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【製作国 : イギリス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
21. マダムと泥棒 《ネタバレ》 イギリス流ブラックユーモアの逸品。とぼけた味わいの老婦人役K・ジョンソンが男優5人を食っちゃった。冒頭、警察署に現れた彼女がいつもの調子で宇宙船の話をし、署員をうんざりさせるのだが、これがラストへの伏線になっている。 現金輸送車強奪を計画した5人組が彼女を利用してまんまと成功する。犯罪の実行を決めるにあたり、力だけが取り柄の大男にキャスティング・ボートを握らせるところは民主主義の皮肉を感じさせるシーン。5人組は盗んだお金を運ぶ際にうっかり彼女に見られ殺そうとするが果たせず、お互いの疑心暗鬼で結局殺しあうことに。婦人が亡夫の話をする場面では、A・ギネス扮する教授登場のシーンがホラーっぽかったので、ひょっとして彼女が夫を殺したのでは?とまで思わせるようなブラックな展開。今の映画だったらそこまでありかな? ラストで彼女が真相を警察に届けても相手にされず、盗まれた大金を返さなくてよいと言われる。ここで冒頭の伏線が回収される。いつものほら話と署員が軽く受け流すのも当然で、若干の疑問は感じつつも、見事に「やられたなあ」と感じた。盗まれたお金も保険で補てんされるし、実害は保険料がちょっと上がるだけ、というのも社会風刺気味。関口宏主演の土曜ワイド「殺しの連鎖反応」(傑作!)を思い出した。上司が次々死亡し最後は主人公が得するブラック・コメディだが、この映画と関係なかったかな?[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-21 16:24:52)《改行有》 22. プラトーン ベトナム戦争に従軍した1兵士の視点から、戦争の実態がリアルに描かれる。ジャングルでの過酷な行軍、疑心暗鬼、服従、裏切り、狂気・・・。さらに、村人の虐殺、焼き討ち、部隊内での殺人、誤爆などこれでもかというほど暗部を暴く。麻薬汚染はいかにもアメリカ的ではある。 製作当時のアメリカ映画としては異色の力作だが、過酷な戦場を描いたら(作品名を挙げるまでもなく)太平洋戦争を題材にした日本映画の方がはるかに説得力があるのではないか。本作と決定的に違うのは、日本映画の場合、物資の補給不足による悲惨な飢えが加わること。時には人食いさえも描かれる。その点は所詮アメリカ映画。エリアス軍曹が最後に両手を上げるシーンは神への祈りなのか戦争への怒りなのか?印象的な場面だが、このポーズでさえ「カッコつけ」に思えてしまうほどヒロイズムを感じる。[CS・衛星(吹替)] 6点(2015-12-20 14:09:11)《改行有》 23. 2001年宇宙の旅 宇宙空間の壮大さをゆったりした映像で表現し、音楽と一体化して見せる一大叙事詩。セリフが極力抑えられており、環境映像のような見方で画面に集中できる。製作当時は米ソ冷戦真っ只中であり、宇宙開発にしのぎを削っていた時代。監督の前作「博士の異常な愛情・・・」からの流れで見れば、対立から協調を経て、宇宙開発における米ソの協力を織り込んでいる。先見性という点で、本作の評価には直結しないが21世紀におけるソ連の存在は、映像の完成度が高いだけにイタかったなあ。HALの予測ミスをあたかも証明したかのようだ。セリフはもっと厳選してもよかったろう。また、木星探査計画での女性・非白人のクルーがいない描き方も物足りない(同時期に製作の「スタートレック」と対照的)。オープニングからHALの叛乱あたりまでは完璧な画面作りに挑み、宇宙船の窓の人影が動く描写など緻密だ。最後の「木星 そして無限の宇宙の彼方へ」の章は、あえて明快な描写をせず、観る人にそれぞれの解釈を委ねる演出だが、これは諸刃の剣だろう。観終わってから、ある人がAという解釈をすれば別の人はしたり顔でBと反論するような議論百出の問題作。進化をめぐるモノリスやスターチャイルドの姿を見ると、科学・哲学と宗教のごちゃ混ぜ感は否めない。[CS・衛星(吹替)] 7点(2015-11-29 16:46:06) 24. アメイジング・グレイス 《ネタバレ》 イギリスにおける奴隷貿易の廃止という、利害関係が複雑で国益が絡む問題を解決するために立ち上がった政治家の悪戦苦闘を描く。多くの人の決断と仲間づくりと行動、そして駆け引きやある種の狡さをもってようやく目的が達成できるものだなとつくづく思う。名曲の誕生秘話も描いているが、一番の主題は奴隷貿易の廃止であり、これを縦軸に、主人公ウイルバーフォースと時の首相との友情を横軸に据えて物語が展開する。直接的な話法を用いず、奴隷が置かれたひどい境遇をあえて見せない。その隠喩として、馬に対する過酷な仕打ちが代弁している。 ウイルバーフォースは奴隷への拘束用具などを見せて過酷な状況を説明し、時には死臭をかがせることで廃止反対派議員を動揺させ、説得する。議会での討論は丁々発止で、イギリス流のウィットもあり見ごたえ十分である。そして何より首相との終生変わらぬ友情が胸を打つ。さりげないアイコンタクトなど絶妙だ。 最近の映画はやたら刺激的なシーンを見せたがるが、観客の想像力に訴える手法(劇中では、議員の想像力に訴えている)もよいと思う。[CS・衛星(字幕)] 10点(2013-07-14 23:12:43)(良:1票) 《改行有》 25. 第三の男 カメラワークが素晴らしい。光と影、角度を変えた画面構成、ラストの絵画的なシーンの印象深さ等々。最初はサスペンス映画と思って観たが、人生を深く考えさせられる社会派の映画という感じだった。いつの世も戦争後のどさくさに紛れて大儲けする奴はいるもんだ。終盤、追い詰められたハリー・ライムが下水溝から手を伸ばし、地上に這い上がろうとするが果たせず、その姿が彼の人生を象徴していたように思う。[CS・衛星(字幕)] 10点(2012-12-31 20:42:06) 26. 戦場にかける橋 いくら自分たちが汗水たらして作ったものだからといって、橋を守るのは理解不能だ。戦争中ですよ。敵を利するものだから破壊して当然のはず。橋を守ろうとしたA・ギネスはおかしいよ。オスカーは彼よりも、橋を破壊しようとしたW・ホールデンの方がふさわしいのでは?[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-12-22 22:58:29) 27. カプリコン・1 「アポロ11号の月着陸はねつ造」説の元ネタのひとつ。前半は快調で、テンポよく進み面白いのだが、後半は意外性のない展開で、残念な結果だった。ちなみに、アポロのねつ造説は、”この映画を真似て月着陸シーンを製作した”とされているが、もしこの説が正しいのなら、ねつ造そのものよりすごい「世紀の発見」ですよ。なぜって、この映画の製作は1970年代、アポロ11号の月着陸は1960年代ですからねえ・・・。[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-12-22 18:58:26) 28. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか いいたいことはわかるが、悪ふざけ的な印象。「When Johnny Comes Marching Home」の音楽を多用しているが、これはこの音楽に対する侮辱とみた。キューブリックは肌に合わない。[CS・衛星(字幕)] 1点(2012-12-15 20:51:49)
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