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プロフィール |
コメント数 |
615 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが…… 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。 |
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1. アンジェラ(2005)
《ネタバレ》 純然たる「男にとって都合の良い映画」であり、観ている間ずっと居心地の悪さを感じてしまいましたね。
「お前だって本当は、こういう体験してみたいだろう?」「こんな彼女が欲しいだろう?」と作り手に囁き掛けられているかのようで、天使というよりも悪魔的な印象を受けてしまいます。
だって、この映画の主人公ってば、作中で全く努力しているようにも成長しているようにも思えないんです。
ただ「日頃から嫌いだった奴に不満をぶちまけた」「素敵な彼女が出来たので、彼女に好きだと言った」程度の事で、それだけでさも「勇気を出して、よくやった!」と、難事を成し遂げたかのように作中で肯定されているのだから、違和感が大きかったですね。
特に前者に関しては深刻で、天使の助けを借りているだけなのに、偉そうに上から目線で借金相手と話す主人公を見せられるのだから、たまらない。
そんなダメ男っぷりに母性本能をくすぐられる女性もいるのかも知れませんが、同じ男としては「情けないやっちゃなぁ」と、呆れる思いが強かったです。
作中で常に右手をポケットに隠しているのも「引っ込み思案な気持ちの寓意?」「最後の最後で右手を出してアンジェラを止めるなり、抱き締めるなりする為の伏線?」と思っていたら、単に役者さんの右手が不自由だからそうしていただけというのも、正直ガッカリ。
身体的障害も特徴の一つなのは間違いない訳だし、それならそれで、もっと「ポケットに右手を隠している」という役者さんの特徴を、作中でも活かして欲しかったところですね。
この「最初から最後まで主人公はポケットに手を隠したまま」という現象が「結局、主人公は何も変わっていないし何も成長していない」という印象にも繋がってしまった気がします。
こういう「男に都合の良い映画」は決して嫌いではないのですが、なんというか上手く騙してくれないと「都合良過ぎるだろ!」ってツッコんじゃうのですよね。
甘やかして癒してくれる女性は好きだけど、度が過ぎると「いや、赤ん坊じゃないんだから」と反発してしまうというか……
この辺りは、匙加減が難しいところだと思います。
天使の像とヒロインとを重ね合わせるショットなど、リュック・ベッソン監督のオシャレな映像センスは感じられましたし
「他人に愛されないと、自分を愛するのは難しい」
という台詞などは、魅力的だったと思います。
難しく考えたりせず、モノクロの甘ったるい世界観に身を委ねさえすれば、きっと心地良い思いが出来たのでしょうけれど……
自分としては、どうも馴染めなかった一品でした。[DVD(吹替)] 3点(2017-02-07 22:55:15)《改行有》
2. アタック・ザ・ブロック
《ネタバレ》 この手のエイリアン物であれば、モブとして殺されるだけで終わるであろう「不良少年」にスポットを当てたのは新鮮で、面白い発想。
刀を背負った「ニンジャ」スタイルの主人公というのも、如何にも海外の映画オタクの心を掴みそうな感じです。
ただ、冒頭にて「女性を刃物で脅して金品を奪う」という姿が描かれており、そこで(えぇ、こいつらが主役なの?)とドン引きしてしまって、結局最後まで感情移入する事が出来ず、残念でしたね。
そもそも作中の情報から判断する限り、黒いエイリアン達が人々を襲う理由は「白い小さなエイリアンを主人公に殺された復讐」としか思えない訳で、どうにも観ていて居心地が悪い。
そのキッカケとなる「エイリアンの殺害」にしたって「正当防衛」「事故」ではなく、わざわざ逃げたのを追いかけて丁寧に殺しているんだから、情状酌量の余地は無し。
作中でも「こうなったのは俺のせい」と言っているのだから、作り手としても確信犯的にそういった流れにしたのでしょうが、それにしてはラストにて主人公が英雄視されちゃっているし、どうにも不可解なのですよね。
「この主人公も、実は親に愛されない可哀想な子だったんですよ」とばかりに子育てを放棄されていた事が示唆されても、それで悪事が正当化されるとも思えず、何だか中途半端な印象を受けました。
墜落死するかと思われた主人公が、国旗に捕まって助かるというオチからしても「可哀想な不良少年を国が救ってあげるべき」というメッセージが込められているのかも知れませんが、本人が非行を反省する描写も殆どありませんし、押し付けがましいものを感じちゃいましたね。
シンプルな黒いエイリアンの造形は好みでしたし、強力過ぎない武器を用いて、狭い団地内で戦うという内容自体は、とても良かったと思います。
「ロケット花火を用いてのガス爆発」という敵の倒し方も痛快で、観ていて気持ち良い。
それだけに、主人公にとって都合が良過ぎる世界観に付いていけなかった事が、勿体無く思える一品でした。[DVD(吹替)] 4点(2016-10-24 15:55:22)(良:1票) 《改行有》
3. あるいは裏切りという名の犬
《ネタバレ》 ダニエル・オートゥイユといえば「メルシィ!人生」などのコメディ映画の印象が強かっただけに、今作には衝撃を受けました。
とてもシリアスであり、それ以上にシンプルな力強さを備えた刑事ドラマ兼犯罪ドラマであったと思います。
邦題は格好良いけれど、そこまで「裏切り」に重点が置かれた映画とも思えなかったので、観賞後には少し違和感を覚えましたね。
けれど自分のように、このタイトルのお蔭で興味を持つ方も多いでしょうし、プラマイゼロ、あるいはプラスの方が上、といった感じでしょうか。
主人公レオの存在感も素晴らしかったのですが、個人的に圧倒される思いがしたのは、悪役であるクランの方。
このキャラクターは、一概に「悪役」とは言い切れないくらいの深みがあるんですよね。
元々は主人公の親友だったのに敵対してしまう事になるとか、主人公の妻も交えた三角関係だとか、よくよく考えてみれば王道で、ありがちな設定ばかりなのだけど、観ている間は凄く新鮮な気持ちを味わえました。
理由を分析してみるに、恐らくは演じている役者さんの「うわぁ、こいつぁ如何にも悪そうだ!」という風貌と立ち振る舞いに、単純な「嫌な奴」であると思い込んでいたところで、少しずつ「善人」の名残を見せてくれるというギャップに、すっかり参ってしまったのでしょうね。
特に唸らされたのが、囚人となった主人公が娘を抱きしめられるように、そっと手錠を外してみせる場面。
そこには確かに善意や友情を感じられる一方で、同時に主人公の怒りを和らげるのが目的の罪滅ぼし、醜い誤魔化しといった負の感情も伝わってきて、非常に味わい深いものとなっています。
この映画で、最も印象に残るシークエンスでしたね。
こういった物語では、単なる背景設定だけで終わってしまう事も珍しくない「今は争っている二人だが、元々は親友でありパートナーであった」という要素を、実に上手く活用していたと思います。
そして出所した主人公が裏切り者に制裁を加えるべく動き出す終盤で、映画は最高の盛り上がりを見せる……と言いたいところなのですが、あまりにも展開が早過ぎて、あっさりと決着を付けた印象があり、少々残念でした。
確認してみたら、映画が始まって「主人公の逮捕」に至るまでが約一時間。
そこから二十分ほどで「主人公の出所」。
そして残り二十分で結末まで辿り着く訳だから、どうしても後半が駆け足に感じられます。
もう少し、主人公が刑務所に入る前と後のバランスを考慮して、多少上映時間が伸びるのを覚悟の上で前後の尺を同じくらいにしても良かったんじゃないかな、と思う次第。
ラストシーンに関しては「これって主人公も死ぬんじゃない?」と予想していた中で、娘と共に和やかなハッピーエンドを迎えてくれて、嬉しかったですね。
あぁ、そうか、だから主人公に復讐の引鉄をひかせなかったのか……と、しみじみ納得させられました。
亡き妻の仇に対して、自ら手を下す姿だって、そりゃあ絵になるかも知れませんが、残された娘の事を思えば、やはり主人公の決断は正しかったのでしょう。
静かなエンディング曲も相まって、ノワール映画とは思えぬほどに、優しい余韻を与えてくれる映画でした。[DVD(吹替)] 7点(2016-04-25 21:34:13)《改行有》
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