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1.  オリバー・ツイスト(2005) 《ネタバレ》 ロマン・ポランスキー版「オリバー・ツイスト」は、ディケンズの原作に真摯に取り組んだ力作、美術(セット)も立派ですが、きちんとしすぎていて堅苦しく、その雰囲気をレイチェル・ポートマンの音楽が和らげているよう。 ハリー・イーデンのドジャーは魅力がありますが、オリバー(バーニー・クラーク)は美少年だけれど彼自身が行動するよりも周りの思惑で動かされ、他のキャラクターの性格を浮き彫りにする役目なのは本と同じで存在感は薄い。フェイギン役のベン・キングズレーは熱演を見せますが、最後のオリバーとの別れのシーンは必要以上に感傷的になっておりとってつけたよう、重要なビル・サイクスやナンシーの印象も弱い。 保護者となるブラウンロー氏はテレビ「シャーロック・ホームズの冒険」の二代目ワトソン、エドワード・ハードウィックが演じ、このバージョンでは原作を簡略化すると同時に彼とオリバーの血縁関係もなくしており、血のつながりがなくとも注がれる愛情の方が得難いと考えたのかもしれず、原作の強い偶然性を排したことにもなりますが、一番の悪党モンクスの出番もなくなりミステリー的な面白さは減りました。 ドラマとしては物足りないものの、ディケンズが意図したように19世紀前半の英国の救貧制度を背景にした下層階級の世界を描いたことにはなり、ポランスキーが「テス」「戦場のピアニスト」同様に過酷な運命に翻弄されるキャラクターに抱いているシンパシーも感じ、それは彼の苦難に彩られた少年時代や青年期と無関係ではないように思えます。[DVD(字幕)] 7点(2012-04-05 07:00:09)

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