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1. 百年の夢
スロヴァキアの老人たちを描くドキュメンタリー。『糧なき土地』や『アラン』の線だけど、やや詩情が過剰。作者が自分の詩を語っているみたいで、最初からそういう映画として見ればいいんだろうが、やっぱドキュメンタリーってのは、散文を連ねていった果てに魂の詩が見えてくるってのが理想だろう。ことさら孤独を強調する画づらも気になった。でも老人たちの顔がいいから許せる。予定調和的なインタビューを表情が無効にしていってしまう。これらの顔の前では「生きがい」とか「幸福」とかいった言葉が薄っぺらに聞こえてくる。宇宙小僧のようなおじいさん、面白かったな。楽器がよく出てくる。長いクラリネットのような変な管楽器、バグパイプ、二弦の低音弦楽器、バイオリン、まるで一人一人が楽器と同化し、この村が一つのオーケストラになってる、なんて幻想が湧くような、ちょっとおとぎ話っぽい気配がある。[映画館(字幕)] 6点(2012-05-03 09:48:42)
2. ピノキオ(1996)
ディズニー版もそうだったけど、ピノキオって原作は悪童物語の傑作なのに、映画化されるとかわいくなってしまうんだな。悪の誘惑に乗ってくる悪ガキに見えない。それだけのせいではないだろうが、ラストで人間になると幻滅感が場内に漂った。いや、これは大事な問題なのかも知れない。アニメ的なものと実写とで、見ているこちら側の心の位置が微妙に違っているのではないだろうか。実写は記録として客観的に見ているのに、アニメになるとやや主観に寄っている、ということはないか。その主観が引き剥がされる感じが幻滅感になっているのでは。アニメと実写の合成された映画を見ているときに感じる、どうも落ち着かない感じ、案外あんなところに映画の秘密が隠されているような気がする。子どもがロバに変身するとこなんか、ディズニー版のほうがはるかに怖かった。全編アニメだと、SFXが浮いてしまうという心配がないわけだ。こちらでは、ピノキオが一時間待って時計塔の前に立っていると犬が小便ひっかけにやってくる、ってとこにのみ映画を感じた。ラストのクジラも弱かったなあ。[映画館(字幕)] 6点(2009-05-16 12:07:49)
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