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【製作国 : イギリス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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41.  オリバー・ツイスト(2005) 《ネタバレ》 ロマン・ポランスキー版「オリバー・ツイスト」は、ディケンズの原作に真摯に取り組んだ力作、美術(セット)も立派ですが、きちんとしすぎていて堅苦しく、その雰囲気をレイチェル・ポートマンの音楽が和らげているよう。 ハリー・イーデンのドジャーは魅力がありますが、オリバー(バーニー・クラーク)は美少年だけれど彼自身が行動するよりも周りの思惑で動かされ、他のキャラクターの性格を浮き彫りにする役目なのは本と同じで存在感は薄い。フェイギン役のベン・キングズレーは熱演を見せますが、最後のオリバーとの別れのシーンは必要以上に感傷的になっておりとってつけたよう、重要なビル・サイクスやナンシーの印象も弱い。 保護者となるブラウンロー氏はテレビ「シャーロック・ホームズの冒険」の二代目ワトソン、エドワード・ハードウィックが演じ、このバージョンでは原作を簡略化すると同時に彼とオリバーの血縁関係もなくしており、血のつながりがなくとも注がれる愛情の方が得難いと考えたのかもしれず、原作の強い偶然性を排したことにもなりますが、一番の悪党モンクスの出番もなくなりミステリー的な面白さは減りました。 ドラマとしては物足りないものの、ディケンズが意図したように19世紀前半の英国の救貧制度を背景にした下層階級の世界を描いたことにはなり、ポランスキーが「テス」「戦場のピアニスト」同様に過酷な運命に翻弄されるキャラクターに抱いているシンパシーも感じ、それは彼の苦難に彩られた少年時代や青年期と無関係ではないように思えます。[DVD(字幕)] 7点(2012-04-05 07:00:09)

42.  エイリアン デビュー作「デュエリスト/決闘者」でもキューブリックの「バリー・リンドン」を意識していたCM出身のリドリー・スコットは、「エイリアン」では同じく彼の「2001年宇宙の旅」の洗練された映像を手本としたが(これは「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカスも同じで、ルーカスが2年先んじた)、スコットは彼ほど屈折してはいないし「エイリアン」のプロットはシンプルでストレートなものだけれど、特筆すべきはその感覚。 ホラーは特別好まない自分が惹かれるのもそのセンスによる部分が大きい。 スモークやライティングによる効果に加え、ブレットの顔に滴り落ちる水滴やエイリアンの口より流れる水(粘液だけではない)、リプリーの肌に光る汗、脱出艇のジェット噴射などいたる所に水が使われ、有機的な湿った空気が非現実的な世界にリアリティをもたらす。 その中に潜む異生物もまたオーガニック。 悪魔的な画風のH.R.ギーガーが原案者オバノンに送った画集「ネクロノミコン」にあった悪鬼のごときネクロノームⅣをスコットが気に入り、中に人が入れるようリデザインされたものがエイリアンの原型となり(今でもおびただしい数のソフトのジャケットを飾る)、2mのスリムな若者が入った成体は恐ろしくも美しいがわずかしか姿を見せず恐怖を煽る。 7人のクルーを演じる米英混交の俳優もスターはいないがいい役者ばかり、ランバートの場面が削られ魅力的な女性ヒーロー、リプリー(シガーニー・ウィーバー)が際立つことに。 末期のアッシュ(イアン・ホルム)は種保存のためだけに活動するエイリアンの純粋さを称え、怖いのはむしろ彼を送りこんだ企業(=人間)ではと思わせる。 美術や音楽もすばらしく、衝撃的な要素を含みながら優雅でクールな空間に魅了される、監督の「ブレードランナー」とならぶアーティスティックな作品。 「5」を作る予定もあったスコットは、シリーズの「0」にあたる「プロメテウス」を撮り今夏公開する。[映画館(字幕)] 10点(2012-03-10 07:00:11)(良:5票)

43.  エイリアン2 《ネタバレ》 「超A級ホラーを超B級バイオレンス・アクションに!」 ジェームズ・キャメロンの「ターミネーター」の次の監督作だが、脚本を書いた「ランボー2」の影響が感じられる戦争物になり、ラスト30分の怒涛の展開はサービス精神旺盛で、「1」では女ヒーローと呼ばれたシガーニー・ウィーバーも女ランボー的。 会社が実体を現したことで得体のしれない恐怖は半減したが、57年の漂流で人生を失ったリプリーが因縁の星アチェロンで力強く変貌する様を見せ、「1」とは違う魅力を出した。 宇宙海兵隊(マリーン)の多彩なキャラクターや、リプリーと孤児ニュート、人造人間ビショップ、ヒックスらとの関係、女戦士バスケスとゴーマン中尉の逸話など充実しており、バークのような会社側の人間も配置されて隙のない構成。 それは認めつつも軍隊式にスマート・ガンなどの重火器を大量に投入しての派手な銃撃は節操なく思え、ギーガーは直接関わらずヘッドカバーのない頭部が剥き出しになったエイリアンが昆虫のように群がるのも神秘性が減じた。 スタン・ウィンストンがデザインしたエイリアン・クイーンとリプリーが装着するパワー・ローダーとのマザー対決(ミニチュアも使用、「ランボー2」のヘリ戦を思わせる)などハイライトが多く、32才のキャメロンとゲイル・アン・ハードが心血を注いで作ったSFアクションの傑作。 常に「1」と比較され優劣が争われるが(ここの平均点も拮抗、IMDbでも同点)、タイプが違うので、どちらを上位に挙げるかは本人の嗜好が反映された結果に過ぎないと思う。 シリーズの半分を外国人が監督する中で、よくもわるくも一番アメリカンな「エイリアンズ」。[映画館(字幕)] 8点(2012-03-09 07:00:00)(良:1票)

44.  U2/フロム・ザ・スカイ・ダウン 「U2/魂の叫び」は「ヨシュア・トゥリー」(87)の映画だったけれども、これは次の「アクトン・ベイビー」(91)に関する映画。 2011年のグラストベリー・フェスティバル会場から始まり、20年の時を遡る。 「ヨシュア」の巨大な成功を受けての次作の製作は楽ではなかったはずで、イーノとラノワの指揮の下ベルリンの空の下で試行錯誤を続けるメンバーたちの曲作りの過程、当時を振り返るメンバーの語り。 「WAR」以降彼らのジャケット写真を撮り続けるアントン・コービンも姿を見せ、「魂の叫び」撮影時のフッテージや懐かしくも奇抜なZOO TVツアーの映像も挿まれる。 タイトルはボノによる「空から降ってくる言葉」、メロディという言葉を編んで生計を立てるコンポーザーの人生の不思議を謳うものか。(監督デイヴィス・グッゲンハイムは「ゲット・ラウド」(08)でもエッジの言葉からタイトルをつけていた) 90年代のエレクトリック三部作の最初にして最も良質な作品である「アクトン・ベイビー」(続く「ZOOROPA」と「POP」は自己満足的でやや精彩を欠く)の舞台裏レポートとしての魅力をそなえ、彼らの女装やアニメなどの「余興」はあるものの、総体的に質素でファン向きであり、それだけにエンド・クレジットでの再度グラストンベリーでの「リアル・シング」がレイアウトも含めて一段と鮮烈には映るのだけれども。 これほどの成功を収めながらU2がロックバンドとして異質な感じがするのは、ダーティなイメージとは無縁だからだろうと思う。 「アクトン」に始まり2000年の「オール・ザット・ユー・キャント・リーヴ・ビハインド」で原点回帰するまでの享楽的なイメージもステージという舞台で演じられる演目にすぎず、彼らの誠実さには変わりがないことを大衆は知っていて親近感を持たれ続けるのではないだろうか。 (U2へのエントリーは"18 SINGLES"がいいかも!)[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-10 06:59:59)

45.  クレアモントホテル 日本公開が遅れた05年の作品です。 おばあちゃまと青年の交流というと「ラヴェンダーの咲く庭で」もあったけれど、あまり現実味のないメルヘンチックな世界ではあるかもしれません。 スティングの「ブリムストン&トリークル」では中年主婦だったジョーン・プロウライト(ローレンス・オリヴィエ夫人)がロンドンのプチホテルに逗留するミドルクラスの高齢者の中でもアッパーな雰囲気、でも気どったところのない品のいい老婦人に扮し、偶然知り合った作家志望の青年ルード(ルパート・フレンド)にはからずもつれない孫息子の代役をつとめてもらうはめに。 好奇心のつよいお仲間に面目を保てた上に年若い友人ができた夫人のみならずルードにも影響がおよぶ。 現代人の役はめずらしいフレンドが役には色気ありすぎかもしれないし、「ラヴェンダー・・・」が現実的な苦味が切なさを生んでいたのに比べて女性の原作らしい理想的な甘さはあるけれど、人生の黄昏とやさしい余韻があっていい作品。 原作が書かれた40年前は、今より世の中が世知辛くなかったのかもしれません。 パルフリー夫人が縁でルードが知り合うグェンドリン(ゾーイ・タッパー)が美しい少女ですが、ホテルのウェイトレスさんのお茶目なキャラも印象に残りました。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-02 07:00:05)(良:1票)

46.  わたしの可愛い人―シェリ 「クィーン」のスティーヴン・フリアーズの贅を尽くした最新作。 彼の「危険な関係」に出演したミシェル・ファイファーはもうあの時のように若さに輝いてはいないけれど、まだお美しく優雅な元高級娼婦レラ。 開ききって花びらが散りそめる白バラが彼女をシンボライズする。 母子ほど年の離れたシェリ(愛しい人)ことフレッドには、ルパート・フレンドが黒髪にして紅をさし、美青年でも印象の薄かった以前とはガラリと変わって今までで一番のハマリ役。 その母マダム・プルーのキャシー・ベイツがなんとも奇怪なキャラクターで2人を翻弄する。 彼女やレラと同様ココットあがりの老女たちの強烈な存在感も味つけとなっており、ベル・エポックの絢爛たる世界の中でシェリの若妻も絡んでのフレンチな恋愛摸様ながら、フランス映画ほどにはルーズにならずにイギリス映画然とした硬質な感触もそなえる。 「青い麦」「ジジ」のコレット原作「シェリ」を主体とした上で、続編「シェリの最後」の世俗的な内容は省きその結尾につなげることで彼らの物語を凝縮。 フリアーズは自分の描きたい部分だけを選りすぐって、甘美で悲痛な世界を構築したかったのか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-01 07:00:02)

47.  小さな恋のメロディ 《ネタバレ》 1年だけ通った学校では毎朝"IN THE MORNING"が流れた。 だからあのメロディはしっかり頭にしみついている。 ビージーズの曲のイメージに合わせて撮られた美しい映像は監督ワリス・フセインのものだけど、脚本を書いたアラン・パーカーの映画でもある。 この作品のいいところは子供に理解のある大人なんて出てこないこと。 それも冷徹な描き方じゃなくコミカルに誇張されていて、ダニーのママとかラテン語の先生とかいいネ。 終盤のメロディの家庭は比較的真っ当な描写でしんみりとさせたりもするものの、基本的には子供の世界と大人の世界をわけてある。 マーク・レスターとジャック・ワイルドが「オリバー!」からスライドしてきたのを知ったのはずっと後になってで、気弱&悪ガキの元祖? ダニーよりトムが好きな人が多いかもしれないし、メロディ(トレーシー・ハイド)をいれたトリオの話になってる。 他の2人より年上のジャックは演技もうまくて、トムだけ自宅の場面が一人芝居、欠けたカップに生活感がにじみ出る。 ダニーはヌードの絵を描いてママをあわてさせ、ギンガムチェックの制服がかわいいメロディは一見優等生のようだけど、ママの服と交換して金魚を手に入れる大胆さもある女の子。 "MELODY FAIR"は音と映像がマッチして一番素敵かも、音楽映画といってもいいくらい。 ロウアー・ミドル・クラスのダニーとワーキング・クラスとおぼしきトムやメロディの階級の違いもそこはかとなく出ているけれど、彼らのつながりには意味をなさない。 音楽室、墓地、メロディの家でのティー・タイムなど好きなシーンがいっぱいある映画。 彼らが走りだしたのは何十年も前のこと、映画の中ではあのトロッコは終着点もなく自由めざして走り続けるんだろうと思う。[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-01-10 07:00:00)(良:3票)

48.  リトル・ランボーズ 80年代のイギリス、自分たちで「ランボー」の映画を撮ろうとする少年たちのお話。 娯楽を知らないウィルの唯一の楽しみは、頭に浮かんだイメージを絵にすること、これがすごい。 学校の金魚鉢のところで知り合いになる、おとなしいウィルと悪ガキのリー・ターナー。 彼らの家庭環境がちょっと普通と違うのもあって見ていてダウナーなことも多く、ともに父親がいなくて厳格な信者のウィルのお母さん、弟を召使いにしてるリー・ターナーのお兄ちゃんが難物。 もう一人フランス留学生を放り込んでいて、ディディエは「バティニョールおじさん」「ぼくセザール」の子なんだね、彼のキャラも面白い。 子供の頃「ランボー」が好きだったPV出身の監督のポップな感覚も生かされているけど、映像を見せつける感じではないのが好ましく、新鮮さのあるBGMや使われる曲にもさりげなくセンスが。 楽しいこと辛いこと含みの二度とない夏が輝き、流れる水の中で光る石のような感触。 イギリス映画らしくベタでなく淡々としてるから、ラストが効く。 映画の使用許可を出したスタローンも嬉しかったんじゃないだろうか。 友情と家族愛と子供の夢を描いた素敵な作品。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-01-06 07:00:04)(良:1票)

49.  ドクトル・ジバゴ(2002)<TVM> 《ネタバレ》 キーラ・ナイトレイがラーラに、サム・ニールがコマロフスキーに扮するテレビ版。 合計4時間のを半分にした短縮版を見たのだけれど、映画のスケールは望むべくもないものの丁寧な作りは悪くない。 ハンス・マシスンがロシア革命の嵐の中で2人の女性の間で揺れ動くユーリ、若者らしい迷える魂の有りように無理がなく、彼の詩人としての資質も生かされる。 最後までトーニャの存在感があるのもよいと思う。 ユーリとラーラの人生に影響を及ぼすコマロフスキーはあくまで独善的な人物として描かれ、複雑な立場のラーラの母親は007のマリアム・ダボ。 恋愛以外の革命中のロシアの荒廃した描写も入れることでバランスが取れているようで、映画が取りこぼした要素を拾っている感じもある。 映画では娘だったユーリとラーラの子供はユーリの面影をもつ少年に変わり、ラストは運命に弄ばれたユーリが今一度人生を生き直すべく歩み出したかのような錯覚を覚え、映画とはかなりイメージが異なる。 この後、初めて本国ロシアで作られたテレビシリーズ(05)は未見。[DVD(字幕)] 7点(2011-12-06 07:00:00)

50.  月に囚われた男 《ネタバレ》 月が好きなのは、ハインラインの「大宇宙の少年」が好きだったから。 大気はなく太陽光が遮るものもなく照りつける白と黒の地表を月面作業車が孤独に動き回る、寂寥漂うミステリー。 一番身近な天体である月が舞台の映画はあまりない。 邦題はデヴィッド・ボウイの「地球に落ちてきた男」にひっかけたと思われ、息子ダンカン・ジョーンズはミドルネームのゾーイの方で記憶にある。 古典的SF映画の空気で俳優はアメリカ人でも、セカンド・サムのキャラクターやラストはイギリス的な捻ったユーモア。 「2001年」のHALを思わせるガーティには、人工知能が人間らしい心を持つことを夢想する人間の夢が托され、ケヴィン・スペイシーの声がロボットの見えない奥の変心を伝え、サム・ロックウェルはコミカルな役を多く見てきたけれどシリアスな役を切なく演じきる。 「ガタカ」のように、自分でなくとも代わりとなる者が果たしてくれれば、人は満足して死んでゆけるのだろう。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-12-01 07:00:00)(良:1票)

51.  ヤング@ハート SHOUD I STAY OR SHOUD I GO♪ ロックの名曲が彼らに歌われてちょっと違った顔を見せる。 途中は見ててツライんですよね…皆さん高齢で持病を抱えた方も多くて、そんなに無理しなくても、と思ってしまう。 それでも最初と最後のステージでわかるの。 若い人が片手間にやるのとちがい彼らにはもうこれしかないんだけれど、たった一つでも自分を表現できるものがあれば人は命を燃やすことができるって。 ライトを浴びると彼らのシミもシワも消えて見え、ステージはその人の普段の生活がどうであれ、その人を最高に輝かせることのできる場所。 人生の最後にがんばったことは彼らの魂に刻まれている気がします。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-05 07:00:02)

52.  ダイ・ハード4.0 《ネタバレ》 21世紀の「ダイ・ハード」は、「アンダーワールド」のレン・ワイズマンの映像が垢抜けしていて渋いカラーに彩られ、デジタル時代を生きるアナログ刑事の「誰もヒーローになる奴がいないから仕方なくオレが」と諦念含みの使命感にマクレーン刑事の気概がにじむ。 「相棒+敵の女」という構成は「3」と同じながらフレッシュなキャストを起用、「ギャラクシー・クエスト」のトレッキー少年(ジャスティン・ロング)がこんな大役をやると予想しない意外性。 悪役ティモシー・オリファントは米仏合作の「ヒットマン」と同時期、スキンヘッドで寡黙なあちらの方がインパクトはあったものの新鮮ではあり、アジアン美女マギー・Qがスリムな体でアクション、可愛い顔して根性は父親譲りの娘ルーシーもストーリーの一翼をになう。 垂直離着陸できるF-35のシーンはヒコーキ好きには楽しく、それら視覚効果と共にスタントシーンが秀逸で(マクレーンがスキンヘッドになったことでスタントとの連携もスムーズ)、目を見張る一瞬に命をはる。 ファレルの友人でPCマニアのフレディの「司令部」の一角に旧式の無線機が置いてあり、持ち主の言うように「世界の終末がきても使える」それは、ハイテク世界を舞台としながらその脆弱性とローテクの堅牢・信頼性をうたい、マクレーンの隠喩でもあるのだろう。 家族を失い孤独であったマクレーンが娘との絆をとりもどし、ファレルの父とも見紛われるのは、現代の若者の父親世代になったマクレーンの位置づけと「頼れる父親像」復権の願いもこめてであろうか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-04 07:00:02)

53.  三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船 「21世紀の三銃士」らしい映画。 アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ合作ってすごくない? 国は違っても三銃士好きが多いのは、おフランスの気取りがないデュマの豪快な作風ゆえか。 原作を生かしつつ新しいアイディアも盛り込み、なかなかよく出来てるエンタメ作品。 ワル側にスター俳優が多く、マッツのロシュフォールってい~ね! 監督と「バイオハザード」で組むミレディ役ミラはデビュー20年たっても色香おとろえず、ヴァルツのリシュリューとオーリーのバッキンガム公は意外と普通だったかな。 ダルタニアン役のローガン・ラーマンは「パーシー・ジャクソン」の時は全然いいと思いませんでしたが長髪だと美少年風に、侍女コンスタンス(ボナシウ夫人ではなくフリー)と可愛いカップル。 マシュー「ダーシー」マクファディンのアトスはミレディとのからみがあるけど、アラミス、ポルトスはこれという見せ場がないのがちょい不満。 本来4人いる従者は恰幅のいいプランシェだけ。(人形劇しか見てない人はプランシェをサルだと思ってるんだけど、サルじゃないよ!) バカ殿っぽいルイ13世の不器用な愛と一生懸命流行を追う衣装もイジらしい。 ご自慢の飛行船は「空飛ぶパイレーツ」、「生きた船首像」はいいアイディア。 三銃士には必須!の殺陣もがんばってるし時間を感じさせない仕上り。 字幕の2Dでしたが、3Dだと空中戦は迫力ありそうでした。 最後のアレはお遊び、それともマジで続編?[映画館(字幕)] 7点(2011-10-28 19:00:02)

54.  アラビアのロレンス ドイツ側につくトルコに対しアラビアを支援した英国将校T.E.ロレンスの砂漠の世界。 金髪碧眼に白衣のロレンス(ピーター・オトゥール)と夜の色の髪と目、黒装束のアリ(オマー・シャリフ)の組み合わせの妙。 精悍で芯のあるアリは時に不安定なロレンスを支える影のようでもある。 脇もアンソニー・クイン、アレック・ギネス、クロード・レインズらで固められるが、主役はやはりどこまでも広がる砂漠か、茫々として美しく、蒼穹が映え朱の落日を包む。 ストーリー以上に映像表現に力がある前半は特に魅力。 風に舞い砂紋を刻む砂獏は有史以前から在り、地平線の彼方から現れるアリは芥子粒のようだ。 人間の野望や思惑などはその中にあっては何と矮小なものか。 エキストラを使った大規模な戦闘シーンも動物の縄張争いと変わらぬ気がする。 歴史上の英雄は侵略者でもあり、ガシムを救うため「運命などない」(NOTHING IS WRITTEN)と叫んだ彼が歴史に書き込んだものは、彼が真に望んだものであったのか。 そのガシムも自らの手にかけねばならぬアイロニー。 目に見えぬ力に翻弄される彼への思い入れを拒絶するかのような監督デヴィッド・リーンの冷徹。 志半ばで燃え尽きたかのようなロレンスに観客も長旅を終えた気になる。 来年は製作50周年を迎え、共に30才であったオトゥールとシャリフも齢(よわい)80となる。[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-10-20 07:00:00)

55.  アレキサンダー 170分余りの大作にして労作。 アキレスやアーサー王ら神話・伝説の人物と違い、生きた人間であり広域へ遠征を行ったアレキサンダー大王の波乱多き生涯をたどる。 語り部であり、物語を書記にパピルスへ口述筆記させる老プトレマイオス(アンソニー・ホプキンス)は、思い入れを持つオリバー・ストーン自身でもあるのだろう。 英雄としてよりも幼少より両親の確執に挟まれ育ったアレキサンダー(コリン・ファレル)の葛藤を出したかったように思われる。 蛇を偏愛する母オリンピアス(アンジェリーナ・ジョリー)と隻眼の父フィリッポス(ヴァル・キルマー)を含めた3人の描写にあまり重みがない気はするけれども。 妻より美しい幼なじみヘファイスティオンとの絆や、インド奴隷に夜伽をさせるなど彼の男色嗜好もほのめかす。 度重なる戦闘シーンには食傷気味だがバビロンは壮麗であり、ヴァンゲリスの曲はしばしば史劇に使われるが単なる勇壮さ以上の効果をあげている。 冒頭と末尾にポンペイ遺跡で発掘されたモザイク壁画にある戦場のアレキサンダーが映し出される。 大きく見開かれた目。 32才と早逝ながら、その目は老人よりも多くのものを見てきたやもしれない。 アレキサンダーの名は彼が理想を夢みた都市に今も残されている。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-09-29 07:00:00)

56.  ある公爵夫人の生涯 マリー・アントワネットと同時代を生きた英国デヴォンシャー公爵夫人の人生を、子孫である故ダイアナ妃にオーヴァーラップさせて描く。 途中までは「ブーリン家」レベル…と思えたけれども、終盤の「三つの椅子」の使い方はなかなかオツであった。 後継ぎを産む道具としてしか顧みなかった自身を反省し、何とかジョージアナ(キーラ・ナイトレイ)の離れた心に近づこうと試みる公爵(レイフ・ファインズ)の歩み寄りが形として見える趣向。 前半は夫人を悲劇のヒロインとして立てるが徐々に公爵の比重も増しており、女性の立場だけに偏っていないのもよいと思う。 軽率なイメージも拭えなかったダイアナ妃とチャールズ皇太子にも、「お家」存続の犠牲者として同情を寄せているかに感じられる作品。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-09-26 06:59:59)

57.  ブーリン家の姉妹 大河ドラマの総集編のようにスピーディでコンパクト、アメリカ映画の俳優メインで誰でもとっつきやすそう。 台詞には背景や説明をしのばせてあり明快、大部分創作でもブーリン一族の栄枯盛衰やローマカトリック教会からイングランド国教会が分離した経緯がわかるような作りで、品はよくないけれど愚かなものを愚かに描くのは結構なことだと思います。 大法官トマス・クロムウェルの扱いは小さく「わが命つきるとも」のトマス・モアも出てこず、ひたすらイギリス国王と一族周辺に絞った愛憎劇。 日本も「源氏物語」にあるように、だいじに育てた娘を宮中へあげ王(帝)の寵愛を得て首尾よく王子(東宮)を上げられれば一族繁栄、の図式は洋の東西を問わぬよう。 ナタリーとスカーレットは演技と眉メイクでそれぞれのキャラクターを作りあげ、アンとメアリーの姉妹であるがゆえの確執と絆をそれなりに表現していましたが、柔和なエリック・バナは多情なヘンリー8世にはあまりお似合いではないようで。 華麗な衣装は特にアンがフランスから帰国しての「勝負服」、エメラルド色に輝くドレスが鮮やか。(当時の染色技術ではこんな色はだせなかったと思うけれど) 意外なキャスティングは王妃キャサリン役のアナ・トレント、「ミツバチのささやき」の。 彼女を見るのは「血と砂」(89)以来なのですぐにはわからなかったのですが、不遇な立場でも自分を崩さず凛としたたたずまいで、映画に品を添えていました。[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-09-05 07:00:01)(良:1票)

58.  レンブラントの夜警 「光の画家」レンブラント。 光あふれる画面ではなく闇に差し込み対象を浮かびあがらせる手法を用い、最も有名な「夜警」をめぐるグリーナウェイの推理劇。 若い頃から傾倒する画家とあって、あまり好き勝手にはできないとブレーキがかかったのか、少し畏まった印象。 画家や監督に興味がなければ入りにくい世界とも思われる。 けれど本人は思いを遂げ愉しんだに違いなく、アートシネマとしての存在感。 ポーズをとる自警団の中にはあの少女はおらず、画家のイマジネーションの産物。 家政婦ヘールチェは彼が探偵紛いに嗅ぎまわったあげく復讐のため送り込まれたという設定になっているが、3人の女優さんの印象が薄くて、予算を美術につぎこみ役者にはあまりお金をかけられなかったのでは、と邪推したり。 でもレンブラントがサスキアとヘンドリッキェの名を呼ぶのを聞くことができた、子供の時から忘れられなかったほど美しい名前。 敬愛するアーティストをスクリーンというキャンバスに描けるのは、美術を愛好する監督として至福の悦びではないかと思う。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-08-09 07:00:08)

59.  キック・アス 《ネタバレ》 オモシロくないわけじゃないけど高い点にはしたくない、キリングを娯楽として見せる映画は。 R15らしく残酷・殺戮シーンが節操なくて、こんなにしなくても作れそうなモン。 人殺しに無感覚なゲーマーかタランティーノやリッチー好き向き。 表主役のアーロンは「ノーウェア・ボーイ」の前にこれを撮り、「幻影師アイゼンハイム」の美少年イメージもブッとぶ情けなヒーロー。 紫ヘアの裏主役ヒットガールは、大きな口に吸い込まれそうなワイルドでキケンなルックスのクロエたん、仕置きに血道をあげる少女ヒットマンの屈託なさがエグイ。 「ローズ・イン・タイドランド」もだけど、ワザと少女にヤバイことさせて「どうだ?」って感じが。 ダディの回想立体コミック+スパークスのTHIS TOWNは♪ 悪役マーク・ストロングはヅラなし、ジェイソン・フレミングの出番あれだけ? 復讐のために愛娘を超殺人マシーンに育てあげてしまった罪深きビッグ・ダディ、そりゃ天罰下るさ![DVD(字幕)] 6点(2011-08-04 07:00:10)

60.  ラヴェンダーの咲く庭で 《ネタバレ》 乙女チックなジュディ・デンチ、TV「名探偵ポワロ」のヘイスティングス役が印象深い英国俳優チャールズ・ダンスの初監督作品。 戦争で恋をする機会を逸し少女の心を残すアーシュラと寡婦ジャネット(マギー・スミス)姉妹の静かな生活の変化は見ていて楽しく、おっかさんタイプの家政婦さん(ミリアム・マーゴリーズ)がいることでコミカルな雰囲気も。 胸に恋を秘める妹、妹の心が自分よりもろいのを知っている姉。 海岸に流れつきアーシュラの「王子様」となるダニエル・ブリュールは「グッバイ、レーニン!」ほど純朴な役柄ではないし、どんなに大事にされても若い小鳥は飛び立っていってしまうもの。 でも思い出とあの絵が残って、やっぱり出会いがあってよかったのだと思える。 去っていったから素晴らしいコンサートも聴けたのだものね。 村人もつかのまの住人の出世を誇りにしているみたいだった。 やもめの医師(デヴィッド・ワーナー、お年を召しました)も外は老いても内はまだ情熱的。 短編を脚色したダンスはリアリティよりも年を重ねてもかわらぬ人の心と邂逅がもたらす輝きを大事にしたように思われて、せつなくもやさしい余韻が残る。[DVD(字幕)] 8点(2011-06-08 07:00:10)

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