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1. アネット
《ネタバレ》 レオス・カラックス初の英語作品、かつミュージカル映画。
ダークなおとぎ話×ロックミュージカルという異色の切り口に惹かれて鑑賞。
スパークスの楽曲が本作のストーリー・世界観の基になっているが、大胆なジャンル設定の試みは成功しており、
まさに唯一無二、独自性溢れるカラックス映画に仕上がっている。
物語で描かれるテーマも興味深い。
子どもを食い物にする父親、ドメスティックヴァイオレンス、常に女性が悲劇を辿るオペラ、暴力性と悪意が籠ったスタンダップコメディ。深読みをすることが可能な作品でもある。
惜しむべくは、映画の骨格は素晴らしいが、ストーリーテリングに伏線や意外性がないので、
映画としては単調になっている点だろうか。
それにしても、マリオン・コティヤールはいつ見ても美人。
歌もできるし演技も上手いし(ゆえに本作で起用されたとのこと)、中盤で退場させずに
もう少し見せ場を用意すれば、賞レースにもっと食い込めたのではなかろうか。[映画館(字幕)] 7点(2022-05-18 08:25:14)《改行有》
2. アデル、ブルーは熱い色
同性愛やセックスシーンといったセンセーショナルな部分がクローズアップされがちだが、本質的には、実に文学的で、真摯で、普遍的な恋愛映画だった。
アデルとエマ、それぞれの親が出す夕飯の違いで、育ちの違いが見えてしまうのは、妙に切ない。
激しく惹かれあっているにも関わらず、育ちの違いや将来についての考え方の違い、若い二人には微妙でありながら大きなすれ違いがあって、それがやがて破局に繋がっていく。
現実の恋愛でもこういうのはよくあるよなぁと観て思った。好きになるのが異性だろうと同性だろうと、その部分は変わらない、恋愛の本質のようなものなのかもしれない。
燃えるような恋が終わっても、アデルの人生は続いていく。
その景色を映し出す為に、本作は3時間以上もかけて丁寧に丁寧に物語を積み上げていく。
妙な煽情性はなく、とても真摯で誠実な、観てよかったと思える映画だったと思う。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2017-12-09 14:30:27)《改行有》
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