞬間の感動は、個人的にはロメールの『緑の光線』や『レネットとミラベルの四つの冒険』の一遍(『青い時間』)に通じる映画感覚である。随所に散りばめられた色彩効果によって、最期の演奏場面のシンプルな白い光線の揺れが一層引き立ち、輝きを増している。[映画館(邦画)] 9点(2009-07-19 16:08:59)

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