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1. エイリアン:コヴェナント
《ネタバレ》 冒頭に現れるのは、蒼い瞳の超クロースアップ。『ブレードランナー』冒頭のレプリカント:ロイの蒼い瞳と同じである。
加藤幹朗氏の「『ブレードランナー』論序説」が論考した「超時間的存在」たる蒼い瞳の主の説を踏まえるなら、
本作の真の主人公がマイケル・ファスべンダーの演じるアンドロイドであろうことは早々に明白だろう。
高みから紅茶を注ぐ彼が人間を見下ろす冒頭の位置関係と冷徹な凝視は、冬眠機を見下ろすラストまで映像的な韻を踏み続ける。
その割を食うようにヒロインが魅力を欠いてしまっているのも、至極ごもっとも。
序盤で亡くなった船長の形見らしきものを彼女が結ぶシーンからして、ショットを三つも四つもに分割する無意味さに
ストレスを感じさせられるのだが、これがアクションシーンとなるとさらに乱雑・細切れになるわけでまるで面白くない。
それでなくともショットが無駄に多いのに。
第一作を再見するとショットの持続が明らかに違っていて、サスペンスのタメがまるで違うのだ。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2017-09-23 04:28:32)《改行有》
2. エンド・オブ・キングダム
《ネタバレ》 辞職願を出すか、出さぬか。生まれてくる子と妻の為にどうやら主人公は悩んでいるらしい。
事件を経て映画のラストにはあまりにも判りきった結論が出される訳だが、主人公の所謂人間味を垣間見せるための出来レース的設定としても、
つまらないエピソードだと思う。画面的にもパソコン前の入力作業でしかない訳で。
といいながら、一旦アクションが開始されればジェラルド・バトラーも機敏な銃捌きが様になっている。
クライマックスのアジト突入ではカメラも長廻しで縦横無尽に彼の動きを追い続けて臨場感をよく演出している。
その中で、現場リーダーとの間に交わされるやりとりと連帯感などさりげない部分が良い。
半面、反テロだとかの大きな物語の方ははっきり云えば胸糞悪い。
最終盤のアジト内の攻防もアイデア不足である。[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2016-06-03 23:10:48)《改行有》
3. エベレスト 3D
《ネタバレ》 かつて本多勝一氏が指摘したマロリーの「because,it is there.」が相も変わらず劇中で「そこに山があるから」などと日本語訳されている。
これはエベレストの映画ではないのか。何故に最高峰エベレスト(it)に登るのか、を語らう会話のシーンで字幕は「山があるから。」
頓珍漢な翻訳センスに頭が痛くなる。
映画とは関係ないが。
『エベレスト3D』だが、望遠のパノラマショットの3D効果は案の定、実に薄い。飛び出す絵本レベルで、平板さこそが際立つ。
断崖からの俯瞰の数ショットのみに効果を発揮し、遠近感の失せる嵐のシーン以降は有害でしかない。
深度の浅く薄暗い屋内シーン、人物はアップ中心でその顔貌の凹凸ばかりを3Dで見せつけられても苦痛なだけである。
サテライト電話の用法・見せ方も巧くない。[映画館(字幕)] 4点(2015-11-10 23:52:32)《改行有》
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