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1. ベイビー・オブ・マコン
《ネタバレ》 赤と金と黒による厳粛なる悪趣味の世界。光が絞られたときの金が美しい。芝居仕立てにしたことの意義が、もひとつピンと来なかったが、舞台という制約を置いたほうが、この監督のイメージは自在になるのだろう。舞台装置の人工的な感じ。収穫の衰えた世界に奇跡の子を捏造していく話。捏造でもないか、実際に「母」の純潔を守るために誘惑者を牛の角にかけて殺したりするの。パタンと馬小屋の壁が倒れて観客席が姿を現わしたり。この監督にしては悪趣味が抑え目だなあと思っていたら、ラストでちゃんと死体をバラバラにしていた。『コックと泥棒…』のカニバリズムに通じていく、とにかく死体趣味なの。典雅なふるまいと悪趣味が通じているところが、味わいと言うかなんと言うか。[映画館(字幕)] 7点(2011-05-02 09:56:16)
2. ヘアスプレー(2007)
メタボメタボとヒステリックに叫ばれている中、でぶでぶした女の子がどこ吹く風とコロコロ踊ってるのを見るのは愉快である。でぶの人はだいたい主人公のドジで愉快な友人役と決まっていたものを、それを中心に持ってきただけで新鮮。そして60年代風音楽がカラフルに展開していく。キャスティングの妙。だってクリストファー・ウォーケンとジョン・トラボルタが仲良く夫婦愛を歌って踊るんだぜ。ミシェル・ファイファーの根性まがり女も楽しい。ただ、この作品ならこの曲と記憶されるような決定的ナンバーなり、ユニークな振り付けなりがないのがちょっと寂しい。デモのシーンなど、ここは大事なところだから真面目に演出しました、って感じだったが、ああいう場面こそ、もっとミュージカル的に盛り上げて、それでメッセージが濃く伝わるのではないか。とはいえラストのコンテスト会場シーンはたっぷりで満足。あの姿のトラボルタにダンスのキレを期待するのは酷だな。[DVD(字幕)] 7点(2008-07-24 10:45:01)(良:1票)
3. ヘンリィ五世(1944)
総天然色映画。原色のまぶしさがこういう作られた世界では味わい。当時のロンドンのミニチュアからグローブ座へ入っていく。ここらへんは歌舞伎役者が地方の古い小屋で芝居やりたがるのと同じ気持ちなんでしょう。映画の観客だって、グローブ座みたいな狭いところで同じように想像力を働かせて見てるわけだし。港からしだいにカキワリのセットになっていく。シェイクスピアやるのにリアリズムでやってもつまんない、舞台的な制約があってこそ空想がはばたくいうのは、やっぱローレンス・オリヴィエ、根っからの舞台人の血ですか。後のケネス・ブラナー版は、ややリアリズムに足を取られてしまっていた。夜のモノローグからパッと明るいアジンコートへの転換、馬が走りますなあ。だんだん速さを増して。こればかりは舞台じゃ出来ない迫力。[映画館(字幕)] 7点(2008-04-09 12:20:52)
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