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【製作国 : トルコ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1
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1.   三重の苛烈さがある。風土が苛烈。体制が苛烈。そして血族の掟が苛烈。この血族の掟は風土の苛烈さから来ているんで、よそ者が簡単に「封建的だ」と非難することは出来なく、それだけに内部の人間が告発する声は、いっそう真実が籠もる。映画の焦点もこの掟の苛烈さにあったと思われ、それを乗り越えようという意思がもう祈りになっていて、この息苦しさのなかに清澄さも感じた。義兄を見殺しにした男のエピソード、列車のシーンが素晴らしい。血族の掟の一方に夫婦のやむにやまれぬ愛があり、掟渦巻く世界で小さな個室のみが自由になる。単刀直入にほとんど無機的に訪れる決着、それがかえって夫婦の愛を昇華していた。ゲリラの死体検分のときほんとに蝿がたかってたのは、なんか臭うものを使ったのか。あと焼けた針金での虫歯の治療も、これまた苛烈。[映画館(字幕)] 8点(2013-05-14 09:49:51)

2.  蜂蜜 《ネタバレ》 どもる少年というとタルコフスキーの『鏡』が思い出され、そのせいか後の展開でも、タルコフスキーの空気をベースに感じていたみたい(テーブルにミルクのコップが置かれていると、静かに振動しだすんじゃないか、と思ってしまったり…)。どんな文化圏でも、ああいう過度に目を凝らさずにはいられない映画が生まれているってのは嬉しいことだ。目だけでなく耳も澄まさなければならない。最後のタイトルのとこでは、読めない言語の国のでは倍速にしてしまうこともあるのだが、今回はずっと耳を澄ましながら森の音に聞き入っていた。鳥や虫の声、風が葉を揺するささやき、遠雷、そして遠くの枝のしぜんに折れる音、それらを縫って少年の息が聞こえている(たぶん)。これはこの映画のエンディングとして完璧な装置で、作品後半で湧き上がった興奮をゆっくり沈澱させてくれているような心地よさがあった。トルコの生活にうとい私は作品にちりばめられているあれこれの寓意をほとんど理解できていないだろうが(ミルクと蜂蜜はイスラム教と関係がありそう)、そんなことはどうでもよくなる。一つ一つのカットの光と影に、意味以前の陶酔が備わっている。どもる少年もただ弱者なだけではない。宿題のノートを隣の子と交換してしまうずるさも持ち、褒美のバッジを貰えば嬉しがる普通の子どもだ。父の不在の不安を、電気を点けたり消したりするいたずらでまぎらしている普通の子どもだ。その子が父の死をこれから受け入れていく前に、しばし森の自然のどもらない音の中に逃げ込んでいる、というラストと見たが(肩をかすめて飛ぶ鳥!)、そこに聖なるものが包み込むように感じられてくるのが素晴らしい。[DVD(字幕)] 8点(2012-03-03 12:29:16)

3.  ハッカリの季節 ギュネイの『路』がカンヌでグランプリ獲ったり、本作がベルリンで銀熊賞獲ったり、トルコ映画に注目が集まっていた80年代初め、しかし私は、トルコってあんな雪山がある国なのか、と驚くぐらい認識不足だった。今から思うとどうもクルド人問題が絡んでいたようで、舞台は南東のイラクと近いあたり。イラク戦争前は注目もされない地域だった。そこへ赴任してきた先生の話。歩いてくる主人公から映画は始まる。細かなスケッチを描きつつ、笑いながらタバコをふかす子どもを中心にした村人たちの、ヨソモノへの悪意とまでは至らない距離感がじんわり滲んでくる優れた導入。先生は、流刑と言うほどではないが、何かの処罰か、何かの注意人物のような扱いがほの見える。イスタンブールの放送が聞けるか、とラジオをめぐる会話があるのも、単に文化的生活への憧れなのか、あちらの人にとってはピンと来る政治的な何かがあるのか(地理的にはイスタンブールと正反対の地域だ)。映画が優れているのは、とにかくまず村人の生き方を記録しよう、という姿勢が見られること。なにしろここは「山が、自分を見てくれるものがいないと神に孤独を訴えた」という土地なのだ。自然と協調した生活、などというノンキなものではない。遊牧民が冬だけ過ごす定住地なのらしい。そこで孤独な山と孤独な村が、ひっそりと見詰め合っている図が、ひどく神々しい。こういう映画だと、教師が文明の伝道者となってやがて開けていくだろう、という方向へ持っていくか、共同体側に立って、どうだ厳しい環境での我々の生きざまを見よ、と自慢するか、そのどっちかだったが、「こういう土地がある」という厳とした現実を突きつけることに映画は集中する。おそらくそれが正しい。問題意識とは、その後に生まれてくるのを待つべきなんだろう。主人公がランプを弱めるとそれに見合って室内が暗くなる。その当たり前の記録性が、臨場感を高める。ランプが弱まったことをよく見せるために室内を明るくしといてはいけないんだ。エルデン・キラル監督。[映画館(字幕)] 7点(2013-04-08 09:44:26)

4.  ミルク(トルコ映画) 《ネタバレ》 「旅立ち」ものの青春映画でしょ。インドのオプー三部作は時代順に進んでいったが、こちらトルコは一作目『卵』の成人からさかのぼって、本作の青春、さらに『蜂蜜』で少年にまで戻る逆向き。あるいは本作は「母の思い出」、『蜂蜜』は「父の思い出」、ってことでもある。冒頭、奥行きのある構図で長回しってのは三作共通。これが一番ショッキングよ。沸き立つミルクの上での逆さ吊りで口から蛇、ってんだからほとんどオカルト映画。たぶん悪霊退治のまじないかなんかなんだな。台所に蛇が隠れたときも、まじない師みたいなジイサンがやはり護符みたいの浮かべたミルクを沸かしてた。あの蛇は、たとえば詩を書かずにいられない、というような心の中に鬱勃とする青春の衝動の象徴なのではないか。投稿した詩が雑誌に掲載されて嬉しがるあたりも青春です。採石場で働く詩仲間にさりげなく自慢したく見せに行く。その彼の労働で汚れた姿を靴まで見下ろしていく。ここ大事なシーン。彼はこうまで汚れて疲れて詩を書いている。自分は母の野菜販売の手伝いをし、ときどきさぼりながら詩を書いている。高揚に水を差されるような自省が描かれていたよう。そのあとで徴兵検査か。「持病のある人は残りなさい」と“バイクからの転落”で、どうもてんかん持ちで不合格になったらしい(前作で不意に倒れたのもそれだったのか)。失意の日々(ここらへんで母の客が描かれるんだが、あれ空気ポンプ貸してくれた人?との再婚話ってことか)。ここで湖の鳥撃ち男が出る。これが一番分からないエピソードなんだけど、こう解釈した。母鳥撃たれて残された雛を見、カッとなって背後から懲らしめてやろうとしたが出来ず、大ナマズを抱える。撃たれた母鳥から鳥を料理する母のイメージにつながり(ブニュエルにもあったな)被害者でも加害者でもある「働いて暮らす」という現実を生きている母を意識する。そしてラストの旅立ちとしての労働者姿の主人公に至る、って。映画はクイズではないんだから、一つだけの正解があるわけじゃない。そう解釈したらそれでよく、解釈したもん勝ちだ。監督と映画と観客の関係って、作曲家と楽譜と演奏者みたいなもんだろ。勝手に解釈を誘う豊かさが本作にはある。[DVD(字幕)] 7点(2012-04-14 10:10:08)

5.   《ネタバレ》 鳥のさえずりのなか、霧の海を老婆が「向こう」からやってきて「あっち」に去っていく冒頭の長いカット、いいぞいいぞ、と思ったが、そう簡単にはいかない映画だった。うーん、謎のようなカットの記憶がどんどん堆積していって、分かんねえ、と放り出したくなりつつ、息をのむ自然描写があるもんだから(森や川霧や)、見入ってしまう。ちょっと整理してみましょう。何となくこういうことじゃないか、と思えたのは、母を弔うことで故郷への帰還を果たした詩人の話、という枠。これはあってるでしょ? 詩で身を立てようと故郷を飛び出したものの、イスタンブールは厳しく今は古本屋をやっている。母の死で呼び戻され、彼女が何かイケニエの願(羊)をかけていたことを知る。その母からの想いを受け継ぎ、故郷に戻ることにした。その願掛けとは、もしかすると自分の帰郷のことだったのかも知れない。だいたいこんな線で納得したんだけど、それらの間に意味不明のシーンが含まれる。主人公が意識を失って倒れるのは何か。それをきっかけにイケニエをしようと思い切れた、ってこと? 同監督の『蜂蜜』でもお父さんが不意に森で倒れてた。オートバイのボーイフレンドの役割りはあれだけなのか。ヒューズが飛んだあと、ガラスが割られたのは何? そもそもあの電気屋、いわくありげだったし。ラスト近くの犬は、イスラム教知ってると「あああのことか」と分かるもんなのか? 井戸から這い上がるのは、昔掘ったとこを訪れてみた? それとも彼が昔書いたという井戸の詩と関係ありや? 謎、謎、謎。『蜂蜜』はそれでもなんとか捻じ伏せられたと思えたが、これでは逆にこっちが捻じ伏せられた。敗北感。故人となった親戚たちが鉢植えになって並んでいる、って風習はいいね。最後に定着を暗示する食事シーンがあり、そして遠雷が聞こえてくる。淡々と描かれながら、聖なるものがあたりにじわじわと満ちてくるのは『蜂蜜』と同じ。[DVD(字幕)] 6点(2012-04-05 10:08:22)

6.  クロッシング・ザ・ブリッジ~サウンド・オブ・イスタンブール~ 最初のほうのトルコのバンドの連中、東洋と西洋の融合とか立派なことを言ってるんだけど、やってる音楽はおおむね西欧音楽の和音やリズムにオリエント風味を付けたもので、モーツァルトのトルコ行進曲の異国情緒と五十歩百歩。ヒップポップやブレイクダンスと、いまや世界中どこでも同じ光景になってしまった。やたら唇が動くトルコ語のラップは聴き応えあり。でもだんだんロードムービー的に進むにつれて、音楽世界が深まってくる。それが純粋なトルコ音楽に向かうというより、トルコ音楽と他の音楽との接点に集中していく。ジプシー音楽、クルドの民謡、アラビア音楽としてのトルコ音楽たち。純粋な伝統ってあるのか、そもそも文化とは不純な融合によって発展したものじゃないか、ってことをこの後半で言ってるみたい。そう思うと前半のバンドたちの音楽も、その中途半端さの意義を認めてやりたくなる。[DVD(字幕)] 6点(2008-07-08 12:14:55)

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