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21. 皆殺しの天使
《ネタバレ》 部屋から出られなくなる、というより、出るのが怖くなる、って感じ。そこらへんの心理描写が緻密なの。みんなが変だなと思いつつ、自分だけ帰るのは失礼じゃないか、と周囲をうかがったりして、やがて全員の固定観念が強迫観念に成長していってしまう。また召使たちが去っていく感じにも不思議な現実感があって、ストライキをしてやろうなんて意気込んでるわけでもなく、けっこう申し訳ながったりしながら去っていく。あんたはどうすんの、なんて会話がすごくリアル。有り得ない世界を精密に構築していくとなると、もうこの監督の独壇場だ。「黄金時代」にも、ブルジョワの生活の外に、岩山やら雪原やらの酷薄な世界が広がっているイメージがあったけど、そういった外部を目にしてしまうことをこのブルジョワたちは怖れたんじゃないか。出るのが怖くなって、立て籠もったとも言えるのじゃないか。[映画館(字幕)] 9点(2007-12-27 12:21:35)
22. カクタス・ジャック
《ネタバレ》 死体があちこち回される話はよくあるが、こちらは意識不明の男が二人、取り違えられたりしつつあちこち回される。複雑さは二乗。見てるほうも、だんだんどっちがどっちだかどうでもよくなった。この映画、間違っても何も主張しないぞ、という姿勢が徹底していて、当然、教訓なんかない、男意気とか友情とかも見せられそうなのに見せない、親子の情も、ここでは危険な男をさらに狂わせる要因でしかない。湿っぽさの入り込む余地がないのだ。不良のノーテンキなインタビューに至るまでの、アレヨアレヨ感だけをひたすら横滑りさせていく。そのいさぎよさを買おう。「タクシー・ドライバー」のデ・ニーロを気取る場面なんか、若い人に分かったかなあ。[DVD(字幕)] 8点(2007-09-11 12:22:20)
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