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1. 過去のない男
《ネタバレ》 まさに雰囲気映画。寓話といった方が近いかもしれません。見知らぬ土地で記憶喪失になった男が人生の再出発をするお話です。何もかもトントン拍子。家を借り、仕事を得て、恋人を作る。支えてくれる友達も自然に出来ています。過去を取り戻そうとする素振りすら見せず、今を楽しむ。そんなシンプルな男の生き方がとても清々しい。大きな事件はありません。従業員に給料を支払おうとする社長の話くらいでしょうか。悲劇なのですが、さらっと流しているのでそれほど深刻にも感じられないのは見せ方の妙でしょう。偶然過去への繋がりが目の前に現れますが、そういうもの、と割り切って今の生活に戻る。独特の空気感も相まって眺めるという言葉が良く似合う映画でした。[ブルーレイ(字幕)] 6点(2015-10-07 11:56:55)
2. 髪結いの亭主
《ネタバレ》 ひどく醒めた見方をすれば、大人になりきれない(幻想の女しか愛せない)幼稚な男と、共依存タイプの女が出会ってしまった話でしょうか。男の求める世界、女を演じつつも、裏返せばマチルドという個人ではなく、髪結いの女という甘ったるい幻想しか求められていない。それがどれほど苦しく虚しいことか。それでも男に捨てられないために幻想の女を演じ続ける。孤独な女にとって、男に愛されることこそがすべてだから。しかし時は冷酷に女から幻想のベールを剥ぎ取っていく。男が現実のマチルドを受け入れていればまた結果も違ったものになったのでしょうが、幼稚な男にはそのような気持ちのかけらすらない。マチルドは男の幻想が醒めて、別の幻想を求めて捨てられるよりも、永遠の幻想になるために死ぬことを選んだような気がしました。[インターネット(字幕)] 7点(2015-09-17 19:44:24)
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