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1. 白い町で
積極的に無為であろうと試みる男の冒険、とでも言うか(本人は怠惰とは違うと思っている)。だから、特に前半は、ほとんどセリフがない。それがつまり白のイメージなんでしょうね。ギリシャの輝く白と違って、ポルトガルはリスボンの白は、汚れくすんでいるの。光も後半にいくにつれて曇ってくる。これ結局、男の意思に関わらず、清潔な無為のつもりが、しだいに濁らされていってしまう過程に歩調を合わせてるわけ。ピュアな孤絶のなかからローザとの出会いがあって、セリフが湧いてくる。ローザを失って8ミリの映像からは「私」が、そして人間が消えていってしまう。ラストはまた次の漂流を暗示しているようでもあり。妻と男との関係が、やがて男とローザとの関係に重なっていく、いう趣向もあった。とにかくくすんだ白い町の描写が素晴らしい。あの狭いとこを走る路面電車には興奮した。私、夢によく学校の廊下とかデパートの中とか狭いところを走る路面電車っての出てくるんだけど、現実ってよりそっちに近い。あと、男が去ったと思い込んだローザがベッドの上で丸くなるところ。夜の赤い月の下をゆっくり進んでいく船の照明。働く女性の捉え方には『ジョナスは2000年に25才になる』と共通するものを感じた。[映画館(字幕)] 7点(2011-03-16 12:28:37)
2. ジョニー・スエード
《ネタバレ》 『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の撮影やった人の監督作だそうで期待したけど、ノレないまま終わった。突っ立ってた髪の毛が、普通に寝込むまでの話。天から降ってきた靴、それによって人生のステージを一つ進み、その靴の片一方を失うことで、そのステージから出て行くまで、とも言えるか。一昔前のサウンドに固執している。伝説の待望。登場人物たちがやたらと詩を語る。家賃の払いを迫る大家までが韻を踏む。女の子のときはバックでギターが分散和音を奏でている。人には騙されるし、不器用で純なヤツなんだ。でもそういうのを描こうとすると、50・60年代を振り返るポーズをとらないと描けないってことか。そして現代にジェームス・ディーンを持ってこようとすれば、おのずとコメディの気配が漂ってしまう。そういう時代のうつろいの哀しさを描こうとしたのかもしれないけど。しかしあの時代にはあった怒りがここにはない。[映画館(字幕)] 5点(2011-12-24 10:17:47)
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