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1. ピアノ・レッスン
《ネタバレ》 ピアノは決して解放じゃないのよね。人の世と別の世界への解放であって、閉じた場所での安息ってことか。ピアノは言葉の代わりにはならない。ベインズがエイダにとってピアノが重要であることを直感で知るのは、彼が文字を読めないことと関係があるんだろう。ピアノは彼女の安息の閉じた箱なのに、それを取り戻すレッスンのために彼女が開かれていってしまうあたりが話の中心。音楽は鍵盤を指が触れて生まれるもの、その鍵盤がまず取り外され現実の愛へとかわり、その代償に指も取り外されるわけ。とにかく海辺のピアノという情景が優れており、ジャングルの濃密な空気はあまり感じられなかった。浜辺で娘が踊るとこがいい。あの娘は単なる通訳じゃなく、同志のようでもあり、また批判者にもなり。[映画館(字幕)] 6点(2011-03-08 12:21:06)(良:1票)
2. ピクニックatハンギング・ロック
《ネタバレ》 前半が特にいい。ピクニックのまどろみの感じ、いつもと違う朝の空気。バレンタインデーは南半球では夏なわけ。バッハの平均率に乗って馬車が走り、町を抜けると手袋を外し、虫のさえずり、羽ばたく音。食べ残しのパンにたかる蟻。12時に止まる時計。このしだいに山の神秘に呑み込まれていく感じ、「美しい良い子」の少女たちは消えていかねばならないことを、映像で納得させてしまったのはすごい。消えていった少女たちにはほとんど個性が与えられていないのも正しく、少女の「普遍」なんだろう。これ少女期の終わりだけでなく、19世紀の終わりも重なっている。19世紀的な少女は消えていき、淘汰され、20世紀的な少女の時代になっていく。しばしば流れるベートーベンの「皇帝」の美しい第2楽章、これの初演が19世紀初頭、たぶんこれからはがさつな不協和音の時代になっていくのだろう。[映画館(字幕)] 7点(2010-06-27 11:57:29)(良:2票)
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