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【製作国 : フランス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. 仁義 《ネタバレ》 この映画はえらく無口ですが、男たちは皆えらく格好良いです。ということはつまり映画として成功しているのだと思います。襲撃シーンのあの静寂さは素晴らしく、空気がピリピリに張り詰めていますし、特にイヴ・モンタンが狙撃する瞬間などはその頂点に達しており見応えがあります(モンタンが爬虫類の幻覚まで見えるほど危険な状態ということを他二人はおそらく知っていないので、彼が銃を手にした瞬間、一番ドッキリしたのは観客のはずである)。 そして寡黙だからこそラストの〝仁義だ〟のたった一言がズシンと胸に響くのです。 …ただ、アラン・ドロンの髭はやっぱり無い方が良いと思います。[DVD(字幕)] 9点(2009-11-27 18:28:44)《改行有》 2. 自由を我等に 《ネタバレ》 機械に仕事をさせ人間たちは悠々自適という素敵なラストでしたが、現実世界では機械生産は雇用問題へと発展し残念な状況になってしまいました…。がしかし、そんなことはどうあれ本作は、〝人間味〟という大事なものを謳っているのです。合理性や利潤ばかりを追い求めていたら人間おかしくなっちゃうよと。それを体現しているのが脱獄し成功者となった男の〝ウィンク〟なのです。大金持ちになった男の前に昔の刑務所仲間が訪ねてきて、追い出そうとするもケガの治療をしてやると昔を思い出し友情を取り戻すシーンで、その合図はウィンクでなされます。これは最初の刑務所のシーンで二人が度々やっていた会話のようなものですが、このウィンクの優しく美しい事と言ったらないのです。これぞ人間味であって世知辛い世の中の救いなわけです。いやぁまさか男の、しかも髭のオッサンのウィンクに感動させられるとは…やられました。 ちなみにチャップリンの「モダン・タイムス」にも影響を与えたといわれる本作はトーキーですが、おそらく台詞が無くとも概ね意味が分かるのでサイレントに近い印象を受けます。でもだからこそ、シッカリした作りになっています。 [DVD(字幕)] 8点(2008-12-09 18:25:47)《改行有》 3. 審判(1963) 同じカフカの『変身』でもそうですが、ある朝突然トラブルに巻き込まれる不条理劇は不可解で非現実的にしてリアル。暗闇に堕ちたようにもがく姿は人間の原罪について問うたのか、司法に対する皮肉なのか、この後台頭するナチスや複雑な現代社会の到来を予期したのか、多様な解釈が可能です。映画では現代性を持たせ職場での機械的な匂いや巨大なコンピューター、冷気が漂い閉塞感に満ち迷路のように迷い込み息が詰まるのは現代社会の息苦しさを象徴しているようです。特に不気味なのは画家の隙間だらけの家で見張るように覗く子どもたちの目、目、目!法廷でも大勢に囲まれましたが、大人に見られるより純粋な子どもに見られる方が罪悪を感じるようで居心地が悪いです。特異な世界を持つカフカ作品を映像化するなんて到底無理な話と思いましたが、個人的には映画のほうが好ましいぐらいで、どのシーンも強烈なインパクトを残します。[DVD(字幕)] 8点(2006-12-07 18:26:25)(良:1票) 4. ジャンヌ・ダルク(1999) 《ネタバレ》 ジャンヌ・ダルクは本物のフランス王国の救世主なのか?はたまた英仏百年戦争の末期、苦し紛れの謀略による傀儡に過ぎない戦争の道具なのか?諸説、憶測が多々あるなか狂気のジャンヌを選択したのが興味深い。よくよく考えてみれば、うら若き乙女が戦場で剣をかざして駆け回るなんて正気の沙汰ではない。だが一方で、普通なら頭の危ない若過ぎる女指揮官などに命を預けるなんて到底できず、百戦錬磨の将軍たちはもとより兵士たちもついて来ないはずだ。しかしそこはさすがのリュック・ベッソン。強い女性を魅力的に描き、ミラ・ジョヴォヴィッチの迫真の演技も手伝って、わめき散らす男勝りのジャンヌや小首を傾げる愛らしいジャンヌに惹かれてしまう。将軍や兵士たちと共にジャンヌを信じたくなってしまう。〝フォッロ~ミ~!〟の叫びにどこでも突撃したくなってしまう。ボサボサ頭の彼女を美しいと思った時点で私の負けなのですよ。 ただ、一つ残念なのは世の中の動向描写が皆無に近いこと。戴冠式だけではなく解放された一般市民の歓喜の声が細かに描かれなくては、ジャンヌの功績が不明瞭でありせっかくの自問自答のシーンに客観的な一観客としての判断が下せない。仮にフランス人にとって常識的なことだったとしても英語劇で行ったからにはジャンヌの位置付けが漠然としている人種にも理解できるようにして欲しかった。[ビデオ(字幕)] 8点(2006-11-15 18:22:37) 5. 死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 一見しっかり者に見えるジュリアンが、ロープを忘れる、車の鍵はかけたままと初歩的なミスをたくさん犯すのですから、完全犯罪とは言えずサスペンスとしてはそう面白くありません。私もあの若者に苛ついてしまった口ですし。でもこれは愛の物語ですね。やはり特筆すべきは、最後の写真が浮かび上がってくる場面でしょう。写真を見た時のカララ夫人の顔と、そこに写った夫人とジュリアンの仲睦まじく幸せそうな姿。ああいうのをお洒落と言うのでしょうね。(確かに誰が撮ったの?という疑問はありますが。) それから題名、気に入っています。[ビデオ(字幕)] 6点(2006-02-01 18:24:07)(良:1票)
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