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コメント数 885
性別 女性

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【製作国 : イギリス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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41.  ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン! この作品のすべてがいいとは思わないが、それを差し引いても欲ばりすぎなほどの密度。他国へのシンパシーという面では「ドニー・ダーコ」と好対照をなす作品でもある。英国の伝統をコケにし(「ロミ&ジュリ」はお笑いにされても仕方がない滑稽さを孕んでいるし、ナショナル・トラストに代表されるような景観保護を揶揄してもいて、優雅なはずの白鳥も家禽扱い)、ハリウッド映画への愛着を隠そうともしていない。バディ物であること自体がオマージュなのだろう。ブランシェットやナイの使い方も贅沢なものだし、ダルトンがここまでやる(笑)のも脚本が気に入ったのだと思う。「友情と正義」を盾にして(アメリカン・ポリスムービーのマネしたいだけ?)好き勝手やっているように見えるけれども、結果的にそれが「猟奇と過激」(R15)をカバーしている。(ビル・ナイの警部がロンドンからエンジェルを迎えに来た時に、2人の表情を映しているシーンがいいですね!)[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-09-24 01:16:52)

42.  仮面の男(1998/ランドール・ウォレス監督) 鉄仮面レオ&熟年四銃士。 デュマの悲劇的な三銃士最終譚「鉄仮面」を、「こうあるべき」といった胸のすく物語に大胆に書き換えた英断は賞賛されていいのでは。 セットがチープなのは米・英・仏のオジサマたち、バーンのダルタニアン(ひたすら苦悩)、マルコビのアトス(本来リシュリュー枢機卿とかが合ってそうですが、たまにはマトモな役も)、倒錯的なアイアンズの聖職アラミス(ワルそう)、巨漢ドパルデューの豪傑ポルトス(彼とパリローを入れたのでフランスの雰囲気もあり)とレオ(ルイ&フィリップちゃんと別人に見えます)の5人のギャラに大方使ってしまった? 「ブレイブハート」の脚本家ウォレスの監督+脚本でちょっとベタな「男気」は十分、音楽もマスケティースの年月を経ても変らぬ心意気にふさわしい気品あるもの。 Un pour tous,Tous pour un![CS・衛星(字幕)] 8点(2009-09-22 00:01:19)

43.  アンネの日記(2007)<TVM> 《ネタバレ》 新しい「アンネ」。ケレン味のない演出と研ぎ澄まされた演技の簡素な群像劇。撮影や美術がそれを際立たせる。ひたすら身を潜める日々に漂う不安と苛立ち、焦燥感。一触即発な空気の中で小さな火花が散り、予期せぬ友愛が生まれる。隠れ家の住人と支援者ミープ・ヒースを含めた9人の存在感はいずれ劣らぬものだが、とりわけペーターとデュッセル医師は印象深い。アンネは利発な少女だが、何でも批判したがる不寛容で狭量な面も見逃していない。映画ではシェリー・ウィンタースが、米国TV版ではブレンダ・ブレッシンが演じたファン・ダーン夫人役レスリー・シャープの愚劣な卑俗ぶりも見所である。アンネがキティと名づけた日記とともにミープの後年の手記も資料にされているだろう。自由な日まであと少しだったのに。だが彼らが無事生き延びていたら、プライバシーの面から日記は公開されることはなかったであろうことを考えると、運命の皮肉さを感じずにはおれない。(一部地域を除いて19日再放送予定)[地上波(吹替)] 8点(2009-09-18 01:46:34)

44.  トリスタンとイゾルデ 《ネタバレ》 「ロミオとジュリエット」の基といわれる「トリスタンとイゾルデ」を現代風にアレンジし、トリスタン(ジェームズ・フランコ)とイゾルデ(ソフィア・マイルズ)の切ない恋物語。 マーク王(ルーファス・シーウェル)とメロート(ヘンリー・カヴィル)ら「敗者」の物語でもあり、マークはイゾルデから愛されず、メロートも叔父のマークから認めてもらえない。 すべてを知ったマークのとった行動は立派だったけれど、若いメロートは自分の一族よりも自分を認めてくれる敵方の人間を選んでしまう。 彼はその報いを受けるのですが、努力しても彼には運がなかったのでしょう。 死に際の「認められたかった…」とのセリフは重いものでした。 この企画を20年あたためていたリドリー・スコットが監督ではなく、彼を敬愛するケヴィン・レイノルズの作品で低予算でエキストラも少なく、出来としては7点クラスの作品かもしれませんが、スコットの壮麗な「グラディエーター」よりも心に響いた作品でした。 グリーンがかった画面、アイルランドの海岸と空が美しい。[DVD(字幕)] 8点(2009-08-29 01:22:30)(良:1票)

45.  ウォレスとグルミット/ペンギンに気をつけろ! スピード感とは無縁だったクレイ・アニメーションに新しい地平を切り開いた作品☆★☆シリーズ最高傑作は次の「危機一髪!」だろうけれども、シリーズを代表する名場面となるとあのスペアレール連結シーンにとどめをさす。「チーズ・ホリデー」よりすっかりあかぬけ、お気楽なご主人さま思いのグルミットの忠犬・執事・親友ぶりがいじらしく、冤罪のタメがあるから最後スッキリ。[CS・衛星(吹替)] 8点(2009-08-15 02:50:15)

46.  エレファント・マン 《ネタバレ》 ジョン・メリック(本名はジョゼフ)がトリーブス医師から贈られた化粧箱を夜半庭先で夢心地で使う場面は、同じ年頃の青年のように振舞ってみたいという彼の願望が形になって現れたシーンである。頭に残った髪に櫛を入れ、硬くなった皮膚に香水をつけ、そこに座っているはずの若い女性に気取って話しかける彼を滑稽だとは思わない。メリックに手を差し伸べながら、自分が偽善者ではないかという畏れを抱いているトリーブスもまた魅力的だ。弱点(劇場のシーンは余計である。あれがこの映画を陳腐にしてしまっているし、ジョン・ハートのメイクアップも手心が加えられている)もある作品だが、製作側はこの映画が見世物小屋であることは先刻承知のことと思う。彼らが期待しているのは小屋から出てきた人間の心が入る時とは少し違ったものになっていることであろう。デヴィッド・リンチもティム・バートン同様異形なものへのシンパシーが強い監督だが、それがいい形ででた作品だと思っている。[映画館(字幕)] 8点(2009-07-28 01:28:43)

47.  エイリアン/ディレクターズ・カット 《ネタバレ》 スコットが手直しした1作目は元々構図やライティングが優れており、階調が少ないので画質が向上してもさほど印象は変らない。 本筋とは直接関係ないシーンでの細かい変更がされているが、それについてはかまわないと思う。 大きな変更点は2つで、ブレットがジョーンズを探している場面でボラジ・バデジョーが入ったエイリアンのスーツを鎖から吊るしているシーンと、ブレットとダラスの繭を焼き払うリプリーを加えた箇所だが、どちらも余計に感じる。 エイリアンの成体が初めて姿を見せるのはテールからの方が効果的であるし、繭のシーンは陳腐以外の何物でもない気がする。 リプリーが火炎放射器を使うのもキャメロンの「2」と重複するので、総体的に見ればオリジナルよりいいわけではない。[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-07-20 01:45:18)

48.  ターミネーター 2人のタイプの違うヒーローを立て悲恋をからめた物語は、たとえ予算が少ししかもらえなくても、センスと根性があればいいものが作れることを証明してみせた。この時代らしく、骨格の露出したT-800にはモデル・アニメーションとフルスケールのギミックが併用されているのも、手作りの味があってよい。[映画館(字幕)] 8点(2009-06-06 00:00:07)

49.  シャーロック・ホームズの冒険/ボヘミアの醜聞<TVM> 《ネタバレ》 150年前の今日この世に生を受けたコナン・ドイルの生んだ人物は、今も私たちを魅了してやみませんが、彼をより身近な存在にしてくれたのがこのグラナダ・テレビ・シリーズでしょう。オープニングを飾るこの作品ではエレーナ(イレーネ、アイリーンとも)アドラーが登場。ホームズの裏をかいた女性として有名な彼女は、かつての愛人であるボヘミア国王の結婚の妨害工作というストーカー紛いの行動(これ自体はあまり褒められたものではないと思いますが)に出たためにホームズと関わりを持つことに。ホームズは彼女のこの点は気にとめず、自分を出しぬいた彼女の頭のよさだけを評価していますが(これも人の見方として正しいかどうかは別として)女嫌いの彼が唯一エレーナにだけ与えた呼称‘The Woman’(あの女(ひと))はladyやdameとは違う響きのあるものです。グラナダ版では気丈で執念深くも見える彼女の印象を、自分の保身のために持ち出した国王との記念写真を船上から海に捨てる場面を挿入して和らげています。新しい愛を得て、過去は水に流して。彼女に対する国王の不遜な言葉を受けてホームズが返す辛辣な皮肉(levelという言葉が二通りの意味で使われています)も実に痛快。[地上波(吹替)] 8点(2009-05-22 05:13:48)

50.  ハムレット(1996) 19世紀に居を遷したHAMLET。 監督・主演ケネス・ブラナーの魂の入ったハムレットは、気合が入りすぎている感はなくもないが存在感あり、長ゼリフをしゃべり倒す気迫には圧倒される。 くるくると渦を巻く金髪を肩に垂らしたケイト・ウィンスレットの演技もオフィーリアに値するが、ミレーの絵のように儚げというわけではない。(この映画のように、秘かにハムレットと契っている彼女を主人公とした「オフィーリア」(01)のような小説もあり、その中ではガートルードも早くからクローディアスと通じている) デレク・ジャコビ(15才のブラナーが初めて目にしたハムレット)のクローディアスは、歌うかのごとき流麗な台詞まわしが悪役には惜しいほど、心弱き王妃ガートルードはジュリー・クリスティ。 エルシノア城の外観は壮麗なブレアム宮殿(最近ではジャック・ブラックの「ガリバー旅行記」の舞台)が使われるが、個性として印象づけられるのは内観の白黒の床、その上に集う華やかな宮廷人たち、その面前を歩む新王と王妃、彼らに降りかかる紙吹雪、そしてそれらを冷ややかに眺める喪服の王子の後姿であろうか。 物語の全貌を描くため、剣術試合の背後でノルウェー軍のデンマークへの侵攻も行われ、それを率いるフォーティンブラスは若きルーファス・シーウェル。 命を落さずともハムレットの道は閉ざされていたかのような重層の悲劇性が浮かびあがる。 綺羅星のごとくのゲスト・スターたち(米英仏問わず)がこぞって小さな役で出演しているのも、原典の大きさを感じさせる4時間。[映画館(字幕)] 8点(2009-05-21 03:52:38)

51.  欲望(1966) サスペンスフルな哲学ワールドを、青いギンガムチェックのシャツと白いパンツ姿のD・ヘミングスが迷走する。花形ファッション・カメラマンの地位にも倦んだ彼がふと手にした1本のネガは、退屈な日常から奇妙な世界への扉の鍵となる。V・レッドグレーヴの謎の美女、クラブで演奏するツインリードのヤードバーズ、グルーピーよろしくカメラマンに纏わりつくJ・バーキンといった布陣も華やかに作品を彩るが、本質は極めて観念的。見えたもの見えないもの、在るもの在ったはずのもの。見慣れた風景も突如新しい顔を見せ、彼は自分が物事の表層しか見ていなかったことに気づく。わずか一夜でその世界はまた閉じるのだが、一度中に入った彼には開かれたままであり続けるのだろうか。オースティン・パワーズにも影響を与えたスタイリッシュな幻惑。(この映画のJPはまだ使用前て感じですが、ジェフは殿堂入りした今でもこの頃と全然変りませんね)[映画館(字幕)] 8点(2007-07-16 13:24:21)

52.  クィーン 父王ジョージ6世の乱れた髪を演説前に整える少女エリザベス・ウィンザー。 忘れられない光景だが、あの頃からこの女性は「自分がしっかりしなきゃ」という使命感のようなものが無意識のうちにあったかもしれない。 レディ・ダイアナ存命中の一時的・爆発的な人気とは違い、即位50年をこえるエリザベス2世への信頼と愛着は英国に深く根ざすものであるが、その信頼が失われかけた危機的状況にあった日々を外からではあるが描いて興味深い。 細身で容貌も似ているわけではないヘレン・ミレンは違和感なく女王の佇まいや言動を体現し、本人の心情もここで描かれているのとそれほどかけ離れてはいないのではないかという思いを観客に抱かせることに成功している。 女王がご覧になられたら笑みをもらされるだろうか? 逃げ出さないこと、あるいは持ちこたえることの価値を静かに示す。[映画館(字幕)] 8点(2007-05-12 13:22:39)(良:1票)

53.  さらば青春の光 「トミー/Tommy」に続いてザ・フーのアルバム「四重人格」を映画化した作品。 この映画の苦味は強烈である。 フィル・ダニエルズはかつてのイギリスの労働者階級の若者「モッズ」を体現したせいで長きにわたって彼をこのイメージに縛りつけることとなった主人公ジミー。 スティング演じるエース・フェイスは地に堕とされるための偶像であり、ジミーに一時(いっとき)の快楽を与えるステフも彼をたぶらかす妖婦にすぎない。 冒頭で海からやってくるジミーは、最後にエースのヴェスパを駆ってブライトンの白い崖から体よく海に飛びこんだものの、無様にも陸に上がってきた姿なのだ。 永遠に繰り返される空虚な青春に冷え切る思いをしながら、その鮮烈さと鳴る音を今も忘れることができない。[映画館(字幕)] 8点(2007-04-08 13:37:06)

54.  ティム・バートンのコープスブライド 《ネタバレ》 「シザーハンズ」の妹、まさにそういう作品だ。 不運な花嫁の破れたヴェールを透して、実写ではアーティスティックな職人となりつつあるティム・バートンの本質が仄見える。 朽ちかけておよそ不気味な存在であるエミリーが観る者の心を惹きつける様は見事というしかない。 それも彼女が欲しくてたまらなかったものを手放すほどに大人になったからだろう。 名前のように似た、愚直な親の影響を受けていない「2人のヴィク」も魅力的で罪はないせいでいっそう切ない。 口下手のヴィクターが自分を表現し、2人の女性の心に触れるピアノも素敵だ。 月の光を受けて呪縛から解き放たれるエミリー。 青白い腕からは骨がのぞいていても、見惚れるほど美しい脚をした彼女はバートンの人魚姫かもしれない。[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-11-25 10:41:56)(良:2票)

55.  ドリームチャイルド 少女を偏愛したルイス・キャロルことドジソン教授と彼の特別のお気に入りだったアリス・リデル。長じて老ハーグリーヴス夫人となったアリスの30年代ニューヨークへの旅、そして遠い過去となったヴィクトリア朝イギリスへの心の旅が描かれる。アリスが触媒となり、キャロルの内面まで炙り出した作品は恐らくこの映画だけだろう。かなり良心的な解釈がされ、健全さを踏み外してもいない領域においてだが。とても30歳には見えないドジソン役のI・ホルムは、卓越した演技力でキャロルの神秘のヴェールを剥いでみせる。不思議の国に登場する数々のクリーチャーも登場するが、当時のJ・ヘンソンの腕をもってしてもかなり見劣りする出来であり、作品の魅力を削ぐことにもなっているのは惜しまれる。アリス役のA・シャンクリーはややもすればリデル嬢のオーラに欠けるかもしれないが、彼女が水辺にて忠実な従僕であるドジソンの胸に頭をあずけるシーンは秀逸。実際にはこのような情景はなかったであろうが「黄金の昼下がり」の象徴として、流れる水面(みなも)のような時の一瞬を掬い取った場面として心に刻まれる。ハーグリーヴス夫人のキャロルへの謝辞をもって映画は幕を降ろすが、生涯をあの物語に付き纏われる運命から逃れ得なかった彼女の本心は、神のみぞ知る。[映画館(字幕)] 8点(2006-11-11 22:33:18)(良:1票)

56.  スーパーマン(1978) グレン・フォードが亡くなった。彼が演じるスモールヴィルの農夫ジョナサン・ケントは、音と映像で素晴らしい別れの場面が用意されたマーサ・ケントに比べかすみがちだが、わずかな出演時間の中で息子に告げた「お前がこの星に送られた理由はしらねぇが、タッチダウンするためじゃねえ」。「人生、小さなことは気にするな」ということをこんなに説教くさくなく軽妙に語った言葉を他に知らない。ミス・テシュマーカーの「アタシって善い人とはすぐに別れるのよね」とともに、M・プーゾの脚本はただ一言でその人物を忘れがたいものにさせる。情緒ある前半部を受けてメトロポリス・パートは小気味よい。最初から完璧だったC・リーブの二役、オティスとテシュマーカーを従えたJ・ハックマン版ルーサーの絶妙な間の取り方。人を食ったようなラストも誰も予想しないという点ではMUST BE SUPER.[映画館(字幕)] 8点(2006-09-02 20:24:15)(良:2票)

57.  グッドナイト&グッドラック 冴えざえとしたストラザーンのエド・マロー。番組の終わりに決まり文句を口にする際にだけ伏せられる真摯な眼差し。のっけから‘When I fall in love’にとらわれ、極端に被写界深度の浅いモノクロ画面が50年代のCBSに放り込まれた気にさせる。渦巻く紫煙は時代を生きる彼らの息吹とも。製作中は父に同化する思いだったろうクルーニーは、彼らの真実から離れぬことだけに心を砕いたように見え、ゆるく流れるスタンダード以外に飾りらしいものは見当たらない。それを素っ気ないととるか、潔いととるか。正義、良心、それら言葉にすればたちまち濁る水晶を内にもつ男たちは、まごうかたなきジュルナリスト。[映画館(字幕)] 8点(2006-08-04 22:08:39)

58.  リバティーン ジョニー・デップの本来の姿を生かした咲きこぼれるデカダンな美しさが目を引くが、それも後半の剥き出しになった魂に比べれば仮面でしかないかも知れない。枷なきリバティーン、自由人=放蕩者とはなんと誘惑的な響きで耳を打つことか。才の天賦は平等でなく、誰もが心の儘に生きられるわけでもないのだ。無頼ポエット、Ⅱ・アール・ロチェスターに祝福までも与えたくなり、主役をお譲りになられたマルコビッチ国王もご満足と思し召したに違いない。伯爵と愛を結ぶ女人たちの中にあってとりわけ印象的な、深い慈愛をそそぐロザムンド・パイクのカウンテスは観客の救いともなる。‘Rochester’s farewell’が彼のイメージを昇華しているのは確かだが、こんな甘美な音色を耳にしたことはあまりない。退廃のパティオに耽美の風が舞う。 [映画館(字幕)] 8点(2006-05-04 19:48:11)《改行有》

59.  ザ・コミットメンツ 《ネタバレ》 アラン・パーカーの青春を描く時のキビキビした味は、どうしたって「小さな恋のメロディ」や「フェーム」を思い出さずにはいられない。彼の生んだ子供たちはロンドンっ子であろうとニューヨーカーであろうとダブリン市民であろうと、体に同じ熱い血が流れる。変わりばえしない日常から抜け出し、自分を燃やす喜びを知ってゆくザ・コミットメンツとまとめ役のジミー。洗濯物がはためくバックヤードでも仲間がいれば歌える。ケンカばかりの毎日だけど、バンド・スタンドに立った彼らはひとつ。たとえ求めたものに届かずとも、あの時の音は彼らの心の底に鳴り続ける。[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-04-08 15:43:11)

60.  フル・モンティ ロバート・カーライルなくしてはこの作品は成り立たないが、次いで印象的なのは1人だけ年長で元管理職のトム・ウィルキンソン。本作からの最大の出世株でもある彼の、他の者より年令を重ねているがゆえの哀愁をおびた演技は独自のポジションから映画を支える。貫禄ある風貌で最近は傲慢な特権階級やマフィアのボスもこなす彼だが、どんな役を演じていても壊れたノームを抱いて途方にくれた姿が思いだされる。ノームは失業の象徴でもあるかも知れない。今まで毎日当然のようにそこにあったものが、ある日突然壊れてしまう。砕かれた人生をいかに気持ちから立て直すか。ユーモアに溢れながら軽くないテーマを最後のステージが昇華する。華麗(?)な「帽子はそのままで」を「ナインハーフ」のキム・ベイシンガーのそれと見比べるのも一興。[映画館(字幕)] 8点(2006-03-26 21:43:37)

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