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1. イグジステンズ
肉迷路というか、内臓迷路に迷い込ませてくれるような作品。実は恥ずかしながらそれまでクローネンバーグ作品を観たことがなく、こんなタイプの作品に触れたことがなかったので、その雰囲気は楽しめた。世界観の提示に対して展開の練り込みが足りないような気はするけれど、オリジナリティー溢れるグロテスクな世界観の構築には圧倒されたし、ジュード・ロウも美しかったし、なかなか楽しめました。それにしてもいちいちエロいですね、小道具の造形が(笑)。6点(2004-02-10 20:59:41)
2. イベント・ホライゾン
《ネタバレ》 小さい頃、たとえば夏の夜、見上げた宇宙の広さをふと考えて空恐ろしくなったあの感じ。とても人間の矮小さでは敵わない、あのリミットなしの存在感。あの畏怖に近い恐怖。そんな恐怖を感じた。私は結構好きです。認めます。普通はアメリカ産のホラーはいつも恐怖にオチを付けるでしょう。悪魔だとか吸血鬼だとか宇宙人だとかモンスターだとか。それでいつも安っぽくなる。最後まで得体の知れないものの怖さを大切にしない。その点でこの作品は異色。終に恐怖の正体を何も明らかにしないままで終わる。だからこそ恐怖の本質を味わえた。想像力のたくましい人ほど怖い作品ではないかと思う。「怖い」という感情でホラー映画のレベルを計るなら、私にとってはこれが1番です。見かけや表層じゃない、本当に怖いのはいつも、精神世界に抵触するものです。7点(2004-01-03 21:38:15)(良:1票)
3. いつか晴れた日に
何だろう、この映画の繊細で美しい雰囲気は。貞淑という殻に押し込められていた時代の女性の、分別のコルセットに縛られた多感。そしてラストの控えめな情熱の発露。エマ・トンプソンが泣き出すシーンは、大好き。女優として、彼女は少し鼻に付く硬質でお高い雰囲気があり、それ程好きでもないのだけれど、この映画の演技は素晴らしい。認めなければ嘘。ケイト・ウィンスレットもいい。奔放で自分に正直な女性を好演。原題の「分別と多感」は、貞淑な姉と奔放な妹のこととも取れるし、姉の揺れる心の内のことでもある。ダブル・ミーニングの良い題です(もちろん、邦題も良いよ)。あと、ヒュー・グラントのバランスの悪さは、世界中の人々が気付いている。気付いてないのは本人だけです。9点(2003-12-19 15:12:42)(良:1票)
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