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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作国 : イギリス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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41.  ラベンダー・ヒル・モブ イーリング・コメディの傑作「ラベンダー・ヒル・モブ」。 「カインド・ハート」といい「マダムと泥棒」といい、イーリング・コメディに外れなし。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 17:48:51)《改行有》

42.  カインド・ハート 「イギリス映画なんてつまんないよ」何て人は、イーリング・コメディを見てから判断してもらいたい。本作はチャップリンの「殺人狂時代」も真っ青な連続殺人を描くブラック・コメディで、イギリス映画の最高傑作の一つとして数えられる逸品だ。 貧しい生活を強いられてきた貴族の血を引く青年が、爵位と復讐のために次々と後継者を抹殺していく様をおもしろおかしく・尚且つ冷徹に描いていく。アレックス・ギネスの一人八役も最高に狂ってやがる(褒め言葉)。それをデニス・プライスが黙々と殺しまくる様子だけでも笑ってしまう。 二人のヒロインとのやり取りもエロティックだ。接吻のシーンで、身をくねらせて悶える姿がえっろい。エロイんです。服を脱ぐワケじゃないのに、まるでベッドの上で絡み合うの様な。エルンスト・ルビッチに通じるエロティックな場面です。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 17:32:26)《改行有》

43.  マダムと泥棒 ブラック・コメディの傑作。 老婦人を始末しようという内容は残酷だが、全てがシュールな作り込みで面白い。 フランク・キャプラの「毒薬と老嬢」を思い出す。 マダムの真面目に、かつ飄々とした態度に慌てふためく泥棒たちの滑稽さが何とも。 英国紳士の義理人情に溢れた傑作。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 17:17:32)《改行有》

44.  艦長ホレーショ ウォルシュの傑作。この映画のグレゴリー・ペックは良い演技してるぜ。 「マスター・アンド・コマンダー」よりも面白い海洋戦争映画だ。 ホレーショ・ホーンブラワーの航海術・戦略の数々。 欲がなく誠実、と思ったら一風変わったところもある抜け目無い性格。 そんな人柄がグレゴリー・ペックのイメージに合ってるし、頼もしい。そんなホレーショは誰にでも愛される筈だ。 技術的な問題も少なくないが、それでも幌船が砕け散り地獄絵図に変わる場面、そんな状況で必死に指揮を続けるホレーショの勇姿!最高だ。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 16:39:33)《改行有》

45.  吸血鬼ドラキュラ 吸血鬼映画というと退屈だったり、ストーリーが破綻したりとロクな作品に巡り会えなかった。 ところがこのテレンス・フィッシャーの傑作は面白かった。 ストーリーは基本的にブラム・ストーカーの原作に沿った形だが、ジョナサン・ハーカーがドラキュラに出会う前にヘルシングに出会っている事、 ヘルシングの教えによって自ら吸血鬼を退治してしまうという大活躍だ。 そのヴァン・ヘルシング教授も眼鏡に老骨どころかバリバリに若い青年。 まるでブラム・ストーカー版のエピローグとも言うべき若さに満ち溢れている。 ピーター・カッシングのキビキビしたエネルギー、クリストファー・リーの不気味な闇を徐々に見せていく様子。 初対面はいかにも吸血鬼というオーラが無い。 何処にでもいそうな平凡な顔何だよな。 ところが「血」を前にするとその恐ろしき本能を剥き出しにしてくる。 見事な演技だ。 気品に溢れた仕草と演技、イギリスを代表する紳士の中の紳士です。 少女もレディもマダムも揃い踏み。 血の演出も過剰じゃないし、程よい血の気。 輸血のシーンや狼狽えるメイドの演技も光る。裏助演女優かも。 グロてすくな描写も極力避けるなど、こんなに上品な吸血鬼映画はトッド・ブラウニングの「ドラキュラ」以来だ。 ゴシックテイストの美しさ、能動的でテンポの良いストーリー。 グラナダTVの「シャーロック・ホームズの冒険」といい、派手さが無い変わりに丁寧で上品な作品作りがイギリスの素晴らしさ。 正しく俺の待ち望んだ「ドラキュラ」だ。 ラストの畳み掛けも凄い。 逃げるドラキュラ、そんな奴にはもれなく十字架のプレゼント(棺桶に)。 馬車は急ぐ! おっさん涙目。 逃げ場の無くなったドラキュラ、挙句にはミナを生き埋めにしようとする。 教授と伯爵の一騎打ち。 燭台のクロスがカッコイイ。 灰燼の中に埋もれる指輪が何とも言えない・・・あっという間の1時間20分。堪能させて貰った。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 08:07:44)《改行有》

46.  赤い靴(1948) 《ネタバレ》 赤い靴に“恋をした”少女の壮絶な生き様を眼に焼き付けられる作品。 単なるメロドラマでは終わらず、赤い靴によって取り付かれたように踊り続ける少女の切なさと怖さ。 彼女はもうどうにも止まらない。バレエを愛しているから、踊る事を愛していたから、何より赤い靴を“愛して”しまったから・・・。 新聞紙との踊りは正に死に際の美しさ。 この映画をデジタル・リマスター・エディションとして蘇らせてくれたマーティン・スコセッシには感謝してもしきれない。 フランシス・F・コッポラと組んで蘇らせたというヴォイツェク・イェジーハスの「サラゴサの写本(サラゴサ手稿)」も見なければ![DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 08:02:48)《改行有》

47.  王になろうとした男 コネリーが好き?世界一カッコイイハゲを見たい?そんな最高のハゲメンが繰り広げる冒険アクションを見たいって?そんな人は是非ともこの傑作を御覧下さい。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-14 17:15:14)

48.  007/ロシアより愛をこめて 《ネタバレ》 イアン・フレミングの原作をダイナミックに仕上げた痛快アクション映画。 前作「ドクター・ノオ」はSF色の濃い展開がされたが、本作からボンドの秘密兵器、強烈なファースト・シーン、リアリティとアクション性と「お約束」を高めた造り込みとなり、以降の007シリーズの土台を固めた作品。 真面目なフリをした超娯楽馬鹿映画「007」シリーズの最高傑作と名高い本作。 テレンス・ヤング監督の監督魂、気合の入ったアクションの磨きも一番神がかってる。 後半の「北北西に進路を取れ」を参考にしたヘリの攻撃シーンの迫力が一番の見所でもある。 この作品が遺作となった「ペドロ・アルメンダリス」の名演も忘れちゃあいけない。 何も言わなくともカッコイイ「ショーン・コネリー」、 ジョン・バリーの最高すぎる音楽、 そして「お約束」。 俺はこういう「お約束」が嫌いなタイプだけど、この映画から「お約束」を抜いたらただのスパイ映画だ。 この「お約束」の瞬間の安心度は異常。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-13 18:02:48)《改行有》

49.  007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》 007最高傑作。 今回の「カジノ・ロワイヤル」は原作小説第1作目! 本作こそ紛れもない「最初の007」であり、娯楽スパイアクションになる前のハード・ボイルドタッチの渇いた作風が特徴だ。 本当に「ゴールデンアイ」の監督か?本作は完全にそれを超えた。 オープニングは歌詞の入ったカッコつけで嫌いなのだが、それ以外は完璧と言っていい。 何より動きだけで状況を読み取らせる戦闘が堪らない。 暗殺から始まるファーストシーン、たった一人の爆弾魔を全力で殺りに行く壮絶な追走劇、大使館なんざクソ喰らえ!爆破だ!! セバスチャン・フォーカンとダニエル・クレイグの「障害物競走」が凄すぎる。パルクール習いてえー。 負けず嫌いで張り合うクレイグの顔。 いい加減スパイしろよ(褒めてる) 多分シリーズで一番スパイしないスパイなんじゃねえかコイツ? 女性関係はあくまで情報のためと割り切る姿勢、常に生傷が絶えない荒々しさが気に入った。 スパイしないスパイは戦ってなんぼ。 特に「お約束」を最後まで廃した展開が良かった! 今までの007は「どうせ死なねんだろ(舌打ち)」を楽しむのが恒例だったけど、今回のボンドはマジで死ぬんじゃないかとヒヤヒヤしまくった。 毒盛られた時の焦りまくるボンド。 「過去に大使館を吹っ飛ばしたスパイは亡命でもしたわよ」 堂々とボスの家で帰りを待つボンド。 捕まってもぶん取った“軍資金”のために殺されない。 どんな拷問を受けても屈しないボンドの頼もしさ。 奴の股間はチタンか? 二重、三重の駆け引きが明かされていく終盤も中々だが、やはりあの結末は悲しすぎる。 これほど言葉を介さずにメッセージが響いてくるボンドは久しぶりだ。 本作はあくまで「ボンドの過去」だが、ボンドが変わる度に全く別の映画として楽しんでいる俺にとっては「現在進行形」の後味なのだ。 最初と最後の出来事で見せるボンドの表情がより虚しさを漂わせる・・・この表情の変化。 本当今作のボンドは女運が無い・・・恐ろしく人間臭い。そこが良い。 ラストで「標的」を地に這いつくばらせて真の“007”となった姿が印象深い。 後味は悪いけど、完成度は文句なしの傑作。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-13 18:00:59)(良:4票) 《改行有》

50.  女王陛下の007 文字通り“一発”の弾丸レーゼンビー。 007シリーズにおいて異色とされる本作だが、むしろ小説からして見ればコネリー版007が異色というか“異常”である(褒めてる)。 イアン・フレミングもビックリだろうぜ。まさかボンドが野獣みたいな(賛辞)ゲドゲドの悪党面(大絶賛)のショーン・コネリーになろうとは(だからコネリーはカッコ良いのだ)。 映画ファンにとってはコネリーが唯一絶対のボンドになってしまった。そしてアホ(褒めてる気がする)のテレンス・ヤングのせいでハードボイルド風ギャグ映画になってしまった(そこがボンドシリーズの良いところです)。 そんな007ファンにとって本作「女王陛下の007」と「カジノ・ロワイヤル(2006)」は異質に見えたのだろう。 だが俺はその異質と言われる誰よりも“普通の人間臭い”ジョージ・レーゼンビーの「007」が好きなのだ。 冒頭の曲の掛かり方が素晴らしいじゃないか。 スキーによる格闘戦なんか超カッコ良いじゃないか。 ラストシーンのレーゼンビーの演技はシリーズ屈指、いやレーゼンビーにとってもベストな演技だと思う。 そうだ、これは「007」じゃない。紛れもなく「007」だ(どっちだよ)。 誰でもショーン・コネリーのような野生やプロース・ビアスナンのような中年ダンディズムに達せられるワケじゃない。 かといって、ダニエル・クレイグのような屈強な戦士になれるワケでもない。みんながスーパーマンになれるワケないじゃないか。 コネリーやブロスナン、クレイグにできない事をレーゼンビーはやってくれたと思う。誰よりも普通で、誰よりも哀しみを背負ったリアルな「007」として。 え?ジュン・ヒューストンの「カジノ・ロワイヤル」?何ソレ?オーソン・ウェルズには美味しいの?[DVD(字幕)] 9点(2014-03-13 17:57:36)(良:3票) 《改行有》

51.  ロミオとジュリエット(1968) 「タイタニック」とか、「ロミオとジュリエット」なんて超が付くほど典型的なアホロマンスなんだが、俺はそういうのがスゲー嫌い。 ただ、完成度って意味じゃ大いに評価するぜ。 フランコ・ゼフィレッリは見事な「ロミジュリ」を撮った。 中世ヨーロッパの美術はキレイだし、後半の決闘場面は中々迫力があったし、ハッセーのお●ぱいを見るだけでも大いに見る価値がある(何じゃそりゃ)。 いやさ、他の「ロミジュリ」映画が本当ロクでも無いというか。ディカプリオのなんてひでえもんだよ(絶句)[DVD(字幕)] 8点(2014-03-12 01:04:37)《改行有》

52.  ジャッカルの日 《ネタバレ》 ジョン・フランケンハイマーの「影なき狙撃者」に次ぐ佳作。 ジンネマンだから見る気すら起こらなかったけど、「ジャッカル」とか言うクソリメイクを見てしまったのが間違いだ。ただジンネマンを少し見直せたという意味ではちょっぴり感謝していると言えよう。 「暴力行為」の一発屋という印象があったジンネマンだが、コレは中々面白かった。 いつものジンネマン特有と言えるピリピリした空気で緊張が保たれる。 「真昼の決闘」なんて勘違い西部劇は緊張が保たれるものの決闘が1回だけと解かってしまい極めて退屈な映画だったが、「ジャッカルの日」は殺し屋とフランス官憲たちの心理描写が面白い。 ドゴール将軍の暗殺を巡って繰り広げられる追走劇。 イギリス出身という事以外名前も解らず謎がジャッカル。彼の完璧と思われた計画がパリの習慣によって狂う瞬間は息を呑む。 キツネ(エドワード・フォックス)が“ジャッカル”というのも皮肉なものだ。 政治的に“黙殺”されていく暗殺者の孤独。ルベル警視はそれを悟っていたのかも知れない。 ジンネマンはやはり現代劇でこそ真価を発揮する男だ。「地上より永遠に」「ジュリア」も良い作品だと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2014-03-06 14:08:27)《改行有》

53.  戦争のはらわた 《ネタバレ》 「完全版」の出来が満足(10)点だったので、コッチはほぼ満足(9)点を付けておく。 「ワイルドバンチ」は執拗なスローモーション&クローズアップ演出で反吐が出る映画だったが、本作はそれを極力抑えたことで見事な傑作となった。 「昼下がりの決斗」と共にペキンパーを見直した映画。 リアルな戦場と言えばルイス・マイルストンの「西部戦線異状なし」もあるが、どちらかと言えば俺は「戦争のはらわた」を選ぶ。 第二次世界大戦の東部戦線を舞台としたこの映画は、ウィリー・ハインリッヒの原作「Willing Flesh」を元に映画化。 オープニングの子供の童謡をバッグにした戦争資料のような映像、 そして冒頭のシュタイナー小隊の華々しい活躍。 死と破壊に満ちた戦場、その下に拡がる塹壕の中に溢れる人間の温もり・・・やがてそれも消えていく。 シュタイナーが助けたロシア人捕虜の少年が良い例だ。 アンドレイ・タルコフスキー監督の「僕の村は戦場だった」を思い出すその子供。 死が待つだけの戦場で生まれる言語を超えた友情・・・それすらも打ち砕かれていく。 兵士は国の道具なのか? 一人の人間なのか? そんな様を死が飛び交う戦場、ドイツ軍の一部隊の視点で描いていく。 勲章一つのために多くの人間が死んでいく。 「こんな物」のために・・・主人公はそれに気付いてしまったのだ。 そして戦うことの意味を求めて苦悩と葛藤を繰り返す。 上司であるシュトランスキーとの闘争。 内も外も疑心暗鬼で敵だらけ。 取り返しのつかない死があるとも知らずに彼らは争う。 そんな男たちも、いざ死ぬとなると人間としての尊厳を取り戻す。 シュタイナーも、ブランド大佐も、シュトランスキーも輝きに満ちた顔で戦場に飛び出していった。 彼らの最期は解らないが、そこには命懸けで戦った人々の物語が強く刻まれている。 シュタイナーが笑ったのはシュトランスキーの滑稽さか、戦争そのものの滑稽さか。 その答えはシュタイナーだけが知っている。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 11:23:42)《改行有》

54.  2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 アーサー・C・クラークとタッグを組んで作り上げた超迷作。 「迷える名作」を撮らせたらアメリカ無双のキューブリック渾身の作品。 これは子供にこそ見せたい映画だね。 子供は何の抵抗もなく、取り敢えずありのままを受け入れようとする。 感受性の豊かな子供は何を思うのか。 そして大人になって再び見る・・・この映画はそれだけ難解でもあり、至極単純な映画でもある。 何者かが知識を得て何かに目覚め、それを繰り返して心理に迫る。ただそれだけ。 その過程が問題だ。 類人猿が「モノリス」に触れて知識に目覚めるファーストシーン。 動きだけで伝えるその世界観は流石。 アフリカの荒涼とした大地と類人猿を「創造」したその美術。 これ役者が演じてんだぜ? メイクと俳優たちは人間国宝になっていいよ。 猿が放った「武器」は、近未来では宇宙を駆ける「武器」となった。 現代の宇宙時代の描写も中々。 宇宙船が音もなく飛び交う宇宙。 この頃は既に「宇宙は暗黒」って認識があっただろうけど、やっぱり絵的に見栄えが悪いよな。 実際こんなに光ってたら怖いわ。 超巨大恒星がどんだけ密集してんだってくらい。 宇宙空間における描写も、今見ると科学的交渉が食い違った部分も多いが、上下の無い宇宙空間、何処までも見渡せる広大な空間、無音の世界観の表現は今観ても凄い。 月の裏側の描写がほぼ完璧ってのが凄い。 だって公開当時は誰も月の裏側に行ってなかったんだぜ?やっぱキューブリックは宇宙人だわ。 月面のモノリスでの騒動、ちょっと長く感じた。 どうせなら「HAL」と木星星団の掘り下げに時間を割いて欲しかったなー。あるいわ上記の部分を削るか。 本作は何といっても「HAL」の反乱。 虚空の宇宙は言わば「密室」。 鬱憤が溜まるのは人間だけじゃない。 機械もいずれは「オーバーヒート」がやって来る。 まして人工知能の発達したコンピューターだ。 自分を排除する=船全体の危機と結びつけちゃうんだろうな。 プログラムに忠実だったのか、それとも本当に心が宿ったのか。 あの真っ赤なランプで、無言で語りかけるような感じが怖かった。 キューブリックは本当こういう「怖さ」を描かせたら天才。 ラストは多種多様な解釈が出来るだろう。[DVD(字幕)] 8点(2014-01-31 10:48:51)《改行有》

55.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 当時の冷戦に右往左往する人間を皮肉ったブラック・コメディの傑作。 原爆や水爆を狂信的に作る「博士の異常な愛情」が時代を後押しする。 物語はミサイル攻撃を巡ってそれを阻止する者、実行する者の対立をシリアスかつコミカルに描く。 生きるか死ぬかの瀬戸際にコカコーラからのクレームを気にするような人間ばっかりだ。 いざ戦争になれば秩序も道徳も崩壊する。 会議場に集まる高官どもに、外で戦う人間の苦しみなんざ解るわけがない。 気にかけるだけで労いの言葉一つ送れない。 隅々まで届かない命令に何の意味も無い。 そんな人間が人々の上に立てばどうなるか? 無意味な実験や虐殺だけが繰り返されていくだけなのさ。 ラストシーンもまた印象深い。 敵の本拠を目の前にして投下装置が故障。 それを命懸けで外しに行き、爆弾もろとも基地にダイブしていくパイロット。 その時のソイツの顔は、黒い笑みで歪んでいた。 戦争の狂気がとり憑いた結果だ。 それを人々はどう思うのか? 英雄として見るか? 戦争を引き起こした愚か者と見るか? 答えは戦争を勝ち抜いた勝者か、後世に生き残った民衆のみぞ知る所だ。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 10:34:30)(良:2票) 《改行有》

56.  フルメタル・ジャケット 《ネタバレ》 「突撃」に並ぶキューブリックによる戦争映画の傑作。 初見には重い戦争映画、二度目は「博士の異常な愛情」に通じるブラック・ユーモア。ハートマン軍曹とのやり取りは面白いし、戦場の報道部にはスヌーピーだわPT&ミッキーマウスでマーチ(行進)だわ。 彼らにとって訓練から既に戦争が始まる。 海兵隊訓練所における狂気、戦場での狂気。 冒頭は軍隊に入る兵士達が頭を刈る“儀式”から始まる。みんな憂鬱そうな表情で自分の髪とさようなら。 そこからハートマン軍曹による愛ある?薫陶(罵詈雑言)。「親のファ●クでシーツに残ったシミが貴様ら」だなんて言われたらヘコむ。このシーンで爆笑できるようになった人は立派なキューブリックファンです。俺も2回目見た時は爆笑し通しだったわ。あそこまで言われたらもう笑うしかねえww 「マスターピース」を暴言に出来るのはハートマン軍曹だけだと思う。 微笑みデブ(アーニーパイル)も黙りこむ。ジョーカーだけが彼を本名のレナードで呼ぶ良心。ハートマン軍曹は厳しくも彼を見捨てなかったが、ソレが他の訓練兵に憎悪を抱かせレナードに向けられ、微笑みデブは徐々にキリング・マシーンへと変わっていく。 後半のヴェトナムの戦場。「プラトーン」は密林、この作品は市街戦。 上司が次々に死にまくり、異教徒を殺すように機銃を撃つ輸送ヘリのドア・ガンナー、死体にパーティー、見えざる敵と戦う市街戦という名のコンクリート・ジャングル。そんな地獄で戦う彼らにインタビューする報道者たちは何を思うのか。 クライマックスを飾る狙撃者との息詰まる攻防。狙撃者の視点から語られる孤独な戦い、ジョーカーたちも倒れた仲間のために敵の根城に突っ込み“お礼参り”。ビルの中には他に誰かいるかも知れない・・・その緊張が最後まで持続するから凄い。 闇夜のミッキーマウスマーチ。彼らにとっては終わりが迫る喜びの歌、だが原作小説では彼らの戦い、いや地獄はまだ続く。まったく戦争は地獄だぜ。 その後にローリング・ストーンズの「黒くぬれ(Paint It, Black)」を聞くともの凄く切なくなるんです。 昔のキューブリックだったら腰振りのマネだけじゃなく本当に狙撃兵に死姦をかますとかヤッてたかもね。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 10:31:48)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》

57.  時計じかけのオレンジ 《ネタバレ》 人間好きなものは、嫌いなものは一生好きになれないのが性というものらしい。 もちろんキューブリックは好きな監督だよ。キューブリックの戦争映画にハズレはないって思っているし、犯罪映画でも初期の「現金に体を張れ」や後年の「シャイニング」は大好きだ。 でも「時計じかけ」だけはマジで勘弁して下さい。もう一度あの狂気に満ちた世界を見ろだなんて俺にとっては拷問といってもいい。ダメなものはダメなんです。途中出てくるルドヴィコ治療法の映像だって俺には怖すぎる。 同じSFで人間の狂気を描く作品なら、俺は「博士の異常な愛情」を選ぶだろう。 でもこの映画がすごいという事は認める。認めざる負えないよ。 近未来的で不思議な世界観、そこを闊歩する若者たちの狂気、狂気、狂気!女が服を破られおっぱい丸出しでレイプされる寸前、変態どもが乱入して縄張り争い。老人をなぶり、車を猛スピードで飛ばして次から次へと悪事を重ねていく。仲間ですら腹に杖を撃ち付け川に叩き落し「上下関係」をハッキリさせ、支配しようとする。強盗、強姦、虐待、何だってやる。ルイス・ブニュエルの「忘れられた人々」を思い出す強烈さ。 だが彼らに罪悪感なんて欠片もない。何故なら「楽しい」から。自分たちが同じ目に遭うなんて考える気もない。今しか奴らは見えていない。 いつの時代も若者は時代を逆走する。「世界を変えられるのは俺たちだけだ!」それが巧を奏せば“英雄”にされる。だが大抵は“愚か者”となって自分の愚かさを思い知らされていく。 主人公なんか正にそう。怖いものなんて何も無い。いや怖いものを「まったく知らない」から。止める人間がいなければ何処までも奴は突っ走る。ソイツに共感する奴もいると思う。 俺?俺の場合は共感どころか「クソ野郎がブッ殺してやりたい」と素直に思ったね。この映画の後に「雨に唄えば」を見たからこそ言っておきたい。誰かアレックスをジャック・ニコルソンの斧でブッ殺せるゲーム作ってくれマジで(嘘ですゴメンナサイ殺さないで下さい)。 偽善者?そう思いたい奴はそう思え。ただ主人公を見てムカツかない奴も俺はどうかと思うぞ。 なんせアイツが好きな音楽も聞けない、悪事も出来ずに仲間にも裏切られていく様子は不覚にも同情しちまいそうになった。犯した女が筋肉モリモリマッチョマンの眼鏡になっているわ、美味そうなスパゲッティ喰いながら失神するわ、部屋に監禁されて好きな音楽に“殺され”そうになるわ。 「こんな奴に同情するなんて・・・」でもこれが人間だと思う。 でこのまま死ぬのが普通の映画だろ?ところがどっこい、重傷負って死ぬどころかピンピンしてら。オマケに開き直って女とヤリまくり、いつも通りの主人公だ。見事に「免疫」が出来ちまった。 ただただ「(゜д゜) 」だったよ。 殺意も同情も呆れ果てて失せた。 馬鹿は死んでも治らない奴っていんだな・・・。[DVD(字幕)] 8点(2014-01-31 10:27:33)(良:2票) 《改行有》

58.  第三の男 《ネタバレ》 キャロル・リードは「二つの世界の男」と「フォロー・ミー」は文句なしの傑作だと思うが、この「第三の男」はやや完璧すぎるし、影の演出のあざとさも気になる。 淡々と謎を解き明かしていく流れ、オーソン・ウェルズの登場シーンや地下水道での追走劇も計算され尽くしている。 加えて、プロデューサーのデヴィッド・O・セルズニックの演出。 この男はどんな作品でも必ずと言っていいほど三角関係をねじ込んでくる。 「キングコング」で怪獣、男、女の三角関係を描いた男だ。当然「第三の男」も小説家、女、闇の住人の三角関係に発展していく。 第二次大戦後の暗い影が付きまとうこの映画。 戦後の新しい時代の白い「光」、社会の黒い「闇」の世界。 日夜問わずにこの白と黒がせめぎ合うサスペンス。 そこにシンプルな音楽の調べが何とも言えない雰囲気を作り出す。 友人の不可解な「謎」を追ってウィーン市内を渡り歩く主人公。 事件の真相を追うのは友情か、それとも作家としての好奇心か。 途中で出会った謎の女性。 友人について知っているらしいが、彼女にも暗い影が見え隠れしている。 様々な国が入り乱れて統治するウィーンの街は、戦後の混沌を表す良い見本だ。 そして主人公の前に現れる「第三の男」。 音楽のリズムが一気に変化し、暗闇から姿を表す。 こんなにドキドキする登場シーンはそうそうないぜ。 主人公と「第三の男」との駆け引きは徐々に激しさを増し、下水道を縦横無尽に駆け巡るラストまでの流れは惚れ惚れする。 光の中に生きる者と、闇にしか生きられなくなった者、それぞれの顛末。 それはコインの裏表のように、常にひっくり返される存在なのだ。 ラストの舗道のシーンは良いね。何度見ても。[DVD(字幕)] 8点(2014-01-25 13:23:33)《改行有》

59.  アラビアのロレンス 《ネタバレ》 再見。 個人的にリーンは「逢びき」といった女性映画の方が面白いが、本作も再見したことで見どころの多い作品だったことに気付いた。本作を見直そうと思ったのはデヴィッド・リーンがジョン・フォードの傑作「捜索者」を参考に本作を撮ったというエピソードを知ったからだ。 確かに砂漠の情景の壮大さ、夕陽といった自然の美しさ、奇襲を受ける瞬間の緊張と騎馬が雪崩れ込む馬のスピードと戦闘描写、銃を撃ちまくる異常性、人種差別問題、復讐の狂気に身を染めていってしまう孤独な旅人といった要素。リーンが実在したロレンスを描くのにここまでフォードの西部劇を手本にしていたということに驚く。 冒頭、男がバイクのエンジンをかけ、それにまたがり田舎道の向こうへ消えていく。 乗り手の視点でバイクは細い道を延々と走り続け、豊かな自然に包まれたのどかさ、そこを抜けた瞬間に拡がる開けた視界が一気に緊張をたかめ、上り続けるバイクのスピード、道の向こうから接近する対向車…! 木の枝に突っ込むもの、枝にひっかかるゴーグルが静かに語る「突然」の死。 そこから彼を知る者が群衆となって詰めかけ、口々に彼について語り「突然」ロレンスの過去へと飛ぶのである。 ラクダが闊歩する蒸し暑そうな外、それを余所に室内で地図作りに励む優男。 男は退屈な仕事に飽き、欲求を抑えられずにいた。ビリヤードの玉を「突然」弾き飛ばすような、地図を見るのではなくそこを自分の脚で突き進みたい、狭い室内から無限に拡がるかのように存在する砂の海原へ飛び出したい!観客も速くロレンスが砂漠に飛び出し暴れまわる姿を今か今かと待ちわびて。 マッチの火が消えた瞬間に「突然」その待ちに待った光景に切り替わる。 夜が明ける瞬間、砂、砂、砂が風に舞い絶えず動き続ける。それを幼気な処女のごとくキラキラした瞳で見つめるロレンス。ロレンスは劇中で度々顔を曇らせ独り葛藤をエスカレートさせていく。 実在のロレンスがそうだったように、ロレンスの中の異性が徐々に穢れていく様子を淡々とフィルムに刻んでいく。処女がSEXの快感に目覚めたように好戦的な戦士になっていく様を。 どんなに無精髭が生えようが、婦人が化粧をするようにそれを剃り、ドレスをプレゼントされた少女のようにはしゃぐ。短剣をアクセサリーのように掲げ、布を掴み笑みを浮かべながら楽しそうに走り、嫌らしい手つきで肌に触れる男に見せる拒否反応。 ラクダにまたがり、夜を超え、延々と進み続けた先で井戸をくみ上げるバケツが落ち「突然」やってくる地平線の彼方の黒い点。その不気味なゆらめきが徐々に近づき空気を一変させ、不意に抜き放つ銃撃! 岩の間から「突然」現れる複葉機、戦場を飛び交う機銃掃射と爆撃、成す術もなく蟻のように蹂躙される騎兵。 力を求める漢たちと夢を見つけたい旅人の出会い。利害の一致が固い絆に変わっていく。 漆黒の民アリとの憎悪を超えた友情、アラブを駆け抜ける荒くれ者アウダ、喰えない王子ファイサル、アレンビー将軍を始めとする曲者揃いの軍人たち。 ピクニック気分の行進がやがて隊列を整え、咆哮し、駱駝も馬も大地を駆け抜ける大軍団にまで成長していく! 指揮棒は挨拶代わりにコンパスを取り上げ、眠りそうな者を叩き起こし、床を叩き客人を歓迎し、振り下ろされ騎馬の大群を雪崩れ込ませる! 駱駝の群が寝そべる静寂、太陽が照り付け、砂塵が舞う砂漠を裸足で歩み続け荷物を一つずつ捨て、吹き出す汗とこびりついた砂が語る絶望。 軍服からまっさらな衣装に身を包むことで「同胞」として受け入れられ、そしてロレンスもそれを受け入れる。 盛大な歓迎、岩をよじ登り遠くの敵陣を眺めるワクワクするような瞬間、突然の殺人と処刑、哀しき対面と銃撃。投げ捨てたものに群がる仲間に向けられる複雑な視線。 基地を制圧される瞬間を上から見下ろす視点で捉え続け、基地を奪われた無力さ・砂浜でたたずむ姿によって描かれる達成はロレンスのもの。 「女狙撃兵マリュートカ」を彷彿とさせる砂漠から本物の海原にたどり着く光景。 後半はとにかく流血が強調される。 記者が探し求める人間は線路を爆破し汽車を横転させる!砂上からの一斉射撃、斜面を駆け降りる人の群れが車両を蹂躙する。 生き残りに一撃を浴びせカメラを打ち砕く頼もしさと野蛮さ、横転した列車の上を歩き回り歓声を浴び、馬の大群が一斉に飛び出し砂漠を駆け抜ける。 破壊の跡に残された瓦礫、遺体の山、疲れ果てた一団。そこに追い打ちをかける瞬間に高揚感は消え失せ、暴力と狂気が強調される。 追撃と野戦病院の惨状、ビンタを喰らい力なく崩れ去り、別れを惜しむように車上で立ち上がってしまう姿。[DVD(字幕)] 8点(2014-01-21 23:50:23)《改行有》

60.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 映画はやっぱり2度、3度見てみるものらしい。この映画も、再見して感じた事は「もっと素直になるべきだった」という事だ。こんなに面白かったかな。 前に見た時よりもサスペンスとしての雰囲気を味わえたというか・・・というより、3Dよりも2Dで見た方が良いんじゃないかと思う。 3Dは画面の中に映る景色や人物がミニチュアみたいに感じられて違和感があった事だし。確かに目の前に迫る感覚や浮遊感を描くのには適している。だが、落下する時の表現は甘い。目の前に迫る感覚よりも、観客が「自分から離れていく」と感じる方が落下の恐怖やスリルがあるのではないだろうか。 落下物が真上から落ちてくるようなシチュエーションなら解るけど、登場人物が落ちていく場面で自分に迫ってきたら別の恐怖になってしまう。 宇宙ステーションから投げ出されていく彼女。通信という「命綱」が彼女に僅かな希望を残す。飛散するデブリ、上下の無い空間で姿勢を制御できない状況、そんな中でパニックと恐怖に支配されないでいられるのか。冷静に生還の緒を見つけられるのか。酸素が無くなり息絶えるというタイムリミットもある。ここら辺がリアルで凝っている。仲間が助けるか。それとも彼女自身が自力で生還するか。高速で飛び交うデブリをどう回避するのか。かすりでもすればそれだけでお陀仏だ。どうにかシャトルが見える状態が、いつ何も無い暗黒の世界へと変わるかも解らない恐怖。映画館ではまだ隣に人がいるけど、TVで独りになって見ればより彼女の孤独への恐怖を味わえるだろう。 ストーリーのちょっと荒っぽいところや設定の無茶も“慣れ”てしまったようだ。嬉しいやら哀しいやら。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-01 17:38:05)(良:1票) 《改行有》

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